※この作品はR-18です。

しがない一式神の日常〜桃色日和〜   作:ふなぐち又兵衛

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半年以上も間が空いてしまいましたが初投稿です。
残酷な描写タグを追加しました。


おでかけ

固めの座席を介して、定期的に私の身体を振動が走る。

小さな窓から見える景色が、文明的かつ無機質な建造物の集合体から、

次第に木々や山、崖、或いは海だという蒼い何かに移り変わっていくというのに、

私の胸の内には、これといった感慨は、どうにも浮かんではこなかった。

 

私が生まれ育った山梨の神社…の、周囲に突貫で建てられた宿舎や生活に必要な施設、

そこからほど近い、禁足地の地中に広がる、悪魔と罠に満ちた、迷宮じみた異界。

私の知る世界というものは、せいぜいがそんなものだったというのに。

 

いや、私には、宿舎と異界とがあり、それらの区別がつけば十分だったのだろう。

私は、そばに居られる主が健在でいてくだされば、それで良かったのだから。

 

主は、『俺たち』と名乗り呼び合う人々からは【手羽先ニキ】と呼ばれる水(みず)橋(はし)結(ゆ)友(う)は、

私の左肩に、明るい茶色の髪が生えそろった頭部を預けて、可愛らしく寝息を立てていた。

 

髪やうなじから立ちのぼるかぐわしい香り、適度な重さとぬくもりを伝えてくる感触、

昨晩も褥の中で私の名を呼んでくれた甘い声、閉ざされたまぶたの向こうに潜む蒼穹。

今すぐこの小さく甘美な肢体をむさぼり、慈しみ、ひとつになりたい。

だのに、そうもいかないとは、なんとも。

 

「もどかしい、なあ」

 

私には、眠る主の右手を握ったまま、そっとため息をつくことしかできなかった。

その薬指に光る、孔雀石を孕んだ銀の指輪だけが、私を労(ねぎら)ってくれているようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山梨の星霊神社から東京駅までがおおよそ3時間、

東京駅から東北の玄関口となる、今回主が受けた依頼の、現場までが2時間あまり。

 

やつれた秋の日は、そろそろ西の山並みの向こうに沈む頃、だったろうか。

特急列車から降りた私たちは、ひなびた駅を出て、古ぼけた宿場町へと足を踏み入れた。

 

かつては、石炭を採掘する炭鉱夫や、彼らが羽根を伸ばす為に設けられた、

天然の温泉をひいた宿によって栄えていたというが、今となっては……。

 

それでも何とかやっていっているのだと言いたげな、

4階建ての、まるでホテルとのあいのこのような旅館が、

主の、そして私の、初めての地方依頼の舞台となる場所だということだった。

 

私たちを出迎えてくれたのは、この旅館の支配人と妻だという、

これといって特徴のない容姿をした初老の男性と、

若い頃の整った容姿の残り香がある、伴侶と同年代の女性であった。

いずれも極々低レベルながら覚醒済みだったようで、

彼らとの顔合わせの後で主が、

「女将さんがレベル2、支配人さんがレベル1だったよ」と教えてくださった。

 

さて、今回の件の依頼人である、彼らの話をまとめると、

 

「夜間に物音がしたけれど、誰もいない」

「女湯の辺りが特に酷い」

「見張りを立ててみたものの、やはり姿は見当たらない」

「最近はなんだか女湯の周辺で異臭がする」

「なんというか、嗅いだことの無い、なまぐさい、動物のような臭いだった」

「おとといはそれに男性の体液の臭いも混ざっていた」

「ヒトの髪の毛とも動物の体毛ともつかない黒い毛髪も散らばっていた」

「なんとかして欲しい」

 

とのことだった。

ただ、その、なあ。

すまなさ半分、腹立たしさ半分で、私は彼らに向けて言葉を紡ぐハメになった。

 

「…………申し訳ありません、私は、助手なんです。

 ガイア連合からこちらに正式に派遣されたのは、このひとでして」

「……どうも」

「「失礼しました」」

 

縮こまって謝る依頼人たち、乾いた笑顔の主、仏頂面の私。

即座に謝ってもらえはしたものの、私に向けられていたものより、

明らかに不安の色が濃くなった視線を主に向けられて、

私は、歯軋りをこらえるのに、いささか苦労することになった。

 

「じう……イヤ、そろそろ名前で呼ばせてくれへん? しぐれはん」

「まあ、オフラインだし、ここは星霊神社の敷地内だしな。

 私もお前を名前で呼ぶぞ、ナナコ」

「ええよ、おおきにな。 そんでな?

