【クズモブ転生】健全ゲームで『エロ同人』能力獲得したからクズ主人公から全ヒロイン奪うことにした 作:かくろう
【side楽人】
その日、俺は重たい身体を引きずってベッドから這い上がった所だった。
「あ~、クソ。最悪の目覚めだ。恵美さん……まさか新しい男でもできたのか?」
恵美さんにフラれた。メールひとつよこしただけの素っ気ない終わり方。
昨日から何百回と電話をかけても一向に出てくれない。
やっと出たと思ったら、『ごめんね。私あなたと付き合ってるつもりなかったんだよね』とか抜かしやがる。
そうしてさっさと電話を切り、あろうことか着拒しやがった。
新しい女を紹介してやるとか言っていたが、あんな性格ブスの知り合いなんて絶対碌なもんじゃ無い。こっちからお断りしてやった。
クソビッチがッ! 思えばあのクソ女は俺をおもちゃとしか見ていなかった。
それどころか、会うたびに頬をひっぱたかれ、命令され、跪かされ、縄で縛られる。
最後に会ったときはとうとうセックスもさせてくれなくなった。
毎日のように一人の女にプライドをへし折られる日々。
学園では悪い噂が蔓延してしまい、もう俺が平和に過ごせる場所は残っていない。
友人だと思っていた男子生徒達から距離を置かれ、当然ながら女子生徒にも煙たがられる。
幼馴染み達は軒並み俺を無視するし、もう学園には俺を思いやってくれる人は残っていなかった。
学園には変わらず通っている。しかし以前のようなハーレム天国は既に残っておらず、待っているのは針のむしろのような蔑みと好奇の視線が飛び交う地獄のような生活だった。
イライラは募り、ついには円形脱毛症で悩むようになってしまった。
普通なら不登校にでもなりそうなものであるが、俺には俺を愛してくれる天使がいる。
悪いのは俺じゃない。俺を遠ざけるブス共だ。
このところの俺は、毎日のようにそうやって俺に言い聞かせている。
ブス共とはもちろん、つい最近まで俺の周りに侍っていた幼馴染み達だ。
優奈も舞佳も小雪も初音も。どいつもこいつもブスブスブスブスだッ。
俺を好きにならない女は全てが敵だ。
「だけど、ついに俺はちゃんとした恋人を手に入れる。
俺は不登校にはならない。なぜならこのところ俺を否定しない一人の女の子と仲良くなったからだ。
「いいよな
俺の大好きな人気アイドルで失踪中の桜木
先日の事、突如として転入してきた儚げな美少女・桜木
偶然が何度も重なって
彼女は俺を受け入れてくれた。間違いなく俺に惚れている。
だから彼女にはちゃんとした交際を申し込み、愛の契りを交わすためにデートすることになっている。
全ては明日だ。
ああ、楽しみだぜ……。
『そりゃ無理だな。あれじゃお前を受け入れる女なんていねぇって』
「またお前かよ。話しかけるなって言っただろ」
この所俺には悩みがもう一つある。
頭の中で話しかけてくるこいつだ。
『優しく話しかけたくらいで女が惚れれば苦労はしねえって。いい加減その勘違い痛痛ムーブやめた方がいいぜ?』
「うるせぇなっ。余計なお世話だっ」
『女ってのは粘土細工と同じなんだよ。乱暴にこねればぐちゃぐちゃになっちまう。だが優しく繊細にこねれば芸術品が出来上がる。相手の立場に立った駆け引きってもんがだな』
「あーーーもうっ! 余計なお世話だって言ってるだろ」
頭の中で女を堕とすためのうんちくを垂れてくるうるさい男。
自らの『精霊さんとでも呼んでくれ』なんて言っていたが、悪辣な性格と下品な口調はとても精霊なんて高尚な存在ではなかった。
だから俺はこいつのことを悪魔と呼んでいる。
『とりあえずもう一度あの高慢ちきな女のところへ連れて行けよ。俺があの女を堕としてやるからよ』
