黒髪ショートカット王子様系幼馴染のオレへの執着が怖い! 作:クリームパイ太郎
カレが何かに集中している姿を眺めているのは、結構好きだ。
懸命に勉強しているカレだったり。
一心に読書をしているカレだったり。
夜の運動会でがんばっているカレだったり。
……これはボクの方に余裕がないから眺めていられないけど。
「ちょ、そのコンボは聞いてない!」
もちろんゲームに熱中しているカレも大好きだよ。
コントローラーを激しく操作し、ゲーム画面を注視するカレ。
期待のタイトルらしいんだけど、ボクは生憎ゲームにはあんまり詳しくないんだ。
カレとゲームをすることはあっても、それはあくまでカレと一緒の時間を過ごすためであって、ボク自身が積極的にゲームをすることはあんまりない。
カレはボクが結構なゲーム好きだと思ってるかもしれないけど、それはカレと話題を合わせたいからなんだ!
こんないじらしいボクに、カレはもっとご褒美をくれても良いと思うんだ。
頭を撫でてくれるとか。
ぎゅっと抱きしめてくれるとか。
不意打ち気味に唇を奪ってくれるとか!
突然押し倒してくれるとか!!
「ぐぁ! また失敗した……」
ボクが悶々としながらカレを眺めていると、失意の叫びとともにカレがひっくり返った。
ちょっと面白い。
ゲーム画面を見れば、全滅したような光景が映っている。たぶん後一歩のところで失敗したんじゃないかな?
横向きに寝っ転がっているカレの背中を見ていたら、和やかな気持ちが湧いてきた。
むらむらが少し……ほんの少しだけ引っ込んで、ボクはまたカレの様子をのんびりと眺める。
「ふふ、楽しそうだね?」
「ん? あぁ、やり込んだゲームのスピンオフタイトルだからな。
昨日の夜からそわそわしてた」
知ってるよ。
落ち着きのないキミはたまにしか見れないからね。じっくりと観察させてもらったさ。
「なにか飲むかい?」
勝手知ったるカレの家だ。
普通だったら失礼なことになってしまうけど、カレの家の冷蔵庫くらい開けても良い間柄だよ。
「休憩するから、オレが持ってくるわ。
リクエストある?」
キミの一番搾りが飲みたい!
と、心の中でだけ言っておく。
「麦茶がいいかな」
一番搾りは後からいただくとしようか。
「あ、麦茶には……」
「わかってるよ。
砂糖をいれるんだろ?
小匙で半分くらい」
「うん!」
ふふ、ボクの好みをちゃんと覚えてくれているんだね。
些細なことかも知れないけど、嬉しくなってしまう。
カレは起き上がると、静かに部屋を出て階下へと降りていった。
ちなみにここはカレの部屋だ。
ごく普通の六畳間。シングルベッド、勉強机兼PCデスク、小さなテーブルにゲーム用のディスプレイ。
デスクトップPCがちょっと珍しいくらいで、ごく普通の部屋だね。
少し前にログを確認したところ、最近はこのPCもあまり使っていないみたいだ。
うん、ストレージの中にあった穢れたコンテンツは全てボクが削除したからね。
起動する理由もあんまりないだろう。調べ物ならスマホで事足りる。
あ、もちろんカレが困らないように
というか、オカズも必要ないよね。だってボクが自らいろいろしてあげればいいんだから!!
カレのシングルベッドは狭いけど、それがまた良いのだ。
あぁ、そうだ。カレが戻ってくるまで枕で遊んでいようかな?
抱きしめたり、顔を埋めたりとか!
きっとカレの匂いがいっぱいするに違いない!!
そんなことを取り留めもなく考えていると、カレが戻ってきた。
ふむ、またの機会にするとしよう。
「おまたせ。
麦茶とおやつ持ってきたぞ」
麦茶の入ったグラスが2つとティーポット。
おやつは水羊羹か。なかなか渋いチョイスだね。
甘味なら和菓子を好むボクを慮ってのことだろう。
相変わらずボクを喜ばすのが上手だ。
カレはボクの前に麦茶と水羊羹を置くと、ボクの正面に座った。
「ん? あれ、甘い麦茶はどっちだっけ?」
はは、まったくおっちょこちょいだなぁ。
ボクは目の前に置かれたグラスを取って一口飲んでみた。
「こっちが砂糖入りだね」
「お、正解だったか」
それを聞くとカレは安心して自分の麦茶に口をつけた。
「って! こっちが砂糖入りの方じゃねぇか!」
そう言いながら、ボクの方へと麦茶を差し出してきた。
ボクは素直に受け取ると、砂糖なしの麦茶をカレへと手渡す。
「まったく、つまらん悪戯をするんじゃねぇよ」
「ははは、ごめんごめん」
カレがやれやれと言った調子で、口直しのつもりなのか甘くない麦茶をゴクリと飲み下した。
ボクも軽い背徳感を抱えつつ、砂糖入りの麦茶に口をつける。
もちろんカレの唇が触れたグラスのフチのところにだよ!
