シンジとのデュエルを終えた後、俺はため息を吐くしかなかった。
「全く、夢にまで見ていたはずの大会なのに、どいつもこいつも」
愚痴りながら、俺は不満しかなかった。
この大会は、シンクロ次元にいた頃からの夢だった。
けれど、出てみれば、そのほとんどがデュエルに集中していなかった。
そんな不満を呟きながらも、俺は既に次の試合に呼ばれる。
「次の試合は、遊矢か」
対戦相手として、表示されたのは遊矢。
そして、もう片方を見ればジャックとクロウの試合。
そのまま、俺は試合会場へと向かう途中。
遊矢が目の前にいた。
「吠さん」
彼が何か、不安そうにこちらを見ていた。
対して、俺は変わらない態度で。
「遊矢、聞きたい事がある」
「なっなんでしょうか?」
「お前はこのデュエルで、何を考えている」
「何をって」
そう問いかけると。
「その、父さんのように皆を笑顔にしたデュエルをしたいと考えているけど」
「・・・皆を笑顔にか、お前自身はどうなんだ」
「俺?それは勿論」
「ショーとしての、デュエルじゃねぇぞ」
「えっ」
そのまま、俺はデュエルディスクを構える。
「戦う理由や信念ならどんなデュエリストの胸にも秘められているだろうさ!重要なのは、それに押しつぶされるか、それを守り抜けるかだ!」
「戦う理由と信念」
「最も、俺自身はただデュエルを楽しむ為しかやっていないからな」
「楽しむって」
「相手との真剣勝負だ。だから、お前が対戦相手以外も含めて、楽しませようとしている」
遊矢は悩んでいた。
自分は、父のように皆を楽しませるデュエルがしたい。
その信念はあるものの。
俺の言葉に引っかかるものが何処かあった。
それは、対戦相手以外も含めた楽しさ。
それがどういった物かが掴めない。
「吠さん」
「あぁ」
「対戦相手以外の楽しさとは一体?」
「それを俺が言うのは間違っている」
俺はそう答えた。
自分で考えろという意味の拒否ではなく。
自分が答えたとしても、それは意味がない。
遊矢自身が見つけなければならない物だと感じたからだ。
「でも」
「でもじゃねぇ」
吠は呆れながらも話す。
「今のお前では、何が正しいのかすら理解出来んだろうよ」
「それは」
「いいか、遊矢」
吠はそれ以上は言うつもりはなかった。
だが、少しはヒントを教えるつもりでいる。
「お前がデュエルを行っている時、戦っている相手をどう思っている?」
「相手?それは」
遊矢は悩む。
デュエルでは全力で戦っている。
そして、相手も全力で戦ってくれる。
けれど、それをショーとしての側面で見る場合。
どう映っているかまでは想像していなかった。
「まぁ、その答えはデュエルで見せてくれ」