ガチレ〇プからの調教でズタボロにされた恋人を鍛え上げた絶倫ボディで徹底上書きする話 作:かくろう
昼休みが近くなり、オフィス内は間もなく迎える休憩時間に浮き足立っている。
さっきは散々な朝だったな。
悪い奴らではないのだが、如何せん先輩も後輩もそして同僚もノリがハイテンション過ぎてついて行けない時があるのが難点だ。
しかし本当に悪い奴らではない。ストレスで荒みそうになった俺が腐らずに済んだのはあいつらのおかげだ。まあ死んでも言わないが。
そうこうしているうちに昼休みのベルがオフィス内に鳴り響く。
そこかしこから緊張が解かれた息が漏れる音が聞こえ始め、室内は一気に開放感に溢れた。
「志藤、かみさんが席を確保してくれてるから食堂へいくぞ」
「分かりました」
再び質問攻めにしようと同僚達が立ち上がるより早く部長が声をかけてくれて助かった。
加奈ちゃんの愛妻弁当を手に持って食堂へと移動した。
◇◇◇
昼休みの食堂はお得な社割ランチを目当てにした人達でごった返している。
うちの会社は超大所帯なのでビルの中に複数の食堂が就業時間中ずっと営業している。
軽食や本格的なコーヒーやら紅茶、ハーブティーなんかも販売されているので喫茶店顔負けのラインナップで休憩ができる。
しかもそれら全部が福利厚生の対象で激安価格で購入可能だ。先代の社長の頃から本当は全部タダにしようって動きもあったそうだが、法律的にそれは難しいので手当という形で支給されるので事実上ほとんどタダだ。
本来はこういった福利厚生には上限があって、やりすぎると課税対象になって損をする場合もある。
だがなんやかんや抜け道的な手法を使って社員に負担が掛からない仕組みが成立しているらしいが俺はよく知らない。
オフィス街の中心にあるので食事処やカフェなんかも周辺に豊富に存在しているが、利用の手軽さと専門店と遜色ないレベルの提供物のために多くの人がここを利用している。
お金を使いたくない新人社会人の頃からお世話になっている神システムだが、今日からはそれよりも美味しい加奈ちゃんのお弁当が食べられるので幸福最上級だ。
食堂に着いた俺達は先に席を確保してくれていた香澄先輩と合流し、お弁当を広げて食事をしながら昨日の顛末を報告していた。
「そうか。大分様子がおかしかったが、二重人格とはな」
「はい。加奈ちゃんが追い詰められた時に出やすいらしいと本人は、その、出てきた人格の加奈ちゃんが言ってました」
「あの時様子が変だったのはそういう事だったんだね。しんどいなぁ。自分の力のなさが凄く腹立たしいよ……」
香澄先輩は昨日からずっと加奈ちゃんの力になってあげられなかった事を悔やみっぱなしだったらしい。
綾菜さんに至っては無力感からの自己嫌悪が激しすぎてずっと泣きっぱなしだったそうだ。
感受性の強いお人であることはある程度知っていたが、一人の人間に対してそこまで親身になってくれる事にありがたみが強かった。
「加奈ちゃんも喜んでました。そこまで言ってもらえることってほとんどなかったそうなので」
「無力かもしれないけど、私達にできる事はなんでもするから遠慮なく言ってね」
「ありがとうございます。加奈ちゃんも喜ぶと思います」
「違うよ。志藤君、君もだよ」
「え?」
あまりにも意外な投げかけに変な息が漏れた。
「どういう、事でしょうか……?」
「志藤君、自分でも気が付いてないと思うけど、顔に疲れが出てるよ」
「そ、そうなんですか? 元気モリモリなつもりなんですが」
冗談抜きでここ数日の元気具合は異常なほどと感じている。
セックスの回数がどれだけ重なっても直ぐに復活するし、翌朝には元気いっぱいになっている。
気力も体力も充実しているつもりなのだが……確かに追っ手をどうにかしなくてはと考えて億劫になることはあるが、それでも疲れを感じているつもりはなかった。
「それはな志藤」
「先輩……?」
「それは気を張ってるからだ。今のお前は月宮さんを気に掛けて普段以上に神経を張り詰めている。それが上手いこと噛み合ってるから充実しているように錯覚しているに過ぎない」
「それが続けばどこかで糸が切れるよ。適度にリラックスする時間は必要だと思う。きっとまだ課題も出てくるでしょうし」
「う、うーん。確かに……。そうかもしれないけど、今は自分の事より加奈ちゃんの事を優先したいので」
「問題はそこだ志藤。心の問題は一朝一夕でなんとかなるものではないし、性急すぎて大事な事を見落としてしまう事もあるかもしれないぞ」
「大事な、事……」
そうまで言われては考えなくてはいけないかもしれない。
しかし、どうやってリラックスしたらいいものやら。家の中でのんびりする以外に方法があるとは思えない。
「お前の眉間に皺が寄ってばかりだと月宮さんも息が詰まるかもしれないってことだ」
「な、なるほど……それは確かに」
昨日は出かけている最中に疼いちゃったし、迂闊に遠出をするのも怖いところだ。
「温泉旅行にでも行ければいいんだがな。状況的にそれも難しいだろう」
「そうですね。一瞬でも目を離したらどこかへ連れ去られそうで怖いです」
「1日も早く原因を取り除いてあげたいところだ。そうだ、渡した名刺はちゃんと見たか?」
「あ、いえ。まだです。色々ゴタゴタしちゃって」
