※この作品はR-18です。

私はただの戦闘エロとか敗北後イベントが多いゲームのゲーマーです   作:夢現図書館

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奴隷商への降伏

 

 

 

 

 スレイがコレから向かう『アレナシティ』は砂漠のロケーションに位置する拠点である。広大な砂漠に遺跡やピラミッドが存在する砂漠地帯の一角に存在する大きなオアシス近郊に作られたアラビアンな雰囲気が漂う町だ。乾燥した地域故に砂漠に生息する生物を模したモンスターの他にも盗掘団や窃盗団と言った人型エナミーが闊歩する地域である。

 

「1番近いと言っても歩きだと結構距離があるんだよね……」

 

 ワープ機能を使えば瞬時に到着するのだが自力で向かう場合は結構な距離となる。ゲーム故に疲労は感じないのだがそれでも人によっては億劫になる程の距離と言える。

 草原を越えて森林地帯を横断して砂漠地帯を通過して初めて『アレナシティ』に到着する。コレだけでも充分な冒険と言えた。

 

「……取り敢えず道すがらに素材やアイテムを拾いながら向かうとしよ」

 

 ワープ機能を多用するプレイヤーは何かと最短ルートを選びがちだ。それ故に武器の強化に必要な素材アイテム等が不足しがちになる。

 そう言った素材をドロップするモンスターやエナミーはワープ地点近郊には点在していない事が多い。必然的に寄り道や自力で向かう必要があるのだ。そして日々変化する為、新たな発見が見つかる事もある。

 

「……あ、アレは」

 

 光の粒子に導かれ草原地帯を移動していると前方にあるモノを見つけた。

 

「有蓋馬車、だね……。黒幌の」

 

 舗装された砂利道を行くは黒い幌で荷台が覆われた箱型の大型馬車であった。2頭の馬が荷車を引いており、その脇を乗馬した男性NPCが護衛している小規模の隊商であった。

 

 『スレイヴ・オンライン』には2種類の隊商が存在している。

 

 1つは城下町や町と言った拠点から拠点を結ぶ消耗品やアイテム等を運搬する一般的な隊商。フィールド等で見かけた時、手数料は掛かるがその場で購入が可能である。

 拠点の雑貨店等の一部の販売アイテムは有限であり在庫切れとなると入荷するまで一時的に品切れ状態となる。クエストにはモンスターに襲われた隊商を救援する内容も存在しており、リアリティに深みを持たせていた。

 

 そしてもう1つが、『奴隷』を運搬する奴隷商による隊商である。人型エネミーによって捕縛されたプレイヤーは場合によっては奴隷商人に売り飛ばされ、『オークション』会場と言った施設がある拠点へと運搬される事になる。其処で他プレイヤーや資産家や貴族と言ったNPCに購入されるのだ。場所によっては『オークション』会場以外の場所に連れて行かれる場合もある。

 そして奴隷商の隊商は決まって黒幌の馬車となっている。コレは外部から中身を視認されないのとプレイヤーから見て分かりやすくする為と言う世界観及びメタ的な理由を両立させた処置であった。

 

 奴隷商の隊商を襲撃して囚われた『奴隷』プレイヤーを救出するかどうかは発見したプレイヤーの自由である。奴隷商は拠点等では攻撃出来ないが代わりに敵対もされない。だが、フィールドでは攻撃出来るし反撃もされる。

 プレイヤーは見捨てても良いし助けても良い。ただ、見返りがあるかどうかを問われると疑問は残るが。

 

「行き先は……あのマークは『アレナシティ』の紋章……」

 

 フィールドを行き交う馬車の荷車には行き先となる拠点の紋章が付けられる。プレイヤーが利用出来る馬車が向かう行き先を分かりやすくする為である。

 

「…………。イベントにはまだ猶予がある」

 

 『襲来イベント』開始の日時までまだ猶予があった。『スレイヴ・オンライン』ではプレイヤーの体感時間と現実世界の実際の時間感覚は異なっている。

 例えば『スレイヴ・オンライン』内で1時間、滞在したとしよう。1時間後にログアウトした場合は現実世界では数分程度しか経過して居ないのである。その為、ゲーム内の体感時間で1週間経過したとしても現実世界では数時間程度しか経過して居ない事になるのだ。

 運営の『お知らせ』の告知は現実世界の時間を基準にしている。だからこそ猶予があると判断出来るのだ。

 

「……良し、あの人達に連れて行ってもらおう」

 

 スレイは黒幌の馬車の横を歩いて追い越した。荷車を引く馬の手綱を握る男性NPCを見る。髭面でゲーム内ではよく見るタイプのNPCだ。

 奴隷商の荷車に使われる黒幌は内外の視認は愚か物音すらも遮断する。事実、黒幌の荷車内から物音1つ聞こえない。

 

「…………」

 

 そしてスレイは道ゆく黒幌の馬車の前に立った。

 

 NPCは基本的に現実の人間と同じ様な行動を取る。例えばNPCが目的地へ向けて歩いている時、プレイヤーがその目の前で立ち止まれば避けて移動したりする。場合によってはプレイヤーが移動するまで立ち尽くす事もある。

 

 奴隷商の隊商は後者であった。

 荷車を引く馬を止めて牽引する綱を持った恐らく身なりから奴隷商のNPC。そして左右で荷車を護衛する騎乗したNPCはスレイを無言で見ている。

 奴隷商の隊商は自ら荒事を行うつもりは無くこの手の場合は無言で相手が立ち去るのを待つ事が多い。

 

「…………」

 

