ガチレ〇プからの調教でズタボロにされた恋人を鍛え上げた絶倫ボディで徹底上書きする話 作:かくろう
ここはヘブンズ・ヴァルキリー本社の社長室。
高級な革張りの椅子と大きな机。
そしてマルチディスプレイで設置されたパソコンの画面には、自らが経営する風俗店やSMクラブ・高級クラブやバーの経営状況が一目で分かるグラフの数々が表示されている。
とはいえ、今や風俗産業を牛耳ったと言っても過言ではない企業のトップが仕事をするにしては、少々質素ではあった。
「お姉ちゃん、牧野千咲はそうとう参ってるみたいよ」
「そう……。追い込みもそろそろ仕上げかしらね」
店長のシルクこと瓦ノ丸冴子は、弟の源之助(ミルク)からの報告を聞いて淡々と答えた。
「今日派遣したエージェントによると、時短行為に荒い接客。相当にプライドが肥大化した痛子ちゃんみたいよ」
「まぁその程度でしょうね」
「ねえ、本当にあの女を月宮加奈子と会わせるつもり?」
「それが上からの指示よ。彼女の成長の為に、牧野千咲には破滅してもらう。これまで散々おいたが過ぎたでしょうから、そろそろお灸が据えられてもいい頃ね」
「そう…。でもお姉ちゃん、本当は会わせたくないんじゃない?」
「……そうね。本当なら人知れず始末してあげたいくらいよ。あの子はこれ以上傷付く必要は無い」
「まるで過保護な母親ね」
「せめて姉と言ってくれる……? まあでも、過去のしがらみを取り払って強くなる必要がある、というのは私もそう思うわ」
「もしも彼女がお姉ちゃんの右腕になれた時、精神が脆いままではやっていけない、か。余計傷付くだけかもしれないわよ」
「そうなったら彼がケアしてくれるでしょ。彼女が傷付いた分だけ、志藤克明との絆も強くなる」
「本音は?」
「自分の娘を戦地に送り出すみたいで気が引けるわ……」
「やっぱり母親じゃない」
クスクスと笑うミルクは巨躯の身体を震わせて低く笑っていた。
「まあ、あの子達に直接復讐させる必要はないでしょうから、せいぜいお姉ちゃんが追い込んであげればいいと思うわ。ぶん殴られるより精神をズタズタにされる方がよっぽど堪えるでしょうからね」
「そうね。あの子達に復讐は似合わない。余計な痼りを増やすだけよ。二人の性格を考えると、相手を破滅させてスッキリ、なんてタイプではないでしょう」
「そうね。流石は神に素質を見いだされた者。怒りにまかせて復讐することの無意味さを無意識に理解してると思うわ」
「ええ。この世は因果応報……。悪を働いた者は、自ら詰んだ因果による清算を受ける。私達はそのきっかけを作っているに過ぎないわ。牧野千咲が積み続けた悪の因果で、彼女は自滅するでしょうね」
冴子は自らを戒めるように言葉の奥に込められた意味を噛み締める。
それは、自分の人生を破滅に追いやった男へ復讐を成し遂げたが故に理解した空しさだった。
「そのとおりよ。上からの指示じゃなければ私達も手を下すべきではない……」
「ええ。最後の最後で、彼女が追い込まれている原因が、過去に自分が破滅させた女だと知れば、彼女は立ち直れないくらいのダメージを負うでしょうね。そこからどうなるかは、本人次第、ね」
冴子は直接復讐を成し遂げさせてやれないもどかしさと、その先にある空しさを知る必要がないことの板挟みになり、それでも自らの使命のために、牧野千咲を追い込み続けるように指示を出した。
「それから、あっちの男の方はどうなってる?」
「ああ、月宮加奈子レイプの実行犯の男ね。居場所を特定したわ。繁華街をうろついている所を牧野千咲とばったり再会。転がりこんだみたいよ」
「そう。どうせまた悪巧みを考えるでしょうけど」
「今のところは生活に手一杯ね。牧野の方もホスト狂いで借金がかさんでるし……本当に牧野と月宮加奈子を合わせる気かしら」
二人に積極的な復讐は似合わない。
そうでなくとも、無用な復讐心を煽ることを良しとしない冴子は、加奈子を地獄に落とした悪魔達は人知れず排除してしまいたいとすら考えていた。