「まあ昨日の今日だしな。早めに連絡するといい。今のお前にとって必要な事かもしれんぞ」
部長の言わんとしている事がよく分からずにサイフから名刺を取り出してじっくり眺めてみた。
「"シルキィ・ミルク"? なんかのお店ですか?」
「え?」
「ねえ祐太朗君、なんの名刺渡したの?」
部長は何故かバツの悪そうな顔で俺から名刺を奪い取り、代わりに違う名刺を一枚差し出した。
「すまん、間違えた。おかしいな。ちゃんと目的の名刺を渡したつもりだったんだが、いつの間にすり替わったんだ?」
「ねえねえ、祐太朗君。シルキィ・ミルクって名前、私すごく聞き覚えがあるんだ。なんでそんなのを志藤君に渡したの?」
「い、いや、なんかの手違いだよ。おっかしいなぁ」
何故だか香澄先輩の笑顔が怖い。シルキィ・ミルクってそんなにマズい名前なんだろうか。
新しく渡された名刺を見ると、そこには先ほどとは違う名前が書いてあった。
「えっと、【ヘブンズ・ヴァルキリーグループ】代表、"
「うん、実はな、俺も詳しい事は知らないんだ。これは社長からお前に渡せと命令されていたものでな」
「え、社長から? どうして社長が俺に人を紹介するんですか?」
うちの会社の社長、"里中 源治"氏は先代の時点から既に世界的企業だった会社を更に発展させたやり手として業界では有名人だ。
しかし俺は社長と直接の面識はないはずなのだが……。
「ああ。それは俺から力になってほしいと頼んでおいたからだ。組織から月宮さんを守るにしたって、お前一人でヤクザ組織には対抗できない。社会的暴力からは社会的権力を後ろ盾にして守ってもらうのが一番なのさ」
「そ、そうなんですね。とてもありがたいです」
まさに渡りに船とはこのことだ。加奈ちゃんを大きな組織から守るためにどうするべきか悩んでいただけに、この提案は有り難かった。
「なんとお礼を言ったらいいか」
「それは会社に貢献することで返せばいいとの事だ。それと……いや、これはまた今度話そう」
「え、なんでしょうか」
「気にするな。とにかくその人物と連絡を取ってみろ。社長の紹介だ。今の君たちのためになると思う」
「分かりました。何から何までありがとうございます」
「あ、そうそう。アヤちゃんが帰りに店に寄って欲しいそうだ。加奈ちゃんのために新作スイーツを考えたんだとさ」
「そうなんですね。分かりました。加奈ちゃんも喜ぶと思います」
「とにかくあまり無理をしすぎないようにしろよ。相談があればいつでも頼ってくれ。自分一人で全部やろうとしなくていいんだからな」
「はい、分かってます」
昼食は終わり、弁当を片づけて先に席を立つ。
「俺、加奈ちゃんに電話してくるのでお先に失礼します」
「ああ」
部長達は食後のティータイムのために残るらしい。二人にお礼を言ってその場を後にした。
――「ねえ、ところでシルキィ・ミルクにはもう行かないって約束してたよね?」
――「い、いやぁ、部下達に誘われて仕方なくだよぉ」
――「本当かなぁ」
なんだろう。去り際に聞こえた二人の会話からして、シルキィ・ミルクってスナックとかそういう系の店名なのかな、ひょっとして。
というか、井上先輩って香澄先輩の尻に敷かれてるのかな。できる旦那ってイメージしかなかったが意外な一面かもしれない。
でも仲睦まじいおしどり夫婦で有名な人達だし、俺もああいう夫婦を見習いたいな。
◇◇◇
「もしもし加奈ちゃん」
『あ、克明君。お仕事お疲れ様』
「ああ。何か変わったことはないかな」
『ううん。早く克明君に会いたいなって思うくらい』
「それは嬉しいね。俺も早く会いたいよ」
加奈ちゃんは動画を見たりヨガで体を動かしたりして午前中を過ごしているらしい。
退屈じゃないかと聞いてみたが、手に入れた自由な時間を満喫しているので問題ないとの事だった。
しばらくは窮屈かもしれないが、出かける事ができない以上は仕方ない。
なるべく早く帰らないとな。
「そうだ。綾菜さんがお店に寄ってくれって呼び出されてるんだ。加奈ちゃんに新作ケーキ作ってくれるってさ」
『えっ、本当に⁉ 嬉しいっ。でも本当にいいのかな』
「俺からよくお礼を言っておくよ。そうだ、今度先輩達を誘ってホームパーティーとかどうかな。出かけるのは無理でも、こっちから招待するのは」
『あ、それ凄くいい。張り切ってお料理するから』
「いいね。それじゃあそうしよう。そろそろ昼休みが終わる時間だ」
『うん、お仕事頑張ってね』
「ああ。なるべく早く帰るようにするから。何かあったらすぐに連絡してね」
『うん。美味しいご飯作って待ってるからね』
「楽しみにしてるよ。それじゃ」
『うん、また後で……あのね、克明君』
「どうしたの加奈ちゃん?」
ほんの僅か、ねっとりした空気を含んだ息遣いが聞こえた気がした。
それは気のせいではなく、加奈ちゃんの続く一言で午後の仕事がムラムラしっぱなしになってしまった事を付け加えておこう。
『ううん。なんでもない……』
「もしかして、例のアレ、出ちゃった?」
『……。……うん、声聞いたら、凄く。早く、帰ってきて』
「なるべく早く帰る。ケーキは今度にする?」
『きゅぅ……ケーキも食べたい』
張り切って仕事に打ち込んで定時の打刻をしたのは言うまでもない。
ケーキの優先順位は下がっていない事で緊急性はそれほど高くない事を察したのは少し安心だった。