ガチレ〇プからの調教でズタボロにされた恋人を鍛え上げた絶倫ボディで徹底上書きする話 作:かくろう
目を覚ました加奈ちゃんを車に乗せて、俺達は引っ越したばかりの新しい家に帰ることになった。
「それじゃ皆さん、本当にありがとうございました」
「志藤、奴らのことは俺に任せておけ。厳しい処罰をしてもらえるように強い検事を手配してやる。月宮さんに負担が掛からないようにこちらで処理を進めておく」
「何から何まで本当に助かります」
「気にするな。お前達は5年間の苦しみを乗り切った。これからも大変だろうけど、お前がしっかり彼女を守ってやれ」
「はいっ」
「加奈子ちゃん、本当に大丈夫なの?」
「はい、問題ありません。取り乱した"私"を支えてくれたこと、感謝してます。綾菜さんも、あの男を蹴り上げた時、凄くスッキリしました。ざまあ見ろっておもっちゃうくらい」
「あはは。それは良かった。本当に無茶はしないでね。私……その、寄り添ってあげられるか分からないけど」
「いいんです。あんな気持ちは経験しない方が絶対いいですから。お二人が側にいてくれて、凄く心強かったです」
「気晴らししたかったらいつでも遊びに誘ってくれていいからね。っていうか私が誘うから」
「ありがとうございます。"私も"嬉しいです。今度ケーキ食べにいきますね」
「うんうんっ。是非来てねっ! ご馳走しちゃうから」
加奈ちゃんは綾菜さんと笑顔で話し続けている。
そんな様子を横目に見つつ、香澄先輩が小声で俺に話しかけて来た。
「志藤君、ちょっと」
「なんでしょうか」
「あのね……あの子、少し様子が変なの」
「分かってます。普通の状態ではないと思います」
「うん。なんていうか、加奈子ちゃんだけど加奈子ちゃんじゃないっていうか……。上手く言えないんだけど」
「はい。俺も同じ事を感じてました。でも大丈夫です。俺は加奈ちゃんの全部と向き合うって決めていますから」
「うん。私達で力になれることなら協力するから、いつでも言って」
「助かります。よろしくお願いします」
「克明君、そろそろ帰ろう」
「ああ。それじゃあ行こうか」
「志藤」
「はい、何でしょうか」
車に乗り込んで出発しようとしたところで、先輩が窓の外から声を掛けてきた。
そして小さな名刺を一枚差し出して俺に渡す。
「これは?」
「恐らくだが、これから色々と出てくる問題の中で、それを解決するための方法を教えてくれる人だ。俺の紹介だと言えば分かるように話を通しておく。二人が落ち着いてからでいいから尋ねてみてくれ」
「分かりました。ありがとうございます……」
「ねえ克明君。早く帰ろうッ。もう待ちきれないよ」
「あ、ああ。分かったよ加奈ちゃん。それじゃ先輩、香澄さんも綾菜さんも、本当にありがとうございました」
「ありがとうございましたっ! また遊びにきますねっ」
元気な声で挨拶をする加奈ちゃんに手を振り返す三人に別れを告げ、俺達は帰宅の途についた。
◇◇◇
「着いた~っ。ここが新居かぁ」
「……」
新居に到着した俺達。
はしゃぐ加奈ちゃんは新しい家具や家電を見回して嬉しそうな声を上げる。
彼女はここに来たことがある筈なのに、まるで今日初めて中を見たかのようにあちこちを見て回っていた。
先輩は俺達が警察に事情聴取を受けている間に家電を手配してくれたのである。
あの人の財力と影響力って一体どれだけなんだろう。企業の部長にしては金持ち過ぎるし、これだけのものを半日かそこらで準備できるって普通じゃない。
だけど今は感謝することしきりだ。それよりも目の前の加奈ちゃんの事を優先すべき事だろう。
俺ははしゃいでソファに寝転がる加奈ちゃんに近づいた。