しかし、彼女の成長の為には邂逅は必須。
下地は整いつつある。あとは彼らをどうやってじっくり料理してやるか……。
「それよりお姉ちゃん、アレ、本気なの?」
「ええ。月宮さんが大きく成長する為にきっと必要なことよ」
冴子の表情は申し訳なさでいっぱいだった。古傷を抉り出すような行為を決意した彼女の思惑に、加奈子がどう対応するか。
ヘブンズ・ヴァルキリーのカリスマとなり得る加奈子の才能を見出す最後の試練を、与えようとしていた。
◇◇◇
冴子さんの元で働くことを決めた加奈ちゃんが顔合わせの為に出かけることになった。
初日と言うこともあり俺も同行してほしいと冴子さんから要請があったため、仕事納めでしばらく出番無しかと思っていたスーツに身を包む。
「さて、それじゃあ行こうか。朝霧さんも参加してくれることになったし、新しい職場で新しい人生。順調だね」
「うん。まだちょっと怖いけど、頑張ってみるね」
「ああ。決してムリはしなくていい。冴子さんにもそういう風に許可はとってあるし、基本的に女性だけの職場らしいからね」
「そうだね。でも雪乃姉さんとも一緒だし、いつまでも弱音吐いてばかりもいられないもんね」
「ああ。俺は加奈ちゃんの頑張りを応援するよ。そろそろタクシーがくる時間だ。出発しようか」
「うん」
今日は指定の場所まで冴子さんの手配したタクシーに乗ることになっている。
夜には朝霧さんと共に食事に行くことになっているので、全員で移動するのに丁度良いからってことらしい。
「あ、来たみたいだ。ってアレ? なんで篠崎から来るんだ?」
なんでか到着のメールが後輩の篠崎から入ってくる。メールの文章だけで相当なハイテンションなのが分かる。
加奈ちゃんと共に地下の駐車場まで降りると、文面以上のウルトラハイテンションな後輩が待ち構えていた。
「おっはようございまーすっ! お迎えにあがりましたよー」
「おはよう咲良ちゃん。一緒に来てくれるの?」
「はいッスっ。冴子さんの使いで来たっすよ。4月になったら正式に向こうで働くことになるんで、今から研修ッス」
「そうなんだ。心強いね」
「ウチも加奈子さんと働けるの楽しみッス」
篠崎は1月の末日をもって水無月コーポレーションを退職する運びとなり、年明けに送別会が予定されている。
加奈ちゃんはこの頃本当によく笑うようになった。
それはある意味でお隣さんのミルフィさんとよく遊びにくる篠崎のおかげである。
この頃は三人で出かけるようにもなったし、精神も安定しているようだ。
「せんぱーい、どうしたんすか~? ウチに加奈子さん取られて悔しいんでしょ」
「そんな訳あるかい。お前如きに奪われてたまるか」
「油断してると危ないッスよ。ウチ、女の子もいけちゃう口なんで、なんつって冗談ッスよ」
「なんかお前が言うと冗談に聞こえないぞ」
「ふふ、私は克明君一筋だもーん。咲良ちゃんじゃ私は堕とせないよ~」
「え~。じゃあ加奈子さんウチとワンナイトラブしましょうよー」
「どうしようっかなぁ。じゃあ克明君も一緒ならいいよー」
「「えっ!?」」
「克明君も3P興味あるでしょ? エッチな動画見てたもんね♪」
おおう、加奈ちゃんってばもの凄い冗談言うようになったな。
いかに篠崎相手とはいっても自分の性癖を暴露されるのはちょっと恥ずかしい。
「加奈子さん加奈子さん、いくらなんでもそのジョークはちょっと」
「ごめんごめん。咲良ちゃん相手だとつい遠慮がなくなっちゃって。なんか私達ってよく似てるって思うんだ」
「いやいや、ウチなんて加奈子さん比べたら全然ですよっ」
「ううん。見た目の話じゃなくて、心のことだよ」
この時の言葉。後に重要な意味を持つことになる。
加奈ちゃんの思い。思惑。それは決してネガティブな意味ではなかったものの、俺の予想を超える決意のようなものを秘めていたことを、後に知ることになった。