ガチレ〇プからの調教でズタボロにされた恋人を鍛え上げた絶倫ボディで徹底上書きする話 作:かくろう
◇16日目の終盤◇
その日の終盤、加奈ちゃんはキャストの全員を車で送迎するとして、ワゴン車とタクシーを人数分手配した。
それらの経費もバカにならない。しかし加奈ちゃんはキャストの安全を守るのが第一としてそれらの出費を一切惜しまなかった。
最終日の売り上げから算出した純利益が向こうを上回っていなければ勝負に勝つことはできない。そのためには無駄な経費は極力抑えるべきだが、彼女にとって犠牲は勝負よりも重視すべきことなのだ。
甘いと言われるだろう。しかし、それが彼女の選んだ道である以上は尊重したい。
人手が足りないので、俺も自分の車を出して欲しいと加奈ちゃんに懇願されて喜んで協力した。
キャスト達も協力して乗り合わせを行い、可能な限りタクシーは使わずに送迎車のみで帰宅してくれた。
その間の護衛はミルフィさんにお願いし、加奈ちゃんは業務終了後の店内清掃を咲良と共に行っていた。
俺は自宅から車を取ってきてキャストの送迎を行い、四人のキャストを乗せて送迎を行っていた。
「ねえねえ。あなたって店長の恋人なんだよね」
「ええそうですよ」
「いいなぁ」
キャストの皆さんを自宅まで送迎するために車を走らせていると、その中の一人が興味ありげに俺と加奈ちゃんの関係を聞いてきた。
「やっぱり君がいる時といない時で店長のキラキラ具合が違うよね」
「キラキラ具合ですか。初めて聞くワードですけど」
「っていうか、年上なんだからため口でいいよ」
「いえいえ、皆さんは大事なキャストなんですから。それに、俺は本来部外者ですし」
「え、じゃあ給料もらってないの?」
「副業になっちゃいますからね。申請が面倒なのでお手伝いです」
水無月コーポレーションは副業禁止じゃない。しかしやはり水商売に関しては許容されてはいないのだ。
なのでボランティアで手伝うことはあっても金銭を受け取るわけにはいかないのである。まあそうじゃなくても受け取るつもりはないが。
「店長ってさ、しっかりしているように見えるけど結構放っておけないっていうか。いつも何かに怯えてる感じがしてたんだよね。彼女の過去を聞いたら納得だよ。本当は風俗とか絶対戻りたくないはずでしょ」
実際そうだろう。冴子さんとの出会いがなければ決して戻ろうとは思わなかった筈だ。
「そうですね。未だに男性恐怖症で俺以外の男性はまともに喋るのはかなり大変です。皆さんのフォロー無しでは無理ですから、よろしくお願いしますね」
「うん、まだ半月の付き合いだけど、凄く良い人だって思うよ。でもさ、今日入ってきた二人、本当に信用して大丈夫? 牧野のスパイってことないかな?」
「その可能性はあると踏んでいます。なのでまだ色々と気を遣うことが多くて大変ですよ」
裏切り者はどこに潜んでいるか分からない。しかし加奈ちゃんは誰かを疑って疑心暗鬼になっては勝つことはできないとして、中々積極的に考えることができないでいる。
だからそういうのは全部俺の仕事だ。もちろん、ここにいる彼女だってその一人だ。
「到着しましたよ。お疲れ様でした」
「ありがとう志藤さん。店長によろしくね」
「ええ。伝えておきます。明日からもよろしくお願いします」
「よろしくっ、おつかれーっ!」
最後の一人となった女性が車を降り、そのままUターンを行おうとハンドルを切ろうとしたところで、強烈に嫌な予感が走った。
視界の端っこの方に映り込んだ複数人の男達。
ニット帽、黒のタートルネック、如何にも過ぎて怪しんでくださいと言わんばかりの風貌が暗闇の中でやたらと目立っていた。
その先には扉の開いたワゴン車。運転手は見えないがエンジンは掛かっている。
我ながら一瞬にしてそれだけの情報を認識できたことに自画自賛するヒマもなく、俺の体は直ぐに動いていた。
「ちょっ、何よあんた達ッ! きゃーーーーっ!」
三人の男達が女性キャストを取り囲んで担ぎ上げた。拉致以外の何物でも無い行為に血が沸騰する。
「待てやコラッ!」
「なんだテメェッ」
「こっちのセリフだボケッ!」
女性を抱え上げている男を突き飛ばし、なんとか助け出して庇った。
「邪魔すんじゃねぇっ」
「チィッ!」
襲い掛かってくる三人の攻撃を順番にいなす。こちらから攻撃しては余計な敵意を煽ってしまう。諦めて帰って欲しいが、長引かせるとそれはそれで不利になる。
「セイッ! ハッ」
