※この作品はR-18です。

堕ちた聖職者と絶望の正義   作:彼処舐ノ助嗅過

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Fate/Zeroのクロスオーバーです。

~今回のあらすじ~
埠頭の戦闘
英雄王登場~オリジナル展開

※シリーズ全体
以下の点にご注意ください。
・バッドエンド確定
・キャラ崩壊、設定ガバガバ
・介錯不一致の可能性
・ハードな展開や胸糞鬱描写あり
・後半までR-18描写無し


第3話「屍の集団と月夜に舞う蝶」

「さて……どうしたもんかなぁ」

ライダーも目の前の敵に対してどう対処すべきか考えていた。

「うふふ、あの子たちを倒すことができても、私を倒すことは敵わないみたいね、あははは!」

バーサーカーは勝ち誇ったように高らかに笑う。

その笑い声に悔しそうな顔を浮かべる面々。

その時だった。

 

「先ほどの怪物とあなたとでは、体の造りが違うみたいですね」

スッとバーサーカーの背後に立つ影があった。その場にいた誰も気づくことができないほど、まるで最初からそこにいたかのような動きだった。

「なっ!?」

バーサーカーも思わず固まってしまっている。

「こんばんは。今日は月が綺麗ですね」

小柄で美しい少女が、バーサーカーに微笑む。思わず飛び退くバーサーカー。

「まさか……アサシンか」

セイバーが少女に問いかける。

 

「ええ、私はアサシンのサーヴァントです。この戦いは一通り見ていました」

セイバーに向かって微笑むと、バーサーカーに視線を移すアサシン。

「ですからバーサーカーさん。あなたへの対処法はもう確立済みなんですよ」

バーサーカーはフン、と鼻で笑うとハルパーを構える。

「あはは、突然現れて何を言い出すかと思えば……小娘が調子に乗らないこと、ね!」

そう言って先ほどのように黒い霧になって斬りかかろうとするが……。

「え!? ど、どうして!?」

「あれ、聞こえませんでした? もう一度言いますね。あなたへの対処法は、もう確立済みなんです、バーサーカーさん?」

アサシンの挑発的な言葉を受け、美しい顔を怒りの形相に歪ませるバーサーカー。

しかし体が思うように動かない。

「な、なに……これ……」

「そしてそれはもう、あなたに試しているんです」

笑顔のアサシンの言葉に目を見開くバーサーカー。

(体が言うことを聞かない。いつも通りに動かない。この子娘、いったい何を……)

 

「あなたは正確には個ではなく、”集合体”、ですよね? あなたが皆さんとお話をしている間に、薬を投与させていただきました。集合体であろうと1匹に投与すれば十分。その1匹を中心に、あなたの肉体は凝固します。私、状況に合わせた薬を即座に調合できるんですよ」

「何を……長々と言って……るのよ……!!」

バーサーカーが体を震わせながら叫ぶ。

 

「そうですね。じゃあ、単刀直入に言いますね。つまり私が投与した薬の効果で、あなたはもう、霧のようになって攻撃を躱すことはできないのですよ」

アサシンの言葉に、バーサーカーは固まる。

「そんな……バカな……許さない! お母様のためにも、ここで1人でも多くのサーヴァントを……」

怒りのままにハルパーを振って斬りかかるも、アサシンは蝶のようにひらひらと身軽にその攻撃を躱す。

「なるほど。やっぱり、あなたは正規のバーサーカーではないのですね。死ぬ前にわざわざ自分から情報提供してくれて、ありがとうございます」

攻撃を躱しながらそう言うと、アサシンは細い刀を取り出し、それをバーサーカーの胸部に突き刺した。

「それじゃあ、さようなら。偽物のバーサーカーさん」

「くっ……あっ……あがぁぁっ! お、お母様っ! お母様~!!」

バーサーカーは苦しそうな声を上げながら、やがて動かなくなるとドロドロと溶け出すのだった。

 

アサシンは、セイバーたち、他のサーヴァントの方を向き直る。

「ふぅ、バーサーカーもどきは倒しましたが……どうしましょう? 邪魔者がいなくなったところで、続きをします?」

アサシンの挑発に、ライダーが答える。

「いや、思わぬ邪魔が入ったからこそ戦いたいヤツもおるだろうが……。セイバー、ランサー、それに双方のマスターよ! この場はこの辺で痛み分けといこうじゃないか。これ以上やるというのなら、征服王たる余の全力とぶつかることになるが……」

ライダーの言葉にセイバーとランサーはうなずく。

遠くの物陰で舌打ちをするケイネス。ため息をつく切嗣。

 

「返事が無いということは、余の提案に異論はない、ということでよいな」

ライダーはそう高らかに言うと、チャリオットの手綱を握る。

「ふぅ、マスターから撤退の指示があったわ。決着をつけられないのは残念だけど、今日はお互いに余計なところで消耗しちゃったし、この続きはまた今度ね、セイバー」

ランサーは槍を納めると、セイバーに向かって告げる。

「ああ、今度こそ全力でぶつかり合い、その上であなたを打ち倒す」

「ふふ、楽しみにしているわ。それじゃあね」

ランサーはセイバーに向かってウィンクをして、姿を消すのだった。

「さて、私も帰ります。本来は、もう少し仕留める予定だったのですが……。あなたたちと真っ向勝負はしたくありませんからね。それでは」

アサシンは軽やかにジャンプすると、その場から姿を消した。

「うぅむ。あのアサシンに美味しいところを持って行かれたわい……。では騎士王、しばしのお別れだ。次に会う時はまた存分に、余の血を熱くしてもらおうか」

そして、あまりの壮絶な戦いにいつの間にか気を失っていたウェイバーに、困ったような表情を見せながらも笑うライダー。

「ではな!」

そう言い残し、雷鳴と共に上空へと去って行くのだった。

 

