ガチレ〇プからの調教でズタボロにされた恋人を鍛え上げた絶倫ボディで徹底上書きする話 作:かくろう
快晴。
雲一つ無い突き抜けていくような青空の下、ウェディングチャペルが祝福の鐘を鳴らす。
俺は隣を歩く真っ白なドレスを着た女性と家族になる為の儀式を行っていた。
「克明君……」
「加奈ちゃん、綺麗だ……」
「うん、克明君も、世界一格好いいよ……」
互いに称賛し合う真っ白な衣装。
赤い絨毯のヴァージンロードを歩き、祝福の拍手が鳴り響く。
「加奈ちゃん、とってもキレイで~ス! 素敵ねっ! ビューティフォー!」
「加奈子さーんっ、とっても素敵っすぅ~っ♡」
ミルフィさんや咲良の声が届く。祝福の声は途切れることはなく、客席の友人達に思いを馳せる。
「志藤、良かったな。本当によかった」
「井上先輩、本当にありがとうございます」
井上祐太朗先輩。
失意の底にいる俺をずっと支えてくれた最大の恩人だ。彼がいなければとっくに諦めていたかもしれない。
彼がどれほどの想いを込めて俺を支えてくれたのかは、その頬に流れ落ちる大粒の滴を見れば明らかだった。
知り合ってからもうすぐ6年。俺は初めて先輩の涙を見ることになった。
「加奈ちゃん、おめでとう、本当に綺麗だよ」
「最高だよーっ! ウチが腕によりを掛けたからケーキ楽しみにしててねー♪」
先輩の奥さんである香澄先輩と綾菜さん。
誘拐されそうになった加奈ちゃんが発狂した時、そばにいて支えてくれた頼もしい女性達も拍手を送ってくれる。
今回の披露宴で出すケーキは、先日世界選手権を制したケーキ職人である彼女が直々に作ってくれたらしい。
「志藤、よく頑張ったな。おめでとう、本当におめでとう」
里中社長と奥さんである秘書の方々。加奈ちゃんと再会してからの数ヶ月間でもっともお世話になった人達もこの場に参列してくれた。
そしてその奥、会場の端の方で目立たないように参列している篠宮会長とその家族の皆様にも目を向けた。
(おめでとう志藤。お前の成長を楽しみにしているぞ)
会長からのメッセージが頭の中に直接流れてくる。これもまた彼の超絶能力の一つなんだろう。
会長から教えられて人外の能力も少しずつ理解が深まってきている。
俺も立派にそっち側の人間だ。
「ん~ミルクの作ったウェディングドレスが超絶似合うゥ~~♡ さすが加奈ちゃんだわぁんっ♡ 志藤君も素敵よんっ♡ 食べちゃいたいくらい♡」
ねっとりとした視線を送ってくるバカデカいオカマさんであるミルク店長がバチバチとウィンクを送ってくるのを苦笑いで手を振る。
「こらミルク。あんまり志藤さんを困らせてはダメよ」
「んもうっ、イケずなんだから。でも今度はお姉ちゃんのも作ってあげるからね。これはもう決定だからね」
「わ、私はいいのよ。そんなの着る年でもないわ」
「何を言ってるのよ。……姉の幸せを願わない弟がいるかよ、ちゃんと幸せになってもらうぜ。気合い入れて作るから着てくれよ、姉貴」
「急に男に戻らないで頂戴。……、泣けてくるじゃないのよ……
姉の人生と共に平和を壊され、複雑な人生を歩んできたのはミルクさんも一緒なのだ。
慈しむような優しい目付きは、姉の幸せを純粋に願う弟のものだ。
冴子さんのあんな顔は初めて見た。本当に仲の良い家族なんだな。
「加奈子、本当に綺麗よ。ウェディングドレスも、真っ白なブーケも」
「綺麗だよ~加奈ちゃん。志藤君も格好いいよ♡」
雪乃さんに雪菜。二人の姉妹も祝福を送ってくれる。
そして俺は彼女達にも同じ幸せを共有することを誓っている。
いずれ四人ともにウェディングドレスを来て結婚式をすることも約束している。
流石に世間的な事情もあって大っぴらにはできないけど、篠宮家の敷地内にある施設で祝福の儀式をさせてもらうことになった。
俺達は照れ笑いを隠しながらゆっくりと赤い絨毯の上を歩き、誓いの言葉を紡ぐ壇上に近づいていく。
「嗚呼、幸せだなぁ……、私、生きてて良かった。諦めなくて、良かった……絶望しなくて、良かったよ……」
本当にそのとおりだった。それは俺も全く同じだったのだ。
これまで、本当に色々な事があった。
5年に及ぶ別離の時。ずっとずっと耐えてきた。
