~今回のあらすじ~
・柳洞寺に攻めて来たライダーvsキャスター&バンビエッタ
※シリーズ全体
以下の点にご注意ください。
・バッドエンド確定
・キャラ崩壊、設定ガバガバ
・介錯不一致の可能性
・ハードな展開や胸糞鬱描写あり
・後半までR-18描写無し
工房の外で激しい爆発音が鳴り響く。
少し離れていることから、山門の方だろう。
「うん? バンビちゃんが戦ってるってことは、侵入者?」
綺礼とアイリスフィール、舞弥の交わりをボーッと眺めていたキャスターが反応する。
「はぁ……はぁ……敵襲か。相手はわかるかね? キャスター」
綺礼はティッシュで体液を拭きとりながら、尋ねる。
「この霊圧はライダーかな~ッ! キレイキレイとギルくんはお楽しみ中だろうから、気にせず続けてていいよ~ッ! ボクとバンビちゃんで追っ払っちゃうからさぁ~」
キャスターはそう言うと、座っていた椅子から立ち上がり部屋を出ようと歩き出す。
「ふむ、そうか。それならば任せてもいいか? こちらはまだ続きがあるからな」
綺礼はニヤリと笑うと、再びアイリスフィールの胸に手を伸ばす。
「キャスターよ、我も行くとしよう。征服王が来たというのであれば、この我が出向いてやらねばなるまいよ?」
そう言って一瞬で、鎧を換装するアーチャー。そしてセイバーにも、鎧を換装するように促す。
「セイバーよ、お前も来るのだ。征服王のヤツに、お前が我のモノになったことを教えてやらねばな」
セイバーはその言葉を受けて立ち上がる。
「あぁ、そうだ……。征服王のヤツにもお前を抱かせるという趣向はどうだ、セイバーよ、フハハハハハ!」
アーチャーはさも愉快そうに笑いながら、セイバーを見る。
「ど、どうかそれだけはご勘弁を……」
セイバーは心底嫌そうな顔をして、アーチャーに懇願した。
自らの王道を否定したライダーに女として抱かれるとなれば、それは彼女の王としての誇りをさらに、打ち砕くことになる。
「なに、冗談だセイバーよ。お前は我の宝だ。そう悪いようにはせぬ」
アーチャーはそう言ってセイバーを伴って歩き出す。
「ギルくんって、セイバーちゃんいじめるの上手いよね――――ッ」
キャスターは横に並んで歩きながら、アーチャーに言う。
「たわけ。当然であろう。我以上に女の扱いに手慣れたヤツなどいるものか。それはそうとキャスター。相手はライダーだ。油断して足元を救われぬことだ」
「わかってるよ~ッ! ボクとバンビちゃんでちゃっちゃっと蹴散らしてあげちゃうもんね~ッ」
そう言ってガッツポーズをするキャスター。そして2人とセイバーは扉を開けて外へと出ていったのだった……。
「アララララララライ!!」
チャリオットの手綱を握り、轟音と共に空を疾走するライダー。
バンビエッタは、手から光弾を放ち爆発させようとするが、巧みに回避される。
「あ~、ちょこまちょこまかと! 意外に小回りが利くんだから! ていうか、空飛ぶ牛ってなんなのよ!」
バンビエッタは苛立ったように叫ぶ。
「そうかぁ? 余にしてみれば、空を飛びまわり、手から爆発する光弾を放つ少女の方が不思議でならんのだがなぁ」
彼女の言葉を受けて、ライダーは顎に手を当て言う。
バンビエッタは歯を食いしばりながら、ライダーを睨む。彼女は攻撃を繰り返すが、全て回避されていた。
すると、そこに別の声が響き渡る。
「バンビちゃん苦戦中~? 全然当たってないじゃん、ダッサ!」
駆け付けたキャスターが、笑顔でバンビエッタに声を掛ける。
「うっさいわねぇ! アンタの工房を吹き飛ばさないために、手加減してるんだからしょうがないでしょジジ!」
バンビエッタは顔を真っ赤にしてキャスターに抗議する。
「あれ~? 今日はあのマスターくんは一緒じゃないの? ライダー」
バンビエッタの抗議を無視して、キャスターはライダーに尋ねる。
「ん? ああ、今回はちぃとばかし、坊主には刺激の強い戦場になっていそうなんでな……」
ライダーは頭を掻きながら、キャスターを見る。
その目はまだ威圧的では無いものの、戦意を感じさせる強いものだった。
「こ~ら~ジジ! あたしを無視してんじゃないわよ! 聞いてんの?」
