※この作品はR-18です。

ガチレ〇プからの調教でズタボロにされた恋人を鍛え上げた絶倫ボディで徹底上書きする話   作:かくろう

87 / 242
◇【side加奈子】 勇気がもたらした成長◇

 有毒の花粉に釣られて虫たちは惹き付けられてくる。

 だから私は強くならなくちゃいけないんだ。

 体から染み出してくる毒の花粉を制御できるようになるまで。

 

「お姉さん達ッ! 俺らとカラオケいかない?」

 

 背が高く、肌は浅黒い。

 金髪、ピアス、野卑なニヤけ顔に好色そうな目つき。

 呼吸が止まりそうな気持ち悪さが胸を詰まらせ、男達の嫌らしい視線に吐き気を覚えた。

 

(胸でけぇ~、超好みだわ。お持ち帰り確定だな)

(こんなん逃す手は無いっしょ♪ くぅ、ヤリてぇ)

 

 目つきだけで何を目的にしているか分かってしまう。

 小声で卑猥なことを呟き、視線は胸に突き刺さっていた。

 

「ぁ……ぅ、あ……」

 

 恐怖の感情がせり上がり、思考が停止して身体が震えて呼吸が乱れた。

 

「俺達冬休みで暇してるんだよねぇ。良かったら俺達と遊ばない?」

「車で来てるからさぁ。皆で遊びに行こうよ~」

 

 

「なんなんスかあんたら。お呼びじゃねぇんですよ」

 

 咲良ちゃんが声高に男達を追い払おうと喉を鳴らした。だけどその語尾は震えており、本能的に男達に対する恐怖ですくんでいる。

 

 やはり彼女も男性に対する潜在的な恐怖心は拭えていない。

 

 ダメだ……怖い……。

 

 私を犯したあの男達と、同じ目だ。

 彼らの頭の中はセックスのことしか無い。

 

 視線、息遣い、口元の舌なめずり……。

 

 女を性欲の捌け口としか思ってない、あの人間のクズたちと同じ好色的な視線を向けてくる。

 席から立ち上がって後ずさりする私の後ろに回り込み、行く手を阻む。

 獲物は絶対に逃がさないという、強い欲望の意志がぞわぞわと伝わり、私の足は立っていられなくなりそうなほど震えていた。

 

「あれ、どったの? なんか震えてるね」

「おめぇの顔が怖ぇんだって」

「大丈夫大丈夫。ベッドの上では紳士だからさぁ」

 

 ニヤニヤと笑う野卑な口元に、その男達の下品な性格が滲み出ているようだった。

 

「ねぇねぇお姉さん達、どうかなぁ? 俺達と遊ばない?」

「い、いぇ……わ、私達は……その……」

 

 グイグイと距離を詰めてくる男達から感じる性欲の熱量に恐怖が増大する。

 

「なんかつれないなぁ。仲良くしようよ♪」

「ヒッ、い、嫌ッ‼」

 

 男の一人が肩を組もうと手を伸ばしてくる。

 あまりの恐怖に思わず身をよじって手を払いのけた。

 思いがけず強く当たってしまった手のひらは、男の腕を思い切り弾いて身を反らせる。

 

「そんな拒否ることないじゃん。傷付くなァ」

 

 極度に拒絶されたことで機嫌を損ねたのだろう。

 笑顔だが、明らかに声のトーンが変わった。

 

 粗暴な男に手を伸ばされた事で嘔吐感が限界を超えそうになって口元を抑える。

 胃の内容物をぶちまけそうになって、先ほどのケーキがせり上がってくるのを必死に堪えるが、男達はまだ諦めてくれない。

 

「そっちの金髪のお嬢さんはどう? 一緒に遊ぼうよ」

「失せろよカス共……」

「口悪いなぁ……。優しくしてやってるうちにOKしてくれた方がお互いの為じゃないかなぁ?」

 

 身勝手な理論でドスの利いた声を出してくる。

 男達の本性が徐々にむき出しの暴力性を帯びてきた。

 

 周りは誰もこちらに近寄ってこようとしない。店員達も男達の厳つい風貌に恐怖を抱いて手をこまねいている様子が見えた。

 

 見上げるほどの巨体がジリジリとこちらに迫り、性欲と暴力性を隠そうともしない野卑な視線を無遠慮に浴びせかけてくる。

 私の胸に詰まった嘔吐感は限界に達し、いよいよ頭の中がぐるぐるして吐瀉物がせり上がってきたところで、そっと私の背中を支えてくれる温かい手が添えられた。

 