こいつは恵美さんの所へ連れて行けとうるさい。
もう恵美さんなんてどうだっていい。あの人は俺に優しくないし、俺を虐めて楽しんでいるのが気に食わない。
『はははっ、だけど俺が介入しなかったら、お前は寝取られ好きの破滅性癖に改造されてたぜ?』
気に食わないがその通りだった。このところ恵美さんは俺を虐めながら他の男とセックスした過去を話してくる。
俺は悔しくて惨めで、絶望と失う事への焦燥感から奮起するも、奪われ失うことへの恐怖が妙な快感を伴うようになってしまっていた。
そして、俺は見たくなってしまった。恵美さんが他の男で快感に喘ぐ姿を。
ゴミを見るような目で侮蔑の瞳を浴びせかけ、別の誰かに腰を振る姿を想像すると勃起が止まらないように改造されてしまっていた。
だが、この悪魔が俺の意識になんらかの働きかけをしたことによって、俺はその呪縛から解放されることができた。
それどころか、この悪魔のおかげで俺の肉体は以前より遙かに強靱になり、男根は大きく逞しくなった。
不思議な事もあるもんだが、これで俺は一層女を虜にできる力を手に入れたことになる。
残念ながら恵美さんにはまだ見せていないが、もうあの女に会うのはゴメンだ。
虐められてプライドをへし折られるのは心が苦しいし、そんなことに興奮してしまう歪んだ性癖をこれ以上植え付けられるのは嫌だ。
『俺ならあの女をへし折る事だってできるぜ。あの女の扱いは任せておけって』
「そう言って俺の体を乗っ取るつもりじゃないのか?」
『そんな事しないし出来ねぇよ。だが一時的に借りることはできるんだ。セックスの体の動かし方教えてやんよ』
「余計なお世話だ。経験を積めば俺だって」
『お前、あの女が全然気持ち良くなってないこと気付いてないのか?』
「そんな筈ないだろっ。恵美さんはちゃんと……」
『いい加減にしろってひっぱたかれてたな。お前セックス下手すぎっww。もっと意識しねぇと一生女に馬鹿にされたまんまだぞww』
「あ~~~っ、うるせぇうるせぇっ! いいんだよ。明日で上手くやるからっ」
『あ~、あのぼんやりした子かぁ。お前最近粉をかけてるみたいだけど、あんなんでヤレると思ってんの? 思考は童貞のまんまかよ。ウケるww』
いちいち頭の中でぐちゃぐちゃうるせえこの男の性格の悪さに辟易しかない。
ともかく明日はいよいよ
◇◇◇
◇◇◇
◇◇◇
さて、いよいよ桜木
ゲームシステムに支配されていた今までだと接触するチャンスがなかった。
だが主人公が彼女を攻略するために必要なフラグである三人のサブヒロインが必要だった。
彼女達は既に俺の手中だ。あれから幾度となく中出し洗脳を決めて、三人とも完全に俺に逆らえなくなっている。
それどころか俺のハーレムを拡充する為に、それぞれ程度の違いはあれど協力してくれている。
琴葉に至っては毎回のように新しい美少女メイドをどこかから見繕っては俺に献上しようとしてくるほどだ。
そんな感じで桜木
主人公が俺とフラグを立てるのは不可能である筈。
だが、俺は未だに桜木
舞佳や優奈にそれとなく奴の動向を監視してもらっているが、最近はほとんどの時間を
このままではマズい。フラグは立たなくても、ゲームとは関係なく奴と
◇◇◇
そうして過ごす事数日後。
だからまずは一番最初のイベントが起こる場所に絞ってデートを敢行することにした。
「先輩と二人きりって幸せ~。でもなんでここなんですか? デートスポットにはちょっと季節外れですけど」
今日は優奈を伴って町の外れにある一本桜の丘に来ている。
ここはゲームにおいて重要なイベントが起こる場所でもある。
