【忍たま乱太郎】 八方斎と他作品ヒロインのどスケベ交友の段 作:北村 貴之
プロローグ ドクタケ城の禁断の秘薬
ここはドクタケ忍者隊の本拠地であるドクタケ城。
ドクタケ忍者隊は、日本各地の城・領土を数々落城・占拠している、いわゆる日本制服を目論む忍者集団だ。
彼らは赤褐色の忍装束をその身に纏い、サングラスを着用して活動している。
そんなドクタケ忍者隊の首領である、稗田八方斎。
頭頂部は磨かれたように光り輝くハゲ頭だが、肩まで伸びたサラサラの黒のロングヘアをお持ちの男性だ。
異様に大きい頭、割れた顎、いかつい顔つきがイヤでも目についてしまう見た目をしている。
こんな見た目ではあるが、忍者としての実力はかなりのもので、その実力はドクタケ忍者隊ではナンバーワンだ。
あらゆる忍術を使いこなすのは序ノ口、数多の蠱毒の取り扱いや妖術にも精通している。
様々な武器の取り扱いのスペシャリストでもあり、特に刀剣の腕前に関しては日本では彼を超える者はいないであろうと言われたくらいの腕前で、剣聖の異名が付いてもおかしくないほどの腕だ。
そんな八方斎だが、この日はドクタケ城の倉庫の整理を城主の木野小次郎竹高に命じられて作業をさせられていた。
忍術隊の首領にして、ドクタケ忍術教室の校長を務めている彼がなぜこんな作業をさせられているかは不明だが、八方斎はぶつぶつ文句を言いつつも手を動かしていた。
「…たく、なぜこのワシが倉庫の整理なぞ…」
倉庫内には数多くの宝物や資料がところせましと置かれていた。
書物や巻物、掛け軸や茶器などがある。
「ドクタマ達の指導もせねばならなというのに…。我らがお館様は…」
そう愚痴を吐きつつも手を休めることなく作業する八方斎。
ここで、彼の目にあるものが映る。
「…なんだ、これは?」
八方斎が見つけたのは、「禁薬」と筆文字で書かれた木箱だった。
八方斎はそれが気になったようで、それを手に取る。
箱に書かれている文字を見て、中に入っているのは薬であることはすぐに理解した様子を見せた。
「まさか、こんなモノが我らがドクタケ城にあったとは…」
八方斎はここで整理作業を中断し、その薬を調べることにした。
ぱかりと木箱の蓋を開けると、その中には見たことのない色の小瓶と、説明書と思わしき紙が封入されていた。
八方斎はまず、薬瓶とともに封入されていた紙を手に取る。
四つ折りにされていたため、八方斎はそれを開いて中身を確認する。
すると、そこには赤い文字でこう書かれていた。
「なんじゃ、この文字は…。どの時代から置かれているかはわからんがなんとも不気味じゃな」
まるで血で書かれたような字に、八方斎は戦慄する。
しかし、文字を読むことを怠らず、この薬が一体何なのかを確認することにした。
「片仮名ばかり…。読みにくいのぉ」
漢字も使われていたが、平仮名は一切使われておらず、平仮名で書いてもよさそうな部分もきちんと片仮名で書かれていたために、八方斎は読みにくさを感じていた。
「え〜っとなになに?んぅ、おっ?これを飲んだもの…。異界の女から絶対的な忠誠を誓われる…」
説明書に書かれた文を見て、八方斎は声に出して読み上げた。
しかし、書かれた文の意味が理解できなかった。
「え〜っと?つまりこれは…」
八方斎はその文を脳内で解析する。
しかし、「異界の女から絶対的な忠誠を誓われる」という文を理解しようにも意味が理解できなかった。
何にせよ、八方斎はもう若くない。
ハゲ頭や顔の皺からもわかるように、いかにもな「おじさん」とでもいうべき見た目をしている。
「とりあえず…。喉が渇いたわい。あ〜、喉かわいた。お茶を飲みに戻ろうにも面倒じゃな…」
そんな八方斎は、木箱から瓶を取り出してしまった。
そしてその瓶の栓を抜き、瓶の中に入っている薬液をガブガブと飲み干してしまった。
「ぷはーっ」
八方斎は薬液を飲み干し、喉が潤ったのか、とても気持ちよさそうな様子を見せた。
「なんじゃ…。薬だと忘れてついうっかりジュース感覚で飲んでしまったが…。ただのジュースではないか」
八方斎は高笑いしていた。
「味は結局ただのミックスジュースか…。ま、久々に飲んだからなんか新鮮じゃな」
なんと意外にも、味は数多のフルーツを味わえる味をしていた。
本来ならば苦味などがありそうだが、八方斎が飲んだこの怪しい薬は意外にも甘みのある味だったようだ。
