黒髪ショートカット王子様系幼馴染のオレへの執着が怖い! 作:クリームパイ太郎
「やぁ、お待たせしたね!」
陽の光もさわやかに、心弾むような良い天気だ。
今日はカレと一緒にボクの部屋でまったり過ごすつもりだったけど、これは外に出ないと勿体無いかもしれない。
でも、やっぱりカレと二人きりで過ごしたい!
ふむ、カレとボクを中心に周囲100キロ圏内は無人であればいいのかな?
まぁ、いいか。こうして外でヘアカットすることにしたんだし。
「そんなに待ってないぞ」
カレはガーデンチェアにゆったりと腰掛けて、気持ちよさそうに太陽光を全身で浴びていた。
全裸であれば、なお気持ちいいだろうに!
そうであればボクも遠慮なく襲いかかれるというもの。
襲いかかられるでも可!
「気持ちいいかい?」
「あぁ、空気は冷たいけど日光が暖かいから良い塩梅だ。
光合成とかできそう」
「ふふ、じゃあそのままじっとしててくれ」
カレが二酸化炭素を吸って酸素を吐き出すんなら、その酸素はボクが独占するけどね!
「おー、よろしく頼む」
だらけきった返事を受けて、ボクは散髪用のケープをカレへと被せた。
ナイロン製の白い布がカレの肩を覆う。切った髪が地面に落ちないように受け止めるための返しがついているから、散髪後に髪の毛を集めるのが簡単だね!
うむ、てるてる坊主のようで可愛いぞ。
若干眠たげにしているカレの仕草が、ボクの
とろんとしてしまって、今にも瞼が落ちそうじゃないか。
こ、このままちゅーくらいならしてしまってもいいんじゃないか?
微睡み始めたカレの唇が、まるでボクを誘っているように薄く開く。
ちょっとだけ!
先っぽ!
先っぽだけだから!
ボクは誘蛾灯に誘われる羽虫のように、カレの唇へと顔を近づけて……
「ふがっ!?」
「っ!?」
突然カレがビクッと身体を痙攣させた。
反射的にカレから離れてしまった。
「あー、すまん。
あんまり気持ちいいもんだから寝オチするところだった」
「は、はは……
別に構わないよ?
髪型はいつも通りでいいんだろ?」
「あぁ、伸びた分だけ切ってくれ」
カレはまだ目をしぱしぱさせつつ、ぼんやりと返答してきた
ジャーキングかな?
不自然な体勢で眠りかけたからだろうけど。
ぐぬぬ! あのまま唇を奪ってしまえばよかった。
「オマエのセンスは信用してるからな。
なんかアレンジしてもいいぞ。
失敗しても、どうせ髪の毛なんてすぐ伸びるし」
むっ!?
だいぶ曖昧なリクエストだけど、カレからの信頼を感じるね!
これに応えない訳にはいかないぞ!
よし、ちょうどいい機会だ。
長年の念願叶ってカレを手中に収めたことだし、少しだけ、カレを玉にするために磨いてみてもいいかもしれない。
ボクにとっては素のままのカレが一番良いんだけど、カレには磨いたら光るってことを自覚してもらわないといけないからね。
キミが珠玉であるということをわからせてあげないと。
たまぁに、ボクと一緒に歩いていると気後れしてしまっていることがあったのは何度か見てるし。
まったく!
ボクに並び立てるのはキミ以外ありえないってのに!!
まぁ、いいさ。
やはりできるカノジョとしては、カレシに自信をつけてもらうためにさり気なく気を使うべきなのだ!
これで雌猿共から注目されてしまうようなら、また元の髪型に戻せばいいし!
そうと決まれば、あとはどんな髪型にするかだね。
今の髪型は長くもなく短くもない髪を適当に分けているだけ。
セットに時間はかからない。
精々、寝癖を取るくらいの手間だ。
その寝癖取りもたまにサボる。
まぁ、その寝癖を直すのはボクの楽しみの一つでもあるのだけど。
あ、そうか!
カレの髪のセットをボクが毎朝やってあげればいいんじゃないか!
