黒髪ショートカット王子様系幼馴染のオレへの執着が怖い! 作:クリームパイ太郎
「今年も後数時間で終わりだね」
「そうだな」
坊さんも走るほど忙しいと言われる12月。
年末の慌ただしさもあっという間に過ぎ去って、ようやく今年最後の日を迎えた。
大晦日。
王子様宅のリビングに似つかわしくない
薄暗い部屋に王子様の甘い声とオレの息遣いが響く。
そろそろオレも王子様もクライマックスが近い。
お互いのことを呼び合いながら、オレも王子様も全身余す所なく密着して、汗ばんで気持ち悪いはずなのに、そんな感触でさえも王子様との繋がりを感じられて心地よい。
無意識なんだろうが、王子様はオレの背中に爪を立て、腰に回されたすらりと伸びた足は絶対に離さないとばかりにがっしりとホールドされていた。
「あ、ああっ!
もうダメだっ!!
イっ……!!!!」
「くっ!」
蕩けた嬌声と同時にオレのすべてを吸い尽くすように動く
精根尽き果てて、オレの下にいる王子様に全体重がかかっているけど、気遣う余裕すらない。
王子様も小さく震えながらオレに力いっぱいしがみついていた。
お互いの荒い呼吸の音だけが聞こえる。
どれくらいそうしていたのか。息も整ってきてそろそろ動けそうだな、と思った矢先に王子様の手足がようやく緩んだ。
「悪い。
重いだろ」
「ふふ、何度も言っているけど、この重さを受け止める感じは好きなんだ。
キミは気にせずそのままでいてくれ」
「まぁ、オマエがそう言うならいいんだけど。
さすがに喉が乾いた」
オレがそう言うと、抵抗もなく素直に解放された。
「ん……」
オレが王子様の横に寝転がると、王子様が吐息を漏らした。
……抜けたときの刺激かな?
小さく震えている王子様を尻目に、ベッドサイドに置いてあった水のペットボトルを2つ取り、片方を王子様に渡す。
床には空になったペットボトルが何本か転がっていた。
水分補給だけしつつ、ずいぶんと長いこと致してしまった。
そういえば、今何時だ?
スマホを手に取り時間を確認する。
「……げ」
「ん?
どうしたんだい?」
美味しそうに水を飲んでいた王子様が、不思議そうな顔でオレを見てきた。
「あと10分で今年が終わる……」
「はは、そんなにその……してしまったんだね?
どうりで空腹なわけだ。
早めに摂った夕餉が裏目にでてしまった。
年越し蕎麦のために胃袋に空きスペースを作ろうって算段だったんだけど」
「今から作っても年が明けちまうな」
王子様も蕎麦打ちはできないようで、蕎麦こそ市販品だが汁と具材はお手製だ。
天ぷら蕎麦にしようとか話してたんだけど、おあずけになってしまったな。
それはそうとしても……
「流石に
「ふふ、若気の至りってやつだね」
それにしたって限度があるだろう。
早めに摂った食事は、まだ夕方頃だったはずだ。
日の入りが早い時期だし、いったい何時間……
「素晴らしい姫納めだったね?」
「年越しってもっと風情っていうか、のんびりしたものだと思うんだ」
「最初はそのつもりだったよね?
キミが見事に暴走した結果のんびりとはいかなかったけど。
でも、ボクとしては
キミのねっとりとしていて、なおかつしつこい欲情を受け止めるのは大歓迎さ!」
「そ、そんなにしつこくしたつもりはないんだが……」
「ボクがいくら懇願してもやめてくれないくせに。
恥ずかしいって言っているのにやめてくれないし。
開いてじっくり観察されるし……」
「それはその……なんだ。
つい楽しくなっちゃって」
あと興奮しすぎて王子様の言う通り暴走気味だった。
「ふふ、まぁ、そんな気配はしていたけどね」
王子様は小首を傾げながら、オレへと笑顔を返してきた。
「ボクが上着を脱いだ途端にキミの雰囲気が変わったのを敏感に感じ取ってしまったよ?」
「……オマエ、あれは挑発以外の何物でもないだろうが」
部屋の暖房が暑いとか言ってセーターを脱いで薄着になり始めるし。
その薄着がやたらめったら透けてるし。
早めの夕餉はこれでもかってくらい精の付きそうなメニューのオンパレードだし。
いろいろ我慢しつつスルーしてたのに、挙句の果てには王子様が直接攻撃に出る始末!
