黒髪ショートカット王子様系幼馴染のオレへの執着が怖い! 作:クリームパイ太郎
当たり前だが、その日は無事、件の部屋から脱出できた。
夕食を王子様の家でご馳走になって帰宅。
次の日の王子様も特に変化なく、いつものように機嫌良くしていたし、王子様宅に遊びに行っても閉じ込められるようなことはなかった。
その後は数日の間、普段通り王子様と過ごしていたのだ。
王子様の仕掛けてきた
諦めるなんてことは、王子様がするとも思えなかったし。
「ん?
どうしたんだい?」
「なんでもない」
「……あぁ!
自分のカノジョに見惚れてしまった感じかな?
まったくもう!
一体何を思い出していたんだい?
おおかた、昨日の夜にボクの肢体を好き放題した時のことを反芻していたんだろう?
ふふ、ボクも思い出してしまったよ?」
「カケラも考えてねぇよ!」
というか、今のがトリガーになって思い出しちゃったよ!
「な・に・を・思い出しているのかな?」
ニヤリと笑う王子様にほっぺたをつつかれてしまった。
オレが憮然としているとそれ以上追求するつもりはなかったのか、王子様から別の話題を振られる。
「あぁ、そうだ。
今からボクの家に来ないかい?
今日も一人だろう?
課題も語学だし、ボクが見てあげよう。
明日は休みなんだし、どうだい?」
「そりゃ、ありがたい。
最近、放ったらかしの度合いがひどい。
一人暮らしみたいになっている気がする」
「ふふ、ボクがいるんだから寂しくはないだろう?
それにキミが信用されている証拠じゃないか」
「そうだといいんだが」
週末の誘いにホイホイと同意して、いつものように王子様の家に訪れる。
ウキウキと機嫌の良さそうな王子様に、オレは完全に油断していた。
夕食をどうするとか、風呂は温めが良いとか、そろそろ夏用の布団を出すとか、可愛い系のベビードールとセクシー系のネグリジェならどっちがいいとか、清楚な白と妖艶な黒ならどちらが昂ぶるとか、他愛もないことを話しながら、なんの疑いもなく王子様に続いて部屋に入った瞬間のことだ。
ガチャっ!!
オレの背後で重く響き渡る施錠音。
オレが唖然としていると、目の前の王子様の背中から妖しくオーラが立ち昇った。
まさか、完成していたのか!?
「お、オマエ……」
「ふふふ、ようこそ。
◯ックスしないと出られない部屋完璧版へ!」
完璧版!?
「気がついていなかったと思うけど、あの失敗してしまった日から、テストはずっと続けていたんだ。
キミが毎日テストに付き合ってくれたから、すごく捗ったよ?
最早、調整は完璧だ!
王子様が振り向くと、真っ黒な瞳で嬉しそうにオレを見つめてきた。
「さらにえっちなことを検知するセンサー類のモジュール化にも成功したぞ!」
王子様が謎の箱を指差す。箱に描かれたピンクのハートマークが胡散臭い。
「その箱型のモジュールを設置すれば、電気信号で開閉できるドアがある部屋なら、どんな部屋でも『◯ックスしないと出られない部屋』にすることができる!」
立ちすくむオレへと、王子様は近づいてきてゆっくりとオレの首へと腕を回す。
顎先に濡れた唇が触れ、柔らかな胸が押し付けられた。
「さらに専用アプリをスマホにインストールすれば、パラメータをいじっていろんな部屋が作れるぞ!
『告白しないと出られない部屋』
『両片思いがキスしないと出られない部屋』
『幼馴染同士が結ばれないと出られない部屋』
『15年来の重たい想いを抱えた黒髪ショートカットの幼馴染を押し倒さないと出られない部屋』
キミがボクに100回◯精しないと出られない部屋なんてのも可能だ!」
そんなの達成するまでに何日かかるんだよっ!?
あと条件指定が細かいわっ!!
もう少し真っ当な設定ないのかよ!?
「プリセットは用意してあるよ。
定番の『◯ックスしないと出られない部屋』
マイルドに『キスをしないと出られない部屋』
初心者向けに『抱き合って10分経たないと出られない部屋』
友達以上恋人未満の二人を放り込めば進展間違いなしだね?」
そもそもシステムが真っ当でなかった!?
「ふふふ、夏休みに一週間付き合ってくれるんだったよね?
どうせならこのシステムを使ってみようよ!?
条件は何にしようか?
100回に挑戦してみるかい?」
「無茶言うな!」
一週間じゃ厳しすぎる!
「じゃあ、シンプルな感じにしようか?
『一週間ボクとらぶらぶに過ごさないと出られない家』にしよう。
この家なら窓もドアもスマートロックにしてるからモジュールを複数設置すれば完成だっ!」
それって一週間引き籠もってセッ……致すだけなんじゃ……
まぁいいか。
「ちなみに!
さっきは『◯ックスしないと出られない部屋』ってわかりやすく言ったけど。
今日の設定を正確に言うと『優しく幼馴染を押し倒した上に同時に達さないと出られない部屋』だっ!
ふふふ、何回で解錠できるかな?」
ん? わりと簡単にできそうな気が……?
コイツ、自分の感度の良さを判ってないのか?
「さぁ、それじゃ始めようか?」
「……えっ!?」
い、いや、ダメ……ダメ、だろう。
課題をきちんとこなして、後顧の憂いを……明日は休みなんだし、慌てなくても……
「はむ……」
そんなことを考えていると、王子様から耳を甘噛された。
王子様はもう止まりそうにない!
でも、課題は……ケジメをつけないと……あぅ、耳が!?
し、しかし据え膳食わぬは男の恥とも言うし……
「ん?
何か気になることでもあるのかい?」
準備万端。期待に満ちた王子様の濡れた瞳に、上気した頬に、艷やかな唇に、抗う気力が根こそぎ奪われていく。
「あ、う、その、課題が……」
あぁ、王子様の胸が柔らかくて、心臓の音まで聞こえてきそうだ……
「ふふ、装置はもう稼働してしまったんだ。
条件を達成するまで出られないよ?」
「あ、ぉ、ケジメを……」
い、いかんっ、このままでは理性がっ!
「今回は24時間後には開くようにしてあるんだ。
でも、ボクが急に具合が悪くなったり、キミが体調不良になったりする可能性もあるよね?
やはりシステムの性質上、安全性に問題があるのはどうしようもないんだ」
そ、そうだ!
安全確保は最優先だ。
この前だって、王子様の安全が一番の気掛かりで……
「大丈夫。
課題なら明日ちゃんと見てあげるから……ね?」
「おうっ!」
明日が休みでよかった!
オレは脱出の条件を満たすため、王子様をベッドに押し倒した。
そう、あくまで優しく!
「ぁん!
第一条件クリアだね?
二番目の条件は難しいよ?」
王子様が意味ありげな流し目でオレを挑発してきた。
最早、止まれそうにはなかったが勢いにまかせることなくオレは、丁寧かつ慎重に、細心の注意を払いつつ大胆に、ねぶり舐め上げしゃぶり尽くして、王子様を徹底的に昂らせた後、あっさりと一回目で解錠の条件を達成したのだった。
まぁ、部屋から出たのは次の日の朝のことだったけど……
「うぅ、ボクの予定ではあえてタイミングをずらし続けて、キミと一緒に休みの間中ずっと部屋に引き籠もるつもりだったのに……」
「そんなことしなくても付き合うから。
課題を見てくれないか?」
「それは承知したよ。
でも、自分の作り上げたモノだから、性能はきっちり確認したいじゃないか!」
「……さいですか」
~おしまい~