※この作品はR-18です。

【クズモブ転生】健全ゲームで『エロ同人』能力獲得したからクズ主人公から全ヒロイン奪うことにした   作:かくろう

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◇小雪の悩み◇

 

「ストーカー?」

「うん……最近、お家の周りで知らない人を見かけることが多くって……気のせいかもしれないんだけど」

 

 小雪(こゆき)は楽人が立ち去った後、初音(はつね)彩葉(いろは)に促されて悩み相談を行っていた。

 

「どんな人?」

「昨日は、白いシャツを着た太った男の人。その前はメガネをかけた痩せた人だった……」

 

「え、何人もいるってこと?」

「うん、そうみたい……」

「どうしてそんなことに……」

 

「多分だけど、小雪(こゆき)の……配信のせい……」

「配信?」

 

 そこで初めて小雪(こゆき)は自分がVTuberであることを四人に明かした。

 

「知ってる~~っ。えっ、小雪(こゆき)がちるるちゃん?」

 

 優奈(ゆうな)が驚きの大声を上げ、満面の笑顔になる。

 

「私いつも配信みてるよー。なんか声似てるなぁって思ってたんだっ」

「ほ、ホント? 優奈(ゆうな)お姉ちゃん」

「うん。いつもの小雪(こゆき)とイメージ違うから、まさかなぁって思ってたんだけど」

「嬉しい。ありがとうお姉ちゃん」

 

「そっか、なるほど。いつもの小雪(こゆき)とは大分イメージが違う声だから気が付かなかったよ。それで、それがどうしてストーカーに繋がるの?」

「んと……動画の宣伝とかをやってるSNSのDMに、変な写真が送られてきたり」

「変な写真……?」

「えっと、その……男の人の、裸の画像、とか」

「えっ、裸?」

「うん」

「ちょっと見せてもらえる」

「で、でも、すごく、怖い画像だから」

「大丈夫。小雪(こゆき)が怖い目に遭ってるんだから、私も見るよ」

 

「わ、分かった。じゃあ、これ」

「ありがとう小雪(こゆき)……ヒッ、こ、これって」

 

 そういって差し出されたスマホを受け取り、そこに映っていたものを目にした瞬間、優奈(ゆうな)が驚いたように声を上げてスマホを床に落とす。

 

「ど、どうしたの優奈(ゆうな)ちゃん。一体何が、えっ⁉」

初音(はつね)までどったのよ……。げっ、こ、これは」

「うわっ、最悪ですね……」

 

 絨毯の上にポスッと柔らかい音を立てたスマホを拾い上げた初音(はつね)彩葉(いろは)、そして舞佳(まいか)

 

 そこに映っていたあまりにも醜悪なグロ画像であり、全員が恐怖と嫌悪、そして吐き気によって顔が歪む。

 

 

「こ、これって……男の人の……」

「そう。下半身の、写真」

 

 それは剥き出しの男性器が写り込んだ複数枚の写真であった。

 

 男という生き物にあまり免疫のない少女達は絶句するしかなかった。

 特に処女である優奈(ゆうな)はそれが顕著だ。他の3人も非処女であるとはいえ、亮二以外は知らない上に、意識上はそれほど男性慣れしている訳ではない。

 

「最悪じゃん。小っちゃくて皮被っててシワシワで、子供みたいなサイズなのに毛むくじゃらって……」

「具体的に言わないでください先輩。気持ち悪いですっ」

 

 凄まじい嫌悪感に襲われた四人の顔が怒りと困惑、そして恐怖に歪む。

 

 格闘ジムで毎日屈強な男を見慣れている舞佳(まいか)でさえ、下半身は亮二以外のは見たことがなかったので、思わず口元を押さえた。

 

小雪(こゆき)、ビックリしちゃって……。お母さんにも相談できなくて……」

 

 怒りに目眩がしそうになった彩葉(いろは)が声を荒げそうになる。

 