 ウチのゆーちゃんも、しぐれはんとこの水橋くんも、

 なんやランドセルっちゅーんを背負ってても違和感あらへんやん」

「ふむ」

「お肌はつるつるすべすべピッチピチ、首から下には毛ぇの1本も生えてへん。

 喉仏も出とらんし、口ぃ開きはったら、声は小鳥のさえずりみたいに澄んではる。

 抱っこしてつむじ吸ったったら、桃と金木犀とミルクのまざったええ匂い。

 ウチのゆーちゃんはそんなやけど、水橋くんもそうなんと違う?」

「まあな」

「せやろ? 何よりゆーちゃんも水橋くんもかーええ顔してはるし、

 スカート穿いたったらもう、ちんまい女の子にしか見えへんやろ。

 そんなんやから、なーんも知らん、星霊神社の外の人らが、

 ウチらの旦那はん見たら『◯学生やないかい!』て、びっくりしてまうらしーわ。

 それでガッカリされるのが腹立つゆーんは、よーくわかるねんけどな」

 

のちに、山梨に帰った私は、

知人である金髪の同胞と、このような会話を交わした……いや、

私は、ナナコがペラを回すのに、同意の相槌を打つか、むむむとうなるばかりだった。

……主を馴れ馴れしく「水橋くん」と呼ばれるのだけは、いささか業腹だったが。

こいつら、地方の異界でも軽々しく本名を名乗ったり、

星霊神社に集った同胞を、部外者の前でも、本名で呼んだりしていないだろうな?

初対面の時に釘を差しはしたのだが。

話を戻そう。

 

「…………ったく」

 

依頼人たちとの顔合わせや、彼らによる被害の説明を済ませた後のこと。

私の姿は、異臭やら何やらの被害を受けた、女性用の露天風呂にあった。

 

シキガミの分際で主人をほっぽり出して湯浴みとは良いご身分だな?

そもそも依頼はどうした? 馬車馬のように働け出稼ぎ嫁シキガミ!

 

などと言われてしまいそうな気もするが、

主は主で、少々の見回りと作業の後、

男湯の方で、旅の垢を落としていらっしゃるところだったので。

 

さて、当時の私は、主ともども依頼人の厚意を受けられたというのに、実に不満であった。

 

主が依頼人の夫婦に不安げな視線で見られたのも、

主と別々の場所で、身を清めることになったのも、

何より主から「内部からも見て来て、お願い」と、

私ひとりで、この浴場に送り出されたことも、だ。

 

イヤ、依頼人たちの証言通り、欲望が可視化したような凝(こご)ったMAGが、

浴場の入口からでもハッキリと視えたので、

ひとっ風呂浴びる前に、それの排除を済ませねばならなかったのだが。

まあ、私の拙(つたな)い【ハマ】程度でも、問題なく浄化できる濃度ではあったけれど。

もう数日放置していれば、外道 スライムくらいは自然発生していたかもしれない。

 

それはそうとして、本来ならば、主とふたりきりで湯けむりにまぎれて、

お互いの火照った肌や、私の充血した胸の先端や潤んだ粘膜、

鎌首をもたげた主の可愛らしい欲望の象徴を、

お互いの口と舌で丹念に清め合い、ついには湯の中でひとつになり、

初仕事の前の、愉しく甘いひと時を過ごしているところだったろうに。

 

──まったく、ままならんものだ。

 

湯壺に身を沈めた私は、浮き上がってくる双丘と不満を持て余しながら、

肌に絡みつくような熱い湯の中で、しばし五体から力を抜いた。

 

あーゆうくんだきしめたいゆうくんのつむじすいたいゆうくんのくちびるすいたい

ゆうくんとしたをからめあいたいおたがいのだえきをくちうつしでこうかんしたい

ゆうくんのかおをおっぱいではさみたいゆうくんにちくびをやさしくすってほしい

ゆうくんのゆうくんがわたしのへそにめりこむのをわらってふっきんでこすりたい

ゆうくんのおんなのこみたいなきょうせいをきいてゆうくんおしたおしてたべたい

あつくかたいゆうくんのゆうくんがわたしのねんまくをかきわけるのをかんじたい

おたがいのよわいところをぐちゅぐちゅこすりあわせてきもちよくこえをあげたい

めをあわせながらなまえをよんでほしいすきだよってあいしてるっていいあいたい

びくびくしだしたゆうくんのおててをてでゆうくんをなかでつよくにぎりしめたい

わたしのいちばんおくのきもちいいところでゆうくんをうけとめこうさんさせたい

うちだされたゆうくんのせいえきとまぐにやきつくされてとけていってしまいたい

だつりょくしきったところでもういっかいたっぷりきすをしてそのままねむりたい

 

などと、

頭部に巻いた髪を纏めるタオル以外は全裸で、湯壺に浸かって半眼で茹だりながら、

心身それぞれの芯の部分から垂れ流されている、欲望の声を聞き流していたのだが。

 

湯面に浮いた双丘に、湯壺の中に沈む胴体と脚に、主の為だけに存在する箇所に、

無遠慮に突き刺さる、薄汚い欲望に満ちた視線を、ふと感じとれてしまった私は。

 

舌打ちの代わりに歯軋りをひとつ残して、湯を上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不届き者に対する殺意を抱えたまま女湯を出ると、主が私を出迎えてくださった。

 

「「…………」」

 

