オレがシャワーから上がって帰ってくると、美弥はまたシャツ一枚になって、オレの精液と美弥の愛液、そして二人の汗の混じるシーツを片付けていた。
そして入れ替わるように美弥は脱衣所に向かって行き、洗濯機を動かす音がする。
リビングに行けば氷たっぷりのコーヒーが置いてあった。シロップとミルクもご丁寧に置いてある。
「気遣い……できるなあ」
ブラックのままコーヒーを一口飲んだ。
「ああ、落ち着く」
女のいるところで落ち着くことはなかった気がする。どちらかと言えば、再戦のために欲情しているか、とっとと帰るための理由を考えているか。
美弥はどうやら気持ちいいことを求めるだけで、余計な感情は入れてこないような気がした。
シャワーを浴びてきた彼女は、無防備なうなじを濡らして帰ってくる。テーブルの向かいに座ってモジモジしていた。
「あの……遅くなりました」
「ああ、大丈夫。ゆっくりさせてもらってたよ」
「なかなか……全部、出てこなくて」
「ああ、ザーメン」
「はっ、はいっ」
なんというか、驚くぐらいの射精する量が増える。その分イっている時間が長くて気持ちいい。
「あ……の……聞いても、いいですか?」
「聞きたいこと?」
「その……してる時、言ってたことなんですけど」
オドオドした感じが少しずつ和らいできているような気がする。普通に話してくれた方が聞き取りやすいってもんだ。
「なに言ったんだっけ?」
「わ、私……三本指に入るって」
「ああ、言った言った」
指同士を絡めている美弥がどこか話しづらそうに見える。上目遣いに様子をうかがっていた。
「なに聞きたい?」
「えっと……先輩……何人ともしてるって聞いてて、何人くらいの人としてたのかなあって……気になって……それに、初体験……いつなのかなあって」
「ああ、そんなことか。聞いてて面白くないかもよ?」
「そんなことないです! 聞きたいです!」
テーブルに手を付いて身を乗り出した美弥。ぴっちりしたシャツも大きな胸には敵わないようだ。ぶるんっと揺れていた。
「まあ、初体験は中学校2年生の時の家庭教師だったな」
「中学生……」
「それから中学三年から、高校、大学っておんなじくらいの年代が大半で、年上とか後輩ともししてたな」
初体験が中学と聞いた時、美弥は一瞬目が曇りはしたものの、興味津々でオレの話を聞いていった。
社会人になってからはマッチングアプリを使ったりしたことを。
「同じ会社の人……とはしなかったんですか?」
「数人いる」
「私も……」
「うちは大きい会社、とは言っても、噂を広げたくないし、口の固い人限定でな。それで、今までしたことあるって人数は……何人かってのは覚えてないけど、50人は余裕で超えてるはず」
「その中の……」
色々な女と比べているのにイヤな顔せずに、むしろ嬉しそうにしている。
むしろ、俯き加減でニヤニヤしていた。
「三人に……」
体の相性は1番だと思う。ただ、まんこの具合の1番は揺るぎない。少なくとも美弥ではない。
「わ、私、何番目に……良かったですか?」
「1番じゃない。2番か3番だなあ」
「そ、そう、ですか」
シュンとしてしまった。が、すぐに顔を上げる。髪を上げたその大人になりきれない可愛い顔が興味ありげだ。
「1番って、どんな人だったんですか?」
いい思い出ではない。むしろ話してしまっていいものかと躊躇うことだ。
「誰にも言わないって約束できるか?」
「え? え? なにか、まずいこと、なんですか?」
オレは頷いて答える。
「誰にも言いません。……そもそも話す相手もいないし」
可愛そうに。なんでこんなに美弥は人との接触がないのか。
「わかった。聞いてて軽蔑しないでくれよ。オレだって騙されたんだ」
「騙された?」
溜息が出てしまう。あの時のことを思い出すと。
「あれはオレが大学4年の時だったか。だから、5年前か」
美弥は興味津々にテーブルに前のめりに、その大きな胸を置き、しっかり聞く姿勢を取っていた。
夏の一日は長い。昼食を食べて一戦交えてもまだ日が落ちる気配はない。
美弥の身体を貪るにはまだ時間はたっぷりあるのだ。
4年前の思い出話を美弥に聞かせることにした。
一番しまりのいい、あの小さな女のことを。
次回
明平紬編~回想回に入ります。