黒髪ショートカット王子様系幼馴染のオレへの執着が怖い! 作:クリームパイ太郎
王子様の声が聞こえた。
「そろそろ目を覚ますはずだが…」
頸動脈に何かが触れる。
「呼吸、脈は正常。体温も低下なし。
むしろ熱いくらいだ。
食事の影響かな」
身体よりも先に意識だけが覚醒したようだ。目を開けるのが億劫だが、ちょうどいい。
このまま寝たふりを続けて状況を把握しよう。
背中の感触からベッドに仰向けで寝ているようだ。
手足の感覚は極端に鈍い、というか動かん!
全力で無理やり身体ごと動かそうと思えばなんとかなるかもしれないが、今それを試すわけにはいかない。
「こちらは準備万端だというのに、早く目覚めてくれないだろうか。
さっきから焦らすね、ボクの王子様は」
王子様はオマエだろうに。
こちらに歩いてくる気配。ベッドがギシリと鳴った。
さらにマットレスに重みが加わり近づいてくる。
すーっと首元で息を吸い込む音が聞こえた。
「はぁ…、良い匂いだ。
この幼馴染、スケベすぎる。
頭がクラクラする」
いやいやいや、野郎の匂い嗅いで良い匂いとか!?
くさいならわかるが、どんな趣味だよ。
あとオマエのほうがよっぽど良い匂いするからな!
…そういえばコイツ、事あるごとに匂いの確認するんだよな。
「早く起きてくれよ、もう我慢の限界だ」
囁くように言っているので、無理やり起こす気はないのだろう。
「眠り姫は王子様のキスで目覚めたという。
早く起きるように唇を奪ってしまおうか」
流石にそんなことされたら動揺を隠しきれる自信はない。
「まぁ、やめておこうか。手順はきちんと踏むべきだ」
思いとどまったのか気配が離れていった。
少し身体の感覚が戻って来た気がする。今気がついたが、ほぼ全裸だ。
パンツ一丁。
「ボクサーパンツがセクシーだね。
早く中身が見たいものだよ」
しばし無言。
「…脱がすか?」
ちょ、おま!
「あぁ、いけない。
ダメだね、まったく自制心が働かない。
もう俎上の鯉なんだ。籠の中の鳥だし、退路は塞いだ。
もうこの家のロックは何があっても明日の朝まで開かない。
脱出などさせない」
しないけどね。
「一旦落ち着こう。遅くともあと一時間もすれば目を覚ますはずだ」
なにやらスマホを操作する音が聞こえる。
「ふふ、キミの最後の自慰は一昨日だね。
21:30から、業腹だが…オカズは『巨乳幼馴染と初めてエッチ』か。
幼馴染モノなので大目に見るが、2次元とはいえボク以外をオカズにするとは明確な浮気だ!
今後は許すつもりはないが、今はまだ仕方がないか」
え!? なんで知ってるの? しかもズリネタまで??
あと浮気って言われても…
「言ってくれればオカズの提供どころか、ボク自ら世話をすることもやぶさかではないのに」
はー、と巨大なため息をついて更に言い募る。
「こちらの気も知らずに…キミの自慰を覗いていると、ついこちらも盛り上がってしまってね、同じタイミングで致してしまうのだが、終わった後の虚しいことと言ったら…
そもそもいい加減キミのシャツやパンツでは満足できなくなってきていたんだ」
シャツ!? パンツっ!?
「ダメだな。
独り言が多くなってしまう。
…少しくらいなら味見してもいいだろうか」
味見ってなんだよ!?