強く香る髪の匂い、浴衣の前あわせから伸びる火照った首筋、ほころんだ口許。

何より絡ませた瞳の中に一瞬蠢いていた、愛欲に濁り切ったMAG。

きっと、私の瞳にも、同じものが鎌首をもたげていたに違いない。

照明が弱々しいのか、どこか薄暗い館内で、私たちは目線のみで愛撫を交わした。

 

【房中術】のスキルカードは、私には挿さってはいないのだが。

その時の私は確かに、瞬きいくつか分の時間ながらも。

身体を重ねるどころか、触れ合わせてさえいなかったというのに、

それと同等以上の悦楽を、主と分かち合えていたのだと思う。

 

まあ、その、なんだ。

湯を浴びた私の主の浴衣姿はこの上なく淫猥であり。

主にとっては私のそれもそうだったのだろうと思う。

だから思わず、私たちは互いに視姦し合ってしまった。

なんだか開く必要のない扉を開いてしまった気がする。

 

さておき、主が、どこか名残惜しそうに口を開いた。

私もそれに応え……ようとして、咳ばらいをひとつ。

 

「……しぐ、そっちは、どうだった?」

「明らかにヒトのものではない気配……といいますか、視線を感じました」

「僕の方も、浴場の周囲に、何だか濁ったMAGの残滓があったのを見つけたよ」

 

濁ったMAGと来たか。

そんなモノの持ち主に裸身を見られたとか、私の中で、再び殺意が息を吹き返す。

私のすべては主のものだというのに。

 

「では、さっそく身支度を整えて、それを辿るとしましょう」

「うん」

「……そして、ちゃっちゃとコトを済ませられたら、その……お情けを、頂戴したく」

「ばか」

 

主が口にしたその2文字は、当時の私の耳には、

「あたぼうよ」とも、「死亡フラグは止して」とも、

「このコはもう……」とも聞き取れる、様々な意味を孕んでいたものだと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日付が変わるまで、あと2時間ばかりになった頃、秋の冷涼な闇に風が吹き。

半分に欠けた月が見下ろす、旅館の背後にそびえる山の麓の、茂みの中にて。

 

ライダースーツめいた革製防具姿の主と、

編み上げブーツを履いた剣客巫女の私は、

いつも通り、悪魔がひしめく異界へと、足を踏み入れていた。

 

もとい、お互いの湯上がり姿に恍惚としてしまったものの。

気を取り直して身繕いを済ませた私たちは、

依頼人の旅館に、主が主導して邪気を祓う結界を張った上で──主の、

天使 エンジェルのデビルシフターという体質のおかげであろう、

劣情にまみれたMAGで出来たような存在には、

さぞ息苦しくなるようなシロモノであった。

私とて、主と血肉を分け、夜な夜なお情けを頂いている嫁シキガミの身でなければ、

とても耐えられないような……って、何を言わせるか──、MAGの残滓を辿ることで、

依頼人の旅館に要らん真似をしくさった、悪魔の巣窟に至ることができた。

 

ちなみに出迎えは、やかましく品性の無い声で異性を……いや、

性欲の捌け口を求めてやまない、妖獣 カクエンの群れであった。

 

「レベル12! 火炎と毒無効! 衝撃弱点! アギ! ポイズンクロー!」

「なるほど、衝撃が通るならっ……!」

 

主の【アナライズ】が通り、敵の手札が丸裸になったところで、

私は、目の前の黒い畜生の群れめがけて、左の掌を繰り出した。

マハザンと叫んだ途端、爆風が炸裂し、眼前の黒雲が消し飛ぶ。

 

例の金髪と八重歯の同胞の主にして、私の主の知己、

すなわち『俺たち』からは【豆柴】のあだ名で呼ばれる、

黒い髪と瞳の少女にしか見えない青年が手掛けた、スキルカードのおかげだ。

……しかし、主と負けず劣らずの愛らしい容姿と声でありながら、

伝法ぶったのか、どうにも崩れた敬語もどきだったな、黒(くろ)井(い)…くん? は。

 

「手札はナンボあっても損はねえですよ、

 おれもナメてかかって初仕事でエラい目にあったんス。

 おかげでナナさんには泣かれっちまうし、

 ナナさんにしか勃た、っと、聞かなかったことにしてください。

 じゃねえや、初仕事を受けなさるんなら、是非持ってってくださいな」

 

主が作った【タルカジャ】のスキルカードと、

彼が作った【マハザン】のスキルカードを交換した時の言葉が、

こんな感じの内容だったか。

 

個人的には、名を用いての呪い呪われが当たり前の業界で不用心なことだと思うが、

当人が「黒井と呼んでください」と言っていたし、主より1歳年下だそうだから、

彼のことは、くん付けで呼んでやるべきなんだろう、たぶん。

まあ、現時点での私や主では、たとえ彼に呪詛を飛ばしたとしても弾かれるだろうし。

 