小高い丘の上に一本だけ佇んでいる桜の木。それは春の季節、つまりゲームで言えばエンディング付近でのみ花を咲かせるスポットだ。
オフシーズンでも静かな場所なのでデートスポットにはそれなりに需要がある。
今は夏に入りかけている季節なので、涼しい場所として東屋でのんびりするイベントもヒロイン共通で起こったりもする。
「今日はのんびりしたい気分でな。そこの東屋でゆっくりしよう」
「はい♪」
「弁当は持ってきてくれたか」
「もちろんです先輩。腕によりをかけて作りました」
のんびりした時間に女の子の手作り弁当。それだけで値千金の価値があるデートだ。
「おお、いいね。優奈の料理は美味いからな」
卵焼きに唐揚げ、おにぎりにほうれん草のおひたし。
シンプルだが外れのないオーソドックスなお弁当の数々。
好きな女の子の手作りって付加価値が付いて高級品よりも美味さがある。
「はい先輩、あーんしてください♡」
「あーん」
「ふふ、先輩がお口開けてるの、凄く可愛いです」
「ちょっと恥ずかしいな。でも美味い」
優奈のお弁当は絶品だ。作り手のこだわりと俺への愛情がたっぷりと詰まって一層美味い。
心地良いそよ風を浴びながら美味しいお弁当で舌鼓。
最高の時間だ。今日は攻略の為にここに来たことを忘れそうになる。
だがイベント開始は昼下がりの筈だから、もう少しのんびりしてもいいな。
「優奈、膝枕」
「はい先輩♡ どうぞ」
東屋のベンチに横たわってその時を待つことにしよう。
それにしても優奈の膝は柔らかくて気持ち良い。エロい気持ちにならない。
「はぁ……気持ち良いな。目的を忘れそうになる……」
「私は幸せです」
桜色の長い髪がそよ風になびいて幻想的なプリズムを作り出している。
メインヒロインはさすがだな。この美しさは、申し訳ないが他の子達に出す事は不可能だろう。
「綺麗だな、優奈は」
「えへへ、嬉しいです」
「こういうのんびりした時間も悪くないな。このところ慌ただしかったし」
「幸せです先輩。桜の木の神秘に包まれてのんびり過ごすのっていいですね」
「桜の木の神秘か。この町の伝説だよな」
「はい。私、先輩って桜の木の精霊なんじゃないかって思う事があるんです」
「俺が精霊ってツラかよ」
「あはは。それもそうですね」
この町にはちょっとした伝説がある。ゲームの舞台となるこの町には、小高い丘に生えた一本の桜の木がある。
今目の前にあるアレだ。
不思議なことに、この桜の木には花びらが付かないのだ。
そしてゲームのエンディングにて、ヒロインと結ばれたことを祝福するように花びらが舞うようになる。
伝説によれば、桜の木には精霊が宿っており、男女の幸せを祝福してくれるらしい。
物語の根幹に関わる設定なんだろうが、実際のゲーム内では大きく取り上げられることはない。
オープニングに軽い説明があり、エンディング付近になると思い出したように桜の木関連のイベントが始まる。
「桜の木の精霊か……」
まさかとは思うが、あの妖精さんがソレじゃあるまいな。
そうじゃないと願いたいところだ。
今日ここに来たのは、
だからあるイベントで彼女が一人になるチャンスを待つしかなかった。
その理由とは……。
「あ……先輩」
「ん……? お、来たな」
桜の木の麓に、いつの間にか一人の少女が立っていた。
丘の上から一望できる町を見下ろし、ぼんやりと物憂げな表所を浮かべて佇んでいる。
「桜木
「……だ、れ?」
ヒロインと一緒にこの桜の丘に来る。それが彼女との邂逅条件だ。
今まではゲームシステムのせいで接触できなかったが、ついに誰にも邪魔される事なく彼女と会うことができた。