キャスターの後ろでは、抗議を無視されたバンビエッタがキャスターの後ろでプンプンしていた。
「貴様も混ざるか、征服王よ。今、あの工房では2人の女が肉欲に狂っている。どちらも容姿は悪くないゆえ、抱いて損は無いと思うぞ?」
キャスターに問われたライダーは、不敵な笑みを浮かべながら答える。
「ふむ……確かに魅力的な誘いだがなぁ……」
そう言って、顎に手を当て髭をいじるライダー。
「だがやはり余は征服王! 自らの手で手に入れたものでなければ、意味が無い。その誘い、断らせてもらおう!」
ライダーが力強く宣言すると、アーチャーはニヤリと笑う。
「そうか。ところで征服王よ。こいつに見覚えがあるだろう? なにせ王として問答を交わした中なのだからな」
そう言ってアーチャーは後ろに、控えさせていたセイバーを前に出す。
ライダーはすぐにセイバーの変化を感じ取る。
「セイバー……。アーチャーの手に堕ちたとは聞いておったが、よもやその魂まで折れたわけではあるまい」
ライダーは静かにセイバーに問う。彼女は何も答えない。
アーチャーに屈服させられたという屈辱からか、あるいはアーチャーに心を許し始めている自分への怒りからか、彼女は肩を振るわせて俯いている。
「ふむ、その反応でよくわかった。まさかあの英雄王がセイバーをここまで貶めるとはな……」
ライダーはそう言うと、戦意の籠った目でアーチャーを見る。
「こりゃあ想像以上に、状況が悪いようだな……が、それを覆してこその王!」
ライダーは手を広げると、叫んだ。
「キャスター、アーチャーよ! しばし貴様らの時間をもらうぞ!
ライダーは高らかに叫ぶと、キャスター、アーチャー、バンビエッタ、そしてキャスターの疑似サーヴァントたちは、障害となるものが何もない晴れ渡る蒼穹に熱風吹き抜ける広大な荒野と大砂漠に引きずりこまれていた。
「うわ、あっつ! またこの宝具~!?」
キャスターは手で顔を仰ぎながらも、眼前から迫る大軍勢を前に声を上げる。
「ちょ、ちょっと待ってよ~ッ! こっちの軍勢はせいぜい100か200だよ~ッ! そんなに大勢で来るなんていじめじゃん! そんなの戦士として恥ずかしくないの~、ダッサ!」
キャスターはライダーに向かって、叫ぶ。
バンビエッタは、何が起こったのかと辺りを見回している。
この空間に送られるのが2回目のアーチャーは落ち着いて、その場に腰を下ろしている。
「キャスターよ、貴様の工房で戦ったのでは、こちらがジリ貧なのでな。ここでなら貴様の魔力も無尽蔵ではあるまい? そして貴様の操る不死の軍団とやらも、我ら大軍勢の前では無意味!」
ライダーはそう言うと、不敵に笑う。すでに先行して向かっていった疑似サーヴァント軍団がその数に押し込まれている。
1体1体の不死性が高くとも、この集団で押しつぶされれば再生する前にキャスターを守る疑似サーヴァントが尽きてしまうだろう。そしてここでは彼女の魔力も無限ではない。
「フハハハハハ! ……相変わらず癪な光景よ……」
アーチャーは愉快そうに笑う。
「ちょっ、ギルくん、笑ってないで助けてよ~!」
キャスターはアーチャーに助けを求める。
「無論断る。我に降りかかった火の粉は払うがな。自分で何とかしてみせるのだな、キャスターよ」
そう言って笑うアーチャー。そうこうしている間にも、疑似サーヴァントが次々とやられていく。
「うわわわわあ~! どんどん近付いて来てる~!」
キャスターは悲鳴をあげながら、必死に疑似サーヴァントを修復させようとする。
しかしこのままでは魔力が尽きてしまうだろう。
だが……。
「ふんっ! なぁにやってんだか、ねッ!」
バンビエッタはその言葉と共に手から光弾を放ち、疑似サーヴァントの1体を爆発させる。
それによって近くにいた、ライダーの軍勢の兵たちが巻き込まれる。
「ジジの魔力が尽きる前に、こいつら全員消し飛ばせばいいってことでしょ? 単純じゃない!」
彼女はそう言って、上空へと跳び上がる。
「うわぁ~、やっぱりバンビちゃんは脳筋バカだな~……」
呆れたように言いながらも、その言葉にニヤリと笑みを浮かべるキャスター。