「加奈ちゃん」
「ん? なぁに?」
「おいで」
「うん♡」
腕に胸を押し付けて甘えるように頭をコシコシと擦り付けてくる。
その仕草はとても可愛いのだが、やはりいつもの加奈ちゃんとは違って見えた。
「えへへ、克明君だぁ♡ あったかいなぁ♡」
胸板に鼻を密着させて匂いを嗅ぐ加奈ちゃんの髪を優しく撫で、俺は浮かんでいた疑問を確認した。
「君は、加奈ちゃんを助けてくれた加奈ちゃんだね」
何を言っているのか分からないと思う。だが、俺が感じた直感をそのまま言葉にすると、彼女は加奈ちゃんであって加奈ちゃんではない。
いや、加奈ちゃんではあるけど、俺が知っている加奈ちゃんとは違う加奈ちゃんということになる。
加奈ちゃん?はピタリと動きを止め、はにかんだ顔で恐る恐ると言った感じで俺の顔を伺ってくる。
「……えへへ、バレちゃった。流石にテンションがおかしすぎたかな」
「いや、そんな事はない。どっちも加奈ちゃんであることに違いは無いからね。ラノベやアニメのことを語ってる時にたまにそんな風になるじゃないか」
「そ、そうかな。あはは。やっぱり思ってた通りの人だね、克明君って」
「と言うことは、君は俺と会うのは初めてってことになるのかな」
「うん、そうだね。加奈子の記憶以外で見るのは初めてだよ。"初めまして克明君"。私の事は、ルナって呼んでくれていいよ」
「それは、いいのか? いや、君がそう決めたのなら、俺は受け入れるだけか。分かった。初めましてルナちゃん」
「ありがとう克明君。それにしても、どうして私が二重人格だって分かったのかな?」
「言葉にするのは難しいね。強いて言うなら、俺が加奈ちゃんの彼氏だから気がつけたのかもしれない」
「うふふ、素敵な理由だね。嬉しいよ克明君。でも、本当は簡単だよね。違和感ありまくりだったでしょ?」
「まぁね。でもさ、なんて言うのかな。いつもの加奈ちゃんではないのは分かるけど、やっぱり加奈ちゃんであることに変わりはないんだ」
「凄いね……本当に凄いよ克明君。私は"加奈子の恐怖と絶望"が生み出した存在だから、基本的に辛いこと担当だったんだよね。だから今日みたいな気分でしゃべるのって、実は生まれて初めてなんだよね。"嬉しい"って感情がこんなに心地良いなんて知らなかった」
「そっか。ありがとう……っていうのは変なのかもしれないけど」
「嬉しいよ。ずっとずっと、心が死んだみたいに笑うことしかできなかったから……」
そうか。彼女は加奈ちゃんの苦しみを代わりに背負ってきた存在だから、その心中はいかばかりか。
俺如きには計る事すらおこがましいかもしれない。
だけど、俺にしかできない事はある。
「ねえ、"私も"、愛してくれる?」
「勿論だよ。ルナちゃんのことも、もっと知りたい」
この気持ちを論理的に説明するのは非常に難しい。
彼女は加奈ちゃんであり加奈ちゃんではない。だがルナちゃんを愛することは、加奈ちゃんに対する裏切りにはなり得ない。
なぜなら同じように彼女もまた俺の愛する加奈ちゃんそのものなのだから。
ルナちゃんを愛する事は加奈ちゃんを愛する事と同義になる。
そのように定義づけることも可能なのだが、正直どうでもいいのだ。
例え別の人格であっても、
「嬉しい……私ね、今日が"初めて"なの」
「そうだね。じゃあ、ルナちゃんが一番嬉しい愛し方、教えてくれるかい? いや、初めてだし、一緒に探そうか?」
「フフ……」
「どったの?」
「だって、ふふふ♪ 何が初めてなのか、まだ何も言ってないじゃない」
「あててみようか?」
「あててくれるの? じゃあ、聞きたいな」
「愛のあるセックス」
「ッ……」
