※この作品はR-18です。

黒髪ショートカット王子様系幼馴染のオレへの執着が怖い!   作:クリームパイ太郎

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~3~ ボクの手作り弁当

 待ちに待った昼休みだね。

 

 学園内でカレと二人きりになれる砂金で作った砂時計のように貴重な時間だ。

 

「天気いいし、中庭で食わない?」

 

 と、カレから提案があったので、喜び勇んで応じた。

 

 ふふ、中庭は死角が多いからね。ボクをそんなところに連れて行って何をするつもりだい?

 

 食欲を満たしたら次は性欲ってことかい?

 

 もちろん望むところだよ?

 

 三限目の休み時間にちょっと誘惑しすぎたかな?

 

 さすがに自制心の強いカレでも、眼の前でスカートを捲って下着を見せつけたら、むらむらが抑えられなくなってしまったとか?

 

 ボールペンを落としてしまったときに、とっさに思いついたのだ!

 

 落とした瞬間にちょうどカレがそれを見ていたので、拾ってもらうことをお願いした。自分で拾ったほうが明らかに近いし、カレが拾うとしたらわざわざしゃがまないといけなかったんだけどね。

 

 カレは心良く拾ってくれたよ。

 

 しゃがんだときにボクの太ももに思わず魅入ってしまったようだけど、それは思春期男子ならしかたないだろう。

 

 ボクとしてもウェルカムさ。

 

 ただ、その程度で済ませるつもりもなくスカートを捲って、中身(ぱんつ)を披露してあげたんだ。

 

 カレは何でもないふうを装っていたけど、ふふ……首まで真っ赤だった。

 

 なんとも、なんとも可愛いじゃないか!

 

「ありがとう。どうだったかな?」

 

「……なんのことだよ」

 

「ふふ、なんでもないさ」

 

 

 

 まったく照れ屋さんだね。

 

 もっとじっくり見てもらっても構わなかったのに。

 

 ただあのまま凝視されていたら、カレの視線で粗相してしまったかもしれない。

 

 はしたなく情欲に濡れ、欲情している証拠をカレに目撃されてしまうかも。

 

 そんなことになってしまったら、もう自分を抑えられそうにないね。

 

 カレもカレだ! 焦れったいことしてないでボクのスカートの中に顔を突っ込んで、くんくんしてくれないものだろうか!

 

 ……少し思考が暴走気味だな。

 

 一旦冷静になって、カレとの昼休憩をきちんと楽しもう。

 

 悶々と思考を巡らしているうちに中庭に着いてしまった。

 

 この学園はかなり広い。まだ行ったことがない場所などいくらでもある。中庭と一言で言っても、一年から三年校舎のそれぞれに中庭があり、さらに職員棟などにも中庭がある。その上、各所にベンチが設置されていて、空いている場所などいくらでもあった。

 

 カレについてきただけなんだが、こんな場所があったのか。

 

 その場所は死角でこそないが人気はまったくない。木陰になっていて日差しに炙られることもなく涼しくてよい場所だ。

 

 ふむ、これならちょっと木の後ろに隠れればいろいろできそうだ。

 

 ふふふ、カレもなかなか判っているじゃないか。これはOKのサインかな?

 

 カレはベンチに座り、自作のお弁当を広げていた。

 

 ボクもカレに習い隣に腰掛け、お弁当を膝の上に乗せる。

 

 気温はちょっと暑いくらいだが、木陰と涼やかな風が吹いてとても気持ちが良い。

 

「ふむ、たまには外での食事も良いものだね」

 

 カレのお弁当の内容を確認すると、おにぎりとゆでたまごだけだった。

 

 真っ白じゃないか!

 

 おにぎりの中身はカレの好みからするとおそらく、おかか、鮭、ツナマヨだ。

 

 PFCバランスこそ悪くないが、あまりにも見た目に彩りがない。

 

 確か、カレの両親は今日から数日間は不在だったはずだ。さては昼食代をおこづかいにするつもりだな。

 

 それ自体はボクが口を挟むことではないが、食事を疎かにするのはいただけないね。

 

 まぁ、だいたい予想通りだ。コンビニに頼らなかっただけよいかもしれない。

 

「しかしキミの食事は彩がないね。PFCバランスは悪くないが。あと野菜もない。

 …今日はお母様が不在なのかい?」

 

 ボクは途中にあった自動販売機で買った缶コーヒーを渡しながら、答えを知っている質問を尋ねた。

 

