ガチレ〇プからの調教でズタボロにされた恋人を鍛え上げた絶倫ボディで徹底上書きする話 作:かくろう
◇踏んだり蹴ったりの年末年始◇
~克明と加奈子が婚前小旅行に出発した日~
風俗嬢リホこと牧野千咲は、収まらないイライラに振り回される年末を過ごしていた。
結局家に居着いてしまった富山武彦の扱いにも精神をすり減らし、相変わらず客の口から出てくる言葉は『ルナちゃんに比べれば』ばかりであった。
人生でかつて無いほど自分自身をぞんざいに扱われ、千咲のストレスは極限まで達していた。
「クソッ。どいつもこいつも……ッ。酒でも飲まなきゃやってらんないわ」
胃が荒れているが、イライラが収まらないので今日の稼ぎを全部散財するつもりで予約していたホストクラブに繰り出すことにした。
予定を繰り上げていけるかどうかの確認をするために電話をしたのだが、指名のホストはどうしてだか酷く慌てた様子で歯切れの悪い事を言いだした。
「はあっ!? どういうことよッ! 私今日お店に行くって言ったわよねッ!?」
何故だか贔屓にしているホストは店に行くことを約束していたにも拘らず、不自然なほどに来店を断ってきた。
気に入らない牧野はホストを問い詰めるが話をはぐらかされて要領を得ない。
実は指名しているホスト側は牧野がしょっちゅう他の客とトラブルを起こすので敬遠していた、という事情がある。
いつも高い酒を飲んではツケで支払いが遅れる、いわゆる売り掛けという行為を乱用し、まだかなりの金額が残っている。
通常はそんな状態の女を逃がすわけにはいかないので、このホストの態度はかなり不自然なのであるが、実はその溜まっているツケは「とある存在」によって全て完済され、その指示に従って牧野の来店を遠ざけたのである。
何を言ってもうやむやにしようとするホストに腹を立て、話にならないので「テメェのところには二度といかねぇからなっ」と悪態をついて連絡を絶った。
むしゃくしゃが収まらず、飛び入りで新人でも漁ろうかとも思い適当な店に足を運ぶ。
しかし年末という事もありどの店も待ちが出るほど混雑している。
フルバックで沢山稼げるチャンスなので、開店から目一杯入り、夜は適当に遊ぶつもりで近場のホテルを取らせたのだ。
牧野が所属する店側も、上からの指示で牧野を系列店舗に呼び寄せている為、宿泊費も上層部から出ていた。
店側としては一刻も早く「リホ」は厄介払いしたかったので渡りに船とばかりにその指示に従ったのである。
家に帰るのも億劫な千咲はあらかじめ予約してあったホテルに向かうことにする。
移動しているタクシーの中。
ふとこれまで散々自分のプライドを抉ってきた【ルナ】という女がどういうヤツなのか、調べたことがなかった事に気が付いた。
スマホを弄って店の名前とルナという名前で検索をかける。
するといくつかのサイト巡っていたところに風俗掲示板を見つけ、過去に投稿されたルナに関するレビューをいくつも見つけることに成功した。
そこに書いてあるのは賛美の嵐。
自分ですら言われたことのないくらいの称賛の数々に圧巻させられてしまう。
容姿は端麗。
明眸皓歯(めいぼうこうし)にして仙姿玉質(せんしぎょくしつ)。
今時こんな言葉を使って人を褒めるのだろうかと言うほどの言葉の数々で容姿を褒めちぎっており、その時点でスマホを叩き割りたくなるほどプライドを傷つけられた。
更に読み進めていくと、性格は良いし気遣いもできる。
人の心の悩みを的確に、柔らかく救ってくれる天使のような女性であると。
そんな容姿以外の褒め言葉が立ち並び、頭が痛くなってきた。
店には写真が残っておらず、容姿を確認できたことはない。
ホームページにも写真は残っていない。
どうやら店側も顔出しはしてなかったのでネット上に流れ出していることもなかった。
タクシーを降り、ホテルに到着した牧野はネット上にルナの盗撮写真でもアップされていないか調べ始める。
だがそんなに上手いこと見つかる筈もなく、時間を浪費しただけだった。
克明と加奈子が幸せいっぱいの大晦日を過ごしている頃、牧野千咲はイライラしながら一人寂しい夜を過ごしていた。
ここ最近再び自分の心を掻き回してくるルナがどんな姿をしているのか気になり、ネットに写真でも出回っていないか探してみたが、見つからずに舌打ちしていた。
「クソ……やっぱないか。はぁ、あほくさ。何やってるんだ私は……」
時間の無駄であることに気が付いた頃には年は明けており、ホストクラブで豪華に過ごすはずだった正月は時間の無駄遣いだけで終わってしまう。
結局やることもなくて寝るしかなかったが、気分がホストに繰り出すモードになっていただけに中々寝付けなかった。
全く眠ることができないのでルームサービスのワインをカッ喰らって無理やり眠気を引き出しベッドに身を沈めた。
翌朝、ヤケ酒と明け方までスマホを弄って出勤時間を寝過してしまい、ヘルプ先のスタッフに白い目で見られるという憂き目に遭った。
牧野の年明け最初の仕事は最悪のスタート切ることになり、正直キレ散らかしたいくらいイラついていた。
