~今回のあらすじ~
キャスターとセイバーの戦闘。
ステータス、戦闘力で勝るセイバーに、キャスターの疑似サーヴァント軍団、"とっておき"が襲い掛かる。
※シリーズ全体
以下の点にご注意ください。
・バッドエンド確定
・キャラ崩壊、設定ガバガバ
・介錯不一致の可能性
・ハードな展開や胸糞鬱描写あり
・後半までR-18描写無し
アインツベルン城。
襲撃を受けて、ボロボロになったこの場所から明日にでも移動することが決まっていたアイリスフィール。
衛宮切嗣は、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトの所在を探るために、別行動を取っていた。
ようやく回復した久宇舞弥を含めてこの場所にはセイバー、アイリスフィールの3人しかいない。
「切嗣の不在を狙って、サーヴァントが近づいてきてるわ」
アイリスフィールは、聖杯の器としての機能でサーヴァントの気配を感じ取る。
「こんばんは~ッ! キャスターだよ――――ッ!」
セイバーとアイリスフィールの前に、キャスターが姿を現す。
2人、特にセイバーは驚きを隠せない。
「キャスター、だと。だが貴様は、バーサーカーに内臓を引き裂かれ、首を斬り落とされたはずでは……」
「ビックリだよね~ッ! アイリちゃんもビックリした?」
アイリスフィールも、キャスターがこうして生きていることに驚きを隠せない。
「なぜあなたがここに? 確かにセイバーから消滅したって……」
そんな彼女の問いに対して、キャスターは嬉しそうに答えた。
「ボクは死なないよ~、アイリちゃんのためにもね―ッ!」
「私の……ため? どういう……こと」
すると、キャスターはアイリスフィールに向けて手を差し伸べる。
「アイリちゃん、迎えに来たよ~ッ! ボク、アイリちゃんのこともっともっと知りたいんだよねぇ~」
キャスターの以前の発言を思い出すアイリスフィール。
『へぇ……。怯えてるアイリちゃんも可愛いね!』
その発言と、今の発言を思い出してアイリスフィールは思わず後ずさりする。
「あ、あなたと私は相容れないわ! セイバーのマスターとして、私はセイバーにあなたの排除を命じます!」
アイリスフィールは、彼女の感情に恐怖を抱きつつも、セイバーと共にキャスターと対峙する。
「毅然としてるアイリちゃん、いいねぇ~ッ! ますます欲しくなっちゃった~! あ、そうだ! 気になってたんだけどさ、アイリちゃんたちホムンクルスっておしっことかするの~? 血も赤いみたいだし、人間と同じなのかなぁ~」
「あ……え……な、なにを……言ってるの?」
そんなキャスターの問いに、今度は恐怖を隠すことができないアイリスフィール。
「下衆な……ッ! 貴様はわが剣で切り伏せる。アイリスフィールには指一本触れさせない!」
セイバーは怒りの表情で、キャスターを睨みつける。
「アイリちゃん、セイバーを倒してアイリちゃんをボクのモノにするからねッ! あんな旦那のことなんか忘れさせてあげるね―ッ!」
「あなたなんかに切嗣の何がわかるというの!」
アイリスフィールは、キャスターの挑発に怒りを露にし、彼女を睨みつける。
「その余裕がいつまで持つかな~? えへへ」
キャスターがそう言うと、セイバーも剣を構える。
「アイリスフィール、ご安心を。いかにキャスターが疑似サーヴァントを多数従えていようと、必ず私が勝利します! あなたの安全は、この剣に誓って保証します」
セイバーのその自信に満ちた宣言に、アイリスフィールも勇気付けられる。そして、命じる。
「セイバー、キャスターを倒して!」
「了解しました、アイリスフィール!」
「キレイキレイ、見てくれてるかな~? ボクがアイリちゃんをお持ち帰りしてあげるから、ね――――ッ!」
キャスターとセイバーの戦いが、今始まろうとしていた。
「やはりそう来るか!」
セイバーの読み通り、キャスターはすぐさま疑似サーヴァントを複数体召喚してみせる。
その数はバーサーカーの娘たちが召喚した化け物たちよりはやはり少ないが、まるで本物のサーヴァントのようにセイバーの動きを読んで動いて来る。
1体1体のステータスはかなり低いが、それでも連携をとった攻撃でなかなかキャスターに近付くことができない。さらに倒してもわずか数分と経たないうちに再生してしまうため、キリがないのだ。
(バーサーカーの娘たち同様に、術者のキャスターを倒さない限り、こちらが消耗するだけだ……。機を見計らって、一点突破でヤツを仕留める!)