探し続けた愛しい人との再会。その人が抗ってきた凄惨な日々。
その心の傷を治したい一心で頑張ってきた。
色んな人達に助けられ、様々な人達に支えてもらったことを自覚したのは、本当に最近になってからだ。
大きな拍手は鳴り止むことなく、俺達を祝福してくれている。
それは、これまでの忍従の時を耐え忍んできた俺達への、何よりの賛美となっているような気がしてならない。
拍手を送ってくれる会社の同僚達。
部長にミルフィさん。里中家の人達。しかも最近は滅多に人前に姿を現さなくなった篠宮会長まで駆けつけてくれた。あまりにも容姿が若々しいのでほとんどの人は気が付いていなかったが。
裏では本当に様々な人が俺達の為に動いてくれて、真相を明かされるまでそれを知ることはなかった。
感謝することしきりである。
そして誓いの時はやってくる。
神父が紡ぐ問いかけに、俺達は互いに素直に応え、永遠の誓いを立てて加奈ちゃんのベールを捲った。
化粧の施された表情には既にうっすらと涙が浮かび、感極まりそうになる自分を必死に抑えているのが分かってしまう。
「加奈ちゃん……愛してる」
「私も……愛してる……本当に、本当に嬉しい。生きてて、良かった……諦めなくて、良かったよ、克明君」
誓いのキスを……。
その言葉が届き、俺は彼女の肩に手を置いた。
「ずっとずっと、愛していくからね……これからもよろしくね」
「はい……ずっと、ずっと付いていきます。貴方を支えられる妻になります」
誓いの言葉を紡ぎ、口付けを交わす。
加奈ちゃんの目尻に堪っていた大粒の滴がとうとう零れ落ち、化粧の施された白い頬に一筋の道を作っていく。
しっとりと、柔らかい唇は涙に濡れた塩の味だった。
だが、それは彼女の涙だけではなかった事に、後になって気が付くことになる。
「克明君……」
「はは……俺も、結構感極まってるみたいだ……」
自然と涙が零れた。
不安もある。だけど、俺達は再会した。
未来はこれから始まっていく。そのことを強く強く実感する。
「加奈ちゃん……、やっと、やっと帰ってきたんだね。今になって、それが実感できてきた……ははは、遅すぎたくらいだ」
「私も……、自分が生きてる実感が湧いてる……克明君、愛してる……ッ」
儀式の順番の事も忘れ、俺達は互いを抱き締め合った。
◇◇◇◇◇
幸せな結婚式が終わり、俺達は披露宴へと移行していく。
なんと披露宴の会場は篠宮会長が俺達の予約した会場の内装を数倍豪華に手配し直してくれた。
料理のグレードも跳ね上がっており、この世の美食が全て集結したのではないかという豪華な料理の数々がテーブルに並び、感動で舌鼓を打っている。
学生時代の友人達が急ピッチで製作した踊りの余興を催してくれる。
キャンドルサービスで一つ一つの席に座る人達に順番に挨拶していく。
会場には俺達が人生で関わってきた色々な人達がいた。
高校時代のクラスメイト達による俺達の馴れ初めを再現した小芝居に悶絶する加奈ちゃんが面白く、また俺に扮した悪友達が演じる事実無根のキザな台詞を言いまくる男同士の絡み合いで会場は爆笑の渦に包まれた。
短い準備期間だったろうに、よくぞここまで作り込んでくれたものだ。彼らの友情に感謝したい。
ちなみにこれらは『予告編』と称されており、いずれやることになる第二披露宴なる催しで本番が公開されるらしい。
今回のでも十分に公開処刑だったのに、これ以上恥ずかしい事をされては敵わないな。でも嬉しい。
ウェディングケーキは小さめの絨毯かと言うほど凄まじい面積で準備され、ケーキ入刀の後に全員に振る舞われ、余った部位はお土産に切り分けられていた。
そして何より、加奈ちゃんにとって福音となったのは……。
「叔母さん、今までお世話になりました……」
「……おめでとう、加奈子」
それは加奈ちゃんの親戚家族が披露宴の最後に顔出ししてくれたことだった。
色々な確執はあったものの、加奈ちゃんがこれまで辿ってきた経緯を聞かされて流石に自分達の取ってきた態度を後悔したらしい。
そんなに簡単に和解してしまって良いのかとか、もっと罪の意識を背負わせたりとか、謝罪はどうしたとか、色々な意見はあるだろう。
