※この作品はR-18です。

黒髪ショートカット王子様系幼馴染のオレへの執着が怖い!   作:クリームパイ太郎

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王子様は寂しいらしい?

「ただいまー。

 暑かったー!」

 

「やぁ、おかえり。

 キミと離れている間はとても寂しかったよ」

 

 午前中であるにも関わらず、屋外は灼熱だった。帰ってきたオレは、体内に溜まった熱気を吐き出すように一息つく。

 

 古めのエアコンとはいえ、部屋の中は涼しい。

 

 オレの部屋でゲームに勤しんでいた王子様は、何がそんなに嬉しいのかとびきりの笑顔で出迎えてくれた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「やはりボクもついて行けばよかった」

 

「コンビニに行ってきただけだろうが」

 

 しかも片道5分程度。

 

 買い物の時間を含めても30分とかかっていない。

 

「いやいや。

 ボクにとってはキミと離れ離れになっている時間は体感で一秒あたり一年くらいに感じられてしまうんだ。

 キミが買い物に使った時間は25分11秒だ。

 ボクにとっては1511年の月日が流れたのと同じだね?」

 

「だとしたら長寿世界一も真っ青の寿命だな」

 

 大げさにも程がある。

 

 しかもコンビニには間食を買いに行っただけ。

 

 夏真っ盛りの日差しの中、わざわざ二人で買い物に行くのも効率が悪かろうってことで、ジャンケンで負けた方が行ってくるってことにしたんだが。

 

「でもボクが負けてたらキミは一緒に来てくれたか、もしくは自分が行っただろう?」

 

「……そんなことないぞ」

 

 一応否定しておく。

 

 王子様が小首を傾げてにっこりと笑いかけてきたが、そんなとはないのだ!

 

「くっ!

 ボクがジャンケンに負けてさえいれば……

 付いてきてもらうことを交換条件に卑猥なことを要求してもらえたのに!!

 キミのことだ。

 今日ボクが身につけている下着を取り上げた上に、まずはコンビニまでの道中で誰もいない路地裏に連れ込んでスカートを捲らせたりするんだろう?

 ちょうど良いことに今日はミニスカートだ!

 さらにコンビニに到着したら、ゴム製品購入プレイだろ?

 帰り道では汗で透け始めたシャツに興奮したキミは!

 公園の公衆トイレで……

 よし、もう一回コンビニへ行こうか?」

 

「行かねーよ!」

 

 頬を赤らめた王子様は自らを抱きしめ身体を震わせた。

 

 いったいオレをなんだと思ってるんだ!?

 

「でも、興味があるだろう?」

 

「……そ、そんなことないぞ!」

 

 王子様が優しげな視線で眺めてきた。

 

 動揺なんてしてないからな!

 

「ボクはいつでもオッケーだよ?」

 

「そ、それなら……いや!

 ちゃんと買い物は済ませてるんだから二度も三度もコンビニへ行く必要はない!」

 

 なんとか話題を逸らさねば。

 

「それにしても暑かった。

 往復だけで汗だくだ」

 

「はい、ハンカチ。

 これで汗を拭くといい」

 

「お、サンキュ」

 

 王子様から手渡されたハンカチで首筋に垂れる汗を拭った。

 

 やたら高そうなハンカチで、柔らかく滑らかな手触りだ。

 

 シルクかな? 王子様の持ち物に相応しい。

 

 汗を拭うのを躊躇わせるほどの高級感だが、今更だ。

 

 王子様の持ち物は、やはり良いとこのお嬢様って感じの高級品だったりすることも多いしな。

 

 さらに言うと単なる部屋着もなんとなく高級感が漂っているんだよな。

 

 今日の服装だって、ノースリーブのブラウスにミニのプリーツスカートで量販店でも手に入るだろうが、見るからに作りが違う。

 

 可愛らしいのにどこか大人っぽくて、王子様にとても似合っていた。

 

 この格好でコンビニか……いや、だからダメだって!

 

「どれ、ハンカチを貸してくれ。

 背中の汗はボクが拭いてあげよう」

 

 そう言いながら、オレからハンカチを取り上げる王子様。

 

「さぁ、脱いでくれ」

 

「いいよ、すぐ乾くから」

 

「むぅ、そうかい?

