黒髪ショートカット王子様系幼馴染のオレへの執着が怖い! 作:クリームパイ太郎
~0~ ボクの秘密部屋
時刻は21:30。
ボクはうっとりと、8KのPCモニタに映るカレに魅入っていた。
場所は自室……ではなく、カレにも見せたことのない秘密の部屋。
睡眠時間を除けば自室にいるよりも、たぶんこの部屋にいる時間の方が長い。
この部屋は正しくボクの
ボクの腹の中に隠し持った情念はここで形に成る。
ベッド、PCデスクとチェア、映像音響設備。
まったく女子らしくない部屋だ。
スマホしか触ったことのない女子からしたら単なる大きな箱でしかないPC。
カレの部屋に仕掛けられた都合16台の隠しカメラからの映像を見るためだけではなく、カレの写真加工、映像編集などするためスペックはかなり高めだ。
ツールも充実させたのでクラッキングも思いのままさ。
ストレージもRAID6構成で耐障害性を高めている。万が一にも貯めに貯めたカレのデータを失いたくはないからね。
音響設備はPCに繋いだヘッドホンアンプとヘッドホン。
用途はもちろんカレの部屋に仕掛けてある盗聴器の音や、こっそりと録音しておいたカレの声など再生するためだね。選びに選び抜いたヘッドホンは生音の再現性がとても高い。すなわちカレの肉声に近いってことだ。
映像機器のプロジェクタは設置を工夫した。
天井を有効利用するため、ベッドに寝転んだときに天井一面に映像を投影できるよう2台の映像をブレンディングし、合計で4K以上の解像度でカレの動画を視聴できる。編集した動画はストレージからすぐに再生可能で、たいへん
そして、コレが一番この部屋のこだわりポイントではあるのだが……
壁一面に貼られたカレの写真!
一枚一枚、ボクが自ら撮影した写真だ。きちんとカレに断ってから撮影した写真もあれば、こっそりと写した盗撮写真もある。
貼り方のレイアウトは工夫したぞ。ボクの視界に入りやすい高さにはカレがカメラ目線で写っている写真を多く配置している。
これでいつでもカレに見られているように感じられるね。
入口ドアに貼り付けた大判印刷での等身大写真(今年度版)もいい感じだ。
ちなみに自室はちゃんと女の子らしい部屋にしてある。白を基調としたシンプルな家具類でボクらしくありつつも、ピンポイントで可愛い小物などを配置して演出している。
カレをデフォルメしたヌイグルミ(髪の毛入り)なんて、我ながらポイント高いと思う!
カレの等身大抱き枕さえ隠してしまえば、いつカレが来ても大丈夫だ。
ただ、ボクの部屋には致命的な欠陥があるんだ。
なんと、カレの部屋と窓越しの会話ができるような配置になっていない!
そも、家の作りが悪い! いや、むしろ作りが良すぎて、カレの家と大きさが合わなさ過ぎるのだ。
同じ二階建てなのに、1.5mほど僕の家の方が窓の位置が高い。しかもカレの家と隣接している側は壁になっていて、ボクの部屋の位置は反対側ときたもんだ。
これでは、屋根を伝ってカレの部屋に遊びに行ったり、着替え中のボクを見せつけることもできやしない。
ぐぬぬ、いずれ改装してやる。
まぁ、いい。
最近……三年七ヶ月と三日ほどボクの部屋に来てくれていないのは寂しい限りだが、思春期なので仕方ないかな。
そのカレ……今もモニタの向こうで一人遊びに勤しんでいるカレだが。
ボクの意中の人――というのは生易しい表現で、ボクの魂の一部と言っても過言ではない。
あぁ、もうっ! 一人でするくらいならボクを呼べよ!
モニタに映るのはカレの自室だ。
ボクが今いる部屋とは違って、極々一般的な6畳間。ベッド、デスク、テーブルなどなど珍しい物は特にない。
せいぜい、デスクトップPCが置いてあることが少しだけレアかもしれない。
そのカレだが、そのPCの画面を凝視して熱心に右手を動かしていた。
カレのPCから送られてくるログを確認する。
『巨乳幼馴染と初めてエッチ』
カレが使用している電子書籍のタイトルだ。
業腹だ!