それで万事解決だ。
ということは、多少手間のかかる髪型でも問題ないね。
と言うわけで、ボクはカレの髪へとハサミをいれた。
慣れたものだ。
シャキシャキと小気味の良い音をたてて切っていく。
カレも心配はないのか、安心しきって日向にいるネコのように微睡んでいた。
ふむ、これで起きたら丸坊主になっていたら驚くのでは?
坊主頭のカレを想像してみる。
うん、可愛いね!
五厘刈りの頭を撫でたらショリショリして気持ちの良いことだろう。
そもそもボクにとってはカレがどんな髪型をしていようとも構わないのだ。
すべからくすべてかっこいい!
用意してあったバリカンに手が伸びかけるが、ぐっと堪えた。
流石のカレも怒ってしまうかもしれない。
怒ったカレに激しくお仕置きされてみたくもあるけど、悪戯じみたことはやめておこう。
「むむ……」
激しくお仕置きはされてみたいけどっ!
こ、こんな感じかな?
「ちょ、オマエ!
坊主頭ってどうすんだこれ!?
しかも五厘刈りだし」
「す、すまない。
どうしてもキミの坊主姿を見たくて……」
「見たいって……そんな理由かよっ!
まぁ、すぐ伸びるからいいけど」
「すごく可愛いよ?」
「うるさいわい!」
怒りはするんだけど、カレはすぐに許してくれるんだ。
でもただで許してくれる訳じゃない!
「まったく。
こんな悪戯をする可愛いカノジョにはお仕置きが必要だな?」
「お、お仕置き?」
ボクの心臓は跳ね上がって、どきどきしてしまうんだ。
カレはボクに迫ってきて、壁ドンして追い詰めてきた。
「……ボク、同じ目にあわされちゃうのかな?」
「オマエの綺麗な髪を切るなんてことするわけないだろ?」
カレはボクの髪の毛に指を通しながら、息のかかる距離まで顔を近づけて見つめてくる。
目の光は強くて、ボクにお仕置きする気まんまんだ!
ボクのおへそを指先でぐりぐりしてから、
「オレと同じようにツルツルにしてやってもいいんだけど?」
「ん……」
そのまま指を滑らせて、下腹部へと手を伸ばすカレ。
「オマエ、元からツルツルだしなー?」
「あぁ……キミの好みなのは知ってるけど、気にしてるんだ!」
「ん?
オレは好きだぞ?
オマエのツルツル」
「い、言わないでくれぇ」
そんな感じで、まずは言葉責めからお仕置きは始まるんだ!
その後はもう、女の子にするにはあまりにも無体極まりない行為の数々をボクは徹底的にカレから致されてしまって、全身体液まみれの汁まみれだ!
「わ、悪くないぞ」
「……なにが悪くないんだ?」
思わず漏れてしまった言葉に、微睡んでいたカレが反応してきた。
「いや、なんでもないよ?
ちなみに坊主頭に興味はないかな?」
「頭を洗うのは楽そうだが、とりあえずやめてくれ」
「承知したよ」
ちょっと……けっこう残念だけど、カレが嫌がるなら仕方ないね。
あとは……そうだなー?
さわやか系もボク好みだし、ワイルド系もボク好みだ!
もうカレの髪型はなんでもボク好みなんだ!!
月代、大銀杏、モヒカンにスキンヘッドとなんでもアリだね。
とりあえずという感じで、カレの髪は切り始めてしまったけど、いざボクの好きな髪型にできるとなると迷ってしまう。
カレのいろいろな髪型を脳内シミュレーションしながらも、ハサミは淀みなくカレの髪を刈り込んでいく。
小気味よい音がするたびにカレの髪の毛は切り取られ、ケープに落ちて溜まる。
風もほとんど吹いていないせいか、カレの髪は余すことなく全部集められているね。
「ふむ」
結局いつも通りの髪型に落ち着いてしまった。
やはりこれはこれで素晴らしい。
普段通りのボクのカレだ!
でも、このままだとカレの期待には応えられていないね?