「ほっとけ。

 親父ともども忙しいみたいだ。

 だから今日の弁当は自作だ」

 

 カレから缶コーヒー代を受け取りながら、会話を続ける。

 

「ほほう、ということは今夜は一人かな?」

 

「まぁ、そうなるな」

 

 カレはいただきますと手を合わせて、ゆでたまごから食べ始めた。

 

「自炊していることは評価しようじゃないか。とはいえお弁当の中身が真っ白だね」

 

「ふむ、じゃあ明日からの弁当は煮卵にしてみるか…」

 

「そういう事を言っているのではないんだが」

 

 カレの本質からずれた受け答えを聞きながら、ボクはあらかじめ用意しておいたタッパーをカレへと差し出した。

 

 ふふふ、キミの両親が仕事で出張へ行ってしまったことはリサーチ済み。そしてカレが自前でお弁当を用意することは予想済みで、さらに食事内容を手抜きすることも対策済みだ。

 

 タッパーの中身はブロッコリーとプチトマト。

 

 十分とは言えないがこれでカレに野菜を採らせることができる。

 

「お、悪いな。遠慮なくもらっておく」

 

「そうするといい。キミのために用意したのだからね」

 

 ボクは鷹揚に頷く。キミの栄養管理はボクがきちんとしてあげるよ……未来永劫ね。

 

「しかし、オマエの弁当は相変わらず豪華だな。でかいし」

 

 む、確かにカレの言う通りボクのお弁当箱は大きい。漆塗りの立派なものだし、女子が使うにはなかなか厳つい。しかし、成長には管理された十分な栄養が必要だ。

 

 カレ好みのスタイルになるために日々スタイル向上に気を使っているのだ!

 

「女子らしくないと言いたいのかい? まぁ、それは認めるところだが栄養バランスもカロリーも計算されているから問題ないよ」

 

 そしてここからが重要だ。

 

 ボクはさりげなく、ボクのお弁当から卵焼きとミニハンバーグを取り、カレの寂しいお弁当に更なる彩りを加えた。

 

 そして、食べかけのゆでたまごをゲットする!

 

「トレードだ。これで少し色がついたね」

 

 ブロッコリーの緑、プチトマトの赤、卵焼きの黄、ミニハンバーグの茶。見た目もよくなった。

 

「レートがあってないと思うが、もう一個ゆで卵いる?」

 

「いらない」

 

 キミの食べかけでないと意味がないだろう!

 

 カレは早速ボクがあげたおかずを食べ始めた。

 

 まずは卵焼きからなんだね。カレの一挙一動から目を離さないよう、じっと見つめる。

 

 ガン見だ。

 

 ボクらしからぬ、はしたない行為かもしれないが、目を離せない。

 

 カレの好みは把握している。けっこう甘めに味付けした卵焼きだ。見ているこちらからでも判るくらい美味しそうに食べている。

 

 続いてカレは、ミニハンバーグにもすぐに手を付けた。

 

 こちらも実に美味しそうに食べているね。見ているこちらが嬉しくなってしまうよ。

 

 

 

「うまい」

 

「もう少し具体的な感想を」

 

「卵焼きの甘さがオレの好みだ。甘さが強いのがよい。あとなんか不思議な味がする。うまく表現できんが、不思議な味としか言いようがない。

 あ、不味いって意味ではないぞ。

 美味いし、もっと食いたい」

 

 ボクはぞくりと身震いした。

 

「ハンバーグは冷めていることが前提の味付けで、甘じょっぱくて旨い。

 肉々しいところがオレの好みだ。

 あとこっちも不思議な味だ」

 

 思わず、笑みが零れてしまった。

 

 身体の芯が熱くなって、とろりと溢れ出てしまう。

 

 

 

 

 

 『カレにボクを食べてもらった』

 

 

 

 

 

 あまりの陶酔感に言葉がうまく出てこない。

 

「それは、なによりだ」

 

 今、カレが食べたおかず。

 

 その材料を聞いたら、一体カレはどんな表情をするかな?