「クソみたいな話だよそれ。他には何かされたの?」

「うん、なんかね、一週間くらい前から、景色の写真が送られてくるようになって」

 

「景色?」

「うん、初めは青空とか、曇り空とか、その日のお天気とかだったんだけど……なんだか、段々町の景色とかが入るようになって……。この家に近づいてる気がして……どうなるか分かんないから、ブロックもできなくて」

 

「そ、それって自宅を特定されてるってこと?」

「分からないの。でも、昨日は学園のすぐ近くの景色だった」

「それ、警察に相談……うーん、微妙かな。でも、やっぱり親御さんには相談した方が良いと思う」

 

「うん、小雪(こゆき)、怖くて……どうしたらいいのか、分かんなくて……どうしようもなくて……」

「そっか、それで最近元気がなかったんだね」

 

 初音(はつね)小雪(こゆき)を抱きしめた。仲の良い幼馴染みなのに、彼女の悩みに気が付けなかった自分を恥じていたのである。

 

「怖かったよね。ごめんね小雪(こゆき)ちゃん。もっと早く気が付いてれば」

初音(はつね)お姉ちゃん…」

小雪(こゆき)ッ」

小雪(こゆき)ちゃん」

 

 そしてそれは優奈(ゆうな)彩葉(いろは)舞佳(まいか)も同じだった。

 

 たまらず小雪(こゆき)の手を取る三人。しばらく小雪(こゆき)を慰めていると、そうだ、と言わんばかりに彩葉が顔を上げる。

 

「ねえ、それなら亮君に相談しよう」

「霧島、先輩に?」

「そう。あの見た目だし、男のストーカーにはかなりの牽制になると思う。その連中がどこまで特定してるか分からないけど、もしここを特定されたら、最悪小雪(こゆき)ちゃんの身が危ないかも」

 

「そ、そんな……」

「大丈夫。彩葉(いろは)ちゃんが守ってあげるからねっ! このお姉ちゃんにドーンと任せておきなさいっ!」

「うん。私も亮二さんにお願いするのが一番いいと思う。亮二さんならきっと力になってくれるから」

「そうそう。舞佳(まいか)も協力しますよっ! 不埒な輩は舞佳(まいか)の回し蹴りでノックアウトしてあげますからねっ!」

 

舞佳(まいか)ちゃん……」

 

「うん、そうだわ。私、今日から小雪(こゆき)と一緒にいるよ」

「え、優奈(ゆうな)お姉ちゃん、一緒にいてくれるの?」

「うん。何かあるにしても人数が多い方が対処できる事は多くなると思うから」

「それなら舞佳(まいか)も一緒に泊まりますよ。親には許可とっておきます。きっと反対はされません」

「ウチも大丈夫だよ。それなら、ここじゃなくて誰かの家に避難した方が良くない?」

「うーん、どうだろ。大丈夫かな?」

 

「変な人がウロついてるなら、ここが特定されてる可能性高いよね」

「う、うん、そうだね。男の人に襲われたら、私達じゃ……舞佳(まいか)ちゃんがいるとはいえ、怖いよね」

「そうだね。その点、亮君がいてくれれば安心感が違うと思う」

 

「まずは親御さんに相談しようよ」

「あ、でも小雪(こゆき)のお父さんとお母さん、先週から海外出張に行ってるよね」

「えっ! 小雪(こゆき)ちゃんを置いて?」

「ううん。そうじゃなくて……。小雪(こゆき)、最近体の調子もいいし、一人でも大丈夫って、言って……小雪(こゆき)、もっと自立したいからって」

 

 小雪(こゆき)の父親は一流企業に共働きで勤めており、先週から海外出張に出かけている。

 

 母親は残る予定だったのだが、海外での夫の世話のために同行することになった。

 

 というのも、小雪(こゆき)は自分自身を自立させたいと以前から考えており、父の海外出張はその好機だと考えたからだ。

 

 実質的な一人暮らしを学園生の娘にさせるのには抵抗があったが、小雪(こゆき)の珍しく強い主張により実現することになった。

 

