ドラッグストアを訪れ、薄手の尿取りパッドを買って帰る。
こんな薄いもので大丈夫か疑問に思った遥は、試しに履いてみることに......
生活の知恵
ピロリロリン......
「らっしゃいあせー」
講義後にちびってしまった数日後の土曜日、遥は少なくなったおむつを買うため近所のドラッグストアを訪れた。そして今日はもう一つ買いたいものがある。それはパンツタイプ紙おむつ用の尿取りパッドだ。
昼間のおちびりでパンツタイプの紙おむつを丸ごと交換するのはもったいない。故郷の優しい祖父母・両親は十分な仕送りをくれるが、「節約できたらいいな…」って考えてた。夜の漏れ対策と同じように、昼もパッドを使って、少量ならそれだけ換えれば紙おむつ本体は使いまわせると思いついた。
「え~っと、これだよね?......」
18歳でこんな買い物は恥ずかしくて、棚の前でドキドキしながらパッドを手に取る。「軽い漏れに」って書いた薄型タイプを手に取り、「これなら昼間にぴったりだよね…」って呟いた。レジで無愛想なおばちゃんに渡すと、サッと袋に入れてくれて、ホッとしながらアパートへ戻った。
恥ずかしい実験
「ビリッ」
アパートに帰り一息ついた遥は、買ってきたばかりの尿取りパッドのパッケージを開ける。
「え~っと、おむつの股にセットして......」
パッケージの裏に書いてある説明通り使い方を確認する。
「こんな薄いもので大丈夫かな?......」
遥は思っていたより薄いパッドに不安を覚える。もし人前でパッドが吸収しきれず股から漏れ出たらと思うと、背筋に寒気が走った。
「ストン......」
遥はスカートに手を掛け、床に落とす。レギンスに手を掛け、ソックスも巻き込みながらまとめて脱ぎ捨てる。
パッドを1つ手にし狭い浴室に入ると、鏡の中の自分と目が合う。豊満で大人の女性らしい上半身に対し、紙おむつしか履いていない下半身。見慣れているとはいえ、可笑しく恥ずかしい格好だ。
「試してみないと......お外で失敗したら......」
まずは誰も見ていないこの空間でパッドを試しに使ってみることにした。カサカサッと音を立てながら、まだ未使用のまっさらな下着を膝まで下ろし、浴槽の縁に腰掛ける。パッドを股の吸収体の上に被せると、パッド裏のテープで固定された。立ち上がっておむつを引き上げ股ぐりのギャザーを確認すると、いつもより少し膨らんだ感触を陰部に感じる。
(これは......確認の為だから......)
大人の女性として
――夜、無意識のうちにおむつを汚すことは恥ずかしい――
――昼、意識があるのに我慢できずおむつを濡らす事も恥ずかしい――
でも......今からしようとしていることは
まだ我慢できるのに......
すぐ横にトイレも有るのに......
わざと紙おむつの中におしっこを出そうとしているのだ......
「んっ......」
外出時に溜まった尿意も、まだ全然我慢できる範囲だ。それを膀胱から押し出そうと、遥は下腹部に力を入れる。
しかしわずかに残ったプライドなのか、体が防衛反応を示しているのか、すぐには出てこない。
「はぁー......」
一息つこうと深呼吸したとき、背筋にゾクゾクッとした寒気を覚えた。
(あ、ヤバい......)
反射的に膀胱を閉じかけるが、思い直し体から力を抜く。
「チョロッ......シュゥゥゥー......」
最初の小さなせせらぎは、すぐに勢いを増しパッドの表面を叩く。
「ジュゥゥゥ......」
生温かい感触が前に後ろにどんどん広がり、遥の股間を優しく包む。
「はぁ......」
尿意からの解放感が先ほどまでの緊張や羞恥を洗い流し、遥は放心しながら立ち尽くしていた。
「シュゥ.....」
再び、狭い浴室に沈黙が訪れた。
「はぁ......はぁ......」
しばしの間、遥は解放感の余韻に浸りながら息を整えた。
小さな成功
「結構、出ちゃったなぁ......」
さっきまでの膀胱の重さはすっかり消えていた。限界まで我慢したわけではないが、視線を落とすと膨らんだおむつが目に入り、腰にズッシリとした重みを感じる。しかし、おむつの表面は新雪のようにまっさらなままだ。
「シュルルッ......」
おむつに手を掛けそっと下げると、真っ黄色に染まったパッドが目に入る。狭い浴室にふわっとおしっこの匂いが解放され、ツンと鼻腔を刺激する。
「ボトッ」
床に置いたおむつから足を引き抜き、パッドを持ち上げると、厚紙くらいの薄さだったはずが、まな板くらいにブヨブヨに膨らんでいる。出したばかりのおしっこの生温かさを手に感じる。
パッドを丸めおむつ用のポリバケツに放り込んだあと、あらためて紙おむつの中をのぞくと、そこは純白のままだった。
「あれっ?濡れてない?......」
そこには有るはずのものが無かった。いつものお漏らしだと、紙おむつの中の大部分は黄色く塗りつぶされているはずだった。しかし今日は違う。
「ふふっ......」
遥はおむつ本体を守れたことに嬉しくなり、その立役者であるパッドに心の中で感謝する。
その夜、母から電話がかかってきた。
「遥、元気?仕送り足りてる?」
「うん、大丈夫。実はね、節約のためにパッド試してみたの。おむつが長持ちするよ」
「……そっか。頑張ってるね。でも、無理しないでね」
母の優しい声に、おねしょの秘密を唯一知る相手への安心感が広がった。
一歩前へ
次の朝、遥はいつものようにおねしょをしていた。「またか......」と変わらぬ自分に苦笑しつつ、浴室でおむつを外しシャワーで体を清める。
体を拭き、いつものようにパンツタイプの紙おむつを手に取る。いや、それだけでなくパッドも1つ取り出し、昨日試したようにおむつの中にそっと付け加える。
(よろしくね......)
秘密を守ってくれる存在がまた1人増えたように感じ、遥はそっと微笑んだ。
「今日もっともよい運勢は......みずがめ座のあなたです!」
テレビで流れる星座占いを聞きながら、遥は炊き立てのご飯とレンチンした昨日の残り物をテーブルに置く。
(やった、今日は1位だ!)
少しいい気分で食べ終わり、いつものように家を出る。バッグの奥のポーチにはバッドが加わり、昨日までより胸を張って歩き始める。
余談
大学では、生命科学の講義が始まった。ノートを取りながら、「いつか自分のおねしょも科学で解明できるかな」とふと思う。恥ずかしい癖だけど、それを隠さず生きていく。そんな自分を、少しだけ受け入れられた気がした。
短い余談にしようとしたつもりが、パッドにお漏らしするシーンが無駄に長くなってしまった......