ガチレ〇プからの調教でズタボロにされた恋人を鍛え上げた絶倫ボディで徹底上書きする話 作:かくろう
「今、なんて言ったんだテメェ?」
「あなたが居なければ、私は今を手に入れることはできませんでした。私、今とっても幸せなんです。大学時代に不幸のどん底に堕とされました。だからこそ、彼の優しさ、心の温かさ、豊かさ、全てを素晴らしいと感じられるようになったんです」
「な、なんだそりゃ……? キモ……。は? キモッ……キモいキモいキモいッ! なにそれ? は? は? は? 意味不明過ぎて気持ちわりいわっ」
この二人の間にどんな感情が動いているのだろう。
牧野は理解できなさすぎて言語中枢がバグを起こしたように混乱している。
だが加奈ちゃんに関しては分かる。
彼女は必死に過去を乗り越えようとしている。
加奈ちゃんは、間違いなく牧野を殺したいほど憎んでいる筈だ。心の中に渦巻いている激しい憎悪が手に取るように分かる。
穏やかで波風の立たない表情に、激しくうねる激情を隠した加奈ちゃんが隠れ潜んでいる。
それを必死で抑えているのがルナちゃんだ。
ルナちゃんは加奈ちゃんの恐怖と絶望が生み出した人格。怖くて、憎くて、忘れたいと願った感情の嵐から身を守る為の防波堤なのだ。
いや、もしかしたら逆なのかもしれない。憎しみを溢れさそうとしているのがルナちゃんで、抑えているのが加奈ちゃんのようにも感じる。
二人の意識は乱れ狂うように混じっている。今はどっちが優勢か分からない。
「私は罠にはまってレイプされました。それから五年間。地獄のような陵辱の日々を過ごしてきた。だけど、やっと大好きな人に再会できた。毎日毎日沢山の幸せをくれるんです。だからあなたへの憎しみも乗り越えます。前よりずっとずっと幸せだから」
「だからっ! 意味分かんないって言ってるじゃんっ! なにそれっ! 余裕のつもりっ? 勝利の美酒に酔いしれて敗北者を見下ろすのが楽しいんかッ⁉」
「楽しくなんかありません。私は乗り越えたいんです。本当は殺したいくらいの憎しみで心がいっぱいです。でも、それじゃ強くなれないんです」
「はぁ? 気に食わないなら殴るなりなんなりすればいいだろうがっ! 無様な負け犬を見下して踏みつければせいぜいスッキリするだろうぜっ!」
俺はずっと考えていた。牧野達にできる最高の復讐はなんだろうかと。
ぶん殴る? ブチ殺す? 徹底的に立場を貶めて無様な姿を世間に晒す?
外国に売り飛ばせばザマアミロと思えるだろうか?
多分、彼女にとってはどれも違う。
物理的な復讐が必要なら俺がいくらでも代わりにやってやる。だけどそれは彼女の望む復讐ではない。
「いいえ。私はあなたに復讐しません。殴ったりもしないし、ザマアミロとも思いません。見下したりもしないし、なんなら約束していた部下になる話も無しでいいです」
「なんだと?」
「私の人生にあなたはもう必要ありません。私をレイプした証拠映像も既にありませんし、……いえ、一応ありますね」
「な、なに?」
「あなたの彼氏、富山武彦の以前逮捕された仲間が所持していました。それらは既に警察が持っています。そこにあなたが映っていれば……ですが、私は今更あの件を告発するつもりはありませんから」
「ケッ……」
加奈ちゃんは……な。実はあの件に関しては既に警察で裏付け捜査が進んでいる最中だ。
このまま無罪放免なんて虫のいい話はない。加奈ちゃんは直接復讐しない。しかし世間はそれを許さないだろう。
俺も加奈ちゃんが許そうとしているならそれも良いかと、始めは思った。
だがそれではダメだ。犯した罪には然るべき懲罰が必要だ。
選択肢は二つある。
一つはこのまま警察の捜査が進み、この女が過去に犯した犯罪行為を立証して刑に服してもらう。
もう一つは、冴子さんの力で処刑を発動してもらうこと。