カレがボク以外の女を見て、あまつさえ興奮しているだなんて許しがたい!
2次元とはいえ我慢ならないっ!
許されるなら今すぐカレの部屋まで行って、押し倒したあげくカレのモノをしゃぶりねぶり舐め上げ、可愛らしい悲鳴をあげさせ、徹底的に凌辱したいくらいなのだ。
しかし、まだ早い。
手順はきちんと踏むべきだ。
カレとボクが結ばれるのは必然で、この世の摂理だ。
ボクがそう決めた!
然るべき時。然るべき場所。然るべき状況。カレとボクは融けあうように結ばれるのだ。
今から待ち遠しいね。
しかし、今はそれよりも……
「くっ! この……ボク以外の、女でオナニーなんかしやがって!」
モニタの向こう側のカレの右手が一層激しく動く。
それに合わせて、ボクの手も淫らに動く。
左手で硬くなった乳首を抓り、右手で濡れた股をまさぐる。
あぁ、この手がカレの手だったら……
カレに意地悪く乳首をいじられたり、ボクの大切な場所を舐められたり、恥ずかしいところを責められたり、そんな夢想をしながらボクの自慰は止まらない。
すぐそばに置いてあった、カレの汗が染み込んだ体操着を取り、鼻に押し付け胸いっぱいに匂いを堪能する。
「ああ! 好きだ! キミと早く一つになりたい!
ボクの初めて奪って!
無理矢理でもいい!
襲われたい!
ボクを女の子だってわからせてっ!」
カレの体操着を口に含み、ちゅうちゅう吸って、少しでもカレを感じたくて、モニタ越しのカレを見ながらこんなことをしているんだ。
カレの方もクライマックスが近いのか一層激しく右手を動かしている。
「くやしいぃっ! ボクを見ろよ! ボク以外の女で射精するなっ!
あっ! くぅ! イっ、くぅ……!」
カレの射精と同時にボクも
全身を駆け巡る快感に忘我する。モニタ越しのカレもぐったりしている。
あぁ、もったいない。ティッシュなんかに出さずに、ボクの
「ふぅ……」
虚しい。寂しい。カレが恋しい。盛り上がった分、落差が激しい。
学園の王子様なんて持て囃されているが、一皮むけばこんなものだ。
カレの獣欲に身を任せ、貪り食われる小動物のように、ボクの全てを捧げ尽くしたいのに。
今日だってカレと1日中一緒だったし、つい数時間前までゲームをやったりおしゃべりしたり、けっこう露骨に色仕掛けしたり、カレとは楽しく過ごしていたのだ。
しかし、カレの反応は芳しくない。
いや、これはボクが期待しすぎか。
カレの反応は悪くない。きっちりとボクのことを意識しているし、男としても反応しているのは間違いない。
照れた顔が可愛くて、ついついからかってしまうのだが、カレもまんざらでもなさそうだ。
このままいけば遠からず目標は達成できるはずだ。
ひと仕事終えて冷静になった。モニタの向こうのカレもテキパキと片付けを始めている。
いつもの流れならこれから入浴かな?
ボクも入浴しよう。そして浴室からカレと通話でもしようか?
さすがに、浴室からのビデオ通話はまだ早いかな? カレに肌を見せることに抵抗はないけれど、むしろ見せたいけれど、積極的に見てもらいたいけれど、カレの方に受け入れる態勢が整っていない。
「うわ……」
入浴に行こうとデスクチェアから立ち上がってみれば、すごいことになっていた。
下半身がびちゃびちゃで、椅子の脚まで濡れていた。
カレの体操着を
体操着だけではない。失敬したワイシャツ、肌着、そしてボクサーブリーフ!