 ……あわよくば舐めてしまおうと思ったんだけど。

 まぁ、このハンカチで我慢しておくか」

 

「なんだって?」

 

「ん、なんでもないよ」

 

 王子様はにっこりと笑って、オレへと近づいてきた。静かにオレの隣に腰を下ろす。

 

 なんか後半が小声で聴き取れなかったけど、大したことではなかろう。

 

「で、進捗はどうだ?」

 

「それこそ30分程度じゃ大して進んでないよ。

 ボクはそれほどゲームが得意ってわけではないし」

 

 今、王子様がプレイしているゲームは無人の惑星を舞台にした工場建設シミュレーションだ。

 

 評判が良いのは前から知ってたんだが、なかなか手を出す機会がなく保留してたんだが、某大手ゲームプラットフォームの夏のセールでとうとう購入した。

 

 王子様と一緒に買い物に行かなかった理由。

 

 暑いからってだけじゃなくて、作業を分担したかったのだ。

 

「……その割には大規模な工場になってるんだけど」

 

 オレが出かける前には小規模だった工場が、地平の果てまで広がるほどの一大工業地帯に変貌していた。

 

 その差は下町にある町工場と、超大企業が創り上げた工業都市くらいだ。

 

「キミから設計思想は聞いていたし、キミが作った一個の工場ラインをコピペして作ったようなものだよ。

 それを元に工業ラインを繋いで若干の効率化を測っただけさ」

 

「……まぁ、オマエの得意そうな分野だよな」

 

「それにキミが居なくて寂しかったから、無理矢理ゲームに集中してたってのもあるかな?」

 

 冗談なんだろうが、30分の作業量とは思えない進捗具合だ。

 

 王子様がゲームにはそこまで熱心ではないってのはもちろん知っている。オレに付き合う程度にはゲームをするが、自発的にはあんまりプレイしない。

 

 しかし、この進み具合からするに、今日プレイしているゲームは王子様との相性が良かったってことなのか?

 

「うーん、でもこの一人称視点のゲームはちょっと苦手かな?

 効率化を追求するのは好きだけどね。

 自動化して原料、部品、製品って生産される様はなかなか壮観だ」

 

 これだけ大規模に自動化されていればそうだろうよ。

 

 採掘機で自動的に採取された資源がコンベアで運ばれ、精製され、原料になり、製造機で部品へ加工され、製品が製造されていく。

 

 製品からさらに高度な製品が生産され、その高度な製品はさらに上級な製品へ……

 

 ここまで大規模だと電力が足りなくなりそうなもんだが、その辺りも当然考慮しているようで、電力は計算されつくされているし、拡張を見越した余裕も十分な発電設備と、その発電に必要な燃料はパイプラインで次々と供給されている。

 

 画面には見えていないが、どこかに油田があるのだろう。

 

「でも、実はまだまだ序盤っていうか初期段階だったりするんだよな」

 

「そうなのかい?」

 

 なぜか王子様はピタリとオレへと寄り添った。

 

 何をするでもなく、ただオレの肩に自分の肩を密着させてきただけだ。

 

 王子様の体温にドキッとするが、王子様それ以上なにかをする様子はない。

 

「い、今のところ工場は平面だろ?

 階層化して立体的にしたり、さらに広げたり、わりとやることが多い」

 

「ふむ、なるほど。

 だから一人用のゲームなのにボクを誘ったんだね」

 

「あぁ、オマエと相談しながらプレイしたら面白いかなぁって」

 

「ボクとしてはキミのゲームプレイ……()()()()している様を見るのも好きなんだけどね」

 

 王子様の顔が悪戯っぽくなっている。変な意味は含めなくていい!

 

「はっはっはっ!

 オレが一人で()()のを禁止したのはオマエだろ?」

 

「ふふ、一人で()()()くらいだったらきっちりボクが面倒をみるべきだろう?

 なんせボクはキミのカノジョなんだからね。

 キミの性よ……精え……えっと、貯蓄量はボクがきっちり管理するよ!」

 

 王子様の言葉通りきっちり管理……というか、毎晩すっからかんになるまで()()()しまっているんで何も言えない。

 

「ボクも毎晩満足させられてしまっているからね。

 お互い様だよ?」

 

 大分オレのほうが得してると思うが……

 

「いやぁ、そんなことないよ?

 なんせボクの方は物理的にキミから()()()いるからね!

 昨夜だって夕餉の後だって言うのに満腹にさせられてしまったし!

 これはもちろん胃袋だけじゃなくて子ぶ……」

 

「と、とりあえず!