「ねえ小雪(こゆき)ちゃん。そのこと、配信で喋ったりしてないよね」

「う、うん。小雪(こゆき)、言ってない」

「そう……。でも、何か家を特定されるようなことしたのかも」

 

「いや、声を聞いて小雪(こゆき)ちゃんだと気が付いたのかもしれない」

「ねえ、家の周りにウロついてる人、学園の人って可能性はない?」

 

 小雪(こゆき)は黙り込んで考え始めるが、どうやら心当たりはないらしい。

 

 しばらくあーでもないこーでもないと相談はするものの、誰も有効な手段を見いだせずにいた。

 

 やがて対策も尽きてしまい、自然と言葉少なになり、全員が沈黙してしまった。

 

 どう対処するか。彼女達には有効な対策が思いつかなかった。

 

 それは彼女達に行動力がないのか? 

 

 否である。

 

 危機感がないから?

 

 否である。

 

 頭が悪いから?

 

 否である。

 

 真剣に考えていない?

 

 否である。

 

 小雪(こゆき)なんて本当はどうでもいい?

 

 断じて否である。

 

 彼女達は一人としていい加減に考えていない。

 

 自分の持ちうる考えを必死に巡らせ、本気で心配し、なんとかしたいと、純粋に可愛い後輩を救いたいと、必死に、必死に必死に必死に必死に、……本当に必死になって考えを巡らせている。

 

 では、どうして一人として有効な手段を思いつけないのか?

 

 それは男という生き物に対する恐怖に、著しく耐性がないからに他ならない。

 

 彼女達は、これまでの人生で良くも悪くも非常に男性からモテてきた。

 

 そして、今までにおいては幸運なことに、この場においては不幸なことに、男性という生き物の悪意に晒される経験がなかったのである。

 

 他人がどれだけ冷静に、論理的に、【当たり前】を【当たり前】として、「そんなのちょっと考えれば分かるのに」と無責任に指摘できるような事でも、恐怖によって思考が固まってしまった彼女達にはどうすることもできなかった。

 

 人は恐怖心によって冷静な判断ができない時、基本的に二つのタイプに分かれる。

 

 一つはパニックになって無謀な行動をとる者。

 もう一つは恐怖で思考が停止し、何も行動できなくなってしまう者。

 

 彼女達は全員後者だった。だから警察に相談という、一番確実で当たり前の選択肢すら、思考から消滅してしまっている。

 

 格闘経験者である舞佳(まいか)ですら、女に対する明確な悪意を経験したことはなかった。

 

 ナンパされている女性を不良から助け出すのとは違う、見えない敵に対する性的な悪意には免疫がなかったのである。

 

 途方に暮れ、誰しも言葉を発する事ができなくなった頃、突然誰かのスマホが着信音を鳴らし、全員に緊張が走った。

 

「ぁ、ごめん、私だ」

 

 彩葉(いろは)は自分のスマホを取り出し、メールが来ていることを確認する。

 

「亮君からだ……なんだろう?」

 

 誰しも言葉を発する元気もなく、見えない恐怖に支配されて絶望しかけてきた中、彩葉(いろは)はスマホを見ながらしばらく固まっていた。

 

「ど、どうしたの彩葉(いろは)ちゃん」

「誰からなの?」

 

 初音(はつね)小雪(こゆき)が恐る恐る訪ねた声がきっかけになったかのように、彩葉(いろは)がふつふつと小さく体を震わせ始める。

 

「ぁ……はは……あはははははっ」

「い、彩葉(いろは)ちゃん?」

 

 不可解に笑い出す彩葉(いろは)に怪訝な表情を浮かべる四人。

 初音(はつね)は意味も分からず彩葉(いろは)に尋ねる。

 

「どうしたの?」

「これ、見て!」

 

 差し出されたスマホには、小雪(こゆき)の家の近くで、彼女が言った通りの特徴を持った二人の男を捕縛した写真が送付されたメールが、亮二から送られてきたのだった。

 

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