これらを使用したときのハッスル具合ときたら、モニタ越しのカレを覗いていただけのときとは比べ物にならない興奮度だ。
カレが自慰をしない夜、ボクがどうしてもカレが恋しくて、どうしても我慢出来ないときに使用することにしているのがボクサーブリーフなんだけど……
使用したときの破壊力たるや筆舌に尽くし難く。
一嗅ぎしただけで、脳から甘い痺れが全身に走って気絶するかと思ったほどだ。
きちんと準備した上で、ベッドでしないとのちのち大変なことになってしまう。ヘタをしたら本当に気絶して朝まで素っ裸なんてことになりかねないくらい。
「……おっと」
いい加減下半身が冷えてきた。
明日はカレと一緒に課題をする約束をしているのだ。風邪なんてひいてしまってはもったいない。
でもきっと、ボクが風邪をひいてしまったらカレのことだ、課題なんてそっちのけでボクの看病をしてくれるに違いない。
それはそれで悪くないね。
熱にうなされて弱々しくなったボク。そして甲斐甲斐しく看病してくれるカレ。ベッドに寝ながらボクはカレに思いっきり甘えるのだ。
パジャマ姿のボクで悩殺するのだ!
ギャップ萌えというヤツだね。
普段シックな色合いの服が多いからね。休みの日はパンツスタイルばかりだし、露出度って意味では制服が一番高いかもしれない。
そんなボクが薄ピンクのパジャマなんて着てた日にはカレの視線も釘付けにできるのでは?
そして、熱で潤んだ瞳でカレを誘えば、乗ってくるのでは!?
「……いや、ないか」
カレのことだ。病気の方を心配して襲ってはくれないだろう。それどころか怒られてしまうかもしれない。
『バカ野郎。病気が治ったら襲ってやるから早く治せ』
こんな感じのセリフなら言ってくれそうかな?
『襲ってやる』という言質を引き出せるなら、この作戦はアリ寄りのアリな良策なのだが、残念ながらボクは生まれてこの方病気一つしたことがない健康優良児なのだ。仮病を使ってカレを騙すようなことをするのはボクの本意ではないし。
カレの看病なら年一回くらいあるのだけれど。
その時のカレはなかなか辛そうだし、弱々しくて思わずボクのほうが襲いかかってしまいそうになってしまうんだが、それでは本末転倒だ。
ボクは襲いたいのではなく、襲われたいのだっ!
カレに押し倒されて、めちゃくちゃにされたいのだっ!!
初物同士を交換してから、身体中の穴という穴を犯されたいのだっ!!!
「……風呂にいこう」
考えても詮無いことだ。ボクは手早く片付けを終えて、下半身丸出しのまま浴場へ急いだ。
手足を全開に広げても余るほどの、一人で入るには無駄に広い湯船だ。子供なら泳げることだろう。
一人で使用する分には無駄だらけ。しかし、カレと二人で使うなら、この広さも無駄にはなるまい。
いろんなことができそうだ。
うん、今から楽しみだね。
「だが、狭いバスタブに密着しながらカレと一緒にというのもそれはそれで……」
それはカレの家で行えばいいか。
どちらの家のお風呂でもメリットがあり、素晴らしい。早くそんな関係になりたいものだ。
「はぁ~」
全身を弛緩させて、思わずため息が出た。致した直後は虚しさが先立ってしまったが、今日の行為はなかなか盛り上がった。やはりカレの私物を使ったときの盛り上がり方は一味違うね。
最初はカレからもらったシャープペンだった。
下着の上からシャープペンの頭で、股間を擦ったときの衝撃は今でも忘れない。
カレもボクも第二次性徴が始まり、性に興味がでてくる年齢に差し掛かると、各々自然とその手の情報を集め始めた。
カレはもっぱらえっちなコンテンツを集めることに終始していたようだが、ボクの方はというと、どうすればカレをボクのモノにできるかということに傾注していた。
既成事実が欲しかった。
やはり一つのゴールだからね。第一目標としては上々だ。
で、調べていくうちに自慰というものがあることを知った。そして、ある程度性感の自己開発が必要であることも知る。
そうしなければ、いざカレと事に及んだときにボクの反応が鈍くなってしまうかもしれないということが判った。
当時のボクは、なるほどと思ったものだ。
カレの精通とボクの初潮さえきてしまえば問題ないと思っていたのだが、世の中にはボクの知らないことがまだまだあるのだ。
しかし、ここで大きな問題に直面する。
自分の胸や股間をいじってはみるものの、いまいちピンとこない。それどころか何も感じないという有り様だ。
むむ、これはまいった。何か対策はないかと調べてみても、よく判らない。ネットからの情報通りに性感帯を刺激してみても、結果は変わらず。
気持ちよくない!