なんにしても、お互い適当な距離を保って接していきたいところだ、

今は千葉県に里帰りしている、波打つ金髪の小さな同胞と、その主ともども。

などと、とりとめのない思考を回しながら、私は主に先駆けて、

ほんのり獣とイカの臭いが漂う茂みの中を、爆風と刀をもって斬り開いて行った。

「メスだ」「ヤりてえ」「ヤらせろ」以外の言葉を知らんような、

人面獣身ならぬ、人面猴身の黒い悪魔どもを、片っ端から吹っ飛ばしながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして20分ばかり、爆風を炸裂させ、刀を振るい、森の奥へと進んでいただろうか。

私たちは、暗い茂みの中に開けた、広場のような場所に出たようだった。

半分になったとはいえ、月光が照らすそこは、視界がだいぶ開けている。

そのおかげで、見たくもないものも、私の鮮血色の瞳には、よく見えた。

 

もとい、今まで蹴散らして来た者どもよりひと回りはデカい、

すなわち、身長177cmの私よりも、頭ひとつ分は上背がある。

そんな大柄なカクエンが10体ばかりも後ろ足で立ち上がって、

垢にまみれた暗い肉色の先端から透明な雫をしたたらせつつ、

血管が浮いた、汚らわしいものをそそり立たせて屯していた。

 

──メス、ヤラセロ、以外の台詞は言えんのか貴様らは。

 

眉間のシワが深くなるのを自覚しながら、私は飛びかかってきた先頭の1匹に、

これまでの道中で何度も繰り返してきたように、抜き打ちの一太刀を浴びせた。

 

それが拙かった。

 

「な……!?」

 

あろうことか、私の放った【絶命剣】は、

先頭のカクエンが力こぶを作るように掲げた右の肘から、

二の腕の半ばにまで食い込んで、受け止められてしまっていたのだ。

厭らしい笑みを浮かべたカクエンが、健在な左腕を伸ばして来たので、

私は咄嗟に刀を手放して、後方へと飛びすさらざるをえなかった。

 

「ソンナナマクラ、オレタチノ毛皮ニ通ルカヨ!」

「犯ッテヤル、犯ッテヤルゾオ!!」

 

2番手、3番手のカクエンが、唾を吐き散らしながら囃し立てるのが耳障りだった。

だが、メインウェポンの打刀は、たった今奪われてしまったというわけで。

 

舌打ちしながら、腰に差していた小太刀を抜いた私の目の前で、

厭らしい笑みを浮かべたままの1匹目が、

右腕に食い込んだ私の刀を引き抜くために左手を動かそうとして、

 

「「「アンギャアアアアアアア!?」」」

 

どこか情けなさを帯びた、魂消るような叫びが、3つ重なって響き渡った。

 

「レベル15で物理耐性で電撃と疾風が弱点」

「でも僕らに疾風属性は撃てないんだよな」

「まあそれはそうとして」

「呪殺耐性が無いのなら」

 

私の背後から響くのは、地を這うような冷たい声。

それが息継ぎを挟むたびに、搾り出される断末魔。

抑えられてなお澄んだ声が、処刑宣告を紡ぎ出す。

 

──はやにえになって、しんじまえ。

──ぼくのおんなに、てを、だすな。

 

私の眼前で、地べたから唐突に突き出した黒い槍が、

先頭のカクエンどもの胴体を、下から上へと貫通し、

肩から首から脳天から、思い思いの出口へ突き抜けていた。

例外なく、ふたつ並んでぶら下がっていた、欲望の源泉をブチ潰して、だ。

 

串刺しにされるのを免れた残りのカクエンが、喉を短く鳴らして後ずさる。

どいつもこいつも、血の気が引いてしおれた汚いものを両手で隠しながら。

 

「クソッ、散レ! アノガキヲ、遠クカラアギラオデ焼イチマエ!」

 

と、生き残りの1体が喚き、それに応えるように、一斉に業火が主へと襲いかかる。

私は主の真正面に跳び、ひるがえした白い袖で、主の上体をくるんで抱きかかえた。

そして、私の背を、束ねられた灼熱の舌が、しばしの間、ねぶり回した。

 

まあ、炎が途切れると、距離をとった害獣どもの、

「効イテネエダト!?」や、「アノメス、髪サエ焦ゲテネエ!」などという、

狼狽した声が聞こえたわけだが……貴様らの温い火で私が焼けるわけがなかろう。

私を焦がすのは、いつだって、忠誠と銘打たれた、主への慕情と劣情だけなのだから。

 

「ごめん、ありがとね、しぐ」

「いいえ、これが私の役目ですから」

 

──しぐれちゃんは俺と同じ火炎使いだろ?

──なら装備にも耐火性付けてた方が良くね?