 今日はオレの部屋で遊ぶってことでいいか?」

 

「外の暑さは容赦ないからね。

 良い判断だと思うよ。

 ボクとしてはキミと一緒なら何をしたって楽しいんだ。

 こんな日はエアコンの効いた部屋で二人きりでプレイするのはとても良い!

 もちろん!

 ゲームだけじゃなくて、いろいろなプレイをしてしまうのもありだ!!」

 

「おやつも調達してきたしな。

 ほれ、オマエのリクエストした葛まんじゅうだ」

 

 さらりと王子様の最後のセリフをスルーしてまんじゅうを手渡した。

 

「もう!

 ありがとう!

 やれやれ素直じゃないね?

 じゃあ、さっそく食べようか」

 

 オレに密着しつつ、礼と文句を同時に言いながら、王子様は葛まんじゅうの包みを開いていた。

 

「ふふ、瑞々しくて美味しそうだ。

 キミも柔らかぷるぷるなモノが大好きだろう?

 今から()()()しまうかい?」

 

「脈絡がなさすぎる!?」

 

 っていうか、さっきから王子様の距離感が妙に近い。

 

 いや、いつものことでもあるんだが、それにしたってなんか密着度合いがマシマシっていうか。

 

 腕まで絡めてくるし、王子様の大きな胸が……

 

「の、飲み物は麦茶でいいか?」

 

 オレは片腕を拘束されながら、ゴソゴソとビニール袋から中身を出して並べていく。

 

「もちろん。

 でも、このペットボトルは麦茶ではなさそうだね」

 

「あぁ、それは……」

 

 オレが最後まで言い終わる前に、王子様はオレの持っているビニール袋からペットボトルを取り出した。

 

「……コーラ?

 パッケージが緑だね」

 

「新製品っぽいから買ってみた。

 味がわからんから一本だけど」

 

 王子様が件のコーラを手にとって、早速成分表を確認していた。

 

「商品名はヤロクコーラ。

 使用している甘味料はステビアか。

 カロリーは0kcalだね

 カフェインもそれほど多くない。

 ふむ、中身は緑じゃないのか」

 

 中身が緑色だったら面白かったのにな。メーカー側が手堅く行きたかったのかもしれない。

 

「とりあえず飲んでみようぜ」

 

「そうだね。

 あ、コップがない。

 口移しでいいかい?」

 

「ちょ、は、え?

 こ、コップくらい持ってくるから」

 

 ぐっと、王子様から掴まれている二の腕への力が強くなった。何処にも行かせないという圧がすごい。

 

 これでは柔らかな双丘に挟まれて、身動きすることもままならないぞ。

 

「もう!

 そこは回し飲みして、間接キスを意識しちゃうところだろう?」

 

 改めて言われると照れくさいが、口移しとかもっとすごいこと言っちゃってるんだけど……

 

「ふふ、夜はさらにすごいことしてるのにね?」

 

「あ、う……」

 

「昨夜もすごかった……

 まったく、キミはボクのことを責め立てることに於いては妥協をしないんだね?

 ただ、キミと一つになっただけで、キミは一向に動こうとしないんだ。

 ボクは接続した余韻で身体を震わせていたんだけど、普段とは違うキミの行為に次第に不思議に思い始める。

 いつもだったらボクを味わうように、かつ苛烈な動きでボクを翻弄するんだけど、昨日は違った!

 ボクの身体をずっと撫でてきたよね?

 特におへその下あたり!

 まさかあんな小さな刺激で、あそこまでの効果を発揮させるだなんて!?

 最初のうちは春先の縁側のような優しげな温かさだったのに!

 キミは撫で続けるだけで、盛夏の日差しのような激しい熱にしてしまったんだ!!

 中からと外からの挟撃だね?

 極小の投資で極大の利益を回収しちゃってるね?

 省エネにも程があるよ?

 ちょっとお腹を撫でられただけで、ボクが絶ちょ……えっと、昂っちゃうのを癖にしてやろうってわけだ?」

 

「それは、その……腹筋の感触がすごくよかったっていうか、いろいろ研究した成果っていうか……」

 

「さらに!

 いつもとは毛色の違う一戦終えて、ぐったりしているボクにキミは優しく語りかけながらも要所への刺激は怠らないんだね?

 後ぎ……アフターフォローもバッチリだ。

 ほんの少し触れられただけなのに、その効果たるや絶大で!