 スレイは無言でレッグベルトのホルスターに納められた拳銃に手を掛ける。その行動を見た奴隷商や騎乗した護衛役の男性NPCの表情が強張った。今、正に臨戦態勢へと移行しNPCからエナミーへと内部プログラムが変更され、敵と認識した護衛は馬を歩かせてスレイへと近付いて行く。

 

 だが、スレイは敵対しに来た訳では無かった。その手をすぐに放し、ゆっくりと頭の高さになるように両手を上げた。

 

「私は貴方方に降伏します」

 

 『降伏システム』

 それは降伏する事で無条件で自ら『スレイブ状態』になりエナミーやモンスターに対して身を差し出せる行為である。

 敢えて棒立ちとなりエナミーやモンスターの攻撃に晒され続けてHPを 0にして『スレイブ状態』になるよりもかなり手っ取り早い手段であった。フィールドで奴隷商に対して直接降伏するとその場で拘束されて『奴隷』にされ、其の儘、奴隷商が向かう目的地へ連行される。

 スレイは敢えて『奴隷』となる事で自身の目的地でもある『アレナシティ』へと連れて行って貰おうと考えた。

 

 両手を上げて奴隷商の隊商に降伏したスレイに対して、護衛役の男性NPCと荷車を引かせる馬の手綱を持っていた奴隷商NPCが近付いて来る。

 

「ほう、自ら奴隷になりに来たか」

 

 奴隷商NPCは降伏したスレイの顎に指を添えてその顔を品定めをする。奴隷商と言う肩書だけあって人相も悪くデザインされている。

 如何にも悪人そうである、と。多数のプレイヤーから好評であった。

 

「コイツは中々の上玉だな。高く売れそうだ」

 

 スレイの顔立ちを見た奴隷商NPCはそう評価する。やはり、悪人顔にまじまじと見られるのは何度でも慣れないもので思わず目を逸らした。

 

「おい、身包み剥いで、縛り上げてしまえ‼︎」

 

「「おう‼︎」」

 

 奴隷商の声に対して護衛の男性NPCがそう答えてスレイの左右に陣取り、その手を掴まれる。まるで本物の人間の手に掴まれたかのような感触があった。

 

「……ッ‼︎」

 

 スレイの視界の隅に表示された簡易ステータスのウィンドウ。このウィンドウはプレイヤー本人しか見えない仕様かつプレイ中に支障が出ない様に簡略的な内容しか表示されない。

 コレが自動的に表示される時は大体がプレイヤーの職業が変更された時である。

 

 本来ならば『メカニック』と言う文字が表示される場所には『奴隷』と言う文字に書き変えられていた。

 この瞬間から、各種メニュー画面を開く事が出来なくなる。つまり、装備品やアイテム等の変更や確認、使用も不可能となる。

 

「もう、嬢ちゃんに人権は無ぇぜ?」

 

「自分の行動を後悔するんだな」

 

 1人に両方の手首を掴まれ、もう片方の男性NPCに服を無理矢理脱がされる。身に纏っていた衣類が破り捨てられ光の粒子と化して消えて行く。武器も投げ捨てられて粒子化して消滅した。

 あたかも破棄されたかの様に見えるが内部システム上では一時的に使用不可になっただけであり、解放された時、『奴隷』になる直前の状態に戻される為、一種の演出である。

 

「……っ、‼︎」

 

 衣類も武器も全て奪われて残るは綺麗な柔肌が眩しい産まれた時の姿である裸にされた。NPCが相手とは言えこんな大っぴらな場所で丸裸の状態で立たされると羞恥心で自然と顔が赤くなってしまう。

 

「へっへっへ。奴隷に相応しい縄化粧をしてやらないとな」

 

 そして次に麻縄が取り出され柔肌に荒い縄が走っていき簡単に解けない様に縛られて行く。

 

「ん、んんっ……‼︎」

 

「お、いい顔するじゃねぇか。売り物にするには勿体無いな」

 

 身体のあちこちに縄が這い回り背後手で胸を強調する亀甲縛りで上半身が縛り上げられる。スレイはそれなりの乳房を持っている為、縄で縛られた事によりその膨らみが強調されていた。スレイは縛られている最中、途中で胸を掴まれて思わず嬌声を上げた。

 

「こんな上玉。逃すと大損だ足も拘束しておけよ」

 

 奴隷商NPCの指示により、足には鉄球付きの足枷が嵌められ、首には首輪が嵌められた。

 

「う……‼︎」

 

「身を差し出した以上、お前は俺の所有物だ」

 

 『奴隷』は所有者の所持品扱いとなる。その為、『奴隷』に対して強制的に命令を下す事が出来、他にも装備品や衣類を変更する事が出来る。当然ながら『奴隷』に拒否権は無く、受け入れるしかない。

 

「例のボールでも嵌めておけ」

 

「ッ⁉︎ んぐぅ⁉︎」

 

 身体を縛られた後に言葉の自由を奪うギャグボールを噛まされる。

 

「良し……荷車に乗せろ。今回の商売は大成功間違いなしだな‼︎」

 

 首輪に繋がれた鎖を引かれて黒幌の荷車の中へと連れ込まれる。中には複数の小さな檻があり、その檻の中に『奴隷』となったプレイヤー達が囚われていた。

 その内、空いていた檻の1つにスレイは放り込まれ、鉄格子の扉が閉められて施錠された。

 

「ん、んん……」

 

 黒幌が閉じられて暗くなった直後、振動が伝わる。奴隷商の隊商が移動を開始した。スレイが目的地としている『アレナシティ』へと。

 

 

 

 

 

 

 

 

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