困り果てていた時に、ある日カレの部屋へ遊びに行くと、たまたまえっちな本を見つけた。
ベッドの下に隠すだなんて、見つけてくれと言っているようなものだよ。
慌てふためくカレは可愛らしかった。ボク以外の女を見ていることに腹立たしくもあったが、一つヒントを得た。
通称でオカズというらしいが、性的な興奮を得られるようなコンテンツを見ながら自慰を行うと言うことだ。
またもや、なるほどと思った。
触覚からの刺激だけでなく、視覚的な刺激も加われば、相乗効果があるということだ。
では、ボクがどんなものを見たら興奮するか?
教材としてアダルトなコンテンツは視聴してみたものの、他人の性交など見ても全く興奮などしない。犬猫のそれを観察するのと変わらず、あくまで教材にしかならない。
一般的には異性の裸などで興奮するとのことだが、ボクにとって男の身体など気持ち悪いだけだった。
しかし、ボクに電流走る!
カレの裸だったら興奮どころの話ではないのでは?
見たい、見たい! 是非見たいっ!
どうすれば見られるか? ボクの灰色の脳細胞を全力回転させ、方法を模索した。
そして、導き出した結論は一つ!
決意したボクは、早速行動に移した。
「キミの裸を、ボクに見せてくれないか? もちろん全裸だ!」
「オマエ、何を言ってんだ?」
「もちろん対価は支払う。ボクの裸をキミに見せるよ。もちろん全裸だ!」
「オマエっ、何を言ってんだっ!」
と、なぜかすげなく断られてしまった。
ボクの裸では対価にならなかったとは思いたくない。
確かにまだ第二次性徴も始まったばかりで、胸もそれほど大きくなかったからだろうか?
しかし、カレは声こそ荒げていたが、顔を真っ赤にして全力で照れていたので、おそらくは恥ずかしかったと予想するよ。
むむ、男心は複雑だね?
仕方がないので、その年の夏に撮影しておいた水泳の授業を受けるカレの写真で代用した。
結論から言えば大当たりだった。
乳首を触るとぴりぴりとした身体の芯に響くような刺激。
股間を触ればぞくりと身体が甘く痺れるような未知の昂奮。
どちらもボクにとっては初めての感覚だ。
気持ちいい!
カレの写真を見ながらするだけでここまで違うとは……
ボクは驚愕しながらも、手を止められなかった。
気持ちいい、気持ちいい! 気持ちいいっ!
だけど、何かが足りない。
その時は絶頂というものが、どういったものか判っていなかったが、何かが足りないことだけは理解できた。
試行錯誤を繰り返す。
写真は、カレの露出度よりもこちらを見ているような目線があるものが好ましい。肌が見えていればなお良し!
性感帯と呼ばれる箇所への刺激に、強弱をつけるなど工夫を凝らしてみたり。
十分に気持ちいいんだが、やはり何か足りない。
絶頂まで辿り着けないのだ。
ボクはしばらくの間、頭の片隅で常に自慰のやり方を模索している時期があった。食事をしていても、勉強していても、入浴していても……思春期入りたての病気みたいなものだ。
まぁ、この程度のことで成績を落としたり、生活をおろそかにするボクではなかったが、カレが訝しんでいたのも事実だったので、多少反省もした。
そんなある日ボクが宿題をしていて、ふと思いついたことがあったのだ。
ノートにペンを走らせ、次々と問題を解いて宿題を終わらせると、使用していたシャープペンが目に留まる。
どこにでも売っているような、なんの変哲もないシャープペンだが、ボクにとってはこの上もなく価値がある一品だ。
カレのペンケースから失敬、もとい同じ物と交換してきたシャープペン。
このシャープペンを何の気なしに、服の上から胸の先端へ触れさせてみたのだ。
「ふぁ……」
思わず声が漏れた。自分でもびっくりするような甘い吐息だった。
すぐに理解した。
これがそうだ!