 熱を帯びたボクの身体は、その熱気が静まることなく強制的に維持し続けられていて、ボクの呼吸が整ったと見るやいなや、キミはボクの口を塞いだ上にあろうことか下のく……」

 

「そ、そこまでだ!」

 

「むしろアフターフォローじゃなくって、2回戦目の準備だったんだね!」

 

「そこまでにするの!」

 

 王子様がなぜかペットボトルを激しくにぎにぎしながら蕩けた視線で語り始めたんで、オレは慌てて待ったをかけた。

 

 ペットボトルが破裂しちゃう!

 

「今夜もすっごいこと!

 しようね?」

 

「わ、わかったからっ!」

 

 何かに満足したのか、王子様はようやくオレから離れた。

 

 ペットボトルをテーブルに置いて、ボトルキャップに指を掛ける。

 

「よしっ!

 まずはボクが味見するから、キミはその後だ。

 間接と直接どっちがいい?」

 

「……かん」

 

「直接ね!」

 

「ちょ、ま……!?」

 

「じゃあ、開けるよー!

 えいっ!」

 

 

 

 

 ――プシャッ!

 

 

 

 

 

「……」

 

「……大丈夫か?」

 

 王子様は眉尻を下げた情けない顔をオレへと向けた。

 

 最近の炭酸飲料のペットボトルは中身が吹き出ない構造になっているんだけど。

 

 まぁ、アレだけペットボトルをにぎにぎというか、振り回していれば中身が吹き出しもするだろう。

 

 それにしても、なかなかレアな表情の王子様だな。

 

「うぅ、手がびっしょりだ。

 もったいない」

 

 まぁ、溢れてしまったのはそこまでの量でもない。

 

「ほれ、ティッシュ」

 

「あぁ、ありがとう。

 ……ふむ、このティッシュの減り方からすると確かに一人遊びはしてないようだね。

 まぁ、一人遊びするような余裕なんて与えているつもりもないけど」

 

「余計なことはいいから、さっさと拭け」

 

「うん」

 

 丁寧に指先を拭っている王子様を眺めながら、先ほどの光景がどうしても思い出されてしまう。

 

 勢いよくコーラが吹き出した時の音。

 

 いや、全く違うと言えば全然違うんだけども。

 

 そもそも音なんて出ないし。

 

 ただ夜の王子様が思い出されてしまって仕方がないんだ!

 

 こう、ぷしゃって感じが……

 

「何か不埒なこと考えてないかい?」

 

「……そんなことないぞ」

 

 なんでオレの方を見てもいないのに判るんだよっ!?

 

 しれっと誤魔化したが、表情を見られていたら全部悟られていたかもしれない。

 

 さっきの王子様の弱りきった顔もまた昨夜の出来事を思い起こさせる。

 

 王子様の眉根を寄せた表情。

 

 強張る身体。

 

 全身桜色に染めて、王子様はオレの成すがままされるがまま。

 

「何か不埒なこと考えてるよね?」

 

「……そんなことはまったくないぞ」

 

 拭き終わったのか、王子様はティッシュを丸めながらオレへと笑いかけてきた。

 

「ふふ、まぁ、いいんだけど?」

 

「なんのことだ?

 それよりも服まで飛び散っちゃってるぞ」

 

「ん?

 まぁ、別に構わないよ。部屋着だし汚れることも想定しているからね」

 

 うーむ、そうだとしても高そうな服が汚れているのは気になると言えば気になるな。

 

「染みになる前に洗濯した方がよくないか?」

 

 オレみたいな着古したTシャツなら気にもしないんだが、王子様のはどこぞのブランド品だとしても驚かないぞ。

 

「キミが気になるんだったら着替えてもいいんだけど……

 今はキミから離れたくないな―」

 

 と、そこまで言ってから王子様が突然にやりと口の端を釣り上げた。

 

「ふふ、そうだねー」

 

「ど、どうした?」

 

「やっぱりシャツが濡れていてちょっと気持ち悪いなー」

 

「そ、そうか?

 だったら、着替えてきたらどうだ?」

 

「ふふ、そんなツレないこと言わないでくれよ」

 

「え? は?」

 

 オレが止める間もなく、王子様は部屋着のシャツを何の躊躇いもなく脱ぎ去った。

 

 眩しいくらいの白い肌と大きな胸を支える下着が露わになる。

 

「ちょ、おま……!?」

 

 今日は薄いグリーンか……じゃなくって!