「加奈子さん……。先輩が来るまで我慢ッスよ」

 

 小声で囁くように、私を勇気づける言葉をかけてくれる咲良ちゃん。

 

 

 

 そうだ。私は強くならなくちゃ。ここにいる咲良ちゃんを守らなくちゃ。

 出かける度に怯えていたのでは、克明君にいつまでも迷惑をかけてしまう。

 私は本当に怖かったが、なけなしの勇気を振り絞って男達に向き直る。

 

「すみませんッ! 私ッ、私達っ、彼氏がいますからお誘いはお断りします!」

 

「は? ウケるww。なにそれ?」

「大丈夫、俺達他に男がいても気にしないから」

「彼氏より気持ちよくしてあげるからさぁ。俺、チンコデカいよッ」

 

「そうそう。そんなんで逃げられるわけないっしょwww」

「人を不愉快にさせた落とし前は付けないとさぁ」

「そうそう。乱暴に振り払っといてその態度はないだろ?」

 

 

 身勝手な事を宣ってくる下衆な男達の態度が、私の思考を徐々に冷却していく。

 

 そうだ……、そうだ、そうだそうだそうだ……、そうだよ……。

 段々と、思い出してきた……。

 

 あの男に虐げられてきた日々を。

 こんな奴らより、もっともっと凶悪な、悪辣な男達を相手にしてきた日々を……。

 そうだ……そうなんだ。

 こんな奴ら、私を犯してきた暴力団の刺青男達に比べればなんてことはない。

 

「すぅ……はぁ……すぅ……はぁ……」

 

 

 深呼吸……。息を整える。

 全然怖くない……そう、怖くないんだ。

 本物の悪人の持っている怖さ、その凄味。

 

 裏社会の住人からは、独特のヒリつくような空気と毒気のような臭気を感じた。

 彼らは、単なる学生に過ぎない。

 本物の悪を相手にしていた時に比べたら、やんちゃな子供と変わらない。

 

 悪目立ちをしてまで拉致まがいの事をする度胸はないはず。

 私の思考は完全に冷却され、氷のように冷たくクールな思考が戻ってきた。

 そうだ。風俗の時だって、この程度の客は十分あしらえてきた。

 

 真っ直ぐに見つめ、視線を外さず、後ずさりしそうになる身体を前に押し出す。

 背筋を伸ばして、意志強く、敵意ではなく哀れみを持って相手を見つめる。

 彼らは、子供だ。性欲に抗えない未熟な精神しか持ち合わせていない子供に過ぎない。

 

「すみません……本当にお断りします。彼が心配しますし、私は好きでもない男性とセックスする気はありませんので他を当たってください」

 

 それまで怯えた私が突然態度を変えたことに面食らったのか、彼らの目つきに戸惑いが含まれ始めた。

 

 私は背筋を更にしっかりと伸ばし、胸を張り、肩の力を抜いてリラックスし、氷のように冷たい視線を彼らに送る。

 

 背丈の差はある。だけど怖くない。

 

「お、おいおい……酷いなぁ。いきなりセックスする気なんてないって」

「そ、そうそう。俺達は紳士だからさぁ。プラトニックから始めるって」

 

 さっきまで自分の口から発していた言葉すらもう忘れているらしい。

 私は更に真っ直ぐに彼らの目をみてハッキリと述べた。

 

「それでも最終目的はセックスでしょう? それも今日中に。今すぐにっ。相手の意思を全部無視して」

「え、そ、それは……」

 

 図星を突かれて目を逸らす男達。

 屈強な男というアドバンテージを持っているにも拘らず、尻込みしていく彼らの態度に、私は勇気を取り戻していく。

 

「本当にすみませんが私は恋人以外の男性とセックスする気は毛頭ありませんので。これ以上しつこくされるのならここで大騒ぎさせてもらいますよ」

 

 持てる勇気の全てを振り絞って平静を装い、背筋を伸ばして彼らの目を真っ直ぐにみる。

 堂々とした態度で、真っ直ぐにみられる事に慣れている人間はそうそういない。

 後ろめたい事をしている自覚のある人間ならなおさらだ。

 

 彼らに僅かでも罪悪感があるのなら、真っ直ぐに見つめて突然堂々とし始める女の態度の豹変に、戸惑いを感じないほど図太くはない筈だ。

 長年にわたって男という生き物と濃密な接触をしてきた経験値が彼らの内面を読み取っていく。

 

 一歩。

 

 

「うっ……」

「か、加奈子さん……?」

 