「セイバー、大丈夫!?」

ライダーが去ったのを確認して、アイリスフィールがセイバーの元へ駆け寄る。

「私は大丈夫です、アイリスフィール。しかし……聖杯戦争……過酷な戦いになりそうです」

「ありがとう、セイバー。あなたのおかげで生き残れた……」

アイリスフィールはセイバーの手を握る。

「私が前だけを向いて戦えたのは、背中をあなたに預けていたからです。勝負はこれからです、アイリスフィール。今夜の局面は、これから始まる戦いの最初の一夜でしかありません」

「……そうね」

「いずれも劣らぬ強敵ぞろいでした。ただ1人として、尋常な敵はいない……」

セイバーの言葉を受け、アイリスフィールはあらためて戦いの過酷さを認識する。

「これが……聖杯戦争」

 

 

「くくく、ははは! 俺のアサシンは時臣のサーヴァントが尻尾を撒いて逃げたバーサーカーを、たった1人で始末したぞ! 時臣ぃ、貴様の吠え面を見たかったぜ! はっはっはっ!」

間桐雁夜はアサシンの強さに歓喜した……が。

「ぐおえぇっ!」

血と共に、体内の蟲を吐き出す雁夜。

「もしもーし、大丈夫ですか?」

雁夜を覗き込むのはアサシンだ。

「ア、アサシン……。もっと倒してもらう予定だったが……あのバーサーカーの邪魔が入っていたに……して、は、よく……やった……。うおえぇぇっ!」

「苦しそうですねぇ。痛いですか?」

アサシンは笑顔を崩さずに尋ねる。

「は……はは……。こんな痛み……桜ちゃんが味わった苦痛に比べたら……」

雁夜はさらに血を吐く。

苦しそうな雁夜を見て、アサシンは真面目な表情になり胸元から薬を取り出す。

「あなたの体の蟲は特別です。私でももっと時間をかけて研究しなければ、取り除くことは不可能。気休めにしかならないかもしれませんが、これで痛みは少し紛れ、蟲の動きも制御できるはず……」

アサシンはそう言って雁夜の首元に注射を打つ。

「くっ……はぁ……はぁ……。済まない、アサシン。少し……楽になった」

サーヴァントであるアサシンは、雁夜を担ぐ。

「少し休みましょう、マスター。あなたには休息が必要ですよ」

そう言って、雁夜を抱えて跳躍するのだった。

 

一方その頃、どこか暗い建物の中。

「……ふ、夫人……? い、生贄連れてきた……けど……」

龍之介が子供たちを引き連れ、バーサーカーの元へやって来る。

「おのれ、あのアサシンの小娘め! 私の可愛い娘をよくも!! ああ……ベイラ! 絶対に許さない! 必ずバラバラに切り刻んでやる!」

当のバーサーカーは、先ほどの自称バーサーカーである娘のベイラをアサシンに殺されたことで怒り狂っている。その迫力に龍之介は腰を抜かしつつも、なんとか生贄を彼女に見せる。すると少し落ち着いたらしく、息を整えるバーサーカー。

「……ふぅ、よくやったわ龍之介。上出来よ」

そう言って龍之介に少年少女を始末させる。そしてその血をバーサーカーがいただくのだ。

(夫人に血を! 俺が楽しみつつ、夫人に俺の芸術を楽しんでもらわないと! そして美味しい血を飲んでもらえりゃあ、せいはい……せんそう? とかいう戦いも夫人が圧勝でしょ!)

龍之介は、血を吸うバーサーカーを見て、心の中でワクワクしているのだった。

 

 

「マスター、ご報告があります」

教会の護衛を担当していた、キャスターの作り出した、疑似サーヴァントが、綺礼に報告へと来る。

「なんだ?」

「教会の外に、使い魔らしきものが……。結界の外ではありましたが、教会を監視しているのではないかと」

疑似サーヴァントが差し出したコウモリの使い魔を、綺礼は黙って見つめるのだった。

 

 

「う~ん、いいねぇ~。このアイリスフィールって呼ばれてる子。可愛いなぁ~。ボクが見た感じだと、彼女には何か秘密がある気がするんだよね~。えっへへ……! キレイキレイには内緒で、ちょっと会いに行っちゃおうかな――――ッ?」

疑似サーヴァントから送られた来た映像を何回も巻き戻しては、アイリスフィール・フォン・アインツベルンの映像をニヤニヤと眺めているのはキャスターだった。

可愛らしい顔立ちの彼女だが、その表情にはどこか狂気が歪んでいるのだった。

「よし、まずは会いに行ってみよー! さぁいくよ、疑似サーヴァント肉団子5~28号くん♪」

そう言ってキャスターは、彼女の疑似サーヴァント軍団を引き連れて、セイバーの気配をたどるのだった。

 

 

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