黒髪ショートカット王子様系幼馴染のオレへの執着が怖い! 作:クリームパイ太郎
門扉を通り抜け、カレがボクの家の敷地内に入った。
玄関へ続くアプローチに立ち止まり、庭先を眺めている。
ふふ、子供の頃のことでも思い出しているのかな?
ボクの家の庭で、カレと泥だらけになって遊んだ記憶が蘇る。
カレは元気な悪戯小僧を地で行くような少年だった。泥まみれはまだしも、傷だらけになるのもしょっちゅうでボクをハラハラさせたものだ。
その頃からボクはカレのことを意識していたよ。
いずれこの子がボクの
かといって過保護にカレに接しても、子供の探究心を阻害するだけだからね。
その辺りのバランスは取っていたつもりだけど、如何せんボクも子供だったし、カレに引っ張られて夢中で遊んでいたよ。
とても懐かしい。
子供の頃の定番の思い出といえば、一緒にお風呂に入ったことだろうけど。
ふふ、その時にカレの股間についていた小さな可愛らしい
匂いを嗅いだり、触ったりしなかったことをどれほど後悔したか。
カレの部屋に仕掛けてある監視カメラからだと、ちょうど死角になって今の状況を確認できていないんだ。
臨戦態勢の状態のモノは未だお目にかかったことがない。
楽しみだ、子供の頃からどれほど成長しているか。
小さなままだったら可愛いし。
大きくなっていたらカッコいい!
あぁ、あぁ! どんなふうに成長していてもそれがカレのモノであったならボクに取っては最高に素敵なんだ。
そうだ!
今日ボクは、カレと一緒に
おっと、カレと一緒に物思いに耽ってしまったね。
そろそろ家の中に招き入れようじゃないか。
アプローチに佇むカレに、ボクは背後から声をかけた。
「ようこそ、我が家へ」
「……っ!?」
カレは息が詰まってしまったかのように硬直した。
どうしたのかな?
久々にボクの家に来たから緊張しているのかな?
それもしょうがないことかもしれないね?
だって、キミもボクも身体はすっかり大人なんだ。
まだまだ成長途中ではあるけれど、異性を知るには申し分ない。
ボクの背後で機械式の門扉が自動的に閉まっていく。
すっかり夕暮れ時も過ぎてしまって辺りは少し薄暗い。
門灯の明かりに照らされたカレが、今にも消えてしまいそうで、ボクは焦燥感に駆られてカレを家の中に強引に押し込んだ。
嗚呼、カレをとうとう捕まえたぞ。
悦びに、顔がほころぶのを隠しきれない。
もう、逃さない。
ボクの中から、どろりとした熱い気持ちが溢れ出てくる。
ボクが家の中に入ったことで、スマホと連動しているオートロックが自動的に施錠した。
ガチャリと音がした拍子に、カレが振り向く。
普段は気にしていなかったが意識すると思っていたより大きな音だ。
三年ぶりとは言えボクの家なんて勝手知ったるなんとやらだ。キミの家に帰るのとそんなに変わらないだろう?
躊躇しているのかカレが一向に
「何をしているんだい?
上がるといいよ。昔はよく遊びに来てくれていただろう?
最近はめっきり来なくなって、腹立たしい限りではあるが?
今日は久しぶりだね?
実に三年七ヶ月と三日ぶりの訪問だ。覚えているかい?
遠慮なく、委細構わず、はばかることなく上がってくれよ?
ボクはキミを歓迎する。
なんせここはボクの家だ」
あぁ、もう溢れる気持ちが抑えられない。
玄関でもいい。
カレを押し倒して、そのままことに及んでしまいたい。
でも、カレのほうがまだ準備できていないようだね。
久しぶりにボクの家に来たせいか、緊張しているみたいだ。
「や、家主より先にあがるのもどうかと思ってな……」
「はは、キミとボクの仲じゃないか」
まったく。
子供の時のように、靴を脱ぎ捨ててボクの部屋まで駆け上がってくれて構わないのに。
ボクはカレの手を取り、指を絡めるように繋いで、丁寧に丁重になるべく優しくカレを招き入れた。
カレはなぜかスリッパを履くと硬直してしまったが、それも一瞬のことだ。
「どうしたんだい?」
「うぉ!?」
ボクが声を掛けると、すぐに気を取り直し玄関を見回していた。
どうしたんだろう?
あぁ、そうか。
子供の頃はスリッパなんて履かなかったから違和感でも感じたのかな?