 

「よく見たらスカートにもコーラがかかっちゃってるね。

 こっちも脱いでしまおう」

 

 スカートのホックをあっさりと外す王子様。

 

 ストンとスカートが床に落ちて、上下揃いの下着姿の王子様が現れた!

 

 何度も見ている姿のはずなのに、心拍数が跳ね上がる。

 

 未だに慣れない……というか、毎度その綺麗さに見惚れてしまうのだ。

 

「家に戻るのは面倒くさいからキミのシャツを貸してくれよ?」

 

 なるほど、そうきたか。

 

 まぁ、まったくもって構わない。

 

 そもそも事あるごとに、王子様は理由をつけてオレのシャツを借りてるしな。

 

 本音を言えば、シャツ一枚きりの姿の王子様には毎度ぐっときてしまうのだ。

 

「……って、なんでブ、ブ、ブラジャーまで脱ごうとしてるんだよ!?」

 

「え?」

 

 背中に手を回した状態で王子様が不思議そうな表情で固まった。

 

「だって、脱がないと()()られないじゃないか?」

 

「は、始めるって……」

 

「せっかく部屋着を脱いでしまったんだし、ついでにもう始めちゃってもいいかなーって?」

 

「ついでにすることじゃないよ!」

 

「うん。

 じゃあ、満を持して始めようか?

 ボクの方は準備できてしまったよ?

 キミはどうだい?」

 

 上目遣いで王子様が迫ってくる。

 

「今日の課題も終わってるよね?」

 

「そ、そうだけど……」

 

「キミの準備もできちゃってるよね?」

 

 王子様がちらりとオレの下半身へ視線を走らせる。

 

 こんなあられもない王子様を見せられてしまっては一瞬で準備など整ってしまうというものだ。

 

「それともゲームの方がいいのかい?」

 

「そんなことあるか」

 

 ゲームの方こそ、ついでなのだ。

 

 なんだかんだと言い訳をしながら、王子様と二人きりになれる理由を作っているんだからな。

 

 まぁ、オレが理由なんて用意しなくても、王子様の方からそう仕向けてくれるけど。

 

「実はね……」

 

 王子様がオレの首筋に顔を寄せて、すんすんと鼻を鳴らした。

 

「お、おい、汗臭いだろ」

 

「うん、良い匂いだ」

 

 さらにオレへと顔を近づけて王子様は、すーっと息を吸い込んだ。

 

「たったの30分程度だったんだけど、ホントに寂しく感じてしまったんだ」

 

「オマエ、それは……」

 

 余りにも大げさ過ぎる。

 

「わかってるさ。

 流石にボク自身も意外だったんだけどね……」

 

 王子様の雰囲気がどんどん妖しくなっていく。

 

 冗談めかして薄っすらと口元を上げているけど、目の奥が深く黒くなっていた。

 

「突発的な事態だったからボクも何の準備もしてなかったから困ったよ。

 咄嗟にキミの枕を吸ったり布団にくるまったりして急場を凌ぐことができたけど」

 

「何してんだ!?」

 

「買い物とゲームの進捗を分担して効率化を図るってのはボクとしても賛成ではあったんだけどね。

 もうダメかもしれない。

 これからは非効率でもキミと一緒の時間を極力多く取れるようにしていくよ」

 

 こ、これ以上か……まぁ、別にいいけど。

 

「具体的にはトイレ以外?」

 

「ほぼ、24時間じゃねぇか!」

 

「ふふ、キミのトイレには付いて行っちゃおうかな?」

 

「か、勘弁してくれ」

 

「まぁ、半分は冗談……三割、うーん、二割五分……一割くらいは冗談さ!」

 

「それは冗談じゃないってことなんじゃ……」

 

 さっきから目が全然笑ってないんだよな。

 

「どっちでもいいじゃないか?

 ボクはそれくらいキミと一緒にいたいってことさ」

 

「り、理解はしたけど……」

 

 王子様ならホントに実行しかねない。

 

「それに不公平じゃないか?」

 

「な、なにが?」

 

 王子様は少しだけ頬を赤らめながらにっこりと笑った。

 

「キミはボクの、えっと……粗相を何度も目撃しているのにずるいよ?

 昨夜だって恥ずかしがるボクを弄ぶように責め立ててくるし……

 大歓迎だよ!」

 

「わ、わかったから!」

 

 トイレに付いてきて良いって意味じゃないぞ!