「ジジ、なんか言った? ボサッとしてないでよね!」
「はいはい、本当に好戦的なんだからバンビちゃんは♪」
キャスターもバンビエッタの隣に並び立つ。
「行くわよ、ジジ! "
「はいは~い! "聖隷"!」
2人がそう叫ぶと、目に見える形で砂漠が、兵士たちの武器や鎧が、魔力として分解されて彼女たちの元に吸収されていく。
「こりゃあ、いったい……!?」
さすがのライダーも驚きを隠せない様子だ。
「"聖隷"はね~ッ、魔力で作られたもの全てを分解して取り込むことができるんだよね――――ッ」
「そ、つまり魔力で作られたこの空間がある限り、あたしたち滅却師は魔力を回復しながら戦えるってワケ。んで、この空間が解除されたら今度はキャスターの工房で魔力を無限に回復しながら戦える。どの道、アンタらに勝ち目は無いってコト」
バンビエッタはライダーに向かって、ニヤッと笑う。
「なるほど……そんな厄介な技を持っておるとは……。だが疑似サーヴァントを生み出すにも、その技を使うにも隙ができる。そこを一気に叩けばよいだけの話よ」
ライダーは不敵に笑いながら、そう答える。
バンビエッタはその言葉にも余裕を崩さない。
「フッ、敗因をもう一つ教えてあげるわ。それはね、この空間が一切の遮蔽物の無い開けた場所だってコト。"
セイバー戦で見せた、真の力を解放したバンビ。
彼女は、頭に赤い魔力の円盤、背中に赤い色の魔力の翼が現れ、まさに「天使」を彷彿とさせる外見へと変化する。
「あ~あ、これはバンビちゃん1人で楽勝かな~ッ。でもあんまり1人でやらせると怒っちゃうし……。はぁ、ボク疲れるから嫌なんだけど、ね――――ッ。"滅却師完聖体
キャスターも同様に、宝具を解放する。
彼女は、頭に青い魔力の円盤、背中に翼の形をした青い魔力の骨の翼、骨を模したしっぽが出現し、こちらは「ドラゴンゾンビ」を彷彿とさせる外見へと変化する。
バンビエッタは翼を羽ばたかせ、上空へと舞い上がるとライダーの軍勢に向かってその翼から無数の赤い光弾を連射して、全方位の絨毯爆撃を行う。
その数も爆発の大きさも先ほどの比ではない。
魔力の爆弾を撃ち込んでいるのではなく魔力を撃ち込んだものが全部爆弾になるため、一瞬の合間で薙ぎ払おうとしても、武器や盾で防ごうとしても爆発してしまう。
加えて先ほど彼女自身が言っていたように、この場所には遮蔽物が無いため、隠れることも防ぐこともできない爆撃がライダーの軍勢に容赦なく襲い掛かる。
「くっ、距離を取れ! 爆発に巻き込まれるぞ!」
兵士たちも槍や矢などで攻撃を試みるも、全方位爆撃によって相殺。次の武器を構える間に、無数の光弾が彼らを襲う。
「この大軍では身動きが……」
圧倒的な爆撃の前に、歴戦の勇士である彼らも動揺を隠せない。
「慌てるなっ! あの少女は、余がなんとかする。お前たちは、術者であるキャスターと疑似サーヴァントの相手を頼む!」
ライダーが力強く声を掛けると、狼狽えていた兵士たちの士気が上がる。
だが、上空のバンビエッタばかりに気を取られていると……。
「"ダンシング・デッド・ボーイズ・クラブ"!」
キャスターは、翼から魔力で出来たデフォルメされた骸骨の使い魔を複数体召喚する。
そしてその骸骨に噛みつかれた兵士、そしてキャスターに密かに接近し、彼女に斬りかかって血を浴びた隠密部隊の兵士は……。
「気を付けてね――――ッ。その子に噛まれたり、ボクの血を浴びるとね~、ボクの言うことしか聞けない死体になっちゃうんだよね――――ッ」
その言葉に驚愕の表情を浮かべる兵士たち。
「はい、ボクを襲うあの兵士たちを倒してね――――ッ」
キャスターが指をさして命じると、彼女にゾンビ化させられた兵士たちが仲間であるはずの兵士に襲い掛かる。
そうしている間にもわざと傷を負って血を垂れ流しながら空を飛び、自らの手駒を増やしていくキャスター。
「大丈夫か!? お、おい!……な、なんで剣を……やめろ! 俺は仲間だ!」
「お前は……どっちだ? 仲間なのか味方なのか!」
「お前こそどっちなんだ!」
誰が味方で、誰が敵になってしまったのか、と兵士たちは混乱し、統率に乱れが生じる。
