※この作品はR-18です。

魔力ゼロだからと追放されて死んだら、オレの中の魔王が目覚めて犯りたい放題しやがる(改題)   作:遊野優矢

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第三章(9)

 ひとまず5日間、街の自警団を手伝う依頼を受けたパナデリアとレックス。

 

 メンバーへの顔合わせはまた後でということで、昼はエレナに街を案内してもらうことになった。

 目立つパナデリアの大剣は、エレナの家に隠してある。

 

「武器がないと落ち着きませんね」

 

 というパナデリアに、エレナが薪割り用のナタを貸してくれた。

 腰の後ろにナタをさして歩く美女の誕生である。

 

 

 

 エレナに案内されたのは、居住区と河をはさんだ反対側。

 見渡す限りの小麦畑だ。

 

 ちょうど収穫の季節直前で、見応えのある景色が広がっている。

 

「このあたりの小麦は貴族用です。わたし達が食べるライ麦はあっちですね」

 

 エレナは河から離れた山側を指さした。

 

「河の近くほど土が豊かだからか」

「そうです。年に一回、河が上流から肥えた土を運んできてくれるんです。その時、河が赤くなるから、この街はスカーレットリバータウンと呼ばれているんですよ」

「じゃああれは街から土を流しているのか?」

 

 レックスの指さした先、街の周辺の河が赤く染まっている。

 それを見たエレナの顔が一瞬曇る。

 

「そんなはずはありませんが……。そ、それよりもう少ししたら新麦のパンが食べられますよ」

「ぜひパンにして焼きたいです!」

 

 パナデリアがぱっと顔を輝かせた。

 

「あ……でも……そんなに長居できないので……」

 

 しかし、すぐにしゅんとしてしまう。

 

「二週間くらいですよ? あてのない旅なら、ゆっくりしていってもいいんじゃないですか?」

「ごめんなさい。そういうわけにもいかないんです」

「レックスさんにパンを焼いてあげたいんでしょう?」

 

 パナデリアはぽっと赤くなって俯く。

 

「パナデリアさんはかわいいなあ。でもね……」

 

 エレナはにひひと笑うと、ぎゅっとレックスの腕にからみつき、胸をおしあてた。

 

「あんまりのんびりしてると、わたしがとっちゃうかもよ」

「ちょっ!?」

 

 パナデリアは腰のナタを瞬時に抜くと、エレナの首筋につきたてた。

 

「ひぇ!?」

 

 エレナは大きくのけぞって、レックスの腕にぶらさがる形になる。

 

「あ……ごめんなさい」

 

 ぺろっと舌を出してナタをしまうパナデリアだが、その目は全く笑っていない。

 

「こ、こわぁ……」

「怖くありませんよ? だから、その腕を離した方が良いんじゃないかしら? レックスが困っているわ」

「あ! はい!」

 

 エレナはレックスから半歩離れ、びしっと気をつけの姿勢になる。

 それを見たパナデリアは、うんうんと笑顔で頷く。

 

「さあ行きましょう! 自警団のお手伝いをするのだから、色々見て回りたいです!」

 

 パナデリアが背中を見せたのを確認したエレナが、レックスの耳元で囁いた。

 

「よ、よく昨晩抱いてくれましたね……」

 

 ハイオルムの野郎やっぱりか、と思うレックスだがエレナには何も答えられないのだった。

 

 

 

 そんなこんなで街の周囲と守りの要になりそうな場所を見て回るうち、日が傾き始めた。

 顔合わせが夜になっては、ハイオルムが出てきてしまう。

 ということで、エレナに頼んで日が沈む前から酒場で自警団のリーダーと会うことになった。

 

「オレはカイユン。キミ達のような凄腕に協力してもらえるとは嬉しいかぎりだよ。さあさあ、飲んでくれ!」

 

 カイユンと名乗った自警団のリーダーは、30代中盤のくたびれた男だった。

 人は良さそうなのだが、いまいち覇気が感じられない。

 その割に、謎の必死さは感じるという不思議な人物だ。

 

 騎士でも傭兵でもないのだから、そんなものといえばそんなものかもしれない。

 日焼けの跡から察するに、ふだんは農夫をしているのだろう。

 小作農かもしれないが、それでも自分の街や農地が危ないなら必死にもなる。

 

「自警団はこれまでどんな活動を?」

 

 レックスの問いに、カイユンは恥ずかしそうにぽりぽりと頬をかいた。

 

「農地を荒らしにくるゴブリンや盗賊を討伐したり、街でおきたケンカを仲裁したりだね」

「それって衛兵の役目では?」

「衛兵もいるにはいるが、数が少ないんだよ。ここは国境からもまだ距離があるからね。臨時警備兵も雇っちゃくれないし」

「ケチな領主だ。貴族の風上にもおけんな」

 

 怒りをにじませるレックスの口を、エレナがあわてて塞ぐ。

 

「ちょっと! 誰かに聞かれたら大変よ!」

「はは……キミみたいな人が領主や王だったらよかったんだけどね」

 

 小声でそう言うカイユンの言葉に、レックスは苦笑いで返すしかできない。

 

「なんせ麦を荒らされでもしたら、税が厳しくなるんだ」

「自分達で守れってことか。なんのための貴族なのやら」

「そんなわけで、オレ達農民が衛兵のマネごとなんてしてるってわけさ」

「素人が護ってる土地なんて攻め込みやすくてしょうがないのよね」

 

 カイユンとエレナはそろってため息をついた。

 それが大きな襲撃につながるわけか、と得心の言ったレックスとパナデリアは、この人たちを守ろうと頷きあったのだった。

 

 




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