 

どこか呑気かつ安易にそうのたまって、

主と私のペアリングを作ってくれた八重歯の職人どのが、

私の纏う巫女装束やらブーツやら、果ては刀の鞘にまでも、

火炎無効じみた、防火処理を施してくれたのが功を奏した。

……ただ、その、なあ。

彼には是非とも、しぐれ『ちゃん』呼びをやめてほしい、どうにも恥ずかしいから。

どこぞのメスカクエンも頬を掻いて苦笑いしていたしな、

「火(ひ)山(やま)はん、ウチ、ナナコちゃんってナリとちゃうんやないかなて思うんよ」と。

 

何はともあれ、主の歯弾を媒体に繰り出された【ダークスピア】の穂先が。

禍々しい風切音と、汚い悲鳴を伴って早贄にした、残りのカクエンどもを。

私が【マハザン】でMAGに還したのは、それから間もなくのことであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

得物を検め、体力と気力をそれぞれ主の魔法と、チャクラドロップで癒やす。

そんな小休止を挟んでから、私たちは異界の最奥へとたどり着いた。

 

そこに居座っていたのは、

この異界に踏み込んでから私たちが薙ぎ払って来た下っ端どころか、

先程主が早贄にした連中よりなおデカい、特大のカクエンが2体と。

頭部からトサカと1対の枝角を生やし、不気味に長い四肢を有した、

カクエンどもよりさらにデカい、白い毛皮と黒い顔面の大猿だった。

 

主が【アナライズ】して視えた内容を小声で口ずさむ。

 

「カクエンはレベル23、物理耐性、火炎と呪殺が無効、破魔弱点。

 アギラオとスクカジャと、折り、たたみ? 近づいたらマズそうだね」

「白いのはレベル28の邪鬼 ウェンディゴ、火炎弱点、氷結反射、破魔と呪殺無効。

 マハブフーラと、キャロル、ヒット?

 いっしょに戦ってる仲魔とはぐれるくらい、遠くまで飛ばされる一撃、だったかな」

「しかも、それを振るってくるのは、ふたつみっつ程度とはいえ、格上ですか。

 ホームランされないように気をつけましょう、主」

「だね」

 

ここまで私たちが会話を交わしたところで、向こうも私たちに気づいたらしく、

見た目に似つかわしく重い唸り声で、三猿がさえずり出した……ただし、

これまでのお約束通り、聞くに堪えない、薄汚い欲望にまみれた戯れ言を、だ。

 

「メスト……ガキカ、チョウド良イナ、溜マッテタンダ」

「ガキハ要ラン、喰オウ」

「イヤ、手足ダケ喰ッテ、メスヲ犯スノヲ見セツケテヤロウ、喰ウノハソレカラダ」

「イイノォ、ソレハ」

 

──やってみろ、畜生ども。

 

邪魔な苛立ちは吐息に交ぜて排出し、残る殺意を腰に納めた刀に乗せて、腰を沈める。

背後で主がスリングショットを引き絞る音を感じ取りながら、

私は、せせら笑って駆け寄って来る黒い巨体を睨みつけた。

それにしても、これまで見せられてきた中でも一等醜いな、こいつらのナニは。

今すぐ斬り落として、目の前で踏みにじってやりたくなる。

 

「我ラニハ刃モ矢弾モ通ラヌワ!」

「ソンナオモチャデ何ガデキル!」

 

こちらに向けて飛びかかりながら、空中で威勢良く喚いていたカクエンどもだったが。

次の瞬間、どちらも間抜けな声を上げて、巨大な壁にぶつかったように動きを止めた。

 

【テトラカーン】の術式を刻み込んだ主の歯弾が、スリングショットで撃ち出されて、

痛みも感じさせないままに、それぞれの眉間にめり込んでいたからだ。

 

おそらくは、連中の飛びかかりが、

その術式に【突撃】か、さもなくば【ぶちかまし】とでも判定されたのだろう。

歯弾に刻み込まれた【物理反射】が発動して、

推進力を相殺された黒い巨体がふたつ、垂直にずり落ちて来た。

そう、ちょうど私が振るう刀の物打ちが、急所を通過する辺りにだ。

 

「オマエラ何ヲヤッテル!」

「そういえば、出迎えのカクエンどもは、火が効かん者ばかりだったが」

 

苛立ったウェンディゴのだみ声に、我ながらフラットなつぶやきが重なって。

主がかけてくださった【タルカジャ】が、私の五体に全力以上を発揮させた。

 

──他の属性なら、その限りではないよな?

 

抜き放たれた一太刀には、耳目を苛むような熱い紫電が纏わりついていた。

かつて、私の衣類を用立ててくれた、黒衣の魔女どの謹製の鞘のおかげだ。

使い手のMAGを喰らい、納めた刃に【ジオンガ】を付与する特注品である。

 

その斬撃は、私から見て左手側のカクエンの胴体を、横隔膜の辺りで両断し、

横に並んだもう1体の土手っ腹を斬り裂き、電撃の余波でその体内を焼き焦がした。

相方が変じたMAGの残滓に彩られた巨体が、苦悶の声と地響きを奏でてくずおれる。

「文字通りの紫電一閃だねえ」と、どこか苦笑を帯びた主の声がハッキリと聞こえた。

 