 

「さっき、コーラで失敗しちゃったとき、何を想像したんだい?」

 

 ば、バレてる!?

 

 妖しい雰囲気を纏いつつ、王子様がオレへにじり寄ってくる。

 

「ホントはね……」

 

 ちょっと照れくさそうに、珍しくどこか弱気な表情を浮かべて、王子様は静かに言った。

 

「もう一秒たりとも離れていたくないんだ」

 

「わかったよ」

 

 王子様に懇願されてしまったオレに、断るという選択肢などあるわけもなかった。

 

 オレの返事を聞くと、王子様は嬉しそうに頷いてオレに抱きついてきた。

 

 ぎゅっと頭を抱えられて、柔らかな谷間に顔が埋まる。

 

「ほら、キミの大好きな柔らかぷるぷるだ。

 存分に賞味してくれ」

 

 抗えない誘惑に、理性の糸がぷつりと切れた。

 

 一気に王子様を抱え上げて、ベッドへ押し倒す。

 

 それを待ち望んでいたかのように、王子様はオレの体重を受け止めて、ぎゅっと抱きついてきた。

 

「今日はずっと一緒にいたい」

 

「いつも一緒にいるだろうが」

 

「いつも以上に……だよ」

 

「これ以上って……」

 

「ふふ、そうだね……」

 

 人差し指を顎に添えて、軽く思案する王子様。

 

「密着できる場所は全部くっつけたい。

 これはもう文字通り、キミとボクが触れられる場所全部って意味だよ?

 両手両足はもちろん、身体の表面積の許す限り肌を重ねるんだ。

 でも、それだけだと今日は足りないから、できうる限り密着するために皮膚だけじゃなくて粘膜も密着して欲しいね?

 口だったらお手軽でいいだろう?

 キミは人目を気にしすぎるから、外では満足に()()くれないから遺憾の意を表明するよ。

 でも、ここはキミの部屋だから大丈夫だよね?

 そして上はもちろんのこと下もだよ!

 キミの()()はボクで包みこんであげるから、キミはボクの胎内(なか)を満たしてくれ。

 ふふ、合体最長時間を更新しよう!」

 

「さ、最長か……」

 

 ごくりと生唾を飲み込んでしまった。

 

 王子様が望むならそれくらい全然余裕で対応するぞ。

 

「ボクと繋がったままゲームしたり、食事したりもありだ!

 お風呂はもちろん、前倒しで課題をこなしたっていいよ。

 ボクと()()したままならね!

 対面で抱っこした状態ならいろいろできるだろう?

 ボクとしてもキミを間近で見ることができるし、Win-Winだね?

 なんなら食べ物も飲み物もボクが口移しで……」

 

「い、移動はどうするんだ?」

 

「それこそ、キミがボクを抱っこしたまま、こう……抱え上げてくれる感じで!

 古の時代の駅構内でお弁当を売り歩く様を比喩したという由緒正しき合体状態だね?

 ふふ、きっとボク、ゆっさゆっさされて責められちゃうんだ……

 組体操みたいで楽しそうだね?

 あ! もしかして手押し車のほうがよかったかい?」

 

「手押し車!?」

 

「宅配便の対応だって一緒にするんだよ?」

 

 今日は何も届かなかったはずだ!

 

「合体してたら流石に食事は作りにくいから、今日はフードデリバリーにしようか?」

 

「えっ!?」

 

「うん、キミが背後からボクを抱きしめつつ、羽織物でキミを隠してボクが対応する二人羽織体勢で受け取ればなんとかなりそうだね!」

 

「なるかっ!

 無理がありすぎるわ!

 そもそもデリバリーは頼まん」

 

「え?

 でも、ボクはともかくキミをご飯抜きなんてさせるわけにはいかないなぁ。

 ってことは繋がったままボクが作る?

 これはなかなかハードなことになりそうだね」

 

「う、うちにもインスタントなり缶詰なりあるから!」

 

「うーん、キッチンでのプレイは望むところなんだけどなぁ。

 でも今日はずっと()()したままって約束したし!

 困ったなぁ」

 

「そ、そこまで拘る必要はないんじゃないか?

 今日はもうどこにも行かないし、オマエの見えるところにいるようにするから!」

 

「えー?

 でも、ボクとしては非の打ち所なく、言い訳の隙なく、完全無欠に一緒にいたいからなぁ。

 要は!