 

 カレが言った()()()()()

 

 味が判るとか、味覚が鋭いとか、そんなレベルの話ではない。

 

 どんな料理人だろうと、料理評論家だろうと、美食家だろうと、絶対に判らない。

 

 ()()()()()なんてカレ以外にはまったく感じ取れないだろう。

 

 ボクと15年間一緒にいたカレだからこそ、カレの味蕾が反応したんだ。

 

 卵、ひき肉、塩、砂糖などなど材料は一般的な食料品店で手に入る物ばかり。

 

 ただし、隠し味は特別品。

 

 ボクの血液から精製したタンパク質だ。

 

 あぁ……

 

 こんな……こんなのもう、ボク自身をカレに食べてもらったようなものじゃないか。

 

 表情には出せないが――出ていなかったと思うけど――いっそ官能的ですらあるカレの感想に、ボクはとろとろに酔いしれていた。

 

 しかし、カレはそんなことにはお構いなしに会話を続けてくる。

 

 そのおかげで、ボクはなんとか正気を保つことができた。

 

 あ、危なかった。あのままほっとかれていたら、全てのことを投げうってカレに襲いかかってしまっていたかもしれない。

 

「作ったのはオマエのお母さんか? 最近あんまり見ないし忙しい人だから家政婦さん? 作ったかたに礼を言っといてくれ」

 

 カレは見当外れのことを言っているけど仕方ないかな。ボクが料理を身に付けたのは最近のことだし。

 

「では、今言ってくれ」

 

「え、オマエが作ったの、これ?」

 

「その通りだ」

 

 ボクはなんとか取り繕った笑顔を浮かべて、食事を再開した。

 

「うん、我ながら狙い通りの味付けだ」

 

 誤魔化すように次々とおかずを口に入れていく。

 

「キミが自炊しているのだからね。

 ボクもこの程度はやらねばと思ったんだよ」

 

「くっ、なんか悔しいが、ごちそうさん」

 

「はい、おそまつさま」

 

 胸を張ってカレへと女子力アピールをしておく。胸の先端が擦れてこそばゆい。カレの感想のせいで少しばかり敏感になってしまっているようだ。

 

 ふふふ、そのうちキミの胃袋は、がっちり掴ませてもらうからね。

 

 これからはお弁当のおかずの一部だけでもいいのでボクの自作品を入れるようにしよう。

 

 それをカレのおかずと交換できれば……うん、よいアイデアだ。

 

 そんなことを考えつつ、カレと雑談しながら食事を続けると、カレから話題がふられた。

 

「そういえば、今年の誕生日になにか欲しいものあるか?」

 

「唐突だね。

 まぁ、後二ヶ月切ってるから準備するならちょうどいい時期ではあるか。

 キミこそ欲しいものはあるのかい?」

 

 ボクはキミが欲しい!

 

 ……とは、流石に言えない。直球すぎるし、やはりそれなりのタイミングとか雰囲気づくりとかすべきだね。

 

 ボクにリボンを付けて、

 

「今年のプレゼントはボクだ!」

 

 とかどうだろうか?

 

 毎年妄想しては止めていることを今年も想像していると、カレはそんなことお構いなしに話を続けていた。

 

「去年は受験だったし、簡単に済ませたんだよな」

 

「そうだね。お互い示し合わせたように同じ店のケーキだったことには、なんとも言えず微笑ましかったけどね」

 

 まぁ、キミの行動をリサーチして同じプレゼントを用意したんだけどね。受験で忙しい中でもプレゼントしてくれたこと自体が嬉しかったよ。

 

「あー、ちょっと高級そうでなおかつ小遣いの範囲で手を出せてお手軽って条件だとな」

 

「ボクとしては手が込んだものでもよかったのだが」

 

「オマエは余裕の受験だったんだろうが、オレは四苦八苦だったよ!

 マジで余裕なかった……」

 

 カレは過剰なまでに受験対策してたからね。ボクとしてはそこまで心配してなかったし、カレの受験勉強の進捗具合は把握していたし、ボクが絶対に受験失敗なんてさせなかったよ。

 

「そうかい?

 ボクの見立てでは落ちる要素の方が少なかったと思うけど……」

 

「オマエと一緒に受験勉強してなかったらヤバかったと思う」

 

「無事入学できているし問題ないよ」

 

「で、話を戻すと今年はどうする?

 あんまり高価なものだったらバイトも考慮するぞ」

 

 む、それはちょっと困るぞ。ボクと一緒にいる時間が減ってしまう。

 

「ボクのために労働してくれるのは嬉しいが……

 ちなみにどんなバイトを考えてるんだい?」

 

「短期になるから引っ越し屋とかイベントスタッフとか?」

 

 その仕事だったら、変な雌猿にちょっかいかけられる心配は少ない……かな?

 

 いや、しかし引っ越し屋はともかくイベントスタッフとかだと危ないか?

