黒髪ショートカット王子様系幼馴染のオレへの執着が怖い! 作:クリームパイ太郎
「マジで!」
嬉しそうに即答する王子様に、オレは考え込む。
コイツは嘘も冗談も言っていない。本気も本気。100%中の100%本気だ。
オレは意を決して王子様に言った。
「嘘でないのは判るんだが…」
意を決したのに後半尻込みしてしまった。
生まれた時からの付き合いではあるが、正直なところずっと不思議だったのだ。
この超ハイスペックなイケメン王子様は、なんで常にオレと一緒にいるのか?
幼馴染だからというのを理由にするには弱い。
王子様のソレは執着だ。
最早、狂気に近いかもしれない。
「はは、今更それを聞くんだね」
「あぁ、オマエをオレのモノにしたからな」
「ふふ、そうだね。
ボクの身体でキミの触れていない場所などないかもしれない。
それこそ身体の中まで、ね」
「あー、まぁ、そうだな」
「うん、身体の中はキミの精液まみれだ!」
「言い方!」
「あ、でもまだ精液を飲んだことないから、身体の中は全部とは言い難いかも?」
「くっ! 今から飲ませてやろうか…」
「望むところさ!」
イチモツはまだギンギンだし、いくらでも出せそうなのが始末に負えない。
「お掃除フェラというのだろう?
さぁ、こちらに差し出してくれ」
「い、今はいいから!」
「しかし、まだ硬いままじゃないか。
…と言うか、大丈夫なのかいそれ?」
「わからん。
萎える気配がない」
賢者タイム特有の性欲が一気に消える感じが全くないのだ。
「まぁいい。
何度か出せばいずれ治まるだろう?
口、胸、手…試す場所はいくらでもあるよ?
キミのコレクションには足もあるね?
あぁ、腋でするなんてのもあったけど、なかなか奇抜だね?
ボクでもできるだろうか?
お、お尻は心の準備をする時間が欲しいので少し待ってくれないか?
具体的にはもう少しお互いにえっち自体になれてから段階を踏んで…」
「い、今はいいからっ!!」
「む、こんなことなら最初に精液を飲んでおけばよかった。
しかし、一番搾りの濃いやつは中に出して欲しかったし…ままならないね?」
そんな言葉に、股間に血液が集まるのを感じたが、ここは再び我慢だ!
有耶無耶のままでいたくない。
「まぁ、長い付き合いじゃないか。ボクの予定とは違ったけどちゃんと結ばれたんだ。
今更どうでもよくないかい?」
「知りたい」
「なかなか強情だね。
うーん。
…じゃあ、キミはボクのどこが好きなんだい?
教えてくれたらボクも答えるよ」
「全部だ」
「そ、即答!?
でも、ちょっと雑な答え方だね?」
「雑な答え方とか言いながらも顔を真っ赤にしているところが好きだ」
「くっ、我がことながらチョロすぎるな、ボクは」
それこそ、生まれたときから一緒にいたからな。
王子様がどんなことを言えば喜ぶのかは熟知している。
「笑っているところが好きだ。
怒っているところが好きだ。
晴れの日に機嫌が良いオマエが好きだ。
雨の日に憂鬱そうにしているオマエが好きだ。
春にオレを誘ってくれるオマエが好きだ。
夏場の暑さでまいっているオレにくっついてくるオマエが好きだ。
秋に体重を気にするオマエが好きだ。
冬に寒そうにしているオマエが好きだ。
何か考え事をしているときの仕草が好きだ。
髪をかき上げたときの仕草が好きだ。
歩いている時の姿勢が好きだ。
丁寧に食事をする姿が好きだ。
毎朝オレに笑いかけながら挨拶してくれるところが好きだ。
さりげなくオレに触れてくるところが好きだ。
オレへの不利益がないように注意してくれるところが好きだ。
いつもオレの勉強がおろそかにならないように気にかけてくれるところが好きだ。
毎日オレのために食事のバランスを気にしてくれているところが好きだ。
オレの好みを把握しているところが好きだ。
オレの世話を焼いてくれるところが好きだ。
オレの気を引くためにエロい誘い方をしてくるのが好きだ。
オレは子供の頃からオマエのことがずっと好きだった。
とにかく好きだ。
オマエが好きだ。
大好きだ」
思いつく限り、コイツが好きだという理由を羅列する。
「キミ、ボクのこと好きすぎだろう」
「ああ」
「ベタ惚れだね?」
「…ああ」
割と冷静に伝えられた。列挙していて思ったのは、コイツと一緒にいることが普通になりすぎていた。自覚がなかっただけだと、改めて感じさせられた。
王子様は王子様で、嬉しさが隠しきれていない。頬の筋肉がぴくぴくしている。
「なんだいこれは?
