ガチレ〇プからの調教でズタボロにされた恋人を鍛え上げた絶倫ボディで徹底上書きする話 作:かくろう
心臓に鉛の塊を填め込まれたような重苦しい感覚が体を重たくする。
人が怖い。全てが憎いッ。
破壊衝動と共襲い掛かってくる強い恐怖感が全身を支配し、叫びだしそうなほどの悲しみが喉を焼いた。
「ぐぅううっ、んっうう、ふぅううっ!」
「克明君…ッ」
「加奈、ちゃんっ」
色々な感情がミキサーに掛けられたようにグチャグチャと心をかき乱す。
性的な衝動、強い恐怖。相反する感情が体を動かす。
「あ、ぐっ、加奈ちゃんッ」
「克明君……大丈夫だよ。大丈夫。怖くないよ」
訳も分からず涙が溢れた。聖母に抱かれているような安心感が心を安らがせた。
そうか、これが加奈ちゃんが感じていた気持ちなのか。
母性に包まれ、すさんだ心のささくれが治っていく感覚が心地良い。
「ふぅ……ふぅ……ありがとう加奈ちゃん。もう大丈夫だ」
「大丈夫なのですか、志藤さん」
「ええ、正直、気を抜くと破壊衝動と恐怖心で潰されそうになります。だけどこれは彼女達の感じていた恐怖の一部でしかない。こんなことで潰れているようじゃとても背負えません」
「安心しました。やはり素晴らしい精神力をお持ちですね。いつどうなるか分かりません。念のため業務内容を調整して在宅にしましょう。常に誰か側にいるようにした方が良いと思います」
「そうですね。冴子さんに相談してみます」
「奉龍院からもサポート要員を派遣しましょう。加奈子さんはどうですか? いえ、今はルナさんでしたか」
「はい。今は加奈子です。心の中が、感じた事ないほどスッキリしています。心が軽い。こんな気持ちは初めてです」
「それが全てを乗り越えた先にある安らぎです。しかし、私を含めて篠宮家の人間は、力はあっても加奈子さん達の経験に寄り添うことはできません。どのような弊害が起こるか分かりません。何かあれば直ぐに相談してください」
「分かりました。ありがとうございます」
「気を付けてください。数年分の苦しみが凝縮されて、しかも6人分一斉に襲い掛かってくるのです。生半可な困難ではありません。できる事があれば言って下さい。すぐに駆けつけます」
そう言って紗綾様は帰っていった。残された俺達は咲良が帰ってくるまで寄り添い合っていた。
◇◇◇
その日の夜。全員で集まって事情の説明をすることになった。
ルナちゃんがそんなことになっていたことに一番悲しんだのは咲良だった。
俺が苦しみを背負った時、咲良、冴子さん、雪乃さん、雪菜先輩の四人の心が信じられないくらい軽くなったという。
男という生き物に対する嫌悪感が劇的に改善され、心の奥底に溜まっていた恐怖心や嫌悪感、怒りの感情が解消された。
それら全ては俺に引き継がれている。今の俺は、彼女達の感じてきた恐怖や怒りという感情を引き継いで激しい感情に支配されている状態だ。
一つ違うのは、男に限った話じゃない。人間そのものに対する強い憎しみが心を焦がしていた。
先ほどまで桜子様や愛沢副社長といった、ルナちゃんを消そうとした人達に対する激しい怒りが心を支配して暴れ出しそうになるのを必死に抑えていた。
「先輩ッ! ウチもいつだって慰めますからっ! 寂しかったらいっぱい甘えてくださいっすっ」
「ははは、ありがとう咲良。その時はそうさせてもらう。だからそんなにくっ付かなくて大丈夫だぞ」
「ダメっすっ。ただでさえ先輩は甘え下手なんっすか。ウチはこの千載一遇のチャンスに全力で乗っかるっすッ」
「自分の願望になってるぞ。でもありがとよ」
咲良は俺の状態を聞いてからずっとおっぱいに顔を埋めさせてくれる。いや、彼女がしがみ付いて離さないのだ。気持ち良いんだけどちょっと喋りにくかった。
「それで克明さん。今はどのような状態ですか?」
冴子さんの話が始まった頃になってようやくおっぱいプレスから解放され、今度は冴子さんと加奈ちゃんに囲まれた。
冴子さんはそっと俺の手を握り、両手で包み込んで自らの胸に引き寄せた。心配のあまり自然とそうしたのだろうと思うが、柔らかな感触と温かい体温に包まれて気持ちが安らぐ。