身の危険を感じるぞ。
そろそろ目を覚ましたほうが良さそうだ。
「う、うーん…」
判りやすいように呻きながら、オレはゆっくりと目を開いた。
「ようやくお目覚めだね。気分はどうだい?」
部屋は薄暗くてよく見えない。視界も霞んでいる。顔は動かせないが、近くからアイツの声が聞こえた。
「ひでーなオマエ。幼馴染に薬を盛るとか。
睡眠薬?」
「うん。それと筋弛緩剤だね。
まだ身体を動かすのは辛いはずだ。
無理はしないように大人しくしててくれ」
痺れはないが、全身がひどく重い。
目は若干霞んでいるが、まぁ、なんとか見える。
そして気がついてしまった。
この部屋の異様さに…
「ようこそ、ボクの
「すげー部屋だな」
「ふふ、この部屋を見てその程度の感想なのかい」
部屋の至る所に写真が貼り付けてある。
遠くは見えないが、見える範囲だけだと全部オレが写っている写真だ。
コイツ自身がスマホで撮った物。遠くから望遠レンズで撮ったであろう物。明らかに隠し撮りしたであろう物。
なぜかオレが自室にいるときの写真まである。
部屋の隅にある薄ぼんやりと光るモニタには、見知った部屋の映像が映し出されている。
オレの部屋の映像だね。
全然気がついてなかったけど、隠しカメラかな?
あとさ、ハンガーにかかってる体操着、オレのなんだけど。なんでオレの体操着がこの部屋にあるんだ?
王子様と仲良くするオレをやっかんだ女子どもの誰かに捨てられたか隠されたと思ってたんだが、犯人オマエかよ。
「ボク自慢のキミコレクションだよ。
いまだかつて誰にも自慢できたことはないが」
「当たり前だ」
「ここにあるモノはほんの一部だ。ごく最近のモノばかりだね。
キミの年齢ごとに保管してある。残念ながら、コレクションを始めたのは六歳からなのでそれ以前のものは少ない」
小学校一年生じゃねーか。
「いやー、蒐集を始めたばかりの頃はキミが使っていた消しゴムだったり鉛筆だったりをもらっていたんだけどね。
ほら、よく交換してただろう?」
「あー、なんかそんなこともあったような」
「次第にキミが身につけているモノが欲しくなってきたんだ。
できれば肌に直接触れているモノや匂いが移っているいるモノが好ましいね」
「それで体操着?」
「体操着は中学生からだ。小学生の時は同じハンカチ用意してすり替えたりしていた」
なにやってんだよ、コイツ!
「最近のお気に入りはなんといってもコレだね」
堂々と見せてきたのは、パウチされたボクサーパンツ。
「まさか、オマエ…」
「そう、キミの洗濯前のパンツだね。遊びに行くたびに失敬していたんだ。
しかし安心して欲しい。
それではキミの履くパンツがなくなってしまうからね。同じメーカーの新品をきちんと置いてきているよ。
サイズはMだね。引き締まった尻がセクシーだ」
安心できる要素が一つもない!
「なんだい変な顔をして?
あぁ、目的なんて聞いてくれるなよ。
だいたいわかってるだろ?
ふふ、恥ずかしいじゃないか」
気づけよオレ! せめて違和感ぐらい感じろよ。
まったく、カケラも、これっぽっちも気が付かなかった。
「幻滅したかい?」
「あー…」
いや、ちょっと可愛いと思っちまったよ。
コイツ自身もオレが愛想をつかさないと判っているんだろう。薄く笑っている。
あとオレのパンツでコイツがしてたことを想像すると…ヤバいな。
オレの表情で察したのか、王子様はニッコリと首を傾げていた。
「キミへの思いが強すぎた結果なんだ。
許してくれないか?」
「もうするなよ?」
「だが断る!」
言うと思ったよ。
「…せめて、隠しカメラを外してくれ」
「前向きに検討を加速しようじゃないか」
王子様は玉虫色にも程がある返事をして、そっぽを向いてしまった。
まぁ、自力で探し出して撤去しよう。
映像からカメラの位置を予想しようと目を凝らす。
俺の部屋の映像も薄暗かった。
「そういえば何時間くらい寝てたんだ、オレ?
