ガチレ〇プからの調教でズタボロにされた恋人を鍛え上げた絶倫ボディで徹底上書きする話 作:かくろう
「本当に、申し訳ありませんでした……。この通り、謝罪いたします。本当に申し訳ありませんでした。ごめんなさい……。本当にごめんなさい……」
絨毯に膝を付き、おでこを擦り付けながら牧野千咲が土下座する。
処刑宣言に等しい状況まで追い詰められた彼女が取った選択は謝罪だった。
しかし形だけだ。その表情を横から覗けば、悔しそうに歯噛みしているのが丸わかりである。
「牧野さん……」
「もう二度と誰かを貶めたりしません。心を入れ替えて働きます。申し訳ありませんでした」
加奈ちゃんも態度を急変させた牧野に戸惑いを隠せないようだ。しかし直ぐに切り替えて向き合っていた。
「あなたが本当に心からそう思っているなら、私はそれを信じます。牧野さんが誰かを大切にできるようになるまで、どうか頑張ってください」
「……はい」
今日をもって牧野は店長業務を別の人間、具体的にはヘブンズ・ヴァルキリーから出向する人間に引き継ぐことになる。
加奈ちゃんの部下として下働きするかどうかの話だが、やはり過去の因縁があるため加奈ちゃん側にメリットがないに等しい。
だからしばらくはクールダウンする期間をもうけようと俺から提案した。
その間は冴子さんの采配で別店舗のキャストとして働いてもらい、キャストの一人として売り上げに貢献しつつ社員として働いてもらう。
牧野は人を動かしたり教えたりする側ではなく、スタンドプレーで立ち回った方が圧倒的に向いている。
故に個室風俗の店舗に異動し、部屋待機で客を取るスタイルで働いてもらう。どうやらホスト狂いでかなりの借金があるらしく、一時的に会社が肩代わりをすることで雁字搦めにするらしい。
「利息は安くしておいてあげるから、しっかり働きなさい。月宮さんの慈悲に感謝するのね」
「……ええ、分かってますよ」
うな垂れて元気のない返事をする牧野。精神はそうとう参っているようだ。
本来なら死刑にも等しい扱いが待っているだけに、唾を吐きかけたい気持ちを抑えるしかないのだろう。
「さて、それじゃあ結果発表はこれでお終い。後日お疲れさま会を開くから、今日は帰ってゆっくり休んでちょうだい。牧野さん、あなたの席も設けてあるけど、来る?」
「私は遠慮しますよ……。そういう気分になれないんで」
「そう。まあゆっくり休みなさい。次の店舗を選出するまで休暇をあげるわ。3日ってところかしら……」
「ああ、わあったよ。いえ、分かりました」
「牧野さん……」
「もう何も言うなよ。仕事はちゃんとするわ」
牧野は言葉少なにフラフラと立ち上がり、そのまま部屋から去って行った。
このまま逃亡する可能性もあるので監視付きだが、今後俺達に関わってくることはあるまい。
ともかく富山も始末したし、過去に加奈ちゃんのレイプに関わった連中は一掃できた。
加奈ちゃんも俺も、過去の因縁に一応の決着を付けることができたと考えていいだろう。
◇◇◇
後に残されたのは、静寂。冴子さんは加奈ちゃんに気を遣って人払いをしてくれた。
今日は店舗も休業にしてあるので、キャストやボーイ達は思い思いの休日を過ごすために帰宅の途に就く。
残ったのは冴子さん、雪乃さん、咲良の三人だけとなった。
「月宮さん、本当にお疲れ様でした。過去の因縁、見事に断ち切りましたね」
「はい……まだ少し実感が湧きませんが、私、勝ったんですよね?」
「ええ。それはもう完膚なきまでの勝利です」
冴子さんは腰が抜けてその場にへたり込んだ加奈ちゃんの元で膝を付き、優しく手を握って慈しむように肩を寄せる。
まるで母か姉のように優しく、家族を褒めるように髪を撫でていた。
「あなたはとても立派だった。恐怖に打ち勝ち、憎しみを乗り越えた」
「本当に立派だったわ、加奈子。蛇足だけど、牧野千咲の不正によって上乗せされた売上高を加算しても、こちらの勝利は揺るぎなかったみたいよ。だからあなたの完全勝利」
「そうです。全部あなたの功績よ」
「いいえ。私だけならきっと負けていました。周りの人達が支えてくれたからです。それに、克明君がいてくれたから……」
「ええ、志藤さんの功績はとても大きいものです。ですから、今回の勝利はお二人のもの。キャストの皆さんも志藤さんの活躍にはとても感心してしましたから」
手放しで称賛されると照れくさくてむず痒い。しかし、良い気分だ。
「さ、色々とお話したいこともありますが、今日はお疲れでしょう。店長業務はしばらく雪乃が受け持ちます。月宮さんはどうぞ休暇を取ってください」
「え、で、でもそんな」
「いいのよ加奈子。あなたはこの1ヶ月、限界以上に身体を酷使して精神をすり減らしてきたんだもの。自分でも気が付かないくらい疲弊しているわ」
「そう、ですか。そうですね。ありがとうございます……。お言葉に甘えて、休暇を取らせていただきます」
「そうそう。本来はもう少し先ですが、今回は特別に締め日の翌日に振り込むように手配しておきました」
「え、何がですか?」
「もちろん、月宮さんが1ヶ月頑張って働いたお給料です。いえ、厳密には役員報酬ですね。亜美達と再会した日から月宮さんは役員に名を連ねていますから」
