魔力ゼロだからと追放されて死んだら、オレの中の魔王が目覚めて犯りたい放題しやがる(改題) 作:遊野優矢
路地裏からの悲鳴を聞きつけたレックスは剣を抜き、声の方へと向かう。
大剣が邪魔になって身動きの取りにくいパナデリアは、レックスの後を追いながら、路地の入口で後方警戒だ。
このあたりは、騎士団で何度も連携してきたので、打ち合わせの必要もない。
路地裏では、まさに1人の女が2人の男達に犯されそうになっているところだった。
「やめて……この……くっ……」
ボブカットの似合う村娘はもがくも、地面におさえつけられ、身動きがとれない。
胸ははだけ、ロングスカートの中に手を突っ込まれている。
まっ昼間から二十歳前後の女性を襲う同年代の男二人。
スラムなんかじゃたまに見る光景ではある。
騎士団員でもなんでもないので、首をつっこむ理由はないのだが、見過ごすのも気分の良いものではない。
「やめておけ」
音もなく3人に近づいたレックスは、男の片方の首筋に剣をつきつける。
「た、たすけて! たすけてください!」
女は目に涙を浮かべながら懇願する。
「安心していい」
ほどよく膨らんだその胸の先端から目をそらしながら、レックスは頷く。
「な、なんだよ。混ぜてほしいなら銀貨1枚でいいぜ」
男は震えながらも、下卑た笑みを浮かべる。
レックスは小さくため息をつくと、近くの木箱の上にあった壺を剣で斬った。
真っ二つになった壺が木箱から落ち、乾いた音を立てて砕けた。
「貴様達の頭もこうしてやれるが?」
レックスが冷たい目で男たちを見下ろすと、男たちは女から手を離し、じりじりと下がっていく。
彼らの眼の前に、銅貨を2枚投げてやる。
「へ、へへ……わかったよ。譲ってやるよ。なあ?」
「お、おうよ!」
男たちは足をもつれさせながら逃げていく。
「あ、ありがとうございます!」
女は胸が露わなままなのも気にせず、レックスの胸に飛び込んだ。
「金など渡す必要はなかったのでは?」
トラブルが終わったとみて合流したパナデリアの声に、レックスがビクンと背筋を伸ばした。
そっと女を引き剥がし、自分の上着をかけてやる。
「あいつらにも『譲ってやった』という建前ができるからな。あれで余計なトラブルが避けられるなら安いもんだ」
銅貨2枚にしたのも、二人で分けられるようにしたためだ。
「あの……わたし、エレナです。この服も返したいし、お礼もしたいので、うちに来てもらえませんか?」
断る理由のないレックス達は、エレナの家へと向かった。
エレナの家は、街の外れにある石造りの平屋3LDKだ。
この地方としては一般的な作りである。
「ご家族は?」
リビングを見るに、一人暮らしではないようだ。
「兄がいるのですが、隣町に出稼ぎに行っています。うちは農地を持っていないので……」
エレナは少しさびしそうに目を伏せた。
豊富な農作物を作れる街とはいえ、現金の確保のためにそういったこともあるだろう。
「石窯がありますね。パンを焼きましょうか」
少し気まずくなった空気を壊すように、パナデリアがキッチンの石窯を指さした。
「お客さんにそんなことさせられませんよ」
「いいから、いいから。実家だと私の焼くパンはちょっと評判だったんですよ」
エレナはレイプされかけたばかりなのだ。
パナデリアなりに気を使ったのだろう。
ちなみに、彼女の焼くパンが美味しいというのは本当だ。
彼女と彼女のパン目当てで、実家の宿と酒場を利用する客は多かった。
かくいうレックスも、彼女の焼くパンは大好物である。
「じゃあ、もし宿が決まっていないなら泊まっていってください。旅人さんなのでしょう?」
レックス達二人はその申し出をありがたく受け入れることにした。
宿代が節約できるのは正直ありがたい。
女性二人がキッチンで夕食の準備をする間、レックスは庭で薪割りや、井戸からの水くみなどを手伝った。
二人は談笑しながら、和やかにキッチンに立っている。
一見キツそうに見えるパナデリアだが、こういう時はとても頼りになる。
レックスは騎士団時代に何度も頼ることになったものだ。
しかし、夕食時が来るということは日が暮れるということだ。
それはハイオルムが表に出るということでもあった。
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