だが、加奈ちゃんにとって彼らの存在は、今後の人生を憂いなく過ごしていく為の、最後の
彼らとの和解は彼女がしっかり前に進んでいく為の必須項目となる。
別に仲良しこよしになる必要は無い。
これからの人生で彼らに関わる事は滅多になくなるだろう。
いわば、その痼りを取り払って、しっかりと足を前に踏みしめていくためのケジメなのだ。
ウェディングドレスを着た加奈ちゃんにたった一言……「今までごめんなさい」、と。
彼女にとってはそれで全ての決着が付いた。
そういう顔をしているのだ。
だから俺はその震える手をそっと握り絞めるだけで良い。
そうして俺達の結婚披露宴は終わりを告げ、全ての人達に祝福されながら新しいスタートへの門出は幕を下ろしたのだった。
◇◇◇◇◇
「ふう……帰ってきたね」
「うん、帰ってきたね」
結婚式が終わり、二次会などの色々な事を終わらせて家に戻ってきたのは、もう真夜中であった。
この後はお礼状の発送やら色々な仕事が待っている。あらかじめ準備は終わらせてあり、一斉に送付するだけなのでそれほど大変ではないが、何しろその他にも色々とやることがてんこ盛りだ。
同級生にしこたま酒を飲まされたので若干体がフラフラするが、不思議パワーで強化された影響なのかそれほど苦しくはない。
1日置いて、明後日からは新婚旅行に行くことになっている。
篠宮会長が奉龍院の所有している専用の温泉施設を手配してくれたので、誰にも邪魔されない秘境の地下温泉宿でのんびり過ごす予定だ。
俺も加奈ちゃんも派手に遊ぶ趣味があまりないので、のんびりできる静かな山奥の旅行は却って有り難かった。しかも行き帰り共にヘリコプターをチャーターしてくれるので移動の負担もない。
「私達って、凄く愛されてたんだなって、思えちゃった。高校時代の皆も、私が風俗嬢だったって過去も受け入れてくれて……」
同窓会の一件で加奈ちゃんが風俗嬢として働いていた過去はバレてしまっているが、そのことを揶揄する人はいなかった。
「ああ。俺達って陰キャのぼっち同士だと思ってたけど、思いのほか愛されてたんだな」
「あはは、マスコットみたいな感じだったんだよね」
良い友人を持って幸せだなぁ、なんて、二人で高校時代の思い出話に花が咲く。
「ルナちゃんは、相変わらず眠ったままなの?」
「うん。目は覚まさない。でも、喜んでるのは分かる。祝福してくれてる……」
「祝福、か……」
「うん……まるで自分の事じゃないって言ってるみたいに……喜んではいるけど、拍手してる感じ」
それはつまり、自分は花嫁ではないと言っているようなもの。俺はルナちゃんごと花嫁にしたつもりで結婚式に臨んだ。
彼女にとっては、違うのだろうか?
「どうしちまったんだろうルナちゃん」
「分からない。ネガティブな感情は感じない分、本心が分からなくてちょっと戸惑ってる」
ルナちゃんは、大元は加奈ちゃんの人格のコピーの筈なのだが、今ではすっかり別人格として独立していると言って良い。
これは篠宮会長に確認済みだ。元がネガティブな感情から生まれただけに、加奈ちゃんが全ての憎しみや悲しみを克服した以上、その存在は本来なら消滅する筈だ。
同じ二重人格でも、雪菜の場合は本人の意識の延長だったために消滅しても問題なかった。
しかし加奈ちゃんとルナちゃんの場合、人格が完全に独立しているので消滅の意味合いはまるで違ってくる。
言い換えれば、ルナちゃんの消滅は一人の人間が死ぬのと同じになってしまう。
恐らくルナちゃんが出てこないのは、自分の意志でそうしているのだろう。
変わったのは、恐らく俺と加奈ちゃんが心を克服して受精をした日。つまり加奈ちゃんの妊娠が胎内で確定した日だ。
あの全員セックスの日以降出てきていないので、これは間違いない。
放置する訳じゃないが、彼女の意思である以上は俺達にできる事は何もない。
だから俺達は俺達でちゃんと新婚夫婦をやるしかない。
きっちりと幸せを教授していることが分かってもらえれば、そのうち目を覚ました時に問題は生じないだろう。
そんな気持ちを抱きながら、俺達は新婚旅行を迎えたのだった。