 キミとボクの距離は(ゼロ)!」

 

(ゼロ)!?」

 

「その上、時間的には寸刻たりとも離れてはならない!」

 

「寸刻!?」

 

「浄の間すら許さないぞ!

 ふふ、説明しなくても判るよね?」

 

「そ、それは……」

 

 王子様の気の済むまで、ずっと……ってことだよな。

 

「そのとーりっ!」

 

 オレの首根っこに王子様がしがみついてきた。

 

「本当は一生繋がったままでもいいくらいなんだ!

 でも、ボクにも常識はあるからね?」

 

 ホントかよ。

 

「なので、明日の朝まで……で我慢しよう。

 それくらいでボクの寂しさは消えて、満足するはずさ!」

 

「あ、朝まで……」

 

 未だ陽は高くなりつつある時間。

 

 南中高度にすらなっていない。

 

 ほぼ丸一日ってことじゃないか!?

 

「さて、始める前に何か要望はあるかい?

 今日はボクのわがままを聞いてもらうんだ。

 大抵のことは受け入れるよ?」

 

「え、は?

 えっと……」

 

「どんなアブノーマルなことでも言ってみるといい!

 ボクはキミの癖を全て受け止めるっ!」

 

「そんなこと言わないからっ!」

 

「え!?

 でも、昨夜だってボクのおし……」

 

「そ、そそ、それはその、勢いっていうか、調子に乗りすぎたっていうか……」

 

「ふふ、ボクは嬉しかったから申し訳なさそうにしなくても大丈夫!

 大歓迎だよ?」

 

「あ、う……」

 

「さぁ!

 何かあるだろう?

 何でも言ってくれ」

 

 溌溂と宣言する王子様。

 

 その表情はやる気と気概に満ち溢れていた。

 

 オレが言い出しにくそうに、ちょっと躊躇っていると王子様が嬉しそうに質問してくる。

 

「ふふ、どんなえっちなことを要求するつもりだい?

 あぁ、ボク、どんなことされちゃうんだろう?」

 

 王子様の、心底楽しみなんだろうなぁ、という極上の笑顔。

 

 そんな王子様にオレは……

 

「と、トイレは一人で行ってもいい?」

 

「ふむ……」

 

 一拍の間。

 

「状況を見極めながら関係各所と調整の上今後の推移を注視しつつ総合的な判断を踏まえ選択肢の一つとして前向きに検討を加速しようじゃないか」

 

「全然受け入れてなくないっ!?」

 

 

 

おしまい

 

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 帝国北部の離宮では、忌み子と呼ばれた皇女フレイヤが誰からも死を望まれて監禁されていた。▼ そんな離宮で働く少年アレクは、ある日フレイヤと出会ってしまう。▼ 人の命を食らうフレイヤに、命をわけあたえた少年アレク。それによって命を繋いだフレイヤは、予定調和のように恋に落ちる。▼ そこから運命は動き出し、フレイヤはいずれ女帝となった。▼ ――暴君と呼ばれる女帝に…


総合評価:5117/評価:8.83/完結:36話/更新日時:2026年04月01日(水) 20:15 小説情報

【R18】オルタはお嫌いですか?(作者:濁り丸)(原作:Fate/)

【小説情報】▼ 女性サーヴァント達と男性マスターのハーレム系作品です。▼ 短編形式で多数のキャラクターを執筆しておりますので、好みのキャラクターのお話だけでも読んで頂ければ幸いです。▼ 創作活動を継続していくため、FantiaとpixivFANBOXを開設しております。▼ 月額300円で支援サイト限定作品(500作品以上)の閲覧が可能。▼ 週に一回以上の作品…


総合評価:15956/評価:9.19/連載:137話/更新日時:2026年09月13日(日) 00:00 小説情報

【R18】和風凌辱エロゲーの主人公兼ヒロインの兄に転生したんですが何か違う(作者:ビシオ)(オリジナルファンタジー/ホラー)

どうやら和風ファンタジーな凌辱エロゲーの主人公兼ヒロインの兄に転生した。何故かはわからないが、ゲーム通りの展開なら妖魔に妹が犯されると知っては黙って見ているわけにはいかない。妹を守るために頑張ろう!!▼んん?なんか世界観が違うような……。▼タグは指摘があったら追加します。


総合評価:21559/評価:8.94/連載:57話/更新日時:2026年08月31日(月) 23:24 小説情報


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