セイバーはそう判断し、キャスターの隙を伺う。
キャスター自身は敵であるセイバーの前だというのに、崩れた城壁の一部にうつぶせで横になり、両足をバタバタと遊ばせながらジュースを飲んでいる。
「貴様! 命を懸けた勝負の最中に、そのような態度を取るとは! 相手に対する侮辱だ!」
「ボク、騎士道とか持ち合わせてないんで、そんなの知らないんですけど?」
キャスターの態度にセイバーはついに怒りを爆発させ、彼女に向けて駆け出す。
しかし、それを読んでいたかのように複数の疑似サーヴァントが立ちはだかり、セイバーの進行を妨害する。
「くっ! 邪魔だ!」
セイバーは目の前の敵を切り伏せるが、その間に別の疑似サーヴァントが立ちふさがる。
そうしている間に先ほど倒した疑似サーヴァントが再生して、再び立ちふさがる。この繰り返しをなかなか崩すことができない。
「セイバーちゃんって思ったより弱いんだね~ッ! もしかしてこのままジワジワ勝てたりするのかな~? もうすぐ終わるから待っててね、アイリちゃん♪」
キャスターはセイバーを馬鹿にした後、アイリスフィールに向かってウィンクする。
アイリスフィールはそんなキャスターの挑発に恐怖と怒りを感じながらも、セイバーの戦いを見守ることしかできない。
「これ以上、愚弄するな! 覚悟しろ、キャスター!!」
その瞬間、セイバーの雰囲気が一変する。
「
セイバーは魔力を剣に宿し、纏わせた風を解放することで破壊力を伴った暴風として撃ち出す。
その一撃は疑似サーヴァントを薙ぎ払い、キャスターにまで届く。
彼女は慌てて飛び退こうとするも、その右腕を消し飛ばされてしまうのだった。
「う、嘘でしょ!? 宝具でもない攻撃でッ!?」
狼狽するキャスターにセイバーが迫る。
「貴様に勝機は無い。潔く負けを認めて、聖杯戦争から消え去るがいい!」
セイバーのその宣言を聞いた瞬間、キャスターは表情を一変させ、邪悪な笑みを浮かべるのだった。
「あ~あ、ボクの疑似サーヴァント肉団子軍団じゃあ歯が立たないのかな~ッ……じゃあ、とっておきその1を見せてあげるね――――ッ!」
彼女が手を掲げると、彼女の背後からバーサーカーが現れた。
「な、バーサーカー!? どういうことだ!」
驚くセイバーに、バーサーカーはお得意の長く鋭い爪による攻撃を仕掛けてくる。
「バーサーカー! 貴様、後がなくなってキャスターと組んだのか?」
「…………」
バーサーカーは何も答えない。
バーサーカーにしては、巧みに会話をこなし、戦略を立て、自分の娘たちに対する愛情すら持ち合わせていたバーサーカー。
しかし、今はまるで意思を失ったかのように、セイバーには感じられた。
「助けてぇ、バーサーカーのおばさぁん。セイバーちゃんが可愛いボクのこといじめの~、うぅ……ぐすっ……。 え? おばさんが守ってくれるの~? ありがと~ッ♪」
キャスターはバーサーカーの後ろに隠れて甘えたような口調で言う。
「…………」
バーサーカーはやはり無言のままだ。
(まさか、キャスターに操られているのか?)
セイバーがそんなことを考えているうちに、バーサーカーの攻撃は激しさを増していく。
「くっ! 貴様、キャスターの言いなりか!」
「……」
そんなセイバーの問いにも答えず、ただ攻撃を続けるバーサーカー。だがバーサーカーだけではなく、疑似サーヴァントたちも再生しセイバーに襲い掛かる。
「これは……ッ!」
さすがのセイバーも、徐々に追い詰められていく。そしてついにはバランスを崩して膝をついてしまったのだった。
「やっちゃえ! セイバーをやっつけちゃえ~! ボクのバーサーカー!」
「……」
キャスターの声にも、やはり無言のバーサーカー。
そしてそんなセイバーに容赦なく襲い掛かるバーサーカーだった。
少し離れた場所では、アイリスフィールが不安な表情でセイバーとバーサーカーの戦いを眺めていた。彼女は何かできることはないかと考えるものの、今の自分にはただセイバーの勝利を祈ることしかできない。
(切嗣……お願い、早く戻って来て……ッ)
「風が溜まれば、再び活路は見いだせる! バーサーカーと一緒に、今度は右腕に続き左腕を失うことになるぞ、キャスター!!」
セイバーの周りに、再び風が漂い始める。だがキャスターが気にしたのはその点ではなかった。
「あ、そういえば右腕治してなかったね~ッ!」
キャスターが思い出しように言うと、なんと彼女の右腕が一瞬にして再生したのだ。
先日のバーサーカー戦で内臓を抉られ、首を斬り落とされていたのに、こうして目の前に姿を現したことを改めて思い出すセイバーとアイリスフィール。
(ヤツ自身も疑似サーヴァント同様に異常な生命力を持つというのか……)
「ほう、キャスターめ存外に善戦しているではないか。セイバーのヤツも早く宝具を使えばよいものを。このままでは状況は悪くなる一方だぞ」
キャスターの疑似サーヴァントの諜報部隊が送る映像を見ながら、アーチャーはグラスを傾ける。
2人の戦いを肴に、酒を飲みつつ観戦するのだった。
(舞弥さんが切嗣に連絡を取ってくれているはず……。宝具の使用許可が出れば、セイバーならあの2体だってまとめて倒せるはず……!)
