黒髪ショートカット王子様系幼馴染のオレへの執着が怖い! 作:クリームパイ太郎
「おまたせ」
「あー、遅かったな。
なんかあった?」
「ふふ、いやいや。
ちょっとお花摘みに」
「言わなくていいから」
む、いつもだったらちょっと赤くなるか、ツッコミが入るんだけど、スルーされた。
やっぱり、あたりのようだね。冷静にも程がある。
「課題は終わったようだね?」
「おう。
たぶん、解答できてる……はず」
「どれ、答え合わせをしよう」
カレのノートに目を走らせる。
「うん。
問題ないね。
全部正答だ」
「あ、相変わらず、一目でわかるんだな」
「まぁ、ボクもやってる範囲だからね」
驚愕するカレを尻目にボクはカレの隣に腰を下ろした。
普段の距離感より近めに!
でも、カレは特に何の反応も示さずスルー。
くっ! おのれ賢者タイムめ。
「さて、課題も片付けたしゲームでもするか?
素材集めしたいって言ってたよな」
「うん、二人の方が効率いいからね。
でも、今日は遠慮しておくよ。
キミ、睡眠不足だろう?
日直だったし」
「あー、まぁそうなんだが、ゲームくらい……」
「そう言って、いつも日付変わるくらいまでプレイしてしまうよね?」
「う……」
「今日は大人しく早く寝ることをおすすめするよ。
かく言うボクもちょっと睡眠不足なんだ」
こう言えば、カレはボクの体調を慮って引き下がってくれるんだよね。
事実、夜のカレを見張っているからカレと同じような睡眠時間になってしまうのだ。
「珍しいな?
まぁ、お互い寝不足なのに無理する必要ないか」
そう言うと、カレは思い出したように欠伸をした。
目がとろんとしてきて、眠たげに瞼を擦る。
「そのまま寝てしまうといいよ。
明日は起こしてあげようか?」
「大丈夫だ。
目覚ましはかけてある。
外まで送るぞ」
「うん、ありがとう」
カレは律儀に家の外まで送ってくれる。家が隣同士だと便利でいいね。
家を出たところで、カレとおやすみの挨拶をする。
早くおやすみのキッスをする間柄になりたいっ!
「じゃあ、一人でゲームなんてしないで早く寝るんだよ?」
「わかってるよ。
おやすみ」
「うん、おやすみなさい。
ちゅっ!」
と、門扉をくぐる時にカレへと、せめてもの投げキッスして手を振った。
カレは苦笑いしつつ手あげるんだけど、家に戻ろうとはしない。
ボクが無事家の中に入るまで見送るつもりなんだろう。
くっ、この名残惜しい感じはすごくいいんだけど、できればなるべく早く見送る関係じゃなくて、一緒のお布団に入る関係になりたいものだよっ!
カレの見送る様をずっと見ていたかったんだけど、眠たげなカレをこのままにしておくのは申し訳ない。
ボクは大人しく自分の家へと入った。
「はぁー……」
後ろ手でドアを施錠して、大きく息を吐く。
その途端、必死に抑えていた欲求が一気に吹き出した。
カレの眠たそうな表情を見たときなど、可愛らしさのあまりそのまま押し倒しそうになった!
身体の奥が熱くなって、獲物に襲いかかる寸前の全身のバネを溜めに溜めた猫科の肉食獣の気分だ。
我慢できた自分を褒めたいね。
「よ、よし!」
早足で、というか最早ダッシュで庭先へ向かい、先程放り投げたポリ袋を回収。
ごわごわとした手触りとかすかに鼻を付く香りを敏感に感じ取り、ボクは一切の余裕を無くす。
二階へ駆け上がり、自室ではなく秘密の部屋の方へと飛び込んだ。
「ふーっ! ふーっ!!」
こんな姿はカレにも見せられないと思う。今のボクの表情はかなりガンギマっているんではなかろうか。
自覚できるほど顔が熱くなっているし、手に持った袋の中身に興奮を抑えきれない。
ボクは匂いに敏感なんだ!
さっきから鼻腔を刺激してやまないカレの
縛ったポリ袋をもどかしく開いて、ボクは目的の
探すまでもなく手触りですぐにわかったぞ!
ティッシュの柔らかな感触と、取り出した瞬間より強くなる香り。
「あぁ、すごい、なんて……匂いだ」
明かりを付けることも忘れて、ふらつく足取りでベッドに倒れ込んで、手にしたティッシュを両手で包むように持って、鼻へ押し付ける。
「あぁ、ダメ、イっ……」
濃いカレの匂いが脳髄へと直撃して、ボクは全身を硬直させた。
強烈すぎる刺激に、暫くの間身動きできない。
数分後、甘くとろけるような忘我の中でやっと全身を緩めることができた。
なんてことだ。
ボクは匂いだけで……
「くそっ! くそっ!!」
なんで誘ってるのに襲いかかってこないんだよ!