 

 むむ、変な虫が付いてしまうのはめんどうだぞ。

 

 引っ越し屋も100%安全ってわけでもないし、当然女性スタッフもいるだろうから……

 

「ホストクラブとかどうだい?

 キミの出勤時間はボクが全部リザーブするよ!」

 

「学生の身分でできるか!」

 

 まぁ、カレがホストをやるとも思えないけど、ボクにご奉仕するカレってのはそそるモノがある!

 

「まぁ、何の仕事をするにせよ社会経験としてはアリだと思うが、うーん……」

 

 カレのバイトを止める理由がない。

 

「オレもまだ決めてないし、今はそんなに考え込まなくてもよくないか?」

 

「ああ、いやなに、欲しいものはあるんだけどね……」

 

 キミが欲しい! キミのすべてが欲しいっ!

 

「うん? そんなに高いの?」

 

「いや、高くはない。

 考え方によっては値段は付けられないが、なんというか希少価値が高いというか……」

 

 キミの初めては世界に一つだ!

 

「ああ、手に入りづらいのか」

 

「いやいや、手に入れるのは簡単というか、すでに手元にあるというか……」

 

 キミが15年間ボクのために守り続けているモノだよ。

 

「うーん、まったくわからん」

 

「それを貰うなら、こちらも同じモノを差し出す覚悟が必要というか……

 いや、覚悟という意味ではもう完了してるけどね」

 

 こっちはいつだって手を出してくれても良いように準備万端なんだよ!

 

 早くしてくれよ!

 

 今この瞬間だって構わないっ!

 

 キミの初めてとボクの初めてをプレゼント交換だ!!

 

「まぁ、決まったら教えてくれ。

 オレが用意できるものならがんばるぞ」

 

「その言質はしかと受け取っておこう」

 

 よしっ!

 

 この言質はでかいぞ! 誕生日にカレをボクのモノにできる可能性がぐっと高まったっ!

 

「龍の首の玉とかはやめてくれよ」

 

「燕の子安貝でもないから安心してくれ」

 

 ボクが欲しいものはもっと価値のあるモノさっ!

 

 

 

 

 

 血糖値が上がってしまったのか、カレの目がとろんとしている。

 

 とても可愛らしいね。デザート代わりに食べてしまおうか?

 

 周りには誰もいない。

 

 カレとボクの二人きりだ。

 

 ここで取るべき選択肢は一つ!

 

「さあ、食欲を満たしたら次は睡眠欲を満たすのはどうだい?」

 

 初めてが学園の中庭ってのはさすがにハードルが高いからね。

 

 膝枕一択だろう。

 

 カレが頭を乗せやすいようにスカートを捲る。カレの頭の重さ、髪の感触を直に感じたいからね。

 

 スカートは邪魔だ。

 

「ほらほら、膝枕だよ。

 今朝は日直でいつもよりも早かったんだ。

 遠慮は無用だ」

 

 カレは逡巡しているみたいだけど、ホントに遠慮なんてしなくていいのに。

 

 というか、ボクがしてみたい!

 

 カレの頭をボクのふとももに収めたら、いったいどんな感じなんだろう?

 

 おぉ! ふらふらとカレがこちらにやってきたぞ。

 

 そうだ! そのままボクのふとももを枕代わりに眠ると良い。

 

 寝ぼけてボクのお尻を撫でてくれたりしたら最高だね!

 

 カレが据わった目でボクのふとももへと手を伸ばしかけ――

 

 遠くの方からボクを呼ぶ女子達の声が聞こえてきた。

 

「……ちっ」

 

 

 ボクとしたことが。下品な行為だけど、思わず舌打ちしてしまった。

 

 せっかくのカレと良い雰囲気だったのに!

 

 くそ、くそ! ゴミ虫共が!

 

 そんなにカレとボクの逢瀬を邪魔したいのかっ!?

 

 カレと二人きりになれる時間なんて学園の中ではほとんどないんだぞ!

 

 カレの価値に比べたら、貴様ら全員塵芥に等しい害虫以下の存在のくせにっ!!