ボクはどきどきしながら、シャープペンの頭を下着の上からボクの一番敏感な部分に触れさせた。
「ひっ! んんんっ!」
ほんのちょっぴりシャープペンの頭が当たっただけで、ボクは簡単にイッてしまったんだ。
今となっては軽めの絶頂だったと理解できるが、その時のボクには過去最大級の衝撃だったかもしれない。
目を白黒させながら、波が引くのを待つ。自然と呼吸が荒くなり、心臓も全力疾走した後のように激しく鼓動した。
加熱した脳が冷却されるまで、ボクは動けなかった。
考えが全くまとまらない。衝撃的な体験だったが、同時にショックでもある。未知の感覚だったモノの先にさらなる核心があったんだ。
しかもまだまだ発展性がある。今日触れたモノなんてまだまだほんの入口に過ぎないと直観できた。
頭が冷めて身体が落ち着いてくると、疑問のほうが大きくなった。
今までなかった感覚が、突然感じられるようになった理由は?
まさかシャープペンが? 単なる文房具だぞ? コンビニでも売ってるような、何の変哲もない……違う!
これは
蒙が啓くとはこのことだっ!
簡単なことじゃないか。カレの写真で気持ちよくなれた。その先に進みたいなら結局辿り着く答えなんてカレにまつわること以外ないじゃないか。
それからは簡単だった。
カレの私物だった物は手元にたくさんある!
写真もある。
録音したカレの声もある。
一気にボクの一人遊びが進展した。
写真の中のカレをじっと見つめれば、それ以外は視界から消え失せる。
録音したカレの声に耳を傾ければ、まるでカレがボクに囁いているようだ。
そして、これが最も重要だ。カレが使っていた私物――カレが使っていた物や身に付けていた物が好ましい。はっきり言えば、カレの匂いが強く残っている物がいい!
視覚、聴覚、そして嗅覚。
五感の内、三つをカレに支配されて、擬似的にカレを感じて、ボクはいとも簡単に絶頂に至ることができた。
と、同時に思ったのは、これが本物のカレだったらどんなに幸福か。
想像するだけでぞくぞくした。
五感のうちの三つをカレに満たされただけで、これだけ気持ちいいのだから、残りの二つ――味覚と触覚が加わったらどうなってしまうのか?
カレの汗はどんな味がするんだろう? 唾液は? 血液は? ――精液は?
カレにボクの敏感なところに触れてもらったら、いったいどんなことになってしまうのか?
未だ想像することしかできないのが悔しい。
ただ、意欲にもなった。
一秒でも早くカレと――
この頃からだろう、ボクのカレへのアプローチがより誘惑的になったのは。
最初は可愛らしいものだった。
カレのそばに近寄ってみたり。カレにちょっと触れてみたり。ボクの使っていたハンカチとカレのハンカチを交換してみたり。
まだ成長しきっていない胸を押し付けてみたときは、露骨に照れたカレが可愛かった。
運動後のカレに飲み物を渡しながら、汗の匂いを堪能した。
さりげないふうを装って、汗をかいたカレにタオルを渡した。タオルはパウチして持って帰った。
全部よいオカズだね!
しかし、同時にボクの不満も溜まっていく。やはり代替品であり、いつになるかわからない
当初は交換したハンカチなどで満足していたんだが、すぐによりカレを感じることができる物へ変わっていき、ここ最近に至っては……
ボクはそこまで回想して、現実に戻ってきた。
「ふふ、カレはいつ、ボクの王子様になってくれるのかな……」
ボクの恋。
生涯一度の恋。
この恋路の勝ち筋は見えている。
カレとボクが結ばれるのは必然で、最早不可避の未来だ。
ただボクは、その結果を一日でも早く手にしたい。
恋の萌芽はすでにあり。幾星霜の時を経て、後は実りを待つばかり。
「さぁ、そろそろ上がろうか」
入浴してせっかく綺麗にしたのだから、是非ともカレに見てもらいたいのだが、カレの部屋に行く大義名分がないのが残念だ。
まぁ、明日は一緒に課題をする約束をしている。カレに会うのはその時まで我慢しよう。
明日はどうやって、カレにアピールしようか?