「あれ? 違ったかい?」
「ううん。正解を、越えてきたっていうのかな」
「おおう、どういうこと?」
「本当は、人間の男の人とセックスするのは初めてって言おうとしたんだけど」
「うん、それは思ったんだけど、ルナちゃんの心境を考えたら愛のあるセックスって言った方がしっくりくる気がしたんだよね」
以前に加奈ちゃんが言っていた。『人間を相手にしているんじゃないんだ。いつか克明君と再会した時の為に、意思のない人形を相手にしてるのだ』と。
加奈ちゃんが懸命に心を保ってきたのは今日の為。その為の相手をするのが俺だとするなら、初めて人間の男とセックスするという答えに行き着くのは当然だろう。
だが、それでは足りないと思ったのだ。加奈ちゃんの苦しみからルナちゃんが報われる為にはそれでは足りない。
ずっとずっと、それこそ生まれた瞬間から悲しいセックスしか経験できなかったとするならば、俺にできることは彼女を愛することだけだと思う。
「うん、凄く嬉しい。私も、そっちがいい」
正解ではないが、ルナちゃんの正解がこの瞬間に書き換わったということだろうか。
ちょっとだけ男冥利に尽きるな。
「ねえルナちゃん」
「ん、なぁに?」
「一応確認するんだけど、今こうしてくっつき合ってるのは君の本心からって考えていいんだよね?」
「うん、そうだよ。ほら、私の心臓、凄くドキドキしてるの」
胸を押し付けられて背中に回した手を心臓に当てると、温かい体温の中にトクトクと鼓動が脈打っていた。
「今日が初めましてだけど、私、克明君に恋しちゃった。一目惚れだよ」
「俺はルナちゃんの彼氏ってことでいいのかな?」
「うん、なってくれたら、とっても嬉しいな」
「君が元の加奈ちゃんにとってどういう存在なのかはまだ聞いてないけど、俺はルナちゃんはルナちゃんという一人の女の子として愛していきたいって思ってる。ルナちゃんは加奈ちゃんの一部なのか、それとも完全に別の人間なのか」
「そう、だね。ちょっと私自身も分からなくなってるかも……。私は、加奈子の一部として生まれたけど、意識は完全に別の時もあれば混ざっちゃう時もあるんだ……だから、克明君の事が好きってこの感情も、本当に自分の感情なのか分からない……」
「そうか。だったらこうしよう。ルナちゃん、改めて今から俺と恋しよう。お互い今日が初めましてなんだ。俺はルナちゃんが本当に好きになってもらえるように頑張るよ。もちろん、加奈ちゃんもね……」
「嬉しいよ克明君。うん、私も、それがいい。本当の"加奈子"は今眠ってるから、後で伝えておくね」
「ルナちゃんは加奈ちゃんと会話できるんだね」
「うん。時々だけどね。主に加奈子が悩んだりキャパオーバーになる時に起きる事が多いかな。元が加奈子の恐怖だからなのかも。今日だって、強烈な恐怖の感情が呼び水になったから」
「分かった。俺からも伝えておくね」
「うん、お願いね。本当はね、ルナ単体で克明君と会うのは今日が初めてなの。加奈子と一緒になら、再会したあの日の夜からそうだったんだ」
「そっか。エッチの途中で豹変したのは、交代してからなの?」
「うん。あの時は本当に気持ちが抑えきれなくって。ごめんね、嫌だったよね」
「あの夜も言っただろ。全然嫌なんかじゃないさ。むしろ、俺ができる事を全部してあげたいって思ってる」
「ありがとう……ね、克明君……そろそろ、良い?」
「ああ。ルナちゃん……君を愛させてくれ」
「はい♡ 愛して、ください♡」
ルナちゃんは言葉少なにまぶたを閉じて軽く上向いた。
それが合図となって頬に手を添える。
加奈ちゃんとは別の、もう一人の加奈ちゃん。
ルナちゃんとの初めてが幕を開けた。