多くの人の救いになるにはこちらの方がいいと思っている。
なぜなら処刑とは殺す事を意味するのではなく、恐らくは以前に聞いたレイプ犯の仲間達と同じく外国の金持ち達に売り渡されることを意味している。
調べによれば牧野と富山によって無理やり働かされている女性もいるとのことなので、それらの賠償に必要な金の捻出をそこから行なうのが一番順当だからだ。
「だから後は好きにしてくださって結構です。因果応報という言葉があるように、あなたがやってきたことは必ず報いを受ける時がやってくると思います」
「はっ! 今度は宗教か?」
「違います。心の在り方です。私は、あなたに対する憎しみを克服したいんです」
「だからっ、それがキモいってんだよっ! 悔しいんだろッ⁉ アタシにムカついてるんだろっ⁉ だったら復讐すればいいじゃねぇかっ! そこにいる彼氏に殴ってもらえよっ!」
加奈ちゃんは言葉に詰まる。どれだけ言っても牧野と通じ合うことはないと悟ってしまったからだろう。
「分かりました。それならこうしましょう」
加奈ちゃんは立ち上がり、牧野を見下ろすように言い放つ。
「当初の予定通り私の部下になってもらいます。冴子さんの掲げる業界のクリーン化に貢献してください。あなたがやってきたことは社会的に許される事ではありません。贖罪は刑務所か、社会貢献か、好きな方を選んでください」
「はぁ? 脅しかけようってのか?」
「そんなつもりはありません。でも、機会はいずれ必要だと思います」
「うるせぇよっ。私の人生をテメェが決めるんじゃねぇっ!」
人の人生を破壊したくせにいけしゃあしゃあと口に出るもんだ。鼻っ柱に右ストレート叩き込んでやろうか。
「冴子さん、牧野さんに3時間ほど考える時間を与えてあげたいんですが、よろしいでしょうか」
「ええ。勝者は月宮さんですから、敗者を扱う権利はあなたにあります。私は経営者として様々な違反や違法を働いた彼女を処分する権利がありますが、今回は月宮さんに一任しましょう」
「はい。勤務態度はともかく、接客実績が大変高い彼女なら、扱い方さえ間違えなければ会社の利益になると思います。ちゃんと教育すれば素晴らしい結果を出してくれる筈です」
その言葉が何よりも牧野プライドをズタズタにしたのが分かった。加奈ちゃんは気が付いているのか分からないが、今のは完全に『使う側と使われる側』の扱いになっている。
つまり勝者と敗者。上位者とその下。
こう言うと加奈ちゃんが偉そうな嫌味を言っているように聞こえるが、実際は真逆だ。
牧野はこのままいけば冴子さんによって処刑される筈だ。裏社会の住人を使える立場にある冴子さんの会社にこれだけの迷惑をかけた人間が無事に済むはずがない。
それが分かっているから、会社で雇用して利益になるように立ち回っているのだろう。
加奈ちゃんは、牧野を助けたいのだ。そうでなければ、彼女に待っているのは筆舌に尽くしがたい地獄の人生。
死ぬことができれば儲けものと言っても言いすぎじゃないくらいの苦しみが待っている。
まさしく加奈ちゃんが味わってきたような精神を破壊し尽くすような今後が待っていることだろう。
自分をそんな目に遭わせた悪辣な女の命の手綱を握っていても、決してそうなって欲しいとは思っていない。それが加奈ちゃんなのだ。
以前に加奈ちゃんを地獄に落としたレイプ魔達が逮捕された際に証拠となる過去の動画に牧野は映っていなかったらしいのは確認している。
加奈ちゃんもそれを知っている為、本来はそれで彼女を追求することは難しいと分かっている。
「時間までじっくり考えてください」
「タバコ吸ってくる……」
そのまま部屋を出て行った後に残されたのは、全てを使い切って倒れ込んだ加奈ちゃんを咄嗟に受け止めた音だった。