まずは伏線を貼ろう。風呂上がりのボクでカレのムラムラを刺激するのだ!
差し当たってはやはりメッセージからの通話かな。
ビデオ通話なら、茹でたてのボクをカレに見せることができる。
風呂上がり映像など送ったら、カレも驚くに違いない。理由は何にしようか? そういえば課題を一緒にする約束はしているが、時間まで決めていなかった。いつも通りの時間に集合なんていう曖昧な約束だ。
これを理由にして、連絡してしまおう。
格好はバスタオル一枚なんてどうだろうか? 流石にいきなり過ぎるかな?
よし、ここは透けるか透けないかぎりぎりを攻めたTシャツ一枚で妥協しよう。
プランは決まった!
早速行動に移すべく、ボクは湯船から立ち上がる。湯の雫が肌を滑り、ボクは気合を入れるようにそれを払い飛ばした。
カレのことだからとっくに入浴は済ませて、今頃髪でも乾かしているかな?
バスタオルで身体を軽く拭きながら、自室に移動した。どうせこの家にはボク以外誰もいない。だいたい水気が取れたところで、バスタオルで身体を覆う。
頭を捻っていろいろなプランを検討してみる。
今日は少し趣向を凝らしてみようか。髪はタオルドライだけを済ませて、しっとりと濡れたボクで普段との違いを演出しよう。
なかなか色っぽいのでは?
画面越しのボクに、どぎまぎするカレが目に浮かぶようだ。
その時だ!
ボクに天啓のような閃きが舞い降りる。
敢えて! 敢えて、下を履かずに通話するのはどうだろうか? ぎりぎりを攻めたTシャツで、さらに限界まで攻めるんだ!
着丈が長めのTシャツを着てボクの大事な所がぎりぎり隠れるようにしつつ、それをスマホのカメラでチラ見せする。
もちろん言葉でも匂わせて!
ふふふ、我ながら悪魔的発想だ! や、ヤバい、興奮してきたっ!
上は透け透け、下はちら見せ、シャツはぎりぎり、カレはどぎまぎ。
もしかすると、もしかするかもしれない。居ても立っても居られず、カレがボクの部屋までお仕掛けてくるなんてことになったりしないだろうか!?
カレが行動を起こしたら、即ドアを解錠できるようにスマホアプリを起動しておこう。
ちょうど良い透け具合と着丈の長さのTシャツを探し出して、袖を通す。去年の夏以来に着るシャツだが、胸がきつい。順調にカレ好みに成長しているようで何よりだ。
姿鏡の前で己の姿を確認した。
想定よりも透けている。大きくなったせいなんだろうが、ちょっと、これは……まぁ、いいか!
下のぎりぎりさ加減も、ホントにぎりぎりだ。これもまぁいい!
いくつかポーズを取って、カレを悩殺できそうなモノはないかと模索したが、スマホのカメラでは限界がありそうだ。とりあえず、胸を寄せるポーズに落ち着いた。
「よしっ!」
メッセージアプリを起動して端的なメッセージを送った。
『今、大丈夫かい?』
『大丈夫』
簡潔なメッセージがすぐに返ってくる。
ボクはすぐにスマホを操作し履歴を呼び出した。
カレへの発信か、カレからの着信しか履歴はない。
整然としていて、とてもキレイだね。
ボクは満を持して、カレのスマホへの発信操作を行った。
「……こんばんは。
まだ寝ていないよね?
明日のことで電話したんだ。
……ああ、お風呂上がりなんだね。
ふふ、ボクもちょうど入浴を終えたところさ。
全身つやつやだよ?
見せてあげよう。
ビデオ通話に切り替えるね?」
ボクはカレの返事を待たずに、素早くスマホを操作してビデオ通話に切り替えた。
さぁ、今夜こそ暴発して欲しいものだよ。