こっちは生まれてこの方15年間も待っているんだぞ!!
今日だっていっぱいアピールもアプローチもしてるのに、全然反応しないしっ!
挙句の果てには賢者タイムに入っているしっ!!
ボクは苛立ちをぶつける先がなく、ただただ自分を慰めた。
「くっ!
早くしないと、こっちから襲うぞ!
この! めちゃくちゃにして、ボクなしではいられない身体にしてやる!!
あぁ、でも、やっぱり襲われたい!
ちょっと乱暴に!
激しく、強引に!
でも、優しい感じで!!」
茹だった頭では冷静になることもできず、ひたすらカレの匂いを堪能して、ついには味わうまでに至る。
ボクは暫くの間、薄暗い部屋で芋虫のように丸まってもぞもぞと身体を動かしていた。
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「はぁ……」
とりあえず落ち着いた。
すごく盛り上がったので良しとしよう!
かつてない程盛り上がったので、良しとしようっ!
カレのお宝が手に入ったので、これはこれで良しとしようっ!!
……やっぱり良くないっ!!!!
前向きに考えれば、ボクの覚悟が決まったとも言えるけど、決着が着くのなら早いほうが良いに決まっている。
「明日からは大攻勢だ!」
ボクが甘かった。
このままの関係を続けていたら、いつまで経っても結ばれない。
学生のうちに……なんて悠長だった。
時間をかけ過ぎだ。
今までのようにどっかに遊びに行くとか、一緒に勉強するとか、ヌルすぎる!
友達か!
親友みたいな距離感なんて必要ないっ!
ボクはカレと恋人同士になりたいのだっ!!
距離感で言ったらゼロなんだ!!!!
そう! ようするに合体しなければならないっっっ!
「そうとなったらまずは……」
一時的接触だね。
手を繋ぐと目立ってしまうから、事あるごとにカレに触れるようにしよう。
指先だけでもいいんだ。
まずは触れ合うことが大事。
「次に視覚だ」
目からの刺激は重要だ。
情報の八割は視覚からの入力である。
ラッキーなんてそもそも必要ない!
回りくどいっ!
やはりボクの信条として実力行使あるのみだ。
そう! カレにしか見えないように、ボクの下着を直接見せてしまえばいい。
「タイミングはやはり朝だろう」
朝一番にカレのむらむらを刺激する。
昼にも夜にも刺激する!
そして、溜まりに溜まった青少年の衝動はケダモノとなってボクへと向けられるに違いない!
「ついでだ。
胃袋も掴んでしまおう」
カレの昼食には一言物申したかったのだ。
PFCバランスこそ整っているものの、見た目が酷すぎる。
塩おにぎりにゆでたまごって彩りなしにも程があるぞ。
明日から、ボクの謹製のおかずを食べさせよう。
理由なんてどうとでもなる。
さりげなくサラダとかをタッパーごと渡してしまってもいい。
あ、おかずと言っても食べ物の方だよ。
「……渡してしまうか?」
よし、これも採用だ。
最初は刺激の少ないものから徐々にエスカレートさせていけばいいだろう。
「あとは……」
おかずといえば、食べ物の方のおかずに
何を混ぜるかは後から検討するにしても、これはなかなかボク好みのアイディアだ。
カレが直接ボクを口にする。
咀嚼し、食道を通り、カレの胃袋へ到達。
ぐちゃぐちゃに溶かされて、カレの一部になっていくボク。
「うはっ!」
今まで考えた事なかったけど、最高じゃないか。
そうと決まったら料理を勉強しないとね。
今までのように簡単な料理では
「他にはまだあるか?」
脳みそをフル回転させる。
すっきりしたせいか冴え渡っている感じがある。
これが賢者タイムってやつかな?
「おかずか……」
カレの使用しているおかず……
所持していること自体が腹立たしいけど、カレのコレクションを分析してカレの嗜好を丸裸にしておいてもいいんじゃないか?
カレのPCのログを解析してしまえば簡単だ。
再生回数や表示回数の多いコンテンツから傾向を割り出していけば、何か見えてくるかもしれない。
あ、アブノーマルだったらどうしよう!?
「ふふ。
でも、それはそれで……」
ボクだっていろいろ知っているのだ!
カレのフェチズムには精一杯応えちゃうぞ!!
「よし。
当面のやることはこんなところかな?」
今までのぬるま湯のような関係は心地よいかもしれないけど、ここに置いていく!
カレとは早々にいちゃらぶどえっちな関係になって、学園生活を満喫するのだ。
「くっくっく。
明日からは覚悟しておくといい。
常に下半身は充血しっぱなしでむらむらは留まるところをしらないぞ!」
ボクは一人ほくそ笑んだ。
差し当たっては明日履いていくパンツを用意しようじゃないか。
カレの好きなデザインは縞々模様だったはずだ。
おしまい