感情の制御がまったくできないね?
顔が勝手にニヤけてしまうよ」
王子様はほっぺたを揉みほぐしてから、オレの方を向いた。
「ふふ、じゃあキミの不安を消してあげようじゃないか。
なんとも…なんとも可愛いことだ」
「教えてくれ」
「実に簡単なことだよ。
一言で言えば…運命、だね」
「…えー」
これだけ引っ張ったのに!
「そんな顔しないでくれよ。
ボクにしてみれば、そう言うふうに考えたくなることなんだ」
運命なんて言われたら変な顔にもなる。
まあ、王子様はロマンティックな所もあるからな。
まずは大人しく聞いていよう。
「今から遡ること十五年と十ヶ月まえのことだ」
「…オレ達の生まれた日?」
「うん、その通り。
閉じた世界ではあるけれど、母親の胎内という完成された世界で心地よく微睡んでいたボクは突然外の世界に放り出されたんだ。
出産だね。
せっかく気持ちよく眠っていたのに、狭く苦しい思いをさせられて、なんでこんな目にあっているんだと…
第一声は、ふざけるな!だ。
まぁ、そのときは声帯も未発達だったしオギャーだったと思うけどね」
「オマエ、流石にそれは創作がすぎるだろ」
「そんなことはないさ。覚えているもの」
母親の腹の中にいたときの記憶を胎内記憶というらしいが、それを覚えたまま生まれてくる子供がいるってのは聞いたことがある。
「あとね、うちの両親は変わり者でね」
「あぁ、知ってるよ」
「胎教というやつがあるだろう?
何をトチ狂ったのか、うちの親はね、ありとあらゆる知識を胎児のうちから教え込もうとしたんだよ。
クラシックでも聞かせてれば穏便だったろうに」
「嘘くさいが、オマエのスペックを知っていると、あながち否定もできん」
「産まれたときには大卒程度の知識はあったと思う」
十月十日で詰め込みすぎだろう。
王子様の話を全て間に受けるわけではないが、昔から子供らしからぬ言動が多いヤツではあった。さらに今思えば、大人の前では敢えて子供っぽい振る舞いをしていたような気がする。
「でだ、無理矢理焼き付けされたような知識はあるが理解はしていない…そんな状態だったからね。
かなり歪な脳の発達をしたんじゃないかな。
赤児用のベッドに寝かされ、さまざまな検査を受けながら」
オレは腕枕にされていた方の手で、王子様の髪を撫でた。
「この世を呪ったよ」
気持ち良さそうに目を閉じてオレの行為を受ける王子様だが、吐き出された言葉の内容は痛々しかった。
「看護師のつぶやき、医者の指示、そして両親の会話。
耳から入ってくる音が言葉としてどんどん理解できていく。
刷り込まれた知識が知能として急激に発達したんだ。
生後数分でこの世に嫌気がさした」
言葉とは裏腹にオレを見る王子様は嬉しそうだ。
「人は泣きながら生まれてくる。そりゃあそうだろう。
なんせこんな嫌な世の中に引きずり出されたんだ。
泣きたくもなる。
この世界にボクが好きになれそうなことなんてない。
ボクはこんなところにいたくない。
さて、どうしてやろう、この世界を」
なんとなくイラっときて、王子様の耳を引っ張った。
「痛っ!?」
「生まれたての赤ん坊がそこまではっきりとした意識があるとか、にわかに信じられんのだが」
「まぁ、今言語化するとそんな感じのことを考えていたんだ。
とにかく嫌で嫌で仕方がなかった。
こんな世界はまっぴらだ!
こんなところに居たくない。
よし、終わりにしよう。
そんな感じだった」
「…自殺でもしようと思ったのか?」
「なぜボクの方が終わらなければならないんだい?
終わらなければならないのはボク以外だろう?
まぁ、終わらせるというのは語弊があるかな。
変えてやろうと思ったのさ、ボクがいても不快にならない世界にね。
そう考えなければやっていられなかったという心境だった…と思う」
「話が大げさすぎる」
「まぁ、それくらい呪詛に満ちた誕生だったということだね」
「そんなふうに言うな」
王子様の耳たぶを指先で摘む。
とても良い柔らかさだ。
「キミにそう言ってもらえると本当に生まれてきた甲斐があるよ」
くすぐったそうにしながら、王子様は続けた。
「まぁ、そんなことを考えながら、まだ動くこともままならないから、大人しくしていたんだ」
生まれたての赤ん坊が明確な思考をしているなんて、看護師も医者も両親すらも想像できないだろうな。
「なんとも痛ましい時間だった。2時間だよ! 2時間!!」
短くない? しかし、その時間ってもしかして?