っていうか今何時だ? 何日も経ってるとかないよな?」
「寝ていた時間は一時間程度だよ。
うまく調整できて何よりだ」
こわっ!?
失敗してたらどうなっていたことやら。
「安心してくれ。こんなこともあろうかと、きちんと事前に学習して検証して実験したから問題ないよ」
超怖い! 実験ってなに?
「どんなことがあると思ってたんだよ、まったく」
視界が戻ってきた。
同時に暗い部屋にも目が慣れてきたのか、室内の様子が見えてくる。
「どんなことかって?」
どさりと、オレの上に覆いかぶさってきた。
視界いっぱいに王子様の顔が迫る。
少し口を突き出せばキスができる距離。
「決まってるだろう!」
ぐるぐると瞳が揺れていた。
「万が一にもキミが…キミという男が、ボク以外の誰かのモノになってしまうかもしれないという事態だよ!」
コイツが怒ってるの見るの久々だな―。
歯を食いしばり、眉を吊り上げて怒りを表しているが、その端正な顔は何も損なわれていない。
薬を盛られて身動き一つできないのに、オレはコイツの顔を見ても『相変わらず美形だなー』と思っただけだ。
「どこの雌犬だ! キミの価値に気付いたことは称賛してやってもいいが、キミはボクのモノだ!
キミの価値はボクだけが知っていればいい。
それを…それをっ!
畜生の分際で許さんぞっ、虫ケラが!
切り刻んで豚の餌にしてやろうか…」
「と、とりあえず落ち着け」
「落ち着いてなどいられるか!
由々しき事態だよ、ボクにとっては人生最大のピンチと言っても過言ではない。
まったくもって猶予がない。
強硬手段に出ざるを得なかった」
まずは怒りを吐き出して少しずつ落ち着いてきたのか、オレが薬で寝落ちする前のように王子様の声音が湿り気を帯びてきた。
撫でるようにオレの頬に触れる指先。首筋を通り鎖骨、胸板と滑る。
ゾクゾクするからやめて欲しい。
「ふむ、良い感度だね」
身体は重たいままだが、目だけは完全に調子を取り戻したようだ。
暗い部屋に浮かび上がってくる王子様の白い肢体。
半裸だ。白い下着の上下を着けているようだ。
「ん? あぁ、ボクのことを見たいんだね。
その体勢ではよく見えないだろう?
どれ…」
上体を引っ張り起こされて、ヘッドボードに寄り掛かる。
身体の感覚はさっきよりも戻ってきたような気もするが、腕も足もまだほとんど動かせない。
「いいね、とてもいいよ。
何もできないキミをボクの思い通りにできるなんて…
食事を食べさせてあげているときから思っていたんだ」
オレの頬を撫でて、顎先まで指先を滑らす。
「ボクがいなければ何もできないキミを、世話して、援助して、面倒を見て、介助して、全てを全部をボクに委ねなければならないなんて!
なかなか官能的な体験だよ」
動けないオレはコイツの言う通り、なすがままされるがままだ。
「ボク自身も気がついていなかった…違うかな?
押し殺していた、ボクの欲望だ」
コイツは自らの身体を掻き抱いて、小さく身を震わせていた。
さっきからコイツの一人語りに口を挟めないでいるが、理由は一つだ。
なんか言ったら、この王子様は絶対暴発する!
それはそれで面白いかもしれないと思う自分もいるんだが、ここは静観だな。
「さっきね。キミが寝入ってから準備のために浴室へ行ったんだ。
その時驚いたよ?