 

 ……ふぅ、怒っても仕方がない。今はまだ彼女達をボクのファンに留めておかねばならない。

 

 ボクはどうにか感情を制御して、落ち着いたふうを装いながら捲っていたスカートを戻した。

 

 怒った顔なんてカレに見せたくないからね。

 

 それに焦ったカレがとても可愛らしかったから、ボクは自然な笑顔を浮かべて立ち上がることができた。

 

「お姫様達が来てしまっては仕方ないね。誕生日の話でテンションが上り過ぎてしまったよ」

 

 これから彼女達の相手をしなければならない。

 

 うぅ、せめてカレ成分を補給しておこう。

 

 ボクはカレの耳元へと顔を寄せた。このままキスでもしてしまいたい。

 

「続きはいつでもいいからね?」

 

 ボクは後ろ髪惹かれる思いでカレの元を後にし、女子達の元へ向かった。

 

 カレの耳たぶくらいだったら舐めてもよかったかもしれない。

 

「やぁ、お姫様! とても陽気がいいから外で昼食を摂っていたんだ。

 ゴミむ……ゴミを捨てに行くついでに飲み物でも一緒に飲まないかい?」

 

 まだ少しだけ怒りを引きずってしまっていたようだ。危ない、危ない。

 

 カフェオレをカレの元に置いてきてしまったから、ちょうど良い。

 

 自動販売機でカフェオレを買い直し、周りにいる女子達の他愛もない会話に相槌を打ちながら、やはり考えるのはカレのことだ。

 

 せっかくいい雰囲気になっていたのに!

 

 しかもカレを一人にしてしまっている。

 

 目的があるとはいえ、ボクがこうして女子とのくだらない会話をしているときにも、カレを狙う不埒な輩がカレにちょっかいを掛けてしまっているかもしれないと思うと居ても立ってもいられない!

 

 先程、中途半端にカレを刺激したことが裏目に出てしまって、カレの獣欲が暴走してしまったらどうしよう……

 

 カレがボク以外の女にその欲望をぶつけてしまったら……

 

 ボクはその想像するに身震いするような恐怖に慄いた。

 

 な、何か手はないか!?

 

 その時、ボクの取巻きの一人がトイレに立った。

 

 そうだ!

 

 ボクも「お花摘みに……」と言って、さりげなくトイレに向かう。

 

 「王子様もトイレにいくんだ」と背後から聞こえてきたが、当たり前だ!

 

 ボクだって食事もすれば排泄もする! 君等全員馬鹿なのかな?

 

 そもそもカレの性癖には女性の……っと、今はそれはいい。

 

 ボクはトイレの個室に入ると便座に座り、さっきの膝枕と同じようにスカートを下着が見えるぎりぎりまで捲り……いや、ここはちょっと見えるくらいまで捲ったほうがいい!

 

 デルタゾーンがちら見えするくらいまで捲って、スマホのカメラでふとももを撮影した。

 

 画像を確認する。

 

 慌てて撮ったにしては良いアングルだ。もっと大胆な画像にしたいけど……いっそ脱ぐか!?

 

 いや、今は時間の方が惜しいので妥協するしかない。せめてスマホの機能で下着が見えやすいように明るさだけ補正しておこう。

 

「よし!」

 

 せめて、これを使ってその獣のような欲情を抑えてくれ!

 

 ボクはメッセージアプリを起動して素早く文章を打ち込んだ。

 

『さっきはすまないね。

 膝枕をしてボクの太ももを堪能してほしかったんだけど、邪魔が入ってしまった。

 代わりを送るので、残りの休み時間はこれを見て過ごして欲しい。

 使ってくれてもかまわないよ』

 

 そして、送信。

 

 すぐに既読がついた。カレの文章を読む速度を考慮しつつ、肝心の画像を送るタイミングを測る。

 

 今だ! 行け、そしてカレの性欲を鎮めてくれ。

 

 ボクの太ももが大写しになった画像が送信された。

 

 今度もすぐに既読がついた。

 

 改めて画像を確認すると、白くてきれいな太ももだと思う。十分カレのオカズになると信じたい。

 

 おっと、思ったよりも時間を使ってしまったな。

 

 昼休みも残り少ない。

 

 午後の授業は体育と選択授業だから、これから数時間はカレと離れ離れにならなければならない。

 

 休み時間に一言、二言会話を交わすことくらいしかできないだろう。

 

 寂しくて、精神が荒んでしまいそうになるが、こればっかりは仕方ない。

 

 まぁ、体育の授業はカレを眺めていられるので良しとしよう。

 

 男子の体育はバスケットボールだったはずだね。

 

 基本的に授業で手を抜くことをしないカレのことだ。きっと体育で汗だくになるだろう。

 

 今日の体操着もきっちり回収しなくては。

 

 うん、ご褒美の目処もたったし、カレのいない午後の授業もがんばれそうだ。

 

 放課後のカレとの過ごし方でも考えながらさらっと乗り切ってしまおう。

 

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