「…オレが生まれるまでの時間?」
「そう、そのとおり!」
王子様が起き上がり、オレを見つめてくる。
黒目がとても深い。
「キミがこの世に生を受けるまでの時間。
ボクがこの世を呪い尽くした時間でもあるが、キミが生まれた瞬間、世界が一気に色づいたんだ。
虚ろな白と虫食いの黒と炎症した赤だけだったボクの世界が正しく色彩を持った」
王子様はオレの顔を両手で包み、その深い瞳でじっと見てきた。
「近くにいるのはすぐに感じたよ。
今か今かと待ち望むボクのところに、ようやくキミがやってきたんだ」
じっと見つめたまま、王子様はオレに馬乗りになった。
「ひと目見て理解した。
この生き物がボクの片割れだと」
「偶然じゃねぇか」
「いや、違うね。
キミが生まれる前に何匹か猿が運ばれてきていたが臭いし煩いし、気持ち悪いだけだった」
「赤ん坊なんてみんな猿みたいなもんだろう」
「キミが、キミだけがボクに祝福をくれた」
「オレは何もしてねぇよ。
なんせその時のオレは赤ん坊だ」
「負号を正号に。
暗闇を光に。
劇薬を良薬に。
怨嗟を福音に。
世界を壊す汚濁を人を寿ぐ清澄に。
陰鬱だったボクの舞台は一気に華やぎ、幕が上がったんだ。
登場人物はキミとボク。
ボクという醜悪な生物はキミがいて初めて人間になれたのさ」
「醜悪? オマエは鏡を見たことがないのか?」
「外見はキミのために磨いているからね。
中身の話さ」
「オレはオマエの皮を好きになったんじゃねぇよ」
「ふふ、ありがとう」
王子様ははにかんだ顔でそう言うと、オレの手を取りベッドに押し付けた。
指を絡めるように繋ぎ、ぎゅっと力が籠められる。
む、これはマウントポジションを取られた上に、両手まで封じられてしまったぞ。
「いいね。
この体勢ならボクの思うがままだ」
それはどうかな?
「まさしく天の采配だね。
生まれてすぐに世界を嫌ったボクが言うのもなんだけど、必要なところに必要なものが配置される。
世の中うまくできているよ」
「うーん、偶然にしか聞こえないんだが」
「キミがボクの隣のベッドに寝かされたときにね、ボクの方を見て確かに笑ったんだ。
キミもボクのことを認識したんだろうね」
「覚えてねぇよ。
それこそ偶然だ」
「まぁ、いいじゃないか。こうして晴れて思いが叶ったんだ、お互いに」
「それはそうな…」
「なんだい、まだ納得しないのかい?
じゃあ、こう考えてくれよ
ボクはね、齢0歳にして……」
王子様の笑顔は毎日見ているはずなのに、その笑顔はオレが今まで生きていて初めて見るような晴れやかなものだった。
「ボクはキミに恋をしたんだ!」
「ありえねー」
「なんだよ。
ボクの生涯でたった一度の恋なんだ。
キミには最期まで付き合ってもらうよ」
王子様のその目は、深く暗く真っ黒で引きずり込まれそうな引力があって禍々しい。
だが、オレに取ってはこの上もなく魅力的だった。
キレイだな、コイツは。
惚れ直してしまったよ。
何事にも真っ直ぐで、オレへの感情も直球で……若干曲がってるか?
しかも、大きく濃く、得体のしれないモノが蠢く強烈な恋慕だ。
でも、正直……
「……
「ひどい! 今日の中で一番酷い!!」
「重いけどな、オマエの執着くらい全部受け止めるさ」
――それくらいオマエのことが好きなんだ。
続く言葉は飲み込んだ。
これは今後、オレの人生を使って証明していきたいことだ。
コイツなら、言葉だけでも満足してしまうんだろうが、それではオレが納得できない。
王子様は満面の笑顔だ。
言葉にしなかったオレの思いは全部バレていそうだな。
「ふふ、だったら明日から全力を出せるんだね。
おはようからおやすみまで、キミには溢れんばかりのボクを注いであげるよ」
えっ!? 今以上に重くなるのっ!?
「お、おおお、おう! どんとこいっ!」
「指一本動かせないくらいボクに溺れてもらうぞ」
オレのことに関しては、コイツの言動は常に本気だからな。
自惚れではなく、そう思う。
王子様の歪んだ執念は15年の歳月を掛けて醸成された狂気の産物だ。
それが全てオレへの恋心とか、ロマンティックを超えてファンタジーだ。
……ダークファンタジーのほうだけどな!
挿絵はあったほうがよい、それが例えAIの画像であっても
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あり
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なし
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AIでもあり
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AIではなし