ボクは梳きハサミに交換して、さらにカレの髪へと走らせる。
大胆かつ繊細にさくさくとハサミを入れて、カレの髪へアレンジを加えた。
「さぁ、できたよ」
「おお、早いな」
ボクは出来栄えに満足しつつ、髪型を確認するための三面鏡を構えた。
眠たげにしていたカレも姿勢を正して、鏡に映る自分の髪型を確認した。
「お、結局いつも通りにしたんだな」
「ふふ、ぱっと見はそうかもしれないね?」
鏡に映るカレは、きれいに切り揃えられているけど普段と変わらない髪型だ。
ボクは大きめの手鏡をカレに渡した。
「でも、こんな感じにすることもできるよ?」
櫛とヘアブラシで、髪の分け目を頭の真ん中からずらした。
「おお!」
見た目の髪型はいつもと変わらないようにしつつ、梳きハサミで毛量を調整して、アレンジしやすいようにしたのだ。
初の試みだったけど上手くいったね。
今は簡易的に櫛でとかしただけなんだけど、あとは整髪料を使って固めてしまえば完成だ。
ちなみにオールバックにも対応しているので、フォーマルな場でもいけちゃうね!
よしよし、カレの要望通りアレンジを加えることもできた。
ただでさえボク好みのカレなのに、ボク自ら手を加えることができたのでさらにボク好みになってしまったぞ。
しかも! しかもだっ!
髪型をセットするときは手間がかかってしまうのだ!!
カレのことだ。きっと面倒くさがって髪のセットなんてやらないだろう。
そこで、ボクの出番だね。
分け目を変えたり、髪に動きをつけたりするようにカレを誘導すれば、髪の毛をいじくる理由までできてしまうのだ。
さらにかっこいいカレまで拝むことが出来て一石二鳥だね!
表情からするとカレも気に入ったようだし。
「毎度、切ってもらっておいてなんだが、相変わらず多芸だな」
「そんなこともないよ」
全部キミのためだし、散髪に限って言えばキミの髪しかいじれないぞ。
「そういえば、オマエの髪はあんまり伸びてないな」
カレの髪の毛をこぼさないように細心の注意を払いながらケープを取り外していると、ボクの髪の毛を眺めながら、カレが質問してきた。
「伸びてないんじゃなくて、マメに整えているんだ」
全てキミのためだ!
常に可愛いボクを見ていてもらいたいからね。
頭のてっぺんから爪先まで拘っているし、髪型なんて気を使う最もな場所だろう。
「そうなのか?
……って、自分で切ってるってことか?」
「そうだね」
ボクの髪はキミ以外に触られたくないんだ!
この
ホントはボクの髪もカレに切って欲しかったんだけど、さすがに無理がある。
残された解決策は自分で切ることだったんだけど。
前髪程度なら簡単だ。
三面鏡を見ながら後ろ髪を切る技術の習得はなかなか難しかった。
「はー、ホント、オマエはなんでもできるな」
「そんなことはないさ。
できないことばかりだよ」
なんでも出来るんだったら、もっと早くキミと付き合っていたことだろうさ。
まぁ、それはいいか。
現にこうして付き合っているわけだし。
「それじゃ、最後に髪を洗おうか。
サニタリールームへ行こう」
「あいよ」
「それとも、このまま入浴してしまうかい?
ボクも付き合うよ!」
「……まだ早い」
「ふふ、まだなんだ?」
「あ、う……」
「まぁ、確かに陽も高いしね?
お楽しみは夜までとっておこうか」
思わず頬が上がってしまう。カレと過ごす時間を想像しただけで、ついついにやけてしまうね。
「は、早く頭を洗いたい!
さっきからちくちくしてかなわん」
「はいはい。
あ! ダメだよ、そんなに髪をかき混ぜたら。
痒いのはわかるけど、すぐに洗ってあげるから」
あぁ、せっかくボクの好きなように整えたのに! それに髪が傷んでしまう。
ボクは慌ててカレを静止して、サニタリールームまで引っ張っていった。
~つづく~