※この作品はR-18です。

新しい生活   作:エーロン・マスカク

1 / 8
新生活を始めて数日、遥は相変わらず毎晩のおねしょで紙おむつを汚している。
スーツケースに詰めた紙おむつも残り数枚となり、ドラッグストアに向かいそれを買おうとする......


閑話:故郷からの旅立ち&ドラッグストアの秘め事

前日談:故郷からの旅立ち

 3月末、瀬戸内の港町の実家で、遥はスーツケースを詰めていた。窓の外には静かな海が広がり、カモメの声が遠くに響く。

 母が「東京は慣れるまで大変じゃろうけど、頑張りんさい」と微笑む横で、遥は紙おむつを荷物の底に隠した。「カサカサ」と音が鳴るたび、心臓が跳ねる。

 おねしょが治らないことは、母だけが知る秘密だった。「絶対にバレたくない…」と心の中で呟く。おねしょが治らないことは、親友にも隠してきた秘密だった。友達との泊まりを避け、修学旅行を仮病で欠席した。

 そんな過去を振り切り、東京で新しい自分を作りたいと願っていた。

 

 その夜、ベッドでおむつを履く。テープを貼るたび、「こんな私が大学でやっていけるのかな…」と不安が募る。鏡に映るGカップの胸と長身は、故郷では目立ったが、東京では普通に溶け込めるかもしれない。

 それでも、おねしょだけは隠さなければ。母が部屋を覗き、「おやすみ、遥」と言うと、彼女は小さく頷き、目を閉じた。

 

 「遥、頑張りんさい」

 翌朝、改札を通る遥の背中を、駅まで送ってくれた母が見送った。おむつの重さが、スーツケースの中で彼女の秘密を静かに物語っていた。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 3月末、遥は新生活を始めるべく、東京のアパートに引っ越したばかりだった。静かな住宅街の角にあるドラッグストアに、彼女は緊張した面持ちで足を踏み入れた。 

 おねしょが治らなず昼も時々お漏らししてしまう遥には、紙おむつが欠かせなかった。上京時にスーツケースに入れてきた紙おむつも残り数枚となり、ドラッグストアに訪れたのはそれを手に入れるためだ。

 

 店内の蛍光灯が眩しく、棚に並ぶおむつコーナーに近づくと、心臓がドキドキと鳴る。夜のテープタイプの紙おむつと、昼用に薄手のパンツタイプを手に取る。

 「18歳なのに…」と羞恥が胸を締め付けた。周りの視線を気にしつつ、意を決しレジに向かった。

 

「3184円になりまーす」

 レジの若いお姉さんが少しけだるそうな声で伝える。あまりこちらの事は気になっていないようでホッとする。

「袋には入れますか?」

 マニュアル対応なのだろうが、不意に聞かれて思わずドキッとする。

「えっ⁉......あっ、はい......お願いします......」

 動揺を精いっぱい隠しながら遥は答える。袋の中でおむつがカサカサと音を立てるのを聞きながら、遥はアパートへ急いだ。

 その夜、初めて東京のベッドでおむつを履く。テープを貼るたび、「これが私の日常か…」とため息が漏れる。 

 鏡に映る長身と豊満な体が、子供じみた秘密とギャップを感じさせ、彼女は目を閉じて眠りについた。おむつの重さが、新生活への不安を象徴していた。




上京する期待と、おねしょが治らない不安に揺れながら、故郷に別れを告げる遥と、
紙おむつを買うため、近所のドラッグストアを訪れた際の遥を書きました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。