さて、這いつくばる焦げ臭いカクエンにトドメを刺そうと刀を翻した私に、

ウェンディゴの激昂と獣臭を帯びた、【マハブフーラ】が押し寄せてきた。

それを迎え撃つのは私の舌打ちとともに放たれた【アギラオ】と、

私が暇を見つけては内職して主に預けていた、アギラオストーンが2つ、いや、3つ。

吹雪と4重の火球が衝突し、季節はずれの花火が、闇夜に咲いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しぐ! 大丈夫!?」

「んっ……戦闘に支障はないですが、いささか冷えました。

 あとで念入りに暖めてくださいませ、布団の中で」

「よし、大丈夫だね!」「きゃいん!」

 

閃光と爆音と、おまけに吹雪が爆ぜた水蒸気に紛れて、私は主のお側に退いていた。

その際、四肢のあちこちに凍傷、前髪に少し霜が降りたが、所詮その程度。

主がかけてくださった【ディアラマ】と【パトラ】のおかげで、いたって快調である。

 

尻をはたくのなら平手ではなく下腹部でお願いしますと軽口を叩いてみせると、

無言で放たれたおかわりが、追加の【タルカジャ】を帯びて五体を駆け巡った。

…………少し、濡れた。 とまでは、口に出すまい。

 

「クソ……見セツケヨルワ……! ソノデカ乳デカ尻、我ニ、ヨコセ!!」

「オレニモソノデカ尻ヲ叩カセロヤ、コノエロガキ!!」

「やなこった、だよ」

「誰がデカ尻だ、死ぬまでシゴいてろ、サルらしく」

 

畜生どもの声が快…くはないな、思わず、左手の中指をおっ立ててしまった。

「お下品!」と主の声が響き、みたび私は牝犬の嬌声を上げ…やべ、濡れる。

 

「ナ、マ、イ、キ、ナアアアアアアア!!」

 

ウェンディゴが怒鳴りながら、トラッシュトークを断ち切るように、

手近に生えていた樹木を片手で引っこ抜いて、私たちめがけて投げつける。

ダメ押しに感電の麻痺から立ち直ったカクエンが、その木に業火を吹きつけ、

炎上させてきくさったので、即席の焼玉式焼夷弾とやらが、私たちを襲った。

 

──あ゙、これ刀で迎撃とかムリなヤツだ、デカい、わりと速い、燃えてる。

 

ひと目でそう判断してくれた、私の首から下は実に機敏だった。

右手の刀を腰の鞘に納め、主を抱きかかえて、宙を駆ける樹木に背を向ける。

専用シキガミたる我が身の【物理耐性】と我が身及び装備の【火炎無効】をもって、

主をかばおうと主に抱きついた私は、抱きしめ返されたと知覚した途端、空にいた。

 

主がその小さな背中から翼を生やし、私を抱えて、

飛来する巨大な松明から、上空に逃げたからだ。

天使 エンジェルのデビルシフターたる主の面目躍如であろう、天を駆けるのは。

 

「あるじぃ!?」

「いくらしぐが頑丈でもあれはダメでしょ! 離さないでね!!」

「ハイ!! ……ところであゆじ、その、当たってます、私のおなかに」

「……それはほんとにゴメン、あとカニばさみしないで、余計に元気になるから」

「すみません、そうしないと落ちてしまうので……♪」

「ひっ……しぐれさーん!? 耳に息吹きかけないでしぐれさーん!?」

 

舐めたり吸ったりしないだけ、我慢していると思ってください、主。

いかんな、殺し合いの場だというのに、結友くんを押し倒したくて仕方がないんだが。

 

「乳繰リ合ッテンジャネェゾ、コノエロガキドモォ!!」

「絶対犯シテ姦(ヤ)ルカラノオ! ガキナンゾニ盛(サカ)リヨル、イカレメスメガア!!」

「はあ、逆立ちしても女に需要が無いサルどもがうるさいですね、主。

 私には主以外の牡なんて不要なのですが」

「そう言ってくれるのは本当に嬉しいけどお黙ろうね、しぐれ?」

「きゅうん……」

 

私のおなかにめり込んでいたあゆじの結友くんがしょんぼりした一方で、

花咲くような笑顔を浮かべた主の左コメカミには、ほんのり青い十字架が浮かんでいた。

少女めいた主の美貌が台無しである、おのれ害獣どもめ。

 

さて、私という重りをものともせず、主は宙でスリングショットを引き絞られた。

再び投げつけられた巨大な松明型焼玉式焼夷弾──それもウェンディゴと、

腹の傷を手で抑えた死にぞこないのカクエンとで、2発分である──が、

スリングショットから撃ち出された歯弾を受けて、逆落としに弾き返されてゆく。

 

【テトラカーン】を帯びた歯弾によって、自分たちめがけて返品された焼夷弾を前に、

罵声を吐き捨てたウェンディゴが、腹の痛みに呻くカクエンの首根っこを掴み上げた。

ほぼ無効化にまで至ったと思しき【物理耐性】と【火炎無効】は十全に機能し、

燃え盛る大きな松明は、巨猿どもに何の痛痒も与えられないまま、地に落ちた。

 