 男達が後ずさったのを見た咲良ちゃんが私の肩を支えてくれる。

 本当は今にも後ろに倒れ込みそうになっている私を分かってくれたみたいだ。

 怖い。

 怖くてたまらない。だけど、一握りの勇気が私を奮い立たせてくれる。

 

「怖がる女性を威嚇するのはさぞ楽しかったでしょうけど、どういう気分でしょうか? か弱い【たかが女】に反撃される気分は」

「は、はあ? 何それ厨二病?」

 

 

 

 一歩。

 

 

 

 前に踏み出した私と共に男達は後ずさる。

 私は立ちすくむ男達に手を伸ばし、その胸板に触れる。

 

「ぅえ……な、に」

「こ……ぅ、ぉ……」

 

 こうしていると、初めてで緊張している風俗の客に対峙した時の事を思い出す。

 男というのは、虚勢を張っているようで案外弱い生き物であることも多い。

 

 女という生き物を虐げようとする男は、潜在的に女に虐げられる事を恐れている。

 

 思い出せ。男を快楽の虜にした時の事を。

 思い出せ。ヤクザの幹部を骨抜きにした時の事を。

 思い出せ。乱暴な男達を手玉に取れるようになってきた頃の事を。

 思い出せ。裏社会を支配していた"あの男"が、必死になって私を籠絡しようと策を巡らせて思い通りに行かずに狼狽しそうになっていたのを。

 

 ルナ……ルナ……力を貸して。私は強くなりたい。

 

 心の奥で目を覚ましたルナに語りかけ、私達の意識は一つに溶け合っていく。

 こうなった時、男達は決して私に逆らう事ができなくなる。

 もう克明君以外の誰かに体を許す事なんて絶対にしない。

 

 だけど、私は男を翻弄することができる。手の平で転がす事ができる。

 絶対に触らせない。

 

 性的欲望以外の感情で触れられる恐怖を味わわせてやる。

 恐怖の混乱の中で無理やり絶頂させられる絶望感を教えてやる。

 

 

 

 一歩。

 

 

 

 

 

 ペースを乱された男達は、バツが悪そうに勢いが無くなっていく。

 そのことに周りのギャラリーも雰囲気の変化を感じとったのかこちらに注目し始める。

 

「男の人って、こうするととっても気持ち良くなれるんですよね。それは普通の人も、ヤクザでも、マフィアの幹部でも、裏社会を牛耳る組織の大ボスでも同じなんです」

「な、何言って……」

 

 胸板に置いた手を徐々に下腹部へと滑らせた。

 

「はへ?」

「ほ……? お……っ」

 

 ただ、そっと撫でた。それだけ男達は前屈みに体を折り曲げ、少しずつ呆けた顔になっていく。

 

 それはあらゆる男を骨抜きにする娼婦ルナの得意技。体の中心から奥にかけての精髄を引き出し、興奮を引き立てて最高の快楽を強制的に引っ張り出す娼婦のテクニックだった。

 

 なんでこんな風になるのか分からない。

 もしかしたら気功とかそういう類いのものかもしれない。

 だけど、相手の主導権を完全に握ったとき、男は恐怖の感情の中で強制的に絶頂を迎える。

 

「おっ……ほほっ、ふ、おお」

「あひっ……ふ、んおおおっ、おお、おおおっ……」

 

 ビュクビュクビュクビュクッ! 

 ドピュッ! ビクビクビクンッ! ドピュッ……

 

「……おっっ、ん、ぉ」

「な、なんで……」

 

 男達はその場に膝を着いて股間を押さえた。

 辺りには饐えた臭気が立ちこめ、たちまち男達のズボンを変色させていく。

 

「ま、まさか……。イカせちゃったんすか?」

「ふふ、コツがあるんだよ」

「凄いっす……これが、ルナさんの本当の姿……」

「あはは……そうかも、ね……はぁ」

 

「うわわっ、大丈夫ッスか加奈子さんっ」

 

 膝に力が入らずに後ろに倒れてしまうところを咲良ちゃんに支えてもらった。

 

「ちょっと、力抜けちゃった……」

 

 100年分の勇気を振り絞ったような気分で色々と全部使い切ってしまった私はその場にへたり込む。

 咲良ちゃんに体重を掛けてしまいよろける。

 

 周りからは拍手が起こっていたが、私にはそれに意識を向ける余裕はありそうもない。

 だけど男達はすぐに立ち上がって激昂する。

 

「こ、このヤラァ……、ふほ……恥かかせやがってクソアマがぁっ!」

「ふ、う……ぶっ殺してやるっ」

 