あぁ、なんて美味しいんだ……カレ味の麦茶。
すごく甘い(砂糖入り)
ふふ、これでカレもボクも間接キスだね。
カレはそんなことは気にする素振りも見せないで、水羊羹を二口で平らげ、麦茶を一気に飲み干すとゲームに戻っていった。
む、ボクとのおやつの時間をもっと楽しもうよ!
そう思ったけど、うきうきしているカレを見るのも悪くないね。
ボクはちびちびと水羊羹を食べながら、カレの様子を眺めていた。
コントローラーを握りしめ、画面に集中するカレ。
カレの視界の隅、ぎりぎり入る場所に移動して、着ていたシャツを捲ってみる。
今日の下着は薄いピンクで可愛いデザインが気に入っている。
しかし反応なし!
尋常な集中力じゃないぞ。
そ、そんなに面白いのか?
ボクも少し興味が湧いてきた。
オンラインゲームみたいだし、ボクもやってみようかな?
カレと一緒にゲームするのは楽しいしね。
ディスプレイを見ればカレの操作するキャラクターが走り、跳び、エネミーを切り倒し、レベルを上げてアイテムを拾い、さらに強敵へと向かっていく。
ふむ、なるほど。
三人で協力しながらエネミーキャラを倒すゲームかな?
だとすると、目的はボスを倒してクリアすることだろう。
むむ、二人でのプレイなら良かったのに。
それなら、カレと二人きりの世界でいちゃいちゃプレイしつつ、エネミーを薙ぎ倒し、ボスを討伐して、素直にカレと喜びを分かち合えるのに。
ある日の放課後、ボクはカレの部屋でいつも通り遊んでいるんだ。
「よし! クリアできたぞ!
やっぱオマエと一緒に攻略すると捗るわ」
「いやいや、そんなことないよ。
キミのプレイが上手だからさ」
「はっはっは!
よし、それじゃ次いくか!」
「もちろん構わないよ。
次はこのボスをやってみようか?」
「いや、次は……」
「ん? じゃあこっちのボスかい?」
「オマエの攻略だー!」
「うわー!?
ボクの難易度はナイトメアだよー!」
「望む所だ!
オレの超裏必殺技を喰らえ!
↘←↙↓↘→↙→☼*」
「ふあぁー!
そんなに激しくしたら、ボク簡単に攻略されてしまう!」
うん、なかなか悪くないね。
でも三人プレイだと、異物が混ざるな……
そんなことを考えていても、カレのプレイは進んでいく。
仲間のキャラが倒れて、ヘルプを求めているようだ。
なぜかその仲間に斬り掛かるカレの操作キャラ。
あぁ、なるほど。仲間の攻撃で復活できるのか。
エネミーの攻撃を回避しながら、トゲトゲした厳つい仲間キャラに何度か攻撃を当てて復活させる。
いかにもタンクっぽいキャラがすぐさまエネミーに突撃していった。
うん、周りの状況を把握しながらの立ち回りがなんともカレらしいプレイだね。
続いて遠距離攻撃主体の魔女っぽいキャラがエネミーの猛攻を凌ぎきれず倒れ伏す。
すぐさまカレの操作キャラが復活させるために駆け寄っていく。
「むぅ……」
魔女っぽいキャラクターに手を差し伸べるカレを幻視してしまった。
何処の馬の骨ともつかない魔女に、優しげな眼差しで手を差し伸べるカレ。
「ぐぬぬ」
気に入らない!
ゲームの中とは言え、ボク以外の女に優しくするなんて……
オンラインの向こう側のプレイヤーは男かもしれないけど、気に入らないものは気に入らないんだ!
ボクがむかむかしながら、むらむらしていると、カレの集中力が最高潮に高まっていく。
頭が三つある犬っぽいエネミーの体力バーもあとわずか。
カレの操作キャラがエネミーに肉薄して、巨大な炎を放つ。
「やったぞ!!」
炎が着弾し爆発すると、それがトドメになったんだろう。エネミーが消えていく。
カレが渾身のガッツポーズをして、思わず出てしまったのだろう歓喜の声を上げた。
カレはコントローラーのL3ボタンをぐりぐり回したりボタンを連打したり。
それに合わせてカレの操作キャラがぐるぐる回ったりジャンプしたり。
カレの仲間キャラも同じ様な動きをして達成感と連帯感を表していた。
もちろん件の魔女キャラもだ!