「お願い、セイバー、もう少し耐えて! 私も治癒やサポートをするわ!」
セイバーが必死にキャスターとバーサーカーの攻撃を耐えている。
そんなセイバーの傷をアイリスフィールが治癒魔術で治していく。
だが状況はさらに悪くなる。
疑似サーヴァントの1体が、切嗣に連絡を取ろうとしていた舞弥を発見して拘束してしまったのだ。
「舞弥ちゃんだっけ? この子を使って何か企んでたのかな~? ざ~んねん♪」
「くっ! セイバー、舞弥さんが……ッ」
キャスターの挑発に怒りを露にするアイリスフィール。
その隙をついて再びバーサーカーが襲い掛かってくる。
しかし、セイバーは落ち着いていた。
バーサーカーの攻撃を躱すと魔力放出を行い、一気に剣を振り抜く。
バーサーカーの肩から脇腹にかけて、セイバーの剣が切り裂いた。凄まじい鮮血が飛び散る。
「キャスター、貴様は見ていなかったのだな。あの後、バーサーカーはアサシンが調合した毒によって、驚異的な回復力を失ったのだ! つまり、貴様の操るバーサーカーは、かつての圧倒的な強さを誇ったバーサーカーではない!」
そう言い放つと、追撃といわんばかりにバーサーカーの心臓部を突き刺すセイバー。
バーサーカーは声を上げることもなく、崩れ落ちるのだった。
「あ、あれ? やられちゃったの~?……ちぇ、つまんないの~ツ」
バーサーカーが倒されたことに、キャスターは露骨に落胆する。
「さぁ、残るは貴様だけだ! もう逃げ道はない!」
セイバーが剣を構えて臨戦態勢を取ると、同時にキャスターの周りから再び疑似サーヴァントが現れる。しかし、セイバーはそんな状況に臆することなく、さらに魔力を剣に宿して構える。
「!!」
セイバーのその一撃を受けて疑似サーヴァントは消しばされる。
……だが、その時だった。
バーサーカーの肉体が突如変異を始める。
肉体の細胞分裂が暴走し変異体へと変貌。真っ白な体に禍々しい花の様な多段顎を持つ巨大な口を持ち、背中に触手を髪のように伸ばした本体を持つ、巨大かつ異形のドラゴンを思わせる真の姿に変わったのだ。
「な、なんだこれは!?」
セイバーは突如変異したバーサーカーを見上げて驚愕する。
「さぁ、よくわかんないけど、どうやらボクには攻撃して来ないみたいだね~ッ!」
キャスターの能力がまだ効いているのか、キャスターではなくセイバーだけを執拗に狙う変異バーサーカー。
いくらセイバーといえども空を飛ぶ巨大なドラゴン相手では、一筋縄ではいかない。
その様子を見兼ねたアイリスフィールはセイバーに告げる。
「セイバー! 宝具無しで、あれだけ大きな敵を相手にするのは例えあなたでも難しいわ。切嗣にはあとで私から説明します。セイバー、宝具の使用を!」
アイリスフィールはそう告げると、セイバーはうなずく。
動きが速く、空を飛んでいるため、確実に仕留めるタイミングを見計らうセイバー。
食肉虫が無数に放たれ、セイバーに襲い掛かるが素早く動き、まとわりつかれた際には魔力放出で弾き飛ばして振り払う。
「このドラゴンバーサーカーがいたら、ボクって超強いサーヴァントなんじゃ?」
キャスターは、変異したバーサーカーの巨大さと素早さに期待に満ちた眼差しを向ける。
旋回して一直線にセイバーを圧し潰そうと襲い掛かる変異バーサーカー。
(いい角度だ! ……だがあちらの攻撃が届く方が少し早いか……)
セイバーが一瞬で状況を分析し、一旦見送ろうと考えた時だった。
「
アイリスフィールが針金を魔術で操り、巨大な鳥を作るとバーサーカーにまとわりつかせる。
「セイバー!! お願いっ!!」
「ありがとう、アイリスフィール!!」
アイリスフィールの魔術では、サーヴァントであり巨大なドラゴンの姿を持つ変異バーサーカーを止めておくことはできず、ほんの一瞬その動きを遅くすることしかできない。
しかし、アイリスフィールが作ってくれたその一瞬のチャンスを、セイバーは逃さなかった。
「
セイバーの剣の真の姿が露になり、その剣から空に向かって巨大な一直線の光が放出される。
その一撃は、夜の暗いアインツベルンの森を明るく照らす。
「……ふぅぁ……」