 凄まじい形相で私達を睨み付けてくる男達。

 射精したばかりで足下がおぼつかないのかフラフラしているのが分かるけど、このままでは確実に殴られる。

 

 私は咲良ちゃんを庇って覆い被さって痛みに備えた。

 

「そこまでだッ」

「Stopデースッ」

 

「ぐげっ⁉」

「おごっ⁉」

 

 それを断ち切って突然上がる叫び声。

 

 それは、とても頼もしい力強さを感じる安心感を覚える声だった。

 もう絶対に大丈夫であることを自覚させてくれる二人が来てくれた。

 

 拳を振り上げた男達は克明君が男の一人を取り押さえて地面に組み伏せていた。

 

 腕をねじり上げられて押さえられた男は呻き声を上げながら抵抗しようと藻掻いている。

 

 逆にミルフィさんは男の首根っこを掴み取って空中に持ち上げていた。

 それも涼しい顔で、なんでもない事のように快活な笑顔を添えて。

 

「Marvelousですヨ。勇気を振り絞って怖いのを我慢したね。とっても勇敢でした。ミルフィ感動したよ」

「加奈ちゃん凄かったよ。さすが俺の彼女だ。遅れてゴメンよ」

 

「お、おいなんだよ姉ちゃんっ。邪魔するんじゃねぇよ」

「イテテテッ! 離せッ、離せよこの馬鹿力ッ!」

 

「ノンノン……。あんた達はもう用済みデース♪ ナンパなんて片方が乗り気じゃ無い時点で単なる迷惑行為デース。彼女の訓練は終わりマシた。もう用はないので消えてくだサーイ。イカ臭いデスよ?」

 

 

「なんなんだテメェら」

「ブチ殺すぞコラァッ‼」

 

 激昂して暴れる男の手がミルフィさんに伸びる。

 だが次の瞬間、彼女の手は股間に伸びて相手の急所を鷲掴み、完全に動きを封じてしまった。

 

「ヒギッ‼?」

 

「大人しく立ち去れば痛い思いはしないデス。知ってますか? 男の人のタマタマ、結構簡単に握りつぶせマス」

 

 急所を掴まれた男の一人は恐怖に顔を引きつらせたまま固まってしまう。

 ミルフィさんが本気になれば、彼女の言葉にしたことは本当になる。

 

 彼女は強い。克明君に腕相撲で勝っていたし、余裕のニコニコ笑顔で大きめのリンゴを片手で握り潰したところをみせてもらった事があるから知ってる。

 

 克明君も同じ事ができたけど、彼女ほど余裕でできたりはしなかった。

 

 克明君でも及ばないくらいの凄まじい握力は、人間の睾丸くらいならピンポン玉のように握りつぶしてしまうだろう。

 その力強さは理解しているようで、まったく動けずにいた。

 飄々とした態度はどこにも無く、あっという間に10センチ以上も身長差のある男の動きを封じ込めてしまう。

 

「ミルフィ達、ジャッキーと同じことできマース。クルミの殻くらい潰すの、ちょー余裕Deathよ?」

 

 それは確か香港のカンフースターが昔の映画でやっていた事だった気がする。

 

 ミルフィさんは女性にしては背が高く、170を越える長身美女だ。

 男達はそれよりも更に大きな体付きをしている。

 にも拘らず、細い腕とは信じられないほどに、青筋立った血管が浮き出る筋繊維の密集した強靱な膂力で、屈強な男の股間に指先をメリメリとめり込ませる。

 

「ぁっ、アガガがガッ……」

「ひぎぃっ……ぅ、いぃいっ」

 

 克明君も負けていない。

 

 その腕力は凄まじく、私の倍くらいは体重がありそうな身体を徐々に持ち上げ、つま先立ちにさせるように浮き上がらせている。

 

「お射精したバッカで元気Deathねー☆ うわっ、コイツ失禁しやがったDeathッ! そんなに性欲持て余してるなら身近な人で済ますがよろしかローデース」

 

 ミルフィさんは何を思ったのかねじり上げた男をもう一人の男に近づける。

 それを察した克明君も同じように持ち上げ、男達の顔は段々と近づいていった。

 

「ひぃいい、や、やめろっ」

「お、おいマジかよっ、冗談やめろってっ、うわっ、やめてやめて」

「やだやだやだっ、むごっ」

「ぶちゅぅ、んぐぼっ、おごごごっ」

 