しかし、そんな彼に異変が…。
「……っ!!」
突然、八方斎は自分の股間が締め付けられるような感触を覚えた。
「ぬおおおっ…!な、なんじゃっ…!!」
八方斎は思わずその場に膝をつき、うずくまる。
急激な股間の激痛のみならず、全身に電気ショックが走るような刺激が彼を襲う。
八方斎は大きなうめき声をあげながら、ダンゴムシのように丸くなって悶絶していた。
全身からは滝のように汗が流れ、顔は赤く染まっていた。
「お、おおおっ…!!!」
八方斎は更に大きな声をあげる。
そして彼は意識を失い、その場で失神してしまった。
「…う、うう…」
数分後、気を失った状態で目覚めた八方斎。
先程襲ったあの強烈な股間への激痛、そして身体中をのたうち回っていたあの電撃のような刺激は収まっていた。
「な、なんだったのじゃ…。先程の痛みは…」
八方斎はうずくまっていた体勢を戻しながら、ゆっくりと立ち上がる。
八方斎は辺りを見回した。
視界はなんの変化がないため、視力は問題なさそうだ。
「な、なんだったのじゃ…?」
八方斎は自分の手のひらを見つめる。
そちらもなんの変化はない。
「…ふぅ」
八方斎はため息をつく。
先程の薬は何だったのか未だにわからなかったが、いまは特に身体には問題はなさそうだった。
安堵の表情を浮かべて立ち上がると、八方斎は中断していた倉庫の整理を再開した。
…先程彼が飲んだとされるこの薬の説明書きにはこう記されていた。
・コレヲ飲ンダ者、異界カラ来タ女タチカラ惚レラレ、絶対的ナ忠誠ヲ誓ワレル
・薬飲ンダ者ノ体液ヲ取リ込ンダ女、一定量以上ヲ摂取スルト虜トナル
・飲ンダ者ノ精力ヲ凄マジイマデニヒキアゲ、勃起力モトンデモナイモノトナル
・上記カラコノ薬、決シテ飲ムベカラズ
それからおよそ一か月後…。
ここは忍術学園の近くの家屋。
この家屋は忍術学園の教諭の土井半助が住む住居だ。
教え子のきり丸とともに、この家屋で暮らしている。
半助がある夜にきり丸と夕食を食べていた時だ。
半助はふと何かを思い出したかのように、焼き魚をつつくきり丸にこんな話題を持ち込む。
「あー、きり丸」
「どしたの?土井先生」
いきなり声をかけられ、キョトンとした顔で半助の方を向くきり丸。
「あ、まさか授業のことじゃ…」
「違う、そうじゃない」
半助からの言葉を聞き、安堵する
きり丸。
そんな彼をよそに、半助は話題をきり丸に話し始める。
「ドクタケ忍術隊のことだが」
「ドクタケ忍術隊…」
半助の言葉に、きり丸が神妙な顔つきをする。
「これは学園長から聞いた話なのだがな、近頃、ドクタケ忍術隊の隊員の数が矢鱈と増えているらしい」
半助がそう言うと、きり丸は無言でこめかみに冷や汗を流す。
「え?どういう風の吹き回しなんですか…?」
「それは俺にもわからん。だが、ここ数日、隊員たちの数が日に日に増えていることは確からしい」
半助もその情報については、本当なのかどうかは信じてはいなかった。
しかし、どうも不気味な情報のようで、半分疑い、半分信じている状態であった。
「しかも情報によるとどうも女だけのようだ。男についてはひとりも新規の者がいないらしい」
「えっ!?」
きり丸は驚きを隠せなかった。
「それで…。なんでも彼女たちは未来の日本や、異世界から来たらしいんだ」
半助が眉間に皺を寄せてそう説明していた。
ふたりとも食事の手を止めている。
「あ、あと首領の八方斎にやけに懐いているようだ。噂によると会って数日で妻になったとかなかったとか…」
「…気味の悪い話ですね」
そう言ったきり丸も顔を強張らせている。
ここできり丸はある事に気づいた様子を見せる。
くノ一組のトモミのことだ。
「ああっ、土井先生…。トモミちゃんがそうとなると危ないなぁ…」
思わずそう言ってしまったきり丸を見て、半助は、
「なんだ…。気になる子を守れるか不安なのか?」
と、真顔でそう言う。
「えっ…」
きり丸は顔を真っ赤にするが、その様子はなぜか冷静だった。
「教えた筈だ。女を守る術なんてな」
格好をつけているのか、厳しく告げているのかは不明だが、半助はそうきり丸に告げた。
(そうは言っても、俺教わってませんって。あなたにそういう授業)
半助の言葉に、きり丸は心の中で突っ込んだ。
半助ときり丸は知らなかった。
ドクタケ忍者隊で、想像もしないことが起きていたことを…。