「うおっ、なんだこいつっ」
攻撃を躱しつつ手の平を使ってカウンターを叩き込む。
「ぐ、おおっ……ごほっ」
以前のチンピラ襲撃事件の後、ボクシングだけでは足りないと感じた俺は、社長の古武術道場を紹介してもらい、そこに通うようになった。
おかげで敵を倒す手段ではなく、相手を制する手段を鍛えることによってこういった場合に対処しやくなったのである。
「くっ、強えぞっ」
「くそっ。素人じゃねぇ。ずらかれっ!」
ファイティングポーズで威嚇をしながら相手の攻撃に備えていると、形勢不利と見たのか直ぐに撤退し始めた。
流石に相手は三人だし、彼女を守りながら深追いはできない。俺はすぐにスマホを取り出して撮影し、乗り込んでいく男達の姿と車のナンバーを記録した。
「大丈夫ですか?」
「う、うん。ありがとう。助かった……。なんなのあいつら」
「分かりませんけど、先日のレイプ野郎の件と無関係ではなさそうですね」
牧野の妨害を予想した矢先にこれだ。無関係であるはずがない。
俺は彼女の手を取って車に戻る。このまま家に帰すのは危険すぎた。
「とにかく、店に戻りましょう。このまま自宅に居続けるのは危険です」
「そうね。ごめん、着替えだけ取ってきていい?」
「分かりました。中で待ち伏せしてるかもしれません。玄関前まで護衛します」
たった今車で拉致ろうとしていたので可能性は低いが、警戒するに越したことはない。
それにしても、キャストの自宅前で待ち伏せしているとは思わなかった。
マンションに入って着替えを取ってくる間に加奈ちゃんに連絡を取り、そちらでは何か起こってないかを確認する。
『えっ! それ本当なの?』
「ああ。明らかに待ち伏せしてた。キャストの住所が割れてるみたいだ。ちょっとこれは由々しき事態だよ」
『うん……。考えたくないけど』
「ああ。内通者がいる可能性が高いな。キャストかボーイかは分からないけど」
キャストの住所管理は履歴書と身分証明書を提出してもらい、それらは厳重に保管されている。
全部デジタルで管理して、幹部クラス以外はパスワードを共有していない機密事項だ。
そう考えると管理側、つまりボーイの中にいる可能性が高いかもしれない。
「とにかく彼女を連れて店に戻る」
『あ、ごめん。もう鍵を閉めて家に戻っちゃったの。ミルフィさんがそうしなさいって』
「分かった。それなら近くのビジネスホテルまで護衛してから帰るよ」
『うん、分かった』
「もしかしたら他のキャストにも同じ事が起こってるかもしれない。全体メールで確認してくれ」
『分かった。やっておくね』
電話を切ったところで丁度彼女が戻ってきた。
「店はもう閉めちゃったみたいなので、近くのビジネスホテルまで護衛します。対策ができるまで経費で落ちるそうなので必ず領収書をもらっておいてください」
「分かった。あ、それなら友達の家まで送ってくれない? 時々泊まらせてもらってる子で、しばらく大丈夫だと思うから」
「分かりました。何かあったら直ぐに連絡してください。シルクオーナーにも連絡して対策を講じてもらいます。これは一店舗で解決できるレベルの問題ではなくなってきました。経営側の責任問題にもなりかねない由々しき事態です」
「志藤さんって社長にも発言権持ってるの?」
「発言権ってほどじゃないです。連絡先を知っているだけですよ」
「凄いね。志藤さんがまとめ役やったら?」
「いえいえ、俺はただのサラリーマンですから」
ともかく、彼女を友達の家まで送ることにした。明日の出勤では誰かを迎えに行ってもらった方がいいだろう。
「行きも送迎した方がいいと思うので、俺から店長に提言しておきます。何かあったらすぐに連絡してください」
「うん、ありがとね。本当に助かりました。……ホントに、ありがと……」
震えている。当然だろう。卑劣な手段を平気で使う牧野達に怒りが湧いてくる。
まだ証拠はないものの、これだけ状況が奴らの仕業であることを物語っている現状では無関係だからと悟りめいたことは言えない。
「とにかく今日はゆっくり休んでください。明日も無理して出勤することはないと思います。店長も決して無理はさせないようにと言っていたので」
「ううん。出勤はするよ。多分家にいても不安なだけだから。とことんやろうよ」
「心強いです。それじゃあ、本当にお気を付けて」
「うん、ありがとう。お休みなさい」
友達の家に彼女を送り届け、俺は冴子さんの番号をコールした。