「うん。
なるべく、可愛らしく、いじらしく!
ちょっとえっちにおねだりすればキミならノッてくれると思ったよ」
「ぐぬぬ……」
王子様の意図した通りなので、ぐうの音も出ない。
まぁ、いい。
どうせ大晦日なんて、何かの配信を見るか、恒例のテレビ番組を見るか、ゲームをするか、大してやることなんてないのだ。
「そうそう!
ボクと一緒に
「オレの心を読むな」
今年何度も言ったセリフだな。
「ふふ、今年は良い年だったね?」
「オマエ毎年言ってるよな」
「そうだよ?
キミといられるんだから毎日良い日なのは確定なんだけど。
でも、今年は格別に良い年だった!
なんせ念願叶って、悲願果たして、宿願達してキミと結ばれたんだからね!!」
「そうだな」
王子様の言うとおりだ。
オレにとっても今年は特別な年だった。
付き合い始めたのは年の半ばからだが、それを加味してもいろいろ濃い日々だった。
「うんうん。
えろえろ濃い日々だったよね!」
「だからオレの心を読むな!」
今年最後のセリフがこれか。
時計を確認すればあと数秒で年明けだ。
「さぁ、年越しのカウントダウンだ」
王子様はなぜか居住まいを正して、正座した。
5、4、3、2、1……
「あけましておめでとう」
「あけましておめでとうございます。
新しい年を迎え、心よりお慶び申し上げます」
三つ指をついて頭を下げる王子様。
絵面だけ見るとものすごい背徳的なんだけど……
「ああ、今年もよろしくな」
なんとなく王子様の手に触れた。
笑顔を返しながら、王子様も手を繋いできた。
照れくさいが悪くない。
「もちろんだよ!
ボクの方こそ今年もよろしくね。
おはようからおやすみまで……どころかキミが寝ている間も夢の中に出てきてお世話しちゃうぞ」
「ほ、ほどほどにな?」
溌溂とした声で宣言する王子様。
「ふふ、ほどほどなんて言葉はボクの辞書にはないよ。
今年は徹底的かつ念入りに面倒見ちゃうから、そのつもりでいてくれ!」
王子様の黒目が深くなっているように見えるのは、部屋が薄暗いからだろう、きっと……
「さて、年も明けたし初詣でも行くか?
二年参りしようとか言ってたけど、その……なんだ、時間過ぎちまったし。
除夜の鐘を撞いてみたいとか言ってたよな?」
間に合うかな?
「あー、うん。
除夜の鐘はどうしてもってわけでもないから。
初詣は日が昇ったら行こうか?
晴れ着もキミに見せたいし」
ふむ、王子様の晴れ着か。
毎年見ているけど、今年は特別な気持ちで見ることになりそうだ。
「それよりもボクにいい考えがある!」
王子様は鼻息も荒く、その大きな胸を張る。
なんとなく察しはつくけど。
「……なんだ?」
「もちろん……姫始めだ!」
そう言って王子様がオレへとのしかかってきた。
舌舐めずりしつつ、妖しい雰囲気も相まって食虫植物を連想してしまう。
「ふふ、さながらキミは捕食される蝶々ってところかな?」
「オレの心を読むな」
さっそくいつものセリフを言わされてしまった。
「鐘の代わりにボクを突きまくってくれよ?」
「言い方!」
オレとしても否やはないんだけど、表現の仕方が下世話すぎる。
でもまぁ、正直なところ王子様の三つ指ついた姿に、あっという間に充血してしまったのだ。
「除夜の鐘にちなんで108回しようか?」
「無茶言うな!」
王子様はにやりと笑う。
そして、オレと王子様はどちらからともなく唇を重ねた。
「見てくれ。
ものすごい量が溢れてきた!
これ、去年と今年の二年分だよ?」
「間違ってないけど語弊がありすぎるわい!」
おしまい