さらに操られた兵士がどうなろうと知ったことでは無いため、混乱している彼らに向けてバンビエッタは容赦なく爆撃を浴びせる。
地上では敵味方の区別がつかない混乱と、上空からは防ぐことのできない爆撃が襲い掛かる。
方々で仲間同士による潰し合いや、爆撃による混乱が起き、指揮系統が崩壊してしまい、命令が届かなくなってしまう。
かつての大切な仲間を操られ、その仲間同士で殺し合いをさせる彼女の戦い方は、ライダーにとって非常に許しがたいものだった。
「キャスターよ! 貴様はどこまで性根が腐っておるのだ!」
ライダーは叫ぶと、兵士たちもさすがに混乱して仲間同士で戦い始める中を駆け抜ける。そしてその勢いのまま、宝具である『
「くっ!」
「頭上注意よ!」
なんとか躱したライダーを、バンビエッタが得意げに見下ろす。
そしてライダーにはダンシング・デッド・ボーイズ・クラブで召喚された4体の骸骨が迫っていた。
「ふんっ!!」
4体のその骸骨たちを一刀の元、斬り捨てるライダー。
「うわああんっ!」
一瞬のことに、驚きの声を上げるキャスター。
だが、次の瞬間。破壊された無数の骨をキャスターが操り、ライダーの動きを拘束する。
「ぐっ!」
逃れようとするも身動きが取れない。
「いっただき~ッ」
その隙に、掌に出現させた魔力の髑髏をカチカチと鳴らしてキャスターが飛んでくる。
「"マンチー・マンチー・ベイビーズ"!」
拘束されたその攻撃が当たりそう、という僅か手前。
「……そうか、わかった。撤退する……。キャスターよ、此度の戦い、余たちの勝利だ!」
そう言ってニヤリと笑うライダー。
「はぁ? 何寝ぼけたこと言ってんの~? アンタはこの技で終わりなんですけど~ッ!」
ライダーの言葉の意味がわからず、少し苛立ったように返しながらも、勝ちを確信して接近する彼女だったが……。
閃光と共にライダーの固有結界が解除され、元いた工房に戻っていた。
そしてすでにライダーの姿も無くなっていた。
「ちょっ! なんなのよっ!!」
「どういうこと――――ッ?」
バンビエッタとキャスターは困惑したように辺りを見回す。
すでにライダーの気配は近くに無い。
どうやらライダーのマスターの令呪を用いた瞬間転移によって、一瞬でこの場を去ったのだろう。
「ハッ! 何が余たちの勝利よ。尻尾撒いて逃げただけじゃない」
バンビエッタはバカにしたように笑う。
「あはは、そうだねー」
キャスターも苦笑いで同意する。
しかし……。
「いや、そうでもないぞキャスター。よく気配をたどってみよ」
「うん?」
アーチャーの言葉に、キャスターは結界内の気配をたどる。
「!? セイバーと切嗣の気配が消えてる! マスター!」
キャスターは急いで工房内に向かう。
そこには、自らの傷の手当てをしている言峰綺礼と気を失っているアイリスフィール、久宇舞弥の姿があった。
「キャスター、アーチャー……無事だったか。こちらは、してやられたよ」
言峰綺礼が、苦々しい表情で言う。
「何があったの――――ッ?」
キャスターが首を傾げながら聞く。
「ランサーとアサシンが協力して攻めてきたのだ。ヤツらの目的は衛宮切嗣の救出だったらしい。そしてお前もアーチャーもいなくなったことで、セイバーは多少正気を取り戻したのだろう。切嗣を連れて脱走したよ。私ももう少しで殺されるところだったが、お前の残していた疑似サーヴァントがいたため、なんとか命は助かったのだ」
淡々と語りながらも綺礼は、拳を握りしめていた。
「なるほどなるほど。まぁよいではないか。これでまた愉しみが増えたわけだ。我にあそこまで蹂躙されたセイバーが、再び我に挑むほどに持ち直すのか……。それとも我を忘れられずに自ら戻ってくるのか……さて愉しみだ」
ギルガメッシュは特段気にした様子もなく、酒を注ぎ、呷る。それはキャスターも綺礼も同じだった。
「そうだな。聖杯の器であるアイリスフィールも、衛宮切嗣の右腕だった久宇舞弥もすでに私のモノだ。ヤツに残された手は少ない。いずれ時が来れば再び見えるだろう」
綺礼はそう呟くと、薄く笑う。その様子を見て、アーチャーもキャスターも愉し気な笑みを浮かべるのだった。