「何スンジャボス!?」

「ウルセェ! 炎モ物理モ効キヤシネエダロ!!」

「クソッタレ! 我、腹ガ裂ケトルンジャガ!?」

 

──おうやれやれ、そのままオスザル同士でくんずほぐれつしていろ。

 

「死ぬまで、なあ!!」

「ゲァアアアアア!?」

 

【テトラカーン】で反射された樹木が、盾にされたカクエンに命中した瞬間、

私は──実に名残惜しかったが──主から身を離して地に降り立ち、駆け出した。

そして、醜く罵り合っていた連中の足元まで、ひと息で駆け寄った上で。

カクエンの業火とウェンディゴの吹雪双方の残滓が散らばる森の最奥で。

再び抜き打ちの斬撃を、見苦しく喚き散らすカクエンに叩きつけたのだ。

 

波打つ金髪の小さな同胞の主より、スキルカードとして伝授された【白龍撃】は、

逆(さか)風(かぜ)の太刀として、黒い巨体を股下からみぞおちの辺りまでザックリと掻っ捌き。

最後に残された白い邪鬼には、腹の底からの絶叫とともに【絶命剣】を叩き込み。

主が撃ち放ったストーンに合わせた【アギラオ】を浴びせ、荼毘に付してやった。

 

雪山に溶け込む為の毛皮が、焦げ臭い塊と化して、くずおれるのを見届けて。

私は刀を右肩に担いだまま、左腕の袖をもって、額に浮いた汗を乱雑に拭う。

私の隣に舞い降りた主から漂ってきた桃のような香りが、無性に恋しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからのことを語ろう。

 

主と私は、ウェンディゴやカクエンの遺した霊的素材(フォルマ)──具体的にいうと、

その両者の皮だ──を回収して、崩壊を始めた異界から脱出した。

 

そして、改めて依頼人の旅館の周囲に、【ハマ】と【エストマ】を基盤にした、

魔除けの結界を張り巡らせることで、今回のような事態の再発を防ぐ処置を施した。

 

……さすがに、主のような、レベル20台半ばにもなる術者が、

この土地に常駐する必要があるようなことには、そうそうなりはしない、と思いたい。

ただ、今後、現世と異界の境界線を取り払う、

ゲートパワーとやらが上昇すれば、その限りではないだろうが。

 

などと、どこか無責任な気持ちを抱えながらも、私は桶に溜めておいたお湯を浴びた。

浴場の入口付近に設置された時計の短針は、そろそろIVを指すところだろうか。

正直、今夜は、異界を潰すより、結界を張って回る時間の方がよほど長かった。

 

──それもこれも、今この時の為。

 

普段はへの字口で眉間にシワを寄せるか、歯軋りをするか舌打ちをするか。

そんな表情ブス一直線の挙動しかしてくれない、役立たずの我が表情筋なれど。

今宵この場においては、やわらかい笑みを浮かべてくれるものらしい。

 

「あゆじい……♪」

 

いや、これはもうやわらかいどころではないな、鏡で見なくてもわかる。

ナナコの奴をメスカクエン呼ばわりできないレベルで蕩け切ってやがる。

 

情欲に染まりきった私の視線の先には、下腹部にタオル1枚をかけただけの主が。

入浴用の椅子に腰掛けて、何かを諦めながらも何かを期待するような、

そんな相反する色のMAGを合わせたような目で、愛らしく苦笑いしておられた。

 

失礼しますね、あゆじ。

そう声をかけて、私は主の背後に回って、ボディーソープを右の手のひらに。

左手にお湯を掬い、これでもかこれでもかと泡立てる。

そして我ながらムダにデカい双丘に、生じた泡をたっぷりとなすりつけ。

目の前の火照った小さな白い背中に、そっと身を預けた。

 

眼下のつむじから漂ってくる、ミルクをまじえた桃と金木犀の香り。

耳朶をくすぐるのは、何かを堪えるような、鼻から抜ける甘い吐息。

視線をずらせば、濡れた白いタオルを持ち上げるささやかなテント。

白く火照る背中にこすれ、硬度と快い痺れを増すばかりの我が双丘。

しとどに潤い、たたえた雫をはしたなく床にしたたらせる我が真芯。

 

真芯に劣らぬほど、口中に涎が溜まってきたので、たまらず私は主の対面に跪く。

 

血の気ののぼった頬に手を添え、熱く濡れた唇を食んで、

伸ばした舌で甘い口内を侵し、溜まった唾液を送り込む。

すべらかな細い喉がこくこく鳴ったのを快く聞きながら、

歯茎をなぞり犬歯をねぶり、あふれる雫をひたすら啜る。

 

舌なめずりして雫の橋を切るも、トロリと溶けたまなざしは結んだままにして。

口内を舐め回して主の味を反芻しながら、私は唾液の緊急生成に取りかかった。

 