「久しぶりだが、玄関はそれほど変わっていないよ。
何か気になるものでもあったのかい?」
「いや……」
カレの温かな手が心地よい。
硬くてゴツゴツしてて、男の手って感じだ。
あ……なんかカレの方からボクの手を弄ってきた。
「はは、くすぐったいね」
カレがボクの顔を見つめてくる。
ボクはどんなふうにカレの目に映っているんだろう?
カレの好みに合っているといいな。
「……」
「……」
カレがじっと見てくるものだから、ボクもカレの顔に見入ってしまったよ。
あぁ、そんなに熱い視線でボクを見ないでくれ。
キミのことを襲いたくなってしまうじゃないか。
まぁ、もう慌てなくてもいいんだ。
まだまだ夕暮れ時。
夜は長い。
カレとボクの時間。
ようやくこのときが来たんだ。
「さぁ、リビングで待っていてくれ。ボクは着替えてくるよ。
見るかい?」
「見ねーよ!」
もう、つれないなぁ。
見てくれて構わないのに。
むしろ見せたい!
「ふふ、リビングの場所はわかるね?」
「あ、あぁ、もちろん覚えている」
「ハンガーは見えるところにあるから、制服はてきとーに掛けてくれ」
カレにそう伝えて、ボクは意気揚々と2階の自室へ向かった。
誰にも邪魔されない閉鎖した空間に、カレとボクの二人きり。
これだけのことで、さっきまでの荒れ狂った感情は嘘のように穏やかになった。
ボクは自室に入ると一つ深呼吸してから、一気に制服を脱いで全裸になった。
体育があったから多少汗はかいたが、シャワーを浴びている時間はない。
この家の鍵は完全にロックしてあってカレはもうボクの許可なしに外に出ることはできないが、待たせるのも申し訳ない。
身を清めるのは事に及ぶ前にするしかないかな。
ボクはデオドラントペーパーで手早く肌を拭いつつ、どんな服を着ればカレを悩殺できるか考える。
ノーブラは確定だ!
パンツを履かないのは流石に品がなさすぎるかな?
しかし、攻めることは重要だ。
脳内にあるカレの好きな物リストを参照し、手持ちの服からいくつか選びベッドに並べた。
ここでお洒落しすぎるのはダメだ。
デートに行くわけではなく、あくまでボクの――幼馴染の家に遊びに来たということなのだ。
リラックスしつつえっちな服装がよい。
しまったな。制服のままってのもアリだったかもしれない。
脳内リストに『制服エプロン』とあったのだ。
しかし、カレのフェチズムを刺激することはできても、あんまりエッチではないかもしれない。
やはりもっと肌を露出しなくては!
「よし!
ここは攻めの一手だ」
一番薄着の服にしよう。
ボクは新品の下着に履き替え、タンクトップとホットパンツを身に着けた。
姿鏡の前に立って確認する。
「こ、これは……」
この格好でホントにカレの前に立つのか?
さすがにえっちすぎるのでは?
胸の先端部分が完全に浮き出てしまっている。開放感はこの上ないけど……
ちょっと下品では?
い、いや、これくらい攻めてしまった方が踏ん切りがつく……と思う。
カレの好みであるのは間違いないし。
なんとも心もとない服装だ。
肌を隠す面積が少なすぎるけど、しかし攻撃力は高いぞ。
見せっぱなしというのも視覚的に慣れてしまうかもしれないので、せめて薄手のパーカーを持っていこう。
カレに見せてから羽織れば下品になることもないだろう。
と、迷っていたら思っていたよりも時間を消費してしまった。
ボクは脱ぎ散らかした制服をハンガーに掛けて、急いでリビングに向かった。
さて、カレはどう過ごしているかな?
まぁ、ボクが着替えていた十数分の事だし、何をするでもないと思うけど。
ボクはリビングのドアの前で立ち止まり、瞼を閉じる。
思い出すのは15年間で積み重ねてきたカレとの思い出。
ようやくこのときがきた。
ボクは今からカレを籠絡する。
そこに一片たりとも躊躇いはない。
容赦もしない。
今日までのカレの反応は上々で。
十分にボクを異性として意識していて。
ホントはカレから手を出して欲しかった。
もしくは言葉にしなくともお互いで準備し合った結果、流れで結ばれるというのでも良かった。
時期が来れば実現していたことだろう。
しかし、最早猶予はない。
カレがドコの誰とも知らない
真っ向勝負でも負ける気は毛頭ないが、カレがボク以外の女から異性として意識されているだけで虫唾が走る。
今夜、カレとの十五年間に決着をつけて新しいスタートを切るんだ!