「気を抜かなければ問題ありません。正直、気持ちは楽ですよ。今まで皆さんの苦しみに寄り添うことはできても、本当の意味で理解することはできなかったから。今その気持ちが分かって、皆に近づけた気がするから」
レイプされた女性の気持ちというものを、男の俺は本当の意味で理解することはできない。
しかし、今感じているのは人間に対する潜在的な嫌悪感だった。
好きな人と繋がる事の安心感。しかしその奥に感じている淀みのような感情がジクジクと心を痛めている。
正直、想像していたよりも苦しみは少ない。
だけどそれは気を張っているからであり、油断すると感情が爆発しそうな気がしている。
「大丈夫なんですか?」
「そうですね。正直、マグマの海をベニヤ板のイカダで渡っているような気分ですよ。気を抜くと感情が爆発しそうです。皆こんな気持ちで毎日を過ごしてたんですね」
冴子さんの両手がギュッと力を込める。反対側の加奈ちゃんも同じように身を引き寄せた。
「志藤君、私達のこと嫌じゃない?」
「それは皆の気持ちと同じですよ先輩。先輩は俺のこと嫌ですか?」
「そんな訳ないじゃない」
「それと同じです。潜在的な恐怖感はあるけど、皆のことは愛してる。その自覚はあるんです。今はジワジワと感じているけど、いつ爆発するか分からない。この憎しみと苦しみを克服すれば、加奈ちゃんとの子供を授かることができる。目標がハッキリしている分、今はやる気に満ちていますよ」
問題はこれをどうやって克服したら良いかと言うことだ。
心というのは簡単に変わるようなものではない。それは加奈ちゃん達を見てきたからよく分かるし、俺自身も陰キャで弱腰だった自分を脱却するのに相当な努力をしてきた。
しかし、俺には皆がいる。
「大丈夫だよ克明君。克明君が私達を救ってくれたように、今度は私達が克明君を救う番だからね」
「ああ、頼りにしてるよ。とにかく、やることは今までと変わらない。今は様子見させてくれ」
全員で協力して苦しみを克服する。それが今度の俺達の課題となった。その意味合いが少し変わっただけだ。
だけど、全員分の苦しみを背負うという事の意味を、この日の夜から味わうことになる。
それは自分の考えが精神力だけでどうにかなるような甘いものではないことを痛感させるには十分過ぎた。
◇◇◇
その日の夜にそれは起こった。
「うううっ、ああああああああああああああああああああああああああっ!」
「克明君ッ⁉」
眠りと共に心が無防備になった瞬間、俺の精神は凄まじい恐怖に襲われた。
怖いッ。苦しい。死にたいッ。
ありとあらゆる恐怖の感情が、形のない集合体になって心を押し潰してくる。
嫌だ。こんな苦しみ、1秒だって耐えられない。
自分の心が容赦なく蹂躙されていく恐怖に、為す術なく喉を張り裂けんばかりの叫びしか上げられない。
「克明君ッ」
「克明さんッ」
「先輩ッ」
だけど、俺を包んでくれる光があった。優しさと柔らかさと安らぎ。
心を覆った淡くて優しい光に包まれた瞬間、俺に視界は急激に開けた。
「ハッ、はぁ……はぁ…はぁ…ああ、加奈ちゃん、冴子さん……咲良……?」
目の前に恋人達がいる。迷子になった子供が母親と再会した時のような、急激な安心感と言いようのないグルグルとした感情に苛立ちを覚える。
「う、……ぁあううっ、うわぁああぁ、わぁ、あ、あああああっ!」
「大丈夫。大丈夫だよ克明君。怖くないから。私達が側にいるから……。安心して」
止め処なく涙が溢れ、訳も分からず泣きじゃくった。無防備になった心が聖母の安らぎに包まれる。
何度も何度も、代わる代わる俺を抱きしめてくれる女性達に甘えて、俺はみっともなく涙を流した。
「加奈ちゃんッ、加奈ちゃんッ、うえぇ、うあぁんっ」
幾度となく子供のように泣きじゃくる俺をみっともないと責める者は1人もいない。
やがて遅れてやってきた雪乃さんと雪菜先輩も加わり、俺は5人の女性達に囲まれながら落ち着きを取り戻すまで癒され続けるのだった。