あまりに凄まじい一撃に、キャスターは開いた口が塞がらない。
彼女の能力によって、高い不死性を得ていたバーサーカーだったが、あれだけの高エネルギーに跡形もなく消し飛ばされては、再生する間も無かった。
「あ~ぁ、負けちゃったかぁ……。でも、今の隙に……」
呆気に取られているアイリスフィールに近付くキャスター。
「アイリちゃ~ん♡ いっただっき~ッ!」
彼女はアイリスフィールに抱き着こうと飛び掛かる。
「きゃあっ! セ、セイバー!!」
驚きと恐怖で悲鳴を上げたアイリスフィールの声を聞きつけ、セイバーがすぐさま駆け付ける。
セイバーが剣で斬りつけるが、間一髪のところで躱したキャスター。
「ま、待ってよ! もう戦う気なんて無いってば!」
キャスターは目の前で手を振って、慌てた様子を見せる。そんな彼女に剣を突きつけるセイバー。
「見苦しいぞキャスター! 切り札を失った貴様の負けだ! 貴様のやり方、その常にふざけた態度には反吐が出る!」
だがキャスターは、慌てた様子から一変。再びニヤリと意味ありげな笑みを浮かべる。
「……はぁ。あれれ~、セイバーちゃん聞いてなかったのかな~? バーサーカーはとっておき"その1"。その1があるってことはぁ~、その2もあるって考えるのが当然だよね――――ッ!」
その言葉に驚きを隠せないセイバー。だが、すぐに平静を取り戻す。
「……どれだけ策を弄そうとも関係ない。アイリスフィールは、私が守る!」
「セイバー……」
アイリスフィールはセイバーの手を握り、開いていた傷口を治癒する。
2人は目を合わせて微笑む。
「アイリスフィール、あなたが後方にいてくれるから、私は前に出ることができる。あなたが共に戦ってくれているからこそ、私は戦えているのです」
「セイバー……。私こそあなたと共に戦うことができて光栄だわ。ありがとう」
すると、キャスターはイライラしたように舌打ちをする。
「チッ……。すっごい腹立つんだけど……。何? 見せつけてるつもり?」
セイバーとアイリスフィールはその言葉には答えず、彼女を強く睨みつける。
セイバーの目を見た彼女は不気味な笑みを浮かべつつも、苛立ったように叫ぶ。
「……バンビちゃん!」
彼女の叫びと共に、彼女とほぼ同じようなデザインの衣装を着た少女が姿を現す。その少女に後ろから抱き着くキャスター。
「待たせてごめんね、バンビちゃん♪ さぁ、セイバーちゃんを粉々にぶっ殺そっか?」
「フ、フハハハハ! キャスターのヤツめ。セイバーの聖剣に対抗するため、奥の手を出してきたというわけか……。いやいや、それにしてもセイバー……。もしもここで貴様がこの窮地を撥ね退けるというのなら……貴様は我が寵愛を賜ることになるだろうよ」
アーチャーは、疑似サーヴァントの送る映像を見ながら、再びグラスを傾ける。
「ふん、キャスターではどのみちセイバーには敵わんだろう。いかに私兵を従えようと、所詮はサーヴァントもどきの雑兵……。私のマスターとしての役目も、これで終わりだな」
そう言いながら部屋に入って来たのは、キャスターのマスターである言峰綺礼だった。
アーチャーは、そんな綺礼の言葉を受けフッと笑みを零す。
「いや、案外わからぬやもしれんぞ? キャスターのヤツは本気だ。本気で聖杯よりもあの人形を手にするためだけに、万全の準備でセイバー戦に臨んだ。そして、それに見合うだけの策を用意したという自信があるのだろう。いやはや、あの執念も中々に侮れぬわ」
「ほう、英雄王がそこまで言うほどか? まぁいい。ここまではお前の読み通りだろうが……」
綺礼の言葉にアーチャーはうなずくと、彼に提案する。
「お前も見ていったらどうだ、綺礼? お前のサーヴァントであるキャスターの戦いぶりを」
「……いや、いい。……と、言いたいところだが、キャスターの戦いを見れば……何か答えに近付けるかもしれんからな」
綺礼はそう答えると、静かにアーチャーの近くの椅子に座り、彼と共に映像を確認する。
それを横目で見て、彼のグラスに酒を注いでやるアーチャー。そして再び映像に目を落として呟く。
「さて、セイバー……。貴様は我が寵愛に値するのか? それとも……」