しかし、せっかくの稼ぎ時をふいにしてしまうのは勿体無いので歯を食いしばって頭を下げ、殊勝な態度を取り繕って勤務に励んだ。
既に今日を含めて数日間は予約でいっぱいであることを告げられた牧野は、仕事への面倒くささへの辟易を感じながらも、やはり自分の女としての価値の高さにプライドが満たされ溜飲を下げた。
遅刻した分だけ予定が繰り下がり、休憩する暇も無いくらいに指名客を捌くのに終始することになる。
酒焼けとストレスによるムカムカ。
加えて寝不足による体調不良で最悪の気分のまま、牧野はヘルプ1日目を終えたのだった。
◇◇◇◇◇
ホテルに戻った牧野は、肉体的疲労から遊ぶ気力も湧かずにベッドに倒れ込んだ。
寝付くことができずにベッドでゴロゴロしていると時間だけがいたずらに過ぎていく。
「そういえば、なんで急に私とルナを比べるヤツが増えだしたんだ?」
それは少し前からずっと感じていた違和感であった。
最初の頃はちょくちょくいたがしばらくして落ち着いていた。
だがここ最近になってまた急激に増えたのだ。
それも以前より具体的ではないかと感じる。明らかに狙い撃ちされているような……。
そう考えて、被りをふる。
「はっ。そんな馬鹿な。そんなことして誰が得するってんだ。私のやる気が削がれれば損をするのは店側の筈だ」
あくまでも悪いのは周り。
そう考えてやまない牧野は考えても仕方ないとタバコに火をつける。
「灰皿灰皿……あれ?」
タバコを吸い始めたは良いが灰皿が見つからない。
携帯灰皿など持ち歩くつもりのない牧野はホテルのサービスの悪さに舌を打つ。
ここは禁煙部屋であるのだが、彼女はそんなフロントの説明など聞いちゃいなかったし、部屋の扉に大きく張り出してある禁煙のマークなど視界にすら入れてなかった。
ホテルを取ったのは店側の手配なのだから、自分の為に喫煙部屋を準備するのが当然と思っている。
そのため、ここが禁煙部屋であるという発想自体がないのだ。
「ちっ、しゃーない。洗面台にでも……」
マナーもへったくれもない行動をして灰を落とそうと立ち上がったその時、部屋の中にけたたましい警報が鳴り響く。
ビィィィ! ビィィィ! ビィィィ!
「うわっ!? な、なんだ!?」
いきなりの大音量に驚いた牧野はシーツの上に火のついたままの吸い殻を落としてしまう。
そこに運悪くこぼしてしまったアルコール度数の高い酒に引火し、瞬く間にシーツの上で燃え広がって炎上してしまう。
「え、ちょっ!? う、嘘でしょ!」
慌てて何とかしようとするも、燃え上がる炎を前にパニックを引き起こしてその場で慌てふためき、アワアワと狼狽えるばかりで何もできなくなった。
ピィイイイ―― ピィイイイ―― ブシャァアアアアアア
「うわぁああああっ!?」
警報装置と共にスプリンクラーが発動し、辺りは水浸しで自身も濡れ鼠になってしまった。
「ちくしょうっ、畜生なんだよっ、くそったれがぁあっ!」
激昂して部屋を転げ回る牧野はずぶ濡れになりながら喉が潰れるまで叫び倒し、部屋を出たり逃げる等の選択肢も忘れて終始パニックし通しだった。
しばらくして駆けつけた警察と消防に事情を聞かれ、バツが悪くなって誤魔化していたが、すぐにタバコの吸い殻が見つかって原因がバレた。
それから宿泊していた部屋が禁煙部屋であることを知らされ、これに牧野は激昂する。
「はぁ!? 禁煙部屋なんて聞いてねぇよ!」
「そうは言われましても、チェックインの際に禁煙部屋であることはご説明申し上げておりまして、この通り了承のサインを頂いております」
実際そのとおりであり、牧野はフロントの説明などまるで聞いていなかったのだ。
「巫山戯んなよッ! あんな燃えやすいシーツを使う方が悪いだろうがっ! 禁煙部屋でもタバコ吸うことくらい想定しておけよっ」
ホテル従業員もここまで横暴な開き直りは見た事がなかったので、こめかみをピクピクさせながら紳士的な態度を心がけた。
努めて冷静に処置を行い、警察や消防の対応に手続きをとっていく。
「ともかく、今回はお客様の過失であることは明らかですので、後日弁護士を通して賠償金の請求をさせていただきます」
踏んだり蹴ったりだった。
キレ散らかして暴れ回ったが警察に取り押さえられ、連行されて次の日も再び遅刻してしまうのだった。
まったくついていない。牧野は強く舌打ちする。
ここ最近は誰かに呪われているように踏んだり蹴ったりの日々が続くことに、作為的なものがある事に気が付いていない。
とはいえ、今日のボヤ騒ぎは完全に彼女の過失であるのだが、彼女がそれを認めることはなかったのである。
強烈なストレスと寝不足で仕事などしたくなったが、借金があるので休む訳にもいかず、牧野は翌日も眠い目を擦って酷い隈を作りながら仕事に行かざるを得なかった。
年末のためホテルも空きがなく、家に戻るしかなくなった。
しかし、家に戻ったら戻ったで更なるイライラ案件が待ち構えていることを、千咲はまだ知らないのである。