魔力ゼロだからと追放されて死んだら、オレの中の魔王が目覚めて犯りたい放題しやがる(改題) 作:遊野優矢
「ここね」
パナデリア達がクリムの部屋に着くと、中は瘴気にも等しい濃い魔力に満ちていた。
「う……これ……」
エレナが股を出て押さえ、ぶるりと体を震わせた。
「エレナは下がって! カイユンは彼女についていてあげて」
パナデリアは手でエレナを制しながら、じりじりと部屋の奥へと入っていく。
カイユンはエレナに肩を貸し、部屋の中と廊下の先を交互に見ている。
「んん……見届け……たい……の……あっ……」
衣擦れだけで身悶えるエレナは、胸と脚をカイユンにこすりつけながら、必死に耐えている。
ならばパナデリアに言うことは何もない。
警戒しながら、部屋の奥へと進む。
そこには、全裸でベッドに魔法で縛り付けられながらも、とろけ顔でハイオルムを見上げる美女がいた。
美女の両手首と両足首には魔法陣が闇色に輝いている。
「来たか」
「こいつがクリムなの?」
「そうだ」
ハイオルムはエレナの乳首をピンと指で弾く。
「んあああっ!」
クリムは大の字に縛られた手足をよじらせ、快感に悶える。
「なによこれ……やりすぎ……なんて言葉はこの女には使わないけど……レックスの体でなんてことを……」
「これを見て同情せぬということは、何かを知ったな?」
ニヤリと笑うハイオルムがパナデリアに一歩近づく。
手を伸ばせば届く距離にいながら、パナデリアの体は動かない。
魔力で操られたわけではない。
ただ、怖いのだ。
穏やかで邪悪な笑みを浮かべたこの男から、隠しきれない怒りが滲んでいる。
今まで夜が来るたびこの男を恐ろしいと思ったが、今夜のそれは格が違った。
「ま、街を襲ったごろつき達を雇っていたのは、クリムだったのよ。街の人たちから金品を巻き上げて、ごろつき達と山分けしていたの」
パナデリアはその恐怖を打ち消すように、早口でまくしたてる。
「なるほどな。税として取り立ててれば、この国では一部を国に支払わねばならん。その方法ならばまる儲けだ」
このあたりはハイオルム自身ではなく、レックスに封じられていた頃に、彼の中からみていた際に得た知識だ。
「でもそんな街、みんな住んでられないんじゃ……」
「肥沃な土地からは離れがたいのだろうさ。よく考えたものだ」
「感心してる場合じゃないでしょ」
パナデリアの突っ込みにも遠慮がみられる。
それほどまでに、ハイオルムの静かな怒りはすさまじいプレッシャーだ。
しかし、何にそこまで怒っているのか、パナデリアにはわからない。
彼女から見たハイオルムは、クリムのしたことにここまで怒るような人物ではない。
むしろ、くだらんことだと一笑に付す印象をうけていた。
何か特別な理由があるのだろうか。
「はぁ……はぁ……お願い……突っ込んて……かきまわしてぇ……」
クリムは体液でべとべとの身を悶えさせながら、ハイオルムに懇願する。
「貴様に与した者を全てここに集めろ。ごろつきを使って街を襲うことに協力した者、貴様に男を貢いだ者、全てだ」
「そうしたらぁ……また突いてくれるぅ?」
「早くしろ」
「もぅ……そのベルを4回鳴らしてぇ……」
クリムは甘えた子猫のような声を出しながら、目でナイトテーブルに置かれたベルを示した。
――チリン、チリン、チリン、チリン。
ハイオルムがベルを鳴らすと、呼応するようにこの部屋から近い場所からベルが鳴る。
ベルの音はやがて屋敷中に響き渡った。
とたんに屋敷の中が慌ただしくなった。
使用人達がバタバタとクリムの部屋へとやってくる。
広い廊下に30人を超える使用人達がずらりと並んだ。
執事らしき老紳士が部屋に入ってくる。
「ク、クリム様!? うぐっ!?」
ハイオルムの魔力で執事は身動きがとれなくなった。
気をつけの姿勢のまま、だらだらと脂汗を流している。
ベッドのそばに来られただけでも見上げたものだ。
殆どの使用人は、部屋から漏れ出た魔力にあてられ、廊下でぐったりしたり、自らを慰め始めたりしている。
「こんなにたくさん……?」
パナデリアが驚くのも無理はない。
屋敷の主だった使用人のほとんどが関わっていたのではなかろうか。
ハイオルムは執事を無視し、廊下でへたりこんでいるメイドの中で一番見た目が自分好みの女の前に立った。
「はえ……?」
魔力酔いで呆けているメイドの前にしゃがみこみ、その首筋に牙を突き立てた。
若く生きの良い血を口の中で十分に味わう。
「う……あぁ……」
メイドの体内にハイオルムの魔力が流し込まれる。
彼女はすぐに眷属となるだろう。
ハイオルムは同様に、5人のメイド達を眷属にした。
「な、何をしているんだ……?」
エレナに肩を貸すカイユンはその意味を内心理解しつつも、呆然と呟く。
噛まれたメイド達が、次々にハイオルムに跪いていくのを見て、確信する。
「本当にヴァンパイア……なのか……。ヴァンパイアは100年前、魔王ハイオルムを最後に滅びたはず……」
そんなカイユンの様子を、ハイオルムは愉快そうに眺める。
「この者達とクリムには用がある。それ以外の者はお前たちで好きにするがよい」
「いいの……?」
エレナがカイユンから離れ、ふらつきながらも剣を抜く。
「好きにするがいい」
ニヤリと笑ってみせるハイオルムに、エレナは暗い笑顔で応える。
エレナは近くにへたりこんでいた衛兵に視線を向けた。
「や……やめてくれぇ……」
魔力酔いでふらふらの衛兵は、剣を抜こうとするが手が震えて上手くいかない。
エレナも条件は同じなのだが、覚悟と恨みが彼女の体を突き動かす。
「あなた……彼を迎えに行ったわたしを追い返した……!」
「ひっ!」
あとずさる衛兵を冷たい目で見下ろしながら、エレナは容赦なく剣を振り下ろした。
剣は衛兵の鎧の隙間から肩口に突き刺さり、内蔵を貫いた。
「ぐ……がぁ……」
衛兵は口から血の泡を吹く。
剣を引き抜かれた傷口から、鮮血が吹き出した。
「「「きゃああああ!」」」
メイド達がたまらず悲鳴をあげたが、魔力の影響で床を這うことしかできない。
「あなたも見たことあるわ」
だらりと剣をぶらさげたエレナは、ゆっくりとメイド達を追い詰めていく。
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