私はただの戦闘エロとか敗北後イベントが多いゲームのゲーマーです 作:夢現図書館
「ん、んんっ……」
暗い馬車の荷台内。人間が1人収まる程度の大きさしか無い小さな檻の中に拘束されたスレイは幽閉されていた。
奴隷商に降伏して自ら『奴隷』となったスレイはメニューウィンドウを開く。
メニューウィンドウは腕を動かさずとも開く事は出来、意識があれば操作が出来るようにプログラムされている。
『奴隷』や『囚人』と言った囚われた状態ではメニュー画面の内容がその仕様に合わせた形に自動的に変化する。
まず1番最初に目に飛び込んでくるのはこの状態が維持される残り時間である。表示されている時間及び日数は6日と23時間55分。
つまりゲーム内時間で1週間後には自動的に開放される事を意味して居る。
「…………」
続いて装備変更のメニューウィンドウへと切り替えた。このウィンドウを介せば直接取り出して身に付けずとも瞬時に変更が可能となっており、詳細な説明や附属効果の確認も出来る。
ただ、『奴隷』に身を堕としたプレイヤーは任意で変更出来ず所有者のみ変更する事が出来る。
現在のスレイの装備は『ボールギャグ』、鈍足効果が付与された『奴隷の足枷』、そして衣装の代わりに『荒縄』の文字が表示されている。
他にも装飾品の項目にはまだ何も表示されて居ない。此処には先程の『ボールギャグ』以外にも各種拘束具や責め具が着けられると表示される様になる。
他のメニュー項目である所持品や貴重品の確認は閲覧する事も出来ず、マップ画面を開く事も出来ないのでワープ機能も使えない。抵抗する事も逃亡する事も出来ない事を意味している。
「……っ」
メニューウィンドウを閉じて周囲を見渡す。黒幌により暗い荷車内。自分よりも前に『奴隷』となった他プレイヤーが自分と同じ様に拘束されて檻の中に囚われている。金髪で小柄な者も居れば黒髪や茶髪のプレイヤーも居て、ボールギャグにより涎を垂らしながら呻いていた。中には拘束から逃れようと身体を揺すっているプレイヤーも居たが無駄な抵抗である。
プレイヤーが身に付けられる装備品や状態異常は耐性の差異があれど正規手段以外では破壊は出来ない様にされている。
具体的に言えば拘束する際に使われた縄を正規の手段以外では解除出来ない。つまり縄を鉄格子に擦り付けて摩擦で削ろうとしても無駄である事である。
「……むぅうう」
恐らく新規のプレイヤーかつ初めて『奴隷』の身に堕ちて困惑しているのだろうと、スレイはその抵抗を微笑ましく眺めて居た。
馬車に揺られる事、数時間が経過した後、揺れが収まった。数分後に奴隷商とその護衛NPCが黒幌を外して荷台へと上がって来て、檻の鍵を開けて中に居た『奴隷』達を首輪の鎖を引っ張って荷台から引き摺り降ろす。当然、スレイも同じ様に引き摺り下ろされる。
暗がりから急に明るい光が目に差し込んで来た為に一瞬だけ目が眩んだ。
「んー……」
視界の先に広がるのは乾燥した大地に立つアラビアンな雰囲気が漂う街並み。アレナシティへと到着した様だ。ただ、『奴隷』を扱う奴隷商の立場から場所的にアレナシティの中でもアングラな場所で降ろされた様だ。
「おい、奴隷共を繋いでおけ。上玉もあるからな……余計な傷は付けるなよ?価値が下がる」
「おう」
これからオークションにて出品される『奴隷』の首輪が鎖で数珠繋ぎで繋がれて行く。スレイは1番最後に繋がれ最後尾の位置となった。
「目も隠しておけ。変に暴れられるのも面倒だからな」
更に目隠しもされて視界が封じられた。真っ暗闇の視界の中で『歩け』と言う現在の所有者である命令の下、熱砂による熱が足裏に伝わる大地の上をオークション会場へと向けて歩かされるのだった。