ガチレ〇プからの調教でズタボロにされた恋人を鍛え上げた絶倫ボディで徹底上書きする話 作:かくろう
翌日のこと。
篠宮会長の遣いの方が咲良と雪乃さんであることを突き止め、そこで咲良から『真の遣い』がいる事を知らされる。
その話の途中で電話が掛かってきた社長から、その御方が俺に会いたいという。
まるでどこからか監視しているかのような的確さで俺の状況を言い当ててくるから不思議だ。
こうまで来ると社長の言葉が思い出される。
以前、里中社長はこう言った。『篠宮会長は常識というものがとことん当てはまらない御方だ』と。
それは関係者にも波及するのではなかろうかと思っている。
加奈ちゃんの事に感謝することしきりで驚くヒマもなかったのだが、改めて考えるととんでもない事をシレッと出来てしまう力を持っているようだ。
権力・財力・カリスマ・もしかしたら超人的な力を持っているのではないかとも思えてしまうほど凄い事を平気でやってのける。
本来なら恐怖すら感じるほどの偉人だ。しかし不思議と忌避感はない。恐怖感もない。いい人かどうかは分からないが、俺達に有利になることに多くの人を動かしてくれた。
会長の目的がどこにあるのか分からない以上、いい人と断定することはできないけど、少なくとも俺達にとって恩人なのは確かだ。
「企画部、志藤克明です。里中社長とのアポイントメントを予約しております」
何度目かになる高速エレベーターを昇り、いつものように美人奥さんの秘書さん二人に挨拶をする。
「お待ちしておりました志藤さん。社長が中でお待ちです。どうぞお入りください」
「ありがとうございます」
「あ、それからお茶とお菓子は直ぐに持って行くのでいちいち大声で叫ばないでと伝えて頂けますか?」
「あはは。相変わらず仲良し夫婦なんですね、お二人とも」
少なくとも三人の奥さんがいるという社長。その一人である友梨佳さんは相変わらず面白い人だ。
「あ、そうだ。お子さんがお生まれになったそうで、おめでとうございます」
「ありがとうございます。ここだけの話、先日子供を産んだのは私のお母さんなんです」
「えっ、お母さん……ってことは、親子で社長の奥さんをされているのですか?」
「もちろん私が第一夫人ですけどねっ」
えっへんと胸を張る友梨佳さんは年上だろうに可愛らしい少女のようだ。
「あ、これ出産祝いでお納めください」
「あらあらぁ、これはご丁寧にどうも」
出産祝いに包んだ封筒を瑠璃さんに手渡し、社長室へと足を運ぶ。
と、そこで気が付いた。社長が扉の前に立っている。
「あ、あれ? 社長、どうしたんですか?」
なにやら緊張した面持ちで扉の前に陣取る社長。身体がデカいので途轍もなく迫力がある。両手を後ろ手に組んで、まるでSPのように直立不動の姿勢で動かない。
社長が社長室の真ん前に立っているのは異様以外の何物でも無い光景でちょっと混乱してしまう。
「う、うむ。会長の遣いの方が中でお待ちだ」
と言うことは遣いの方は社長より立場が上なのか。候補の一つとして予想はしていたが社長にここまでさせるということは相当に高位の御方なのは流石に予想外だ。
「え、そんなに怖い方なんですか?」
「いやいや、とてもお優しい方だ。お前は緊張する必要はないのだぞ。お前はな」
「もしかしてかつての上司とか?」
「なぜ分かった?」
「当たりなんですね」
「志藤、あの御方と話す前にアドバイスしておくことがある」
「なんですか社長……」
社長室への扉に手をかけ、開こうとする直前、おもむろに社長が話しかけてくる。
「これからお前に何らかの問いかけがあるかもしれない。その問いに対してよく考えて答えるんだ。以前に俺が言ったことを覚えているか」
「篠宮会長は、人の心を見る……でしたか」
「その通りだ。お前がどれだけ真剣に事に当たっているのか。言葉ではなく心で示せ」
「分かりました」
分かりましたとは言っても心構えはできたという程度である。