ふふ、明日の朝焼けはカレと一緒に見ることになりそうだ。
ボクのベッドでねっ!
一つ深呼吸をして、ボクは目を開いた。
決意は固まっている。
カレには申し訳ないが、多少強引な手段を取ってしまうことになる。
コトが済んだら謝って許してもらおう。
とりあえずは前払いとしてノーブラタンクトップを献上だ。
「よし」
ボクはリビングのドアを開けた。
カレはソファーで寛いでいたようだけど、ドアの開いた音に反応してすぐにこちらを向いた。
「あのてが……みは……」
「やあ、お待たせしたね。
どうしたんだい、固まってしまって?」
カレは何か言いかけていがけど、ぽかんと口を開けて固まってしまった。
「お、オマエその格好は……」
「ん? ああ、部屋着はなるべく楽な物にしたくてね。それに好きだろう?
ホットパンツにタンクトップ」
つんと浮き出てしまった胸の先端にカレの視線を感じてしまって、なんだかその部分から身体が熱くなっていく気がする。
これがカレに見られるってことか……
二人きりの空間では否応なしに、意識せざるを得ないだろう。
お互いにね!
瞬きすらしないカレの眼差しに、ボクの方が先に音を上げてしまった。
このままじゃホントに気をやってしまいそうだよ。
じんわりと下腹部が熱い。
ボクはカレの視線から逃れるように身をよじり、胸を隠した。
カレが露骨に残念そうな顔をしたけど……良い!
良い反応だ! 先制攻撃としては会心の出来だと思う
ボクが恥ずかしげな目でカレをみると、流石に我に返ったようだ。
「……はっ!?」
「流石のボクでもそんなにじっくりと見られたらテレてしまうよ」
「おま、オマ……」
「いささか刺激が強すぎたようだね」
ボクにとってもね。
ボクは薄いパーカーを羽織って、一旦攻撃の手を緩めた。
「どうしても脱いで欲しかったら言ってくれないか?
キミのねっとりとした視線をじっくりと浴びるのもやぶさかではないよ。
そして、羞恥に震えるボクをねぶり上げるように鑑賞するといい。
一切の抵抗はしないから」
「そんなふうに見てねーから!?」
「さあ! キミの嬲り眼で舐め回すように見るといい、このボクを!!」
そしてボクを気持ちよくしてくれ!
「なんだそれは!?
いいから、悪かったから、もう勘弁してくれ」
「ふふ、そうかい?
全くもって悪くはないんだが、まあこれくらいで良しとしておこうじゃないか」
「はいはい、ありがとよ」
「それじゃ、夕餉の支度をするので待っていてくれ」
パーカーの上に、さらにエプロンを着けた。
途端にカレの眼差しがより熱を帯びる。
むむ?
どういうことだ?
上はタンクトップ一枚であまつさえノーブラ、下はホットパンツだった状態から、パーカー+エプロンという、むしろ露出という攻撃力が下がったはずなのに、カレからの視線からはより熱い、いうなればえっちな雰囲気を感じたんだが。
謎だ。
まぁ、いい。
カレの獣欲を煽る効果があったのなら何にせよ喜ぶべきことだ。
よくわからないがカレがこの姿に反応したのなら利用すべきだね。
さりげなくカレへとエプロン姿のボクを見せつけているとカレから声を掛けられた。
「なんか手伝う?」
「今日はこちらが招待したのだからね。
すぐに用意できるから大人しく待っていればいいさ。
ゲームはそことそこ、スマホの充電するならテーブルのそこだ」
「サンキュ」
一緒に料理するのも楽しいかも知れないけど、今日は目的が違う。
それに手早く済ませるためにお取り寄せの冷凍食品を使うつもりだ。
手伝ってもらうまでもない。
ボクはキッチンへ向かおうとすると、ソファーの背もたれに適当に掛けられたカレの制服が目に入った。
もう、不精だなぁ。
でもこんなふうに世話を焼くのは嫌いじゃないね。
むしろよい!
世話焼きカノジョなんて定番じゃないかっ!
ボクはカレの制服を取り、ぎゅっと抱きしめ、匂いを胸いっぱいに吸い込み、しばらくフリーズしてから、シワを伸ばしてハンガーに掛ける。
危ない、危ない。
カレの匂いに脳がやられてしまうところだった。
いつもだったらこれでごはん2、3杯はいけてしまうね!
でも、これから、それよりも濃い、素晴らしい、本物のカレを、堪能できるんだ。
ボクは後ろ暗い悦びを胸に、今度こそキッチンへ向かった。