「そう……ですか。あの、お願いがあるんです」
「どうしました?」
「私のお給料、牧野さんのお店で不当に扱われていた女性達に分け与えて頂けませんか。人数の分だけ前払いで。その間はただ働きで結構ですから」
「加奈ちゃん……」
「ごめんなさい克明君。でも、どうしても放っておけなくて」
「その志はご立派です。ご心配なく。彼女達には会社の方で正当な報酬を支払います。無理やり風俗に入らされた人達には慰謝料もお支払いすることになっています。もちろんこれらは牧野と富山が背負うことになりますが」
「……分かりました。冴子さん」
「なんでしょうか?」
「慰謝料をお支払いする方々への謝罪には、私も同行させてください。少なからず、私にも責任があります」
「下の不始末の責任は取締役である私が負うのが役目です。ですが、分かりました。しなくていいと言ってもあなたは自分でいくつもりでしょうから」
「はい。私が勝負を持ちかけたばかりに、無用な被害を被ってしまった人達に責任を取りたいんです」
勝負にかこつけて強姦した女性を無理やり風俗で働かせていた事が発覚している。
それが自分のせいだと思っているようだが、勝負がなくとも同じ事をしていただろうし、事実として富山は前の店舗でもやっていたらしい。
加奈ちゃんは一人で背負いすぎるきらいがある。だけどこうなったらテコでも譲らないだろう。
冴子さんも根負けして然るべきタイミングが来たら知らせると言って笑っていた。
こうして、加奈ちゃんは1週間の休暇をもらうことになり、酷使した体と精神の回復に費やすことになる。
◇◇◇
「お疲れさま加奈ちゃん。立派に戦い抜いたね」
「ううん。克明君が手伝ってくれなかったら、きっと途中で諦めてたよ。私が追い詰められた時も助けてくれた。色んなことに気を回してくれて……頭でっかちになってた考えをただしてくれた」
「俺にとっては当たり前のことだ。加奈ちゃんは、単に勝ちたかったわけじゃないだろ?」
「そう、だね。甘いって言われるかもしれないけど、牧野さんのこと、見ていられなくて……。あのままで生きていたら、きっといつか恨んでる誰かに」
「自業自得だ。加奈ちゃんが気に病むことじゃないよ」
「うん。そうだと思う。だけど、このままじゃ彼女、殺されちゃうんでしょ?」
気が付いていたのか。まあ、富山の仲間の末路を聞いた時点で予想していたんだろうな。
「いや、殺される訳じゃないと思うよ。だけど、これまでしてきたことの責任は取らないといけないと思う。何しろやってきた事は許されない犯罪行為だ。それを俺達の感情だけで許してはいけないと思う」
もちろん、加奈ちゃんが選んだ道も間違っているとは思わない。
「贖罪を働いてお金で返すっていうのも間違ってないと思う。刑に服すのも一種の懲罰だ。だけど、身を粉にして被害に遭わせた人に侘びる労働も十分苦しいだろう。どう転んでもあの女に明るい未来はやってこないさ」
どんな人間にも希望はある。それが理想だ。
だが、それだって限度がある。
何事にもやりすぎて手遅れになる時期が必ずやってくるんだ。牧野はやりすぎた。
それらの罪を全て清算しなければ、あの女が光を見ることは二度と無いだろう。
「そうだね……。分かってる」
「加奈ちゃん。君は勝ったんだ。過去に打ち勝って、強くなったんだよ」
「うん、私、勝ったんだよね……。成長、できたかな?」
「ああ。俺は君が誇らしい。優しくて、強い人だ」
「うん……ありがとう、克明君。でも、まだきっと弱いままだから、私を助けてくれる?」
「もちろんさ。ねえ加奈ちゃん」
「なに?」
俺は今日という日の為に準備していた物を加奈ちゃんに見せることにした。
「このまま、役所に行かないか?」
「役所? ……あっ」
そうだ。ゴタゴタしててすっかり遅れてしまったが、聖夜に誓った約束を果たすには、今日という日が丁度良い。
いや、今日以上に相応しい日はないだろう。
「加奈ちゃんが一つの節目を迎えた今日以上に相応しい記念日はないと思うんだ。だからさ」
「うんっ!」
背広のポケットから取り出したそれを見て、加奈ちゃんは嬉しそうに涙を流す。
俺達は手を繋ぎ、そのまま町の役場へと向かった。
踏み出す二人の一歩一歩が嬉しくて、未来に希望が宿っていくような昂揚感を覚える気持ちのまま自動扉をくぐる。
全ての必要事項はあらかじめ記入してある。あとはそれを提出すれば、俺達は晴れて新しい門出を出発することができるのだ。
二人で手を取り合って、ドキドキしながら提出する一枚の婚姻届け。
「おめでとうございますっ! これでお二人はご夫婦ですよ」
祝福の言葉を受けて照れ笑いする加奈ちゃんが眩しくて、目まぐるしい日々が始まることすら楽しみで仕方なかった。
「よろしくお願いします、俺の奥さん」
「よろしくお願いします、私の旦那様♡」
俺達はようやく夫婦になった。
過去の因縁ある相手は全ていなくなった。加奈ちゃんも十分過ぎるほど成長した。
それでもまだまだ課題は多い。それら全部を、俺達は二人で……いや、ルナちゃんと三人で乗り越えていくんだと誓いを立てる。
こうして、劇的な成長を遂げた加奈ちゃんの長く苦しい激闘の1ヶ月が幕を閉じるのだった。
~第10章 完~