どんな問いかけがあり、どのように答えるべきかなどわかりもしないし、自信も無い。
だが、ここまできたら出たとこ勝負で行くしかない。
俺は意を決して社長室のドアを開け、中へと入る。
「失礼します」
「はい、どうぞ」
淡く、真っ白な雪が地面に溶けたような透き通る声が鼓膜を揺らす。
「ようこそ志藤克明さん。お待ちしておりました」
「え……?」
社長室の奥に備えられた大窓に差し込まれた夕日。
いや、このフロアは構造的に夕日は差さない筈。
それでもその声の主からは眩しいばかりの後光が差し、思わず目を覆ってしまうほどの神々しさを覚える。
俺は思わずその場に膝をつき、神の御前にひれ伏すように頭を垂れてしまう。
「志藤、よく目を凝らせ。お前が見ているのは幻だぞ」
「え……?」
社長にそう言われて俺は目の前の女神の顔を見ようと頭を上げるが、許可なくそのご尊顔を拝するのは畏れ多い気がして動く事ができなかった。
シャクシャクと上品な音を立てて絨毯を踏みしめながらその気配が近づいてくる。
「どうぞ
「は、はい……」
動かぬ身体を無理やり引っ張りあげて首を曲げる。
「め、女神様……」
心奪われるとはこのことだ。
一目惚れとかそういう下世話な話ではない。
あまりにも神々しい美しさに、今度は目を離せなくなった。
漆黒の艶髪を片側に結わえて白や黄金の椿の花柄を刺繍した桃色の着物を着ている。
完璧すぎる造形美とはこのことだ。
だが俺はすぐに切り替える。
あくまで造形が美しいのであって好いた惚れたの物言いで語って良いものではないことはよく分かる。
それに、女性として美しいのは間違いないが、俺にとって完璧な造形美とは加奈ちゃん以外あり得ない。
一瞬でもそれを忘れてしまった自分を恥じ、律するために頬を叩く。
改めて折れていた膝を立てて立ち上がり、いきなり土下座めいた行為をしてしまったことを侘びた。
「大変失礼いたしました。志藤克明と申します。失礼ですが、貴方様は?」
何故だか彼女は敬うことを忘れてはいけない気がして様付けで呼んでしまう。
「申し遅れました。私、篠宮紗綾と申します。あなたが会いたがっている篠宮隆行の妻です」
「お、奥様でしたか……、ということは会長秘書の……」
確かによく見れば以前の全社集会の上層部の顔ぶれの挨拶で見た事がある顔だった。
間近で見るととんでもない美人だ。
会長とは年の差婚だと聞いたことがあるが、それでも年齢は40近い筈なのに十代の少女のようにすら見える。
全体の輪郭がハッキリしているのに後光が差して印象がぼんやりする不思議な感覚に覆われた。
「ええ。会長秘書は先日引退いたしまして、今は社長の相談役を担っております。半ば隠居ですね」
そういえば会長秘書である紗綾様は組織運営に力を注ぐために会長と共に第一線からは退いている。
久しく姿を見てなかったので一瞬分からなかったが、間近に迫ったその顔は確かに彼女のものだった。
「さあさ。立ち話でもなんですから。皆さんでお茶でもしましょう」
パンパンと紗綾様が手を叩く。
社長室に隣接した扉が開くと、社長秘書である二人がワゴンを運んでくる。
「あれ、これって……」
色とりどりのケーキやドーナツが並ぶワゴンが運ばれ、甘い匂いが辺りに漂う。
どれもこれも綾菜さんのお店で見たことがあるラインナップだ。
「さ、皆さんで一緒にティータイムをしましょう」
笑顔でそういう紗綾様は、まるで年下の少女のように無邪気であった。
…………
………
……
「ん~美味しい♡ やっぱり綾菜ちゃんの作ったお菓子は最高ですね」
やっぱり。紗綾様が美味しそうに頬張っているのは会社近くにある部長の奥さんの一人、綾菜さんのお店で売られているお菓子だった。
「さて、お菓子をたべながらで結構です。本題に入りましょうか……」
まるで菩薩の俯瞰の目のように、まるで神が現世に降臨したように。
つかみ所のない、しかし慈悲深く美しい目つきに変わった紗綾様が口を開いた。