「いやー。
難易度高いわ。
これはやりがいがある」
コントローラーを置いてカレが嬉しそうにボクの方を振り向き、にこにこ顔で感想を伝えてきた。
「久々にハマりそうだ。
オマエも一緒に……って、おわ!?」
ボクはカレの方へにじり寄って、有無をいわせず押し倒した。
「ど、どうした?」
カレへ馬乗りになり見下ろして、頬を膨らませて不満を訴える。
「クリアおめでとう」
「あ、ありがとう……?」
ぐぐっと体重を掛けてカレの下半身とボクの下半身を密着させる。
「一段落しただろう?
今度はボクの相手をしてくれよ」
「そりゃ喜んでするけど……うっ!」
ボクはなるべく卑猥に見えるように腰をくねらせて、カレの下半身をぐにぐにと刺激した。
あっという間に硬くなって、見る見るやる気を漲らせるカレ。
ボクの方も準備が始まってしまったよ?
「……なんかあった?」
「別に……」
暗に『ボクは不機嫌なんだ!』と態度に表してみる。
我ながらウザい感じだけど、わかってくれたらいいなぁ、と思いを籠めて睨みつける。
「ふむ……」
カレは少し考えて、すぐにニヤリと笑った。
「さては水羊羹が抹茶じゃなかったから不貞腐れてるんだな?」
「違うよ!」
全然まと外れなことを言うカレにボクは思わず即答してしまった。
むぅ、朴念仁のカレも嫌いじゃないし、流石に察してもらうにはヒントが少なすぎるとは思うけど……
まぁ、いいか。その分いっぱいしてもらって不満を解消しよう。
すっからかんになるまで、許さないんだからな!
朝まで生セッ……生、生……生ロデオごっこだっ!
そんなふうに馬乗りになって意気込んでいるボクを、カレは唐突に抱きしめてきた。
くっ! これだけでも全て水に流したくなってしまう。
でも、今日は許さないぞ。
まずはテイスティングだ!
あっという間に搾り取って味わい尽くしてやる!
二発目はカレのアレの匂いを嗅いで事細かに解説して辱めちゃうんだからなっ!
そして、トドメには焦らしに焦らしてボクに「出させてください」って懇願するまで……
「まったく、ゲームなんだからさらっと受け流せよ」
「……ふん、だ!」
なんだ、わかってくれてるじゃないか。
っていうかすごい!
ヒントなんてまるで無かったのに、どうしてわかったんだろう?
もうこの事実だけでもボクはしっとりしてしまうよ?
一応、不満を現してしまった手前、そっぽを向いてボクは不機嫌なフリをした。
カレは苦笑しながら、ボクを抱きしめる手を緩めて、背中を撫でる。
「いいか?」
「し、しかたないね?
まったくキミときたら節操がない」
「そうだな。
オマエが可愛すぎるからすぐにムラムラしちまうんだ」
カレの手がボクのウエストまで降りてきて、さらにその下の臀部を撫でて太ももをくすぐる。
ぞくりとして、カレの言葉にボクの気持ちはあっさりと蕩けてしまった。
「あ、う……その、だったらボクが責任を取らないといけないね」
カレが体勢を入れ替えて、今度はボクが押し倒される。
くぅ! 正直な所、やっぱり組み伏せられる方がボクの好みなんだ。
「機嫌……なおしてくれたか?」
「……うん」
カレは悪くないのに、ボクへの気遣いがとても嬉しい。
そうだ、責任を取るってことはカレを目一杯気持ちよくしてあげないと。
恥ずかしいことだっていっぱいしちゃうぞ!
まずは美味しそうに飲んであげよう!
実際、美味しいしね!
次はボクがカレのアレの匂いが如何に大好きかを、事細かに説明していっぱい出してもらっちゃうんだ!
そのあとはお待ちかねのだいしゅきホールドだ! 好きなだけボクに注いでくれよ!!
いつもだったらボク好みの奪うようなキスをしてくれるんだけど、今日は優しげな口づけから始まった。
「ん……」
今日みたいな気分の日には、悪くないね。
というか、とても良い!
ボク、もうめろめろだよ。
軽く唇を合わせていると、カレの手がボクの胸に、お腹に……下半身に伸びていく。
次第にキスも激しくなって……
この日もとても長い夜になってしまった。
カレはまるで獣のようだったよ。
夜の獣だね!
後日、件のゲームにアップデートにより二人プレイも実装された。
メーカーには感謝だね。
カレの言っていた通り、難易度が高く何度もカレにフォローされることになってしまった。
エネミーの攻撃で倒れてしまうボクのキャラ。
「うわ!
すまない、倒されてしまった」
「まかせろ!」
素早くカレが駆け寄ってきて、何度かカレに打撃されて復活する。
「……っ!?」
ぞくっと背中が粟立って、ボクの意思とは無関係に頬が熱くなる。
カレから叩かれてしまった。
げ、現実でもおしりなら……カレも構わないよね?
〜おしまい〜