 なんと二人は男達の顔を押し付け合って無理やり唇同士を接吻させてしまった。

 後頭部を押さえつけられてグリグリと捻られる二人は悲痛の呻き声を上げながら水音を発し続けた。

 

「ひぐぅ、んげっ」

「ぎ、ぎもぢわりぃ~」

 

「ほーらほらぁ~、ラブラブキッスでベロチューしてくだサーイ★ ギャラリーのみなさーんっ! リアルボーイズラブラブですヨー♪」

 

 周囲に起こる爆笑の渦に男達は泣き始めてしまう。

 

 その様子は周りのギャラリー達に動画を撮られて拡散されてしまったらしいことを後で知ることになる。

 

 ◇◇◇◇◇

 

「「畜生! 覚えてやがれ!」」

「おととい来やがれデース!」

 

 彼らは周りの視線に耐え切れずに悪態を突きながら走り去っていった。

 色々と思うところはあったが、ひとまず脅威が去ったことに安堵して全身の力が抜ける。

 

「はぁ……怖かった」

「加奈ちゃん、大丈夫かい?」

「ああ、克明君…克明君だぁ……怖かったよぉ」

 

 優しいぬくもりに包まれ、私の中に安心感が拡がって行く。

 勇気を出して男に立ち向かった。恐怖に打ち勝った。だけど、途端にやってくる安心感に包まれた瞬間、私は元の弱い女に戻っていく。

 

 戻っていいんだと安心できる。頼りになる人が側にいてくれるから。

 

「ごめんよ。直ぐにでも助けたかったんだけど、ミルフィさんに押さえつけられちゃって」

「あはは……そうなんだね……」

 

 ミルフィさんは、私が強くなるチャンスを見守ってくれてたんだ。

 気が付けば私達はお店の休憩室に案内されてソファを提供してもらっていた。

 周りにギャラリーが集まりすぎたのと、警察がくるまで助けに入れなかったお詫びとして避難場所とケーキを提供してくれたのだった。

 

 克明君はずっと私を抱きとめて手を握ってくれていた。

 それだけで、勇気を振り絞った甲斐があったと思える。

 

 

「加奈子ちゃん頑張ったデス。エラいよ。ミルフィ感動したね。思わず見とれて助けに入るの遅れちゃったデース。sorry。怖い目に遭わせてゴメンなさい」

「いえ、良いんです……あのままだと、ずっと怯えて居たから……」

 

「立派だったネ。本当に立派だったよ。ミルフィ嬉しいヨ……あの男達、加奈子ちゃんの迫力にビビってたネ。あなたが相手取ってきた悪魔達に比べたら、あんなのはなんてこと無いデス。あなたはちゃんと成長してるよ」

 

 ミルフィさんの肩に抱かれて浴びせられる称賛をむずがゆく感じていた。

 

「ありがとうございます、ミルフィさん」

 

 それでも、囚われていた心の鳥籠からたった一歩でも踏み出せた事に、私は達成感にも似た感情を覚えていた。

 

 ルナにもお礼を言わなくちゃ……。私が無理やり引っ張り出してしまったからまた眠っちゃったけど、あれだけの勇気を出せたのは彼女のおかげだ。

 

「加奈子さん格好よかったッスよ~。ごめんなさいっ、ウチ、怯えてなんにもできなかったッス」

「加奈ちゃんごめんよ。でもよく頑張ったね。凄かったよ」

 

 

「私、少しだけ強くなれたよ」

「ああ。立派だった。加奈ちゃんは俺の自慢の彼女だよ」

「うん、でも……ちょっと疲れちゃった。今日は慰めて欲しい、な」

 

 甘える私を克明君はちゃんと抱きとめてくれる。心地良いぬくもりに包まれて安心感が広がった。

 

「素晴らしかったデース加奈子ちゃんっ♪ それにしてもあいつらイカ臭かったDeathネー。お手々がばっちぃデース」

「うわわっ、ちょっとミルフィさんっ。俺のスーツで拭かないでくださいよっ」

「せんぱーい。イカ臭くて格好付かないッスねぇ~。しかもションベン付き。ブハッ! マジでウケるんですけど★」

「うるせえぞ篠崎っ。テメェにもお裾分けしてやろうかいっ」

「きゃああっ! ホントに拭くとかヒデェッスよ~」

 

 三人の空気のおかげで私の心はほぐれていった。

 

 家に戻った私は、いつも以上に激しく克明君を求め、何度も何度も激しく絶頂することになるのだった。

 私の我が儘を沢山聞いてくれた克明君は、どれだけでも私の求めに応じてくれた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。