魔力ゼロだからと追放されて死んだら、オレの中の魔王が目覚めて犯りたい放題しやがる(改題) 作:遊野優矢
領主の屋敷は、敷地をぐるりと高い壁に囲われていた。
パナデリアは大剣を足場にし、背丈の二倍近い壁の上にひょいと飛び乗る。
大剣を引き上げた後、エレナとカイユンに手を貸す。
敷地内に降り立った3人は、裏口らしき扉からそっと忍び込んだ。
屋敷の中はメイド達が慌ただしく動き回っていた。
領主の葬儀の準備だろう。
中にはパナデリア達を見て訝しげな顔をする者もいたが、それどころではないようだ。
おかげでパナデリア達は屋敷内を堂々と歩くことができた。
それが葬儀で忙しいだけではないことがわかったのは、食堂の前を通りかかった時だった。
広い食堂では、50人ほどのごろつきが我先にと料理を貪っていた。
イスに座りきれず、床で食べる者もいる。
その中には、昼にパナデリアが見かけたごろつきもいた。
「なぜアナタ達がここにいるの!」
パナデリアの大声に、ごろつき達が一斉に振り向く。
「ああ? 今回の分前がまだだからなぁ」
さも当然といった風に、1人の男が言った。
男の視線の先、部屋の隅には民家から奪ってきたらしい金目のものが積まれている。
「まさか、街から奪ったものをクリムと分け合ってるの……?」
エレナが呆然と呟く。
「何言ってんだ? いつもの仕事じゃねえか」
ごろつきの言葉に、パナデリア達3人は息を飲んだ。」
「まさかこいつらの依頼人もクリムだったってこと……?」
「そのようね」
パナデリアが怒りの表情で大剣を構える。
「おい、あのでっかい剣……街で俺達の邪魔をしてたってヤツじゃないか?」
ごろつきの1人が声を上げた。
「あんなバカみたいな剣を持ってるヤツなんてほかにいないだろうし……」
ごろつき達の戸惑いが、殺気へと変わる。
「クリムの姉御には追加の分け前を請求しねえとな」
男が腰の剣に手をかけた。
「あらそう。じゃあこれ」
舌なめずりをする男に向かって、パナデリアは無造作に大剣を放り投げた。
男は頭の上から降ってきた大剣を軽いだろうと決めつけ、片手で払いのけようとする。
しかし、圧倒的な重量を持つ大剣は、そのまま男を押しつぶし、床に血だまりを作った。
「こいつ!」
イスに座っていた男たちが一斉に立ち上がる。
それよりも早くパナデリアは突っ込み、拾い上げた剣を横にひと薙ぎする。
イスから立ち上がったばかりの男達の首がまとめて6つ、胴から離れた。
「な、なんだあの剣……。くっ! ヤロウども! やっちまえ!」
個性のかけらもない掛け声とともに、男たちが一斉にパナデリアへと襲いかかる。
手に手にショートソードや円月刀を振り上げ、斬り掛かってくる。
その男たちを、パナデリアの大剣が斬り裂いていく。
食堂にいた男たちの半分の上半身と下半身がばらばらになった頃――。
「キャー!!」
食堂にやってきたメイドが悲鳴を上げた。
男たちの動きが一瞬止まったのを見て、パナデリアは全力で切り込む。
二人の男を一太刀で斬り伏せ、地面を這うような低い姿勢でくるりと一回転。
テーブルの足ごと、男たちの足首を切断した。
「ぐあああ! ちきしょう! この女なんてマネしやがる!」
足首の断面から血を吹き出す男たちをパナデリアは冷たい顔で見下ろした。
「さあ、知っていることを全て話してもらいましょうか」
そんなパナデリアを見て、エレナとカイユンは震え上がることしかできないのだった。
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