※この作品はR-18です。

魔力ゼロだからと追放されて死んだら、オレの中の魔王が目覚めて犯りたい放題しやがる(改題)   作:遊野優矢

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第三章(15)

「その姿はいったい……」

 

 レックスの風貌が突然変わったことに、カイユンとエレナは驚きを隠せないでいる。

 エレナも驚きのあまり泣き止んでいる。

 

「我のことはよい」

 

 一方、ハイオルムは堂々としたものだ。

 どかりとイスにもたれかかり、腕組みをしている。

 

「よくないでしょ」

 

 彼に何を言っても無駄だとわかっているパナデリアは、小声のツッコミとともにハイオルムをジト目で睨むだけだ。

 

「やはり姿を偽るのは好かん」

 

 パナデリアは「ああもぅ……」と内心頭を抱えるしかない。

 

「さて……気に入らんな」

 

 ハイオルムは冷静な表情のまま、じろりとエレナを見た。

 

「なぜ我を騙し、仲間に引き入れた」

「そうよ、最初から言ってくれれば協力したのに」

 

 パナデリアがハイオルムに同調する。

 

「あなた達が領主側の人間かもしれなかったから……ごめんなさい……」

 

 エレナはすまなそうに頭を下げた。

 

「我をごろつきどもの露払いに使うとはな」

 

 けっして怒りをにじませているわけではないのに、強烈なプレッシャーが場を支配する。

 

「我を騙したことは万死に値する。……が、我に抱かれながらも目的のために嘘をついたこと、評価しよう」

「抱かれた……?」

 

 パナデリアの顔がピキキと引きつる。

 それを感じたハイオルムの目元が一瞬ぴくりと動くが、何事もなかったかのように続ける。

 

「本来ならばこの場で引き裂いてやるところだ。しかし、『もう1人』がうるさいのでな。貴様らの復讐を我に捧げることで許してやろう」

「それってどういう……」

 

 エレナが問いただすより早く、ハイオルムの体が黒い霧となって消えた。

 

「レックスさんていったい……」

 

 カイユンとエレナは、ハイオルムが腰掛けていたイスを呆然と眺めるしかなかった。

 

「お二人共、行きましょう!」

 

 パナデリアは壁に立てかけていた大剣を手に取った。

 

「行くってどこに……」

 

 疑問の声を上げたエレナに、パナデリアが笑顔で答える。

 

「領主の屋敷です。私には彼が『来るなら来い』と言っているように見えましたよ」

 

 

 

 父親のものであった大きなベッドに寝そべる領主の娘……いや、新たな領主となったクリムはワイングラスを片手に、ほくそ笑んでいた。

 シルクのバスローブからは豊かな胸の谷間がこぼれている。

 20代前半にしては強烈な色気を放っている。

 その妖艶さは、男ならば誰もが生唾を飲むほどである。

 

「あなたの言った通りでしたわ」

 

 クリムは壁にかけられた鏡に話しかける。

 本来光を写すはずの鏡は、白い靄で覆われている。

 

 いつもクリムに居丈高に指示をするその鏡に、息を呑む気配があった。

 

「どうなさいましたの?」

 

 クリムの問いかけに鏡は応えず、白い靄は消える。

 

「貴様がクリムか」

 

 声は部屋の中央から聞こえてきた。

 生ぬるい夜風にクリムは体をぶるりと震わせる。

 

 いつの間にか部屋の窓が少しだけ開いている。

 よく目をこらすと、ろうそくの灯りに照らされた闇が部屋の中央にわだかまっている。

 

 闇はやがて人の形となる。

 

「だぁれ?」

 

 クリムの問いかけに、ハイオルムは魔力で生成した漆黒のマントをばさりと翻した。

「我はハイオルム。貴様の命と尊厳を刈り取る者だ」

 

 




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