下着が漏らしたみたいに濡れていたんだ。
全然気がついていなかった。
ボクとしたことが身体も頭もオーバーヒートしていたみたいだ」
まあ、オレもガチガチに興奮してたからお互い様だ。
「ボクはそれほどキミにイカれているってことだね」
そう言うと、アイツはオレから離れていった。
薄暗い部屋に眼だけが、爛々と光っていた。
「さあ、見てくれよ。
キミのために努力したんだ。
この日のために勝負下着も用意した。
キミの好みに寸分違わずあっているはず…だと思う。
目が慣れてきた頃合いだろう?」
闇の中、はっきりとは見えないはずなのにアイツの身体は不思議なほどよく見ることができた。
まるでうっすら輝いてるみたいだ。
王子様なんて呼ばれてはいるが、女性らしく小さな肩。
たわわに実った大きな果実が二つ。毎日見ていたが、ホントに大きな胸だ。コイツはいたずらに押し付けてきたりするが、オレがどれだけ意識していたか。
抱きしめたら折れてしまいそうな細い腰。うっすらと入った腹筋の縦ラインからは瑞々しい色気。
引き締まった尻。コイツも自信があるのかよくよくオレに見えるように強調してくる。オレにとっても今すぐむしゃぶりつきたいくらい魅力的だ。
スラリと伸びた手足は長く、あくまで女性的だ。
肌の白さは健康的で、今は興奮のせいか少しだけ桜色になっていた。
「…」
「…」
揃いのインナーも白い。
本人は勝負下着と言っていたが、それに相応しい気品のあるデザインだ。
チュールレースをあしらい清楚でありながら、大人っぽくもある。今現在のコイツのような絶妙なバランスだ。大事な部分だけをきっちり隠しつつも胸や腰回りの肌を大胆に透かしている。
興奮で頭がクラクラした。
なんてこった。イカれてるのはオレの方じゃないか!
動かない身体がもどかしい。
身体が動くんだったら、間違いなく襲いかかっている。
「…」
「な、なにかないのかい? 褒めるとか感想とか…」
あぁ、何を言っているんだコイツは? 今のオレがなにか喋れるわけないじゃないか。
人は本当に自分では処理しきれない感情を抱くと、言葉を失うのだ。
不安げな表情なんてオマエには似合わねーよ。
だからオレはコイツの不安を消してやるために、一言だけ本心を絞り出した。
「…綺麗だな」
「…ぁ」
ビクリと身体を揺らして、へたり込む王子様。
「あ、ああぁ、あ、イっ、くッ!? ああああぁぁー」
両手で自分の身体を抱きしめて、下を向き叫び声を上げる。
ガクガクと小刻みに震えながら身体を抱え、次第に小さく縮こまっていった。
動けないオレはただ見ていることしかできないんだが、何事!?
「お、おい!?」
待つこと数分。なんか長く感じたがそんなに時間は経ってない。
「は、はは…」
突然笑いだした王子様は、ようやく顔を上げた。
「ボクは今、キミに掛けられた言葉だけで達してしまったよ」
「…は?」
え、達したって…イッた? オレ何もしてないんだが。
「ボク自身も信じられないくらい興奮しているよ。
感極まるってこういうことを言うんだろうね?」
ふらふらと立ち上がって、王子様がベッドに片膝をつく。
「なんて酷い奴なんだキミは」
王子様の言う通り、興奮に染まりきった瞳は濡れてオレを見つめてきた。
「何も知らない乙女であるボクをあんなふうに絶頂させるなんて…
焦らすし、ツレないし、おまけにぶっきらぼうだし」
調子が戻ってきたのかいつもの陽側の笑顔で、動けないオレににじり寄ってくる。
「何も知らないってことはないだろう」
「そんなことはないさ。
男女の閨事も知らない素人だ」
「そうな」
もう、コイツの顔が目の前だ。
「む、キミだってそうだろうに」
「…そうな」
まぁ、四六時中一緒にいるし。見栄を張りたい気持ちもあるが、隠しようもない。
あと、嘘ついて万が一にもキレられたらおっかないし。
「教えてくれるかい?」
「オレにも教えてくれよ」
ようやく、オレ達はキスを交わした。
ア◯ル責めは…
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アリ
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大アリ
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超アリ
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むしろない方がおかしい