主の下腹部を未だに覆う、野暮なタオルには退場してもらい、

背伸びしてなお顔を半ば以上隠したままの、主のゆうくんとご挨拶。

右手には追加の液体石鹸、左手にはせっせと用意していた大量の泡。

右手の冷たさに耐えてもらいながら、ゆうくんを大人にしてあげた。

 

──ああ、主の悲鳴がゾクゾクする。

 

異界で見た逆さの三日月めいて、私の口許がだらしなく緩む。

そこから我ながらどうかと思う量の唾液があふれ、ゆうくんをぐっしょりと濡らした。

私は胸の谷間、胸骨に冷たい右手をなすりつけ、左手のぬるいあぶくも添わせ。

何も言わずとも広げてくださった主の脚の間に入り、ゆうくんを抱きしめた。

 

──あは、あつくて、かたいなあ。

 

おまけに弾力にもあふれているようだ、いつも口腔と最奥で感じているように。

 

私の腕に挟まれて、面白いようにカタチを変える双丘の中において、

ゆうくんは右往左往させられながらも、芯を失うことなく屹立し続けていた。

そう、ねばつく白旗を、勢いよく掲揚するまでも、してからも。

 

胸の谷間を、鎖骨を、おとがいを、頬から額に至るまでを、

満遍なく白濁でマーキングされながら、私は確かな満足を噛みしめていた。

 

舌なめずりが、薄い塩気と主のMAGを帯びた欲望の残骸を口内に誘(いざな)う。

これを肴に酒を飲んだら、ヘタなハピルマなど、

及びもつかないような多幸感に浸れるに違いない。

いずれ機会があったら試してみるのも良さそうだ。

 

口内で含んだゆうくんを清めて一層力づけてあげながら、

無意識のうちに秘芽と、ほぐれ切った肉襞を慰めながら、

私は次なる期待に胸を弾ませて、真紅の瞳が納まる眼に、三日月を描かせた。

 

主の蒼穹も、それに応えてくださったのが、むしょうにいとおしくて、

私は抱えた主もろともに湯を浴びるのもそこそこに、ともに湯壺に身を沈めて。

その中でひとつになり、湯の熱に煽られ、短い律動を奏でた挙げ句、溶け合った。

 

──あは、ふつうにつながるより、なおきもちいいんだな、おゆのなかだと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なお。

 

「雑菌が入り易いんだから、安易に湯壺や湯船の中でつながり合うんじゃあない、

 最悪の場合、取り替えが利くお前はともかく、

 お前の主のモノが腐り落ちたとしても、私は一切責任が取れんぞ」

 

などと、主と私を並べて正座させた上で、懇々と言い聞かせてきた、

古い漫画に出て来たような白髪交じりな顔の主治医どのに対して、私も主も。

金髪のメスカクエンと、その主人同様に頭が上がらなくなったのは、余談である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・しぐれさん

地方出張処女を捨てる

次にパイズリをする時は是非ローションを用意せねばと鼻息を荒くしている

そして温泉旅館のある土地への出張依頼を血眼で探すようになった

もちろんガイア連合地獄湯支部にも、主の手をひいてちょくちょく顔を出すようになったり

 

・手羽先ニキこと結友くん

地方出張童貞喪失

お風呂えっちしあわせ

事後【ハマ】を浴室全体と湯壺にかけてまわり、

しっかり自分たちの痕跡の後始末をつけてから山梨に帰った

 

・依頼人夫妻

この後たびたび今回の事態を解決してくれたふたりが宿泊に来るようになった

そこからのちに【黒札】と呼ばれる男性とその嫁シキガミの来客が増えたとか

【黒札】の加護があったのか、終末後においても旅館は末永く繁盛したそうな

 

 

・【豆柴】と金髪のメスカクエンことナナコさん

風呂に浸かりながらひとつになる! そういうのもあるのか!!

と、覚醒者の全力で愛し合った結果、

嫁シキガミの定期メンテナンスという名の健康診断の際に主治医どのにバレ、

手羽先ニキ主従ともども大目玉を食らったそうな、めでたくなしめでたくなし

余談だが、ナナコさんによる結友くんの「水橋くん」呼びが、

改められる日がいつ来るのか、それは誰にもわからない

ただ、改められてもいいとこ「手羽先くん」呼びになるのがせいぜい?

 

・主治医どの

アホな患者候補がふたりも増えてあたまいたい

覚醒者はそうそう性病にはかからんかもしれんが限度があるだろうが、とお冠(かんむり)




ほぼエロシーン抜きで10000文字超えるなよ、と苦笑い。
玉潰し+早贄シーンは残酷な描写扱いせんとアカンと思いましたが、自意識過剰でしょうか。

それと、今回、塵塚怪翁さんの『【求む】カオス転生でダークサマナーが就職する方法』より、
黒医者ニキをお借りしました……恥ずかしながらわたくし、メスカクエン系嫁シキガミと、
「飼い犬の躾に失敗してしまう飼い主」系男性黒札のカップルしか書けませんもので、つい。

ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
願わくは、またいつか。
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