※この作品はR-18です。

魔力ゼロだからと追放されて死んだら、オレの中の魔王が目覚めて犯りたい放題しやがる(改題)   作:遊野優矢

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第四章(1)

 リーモの街に向かうため、スカーレットリバータウンを出たレックスとパナデリア。

 二人は商隊の荷馬車に乗せてもらっていた。

 

 商品の並ぶ荷台に後ろ向きに並んで腰掛けている。

 ゆったりと吹く風を感じながら、のんびりした時間を過ごしていた。

 パナデリアがちらちらとレックスの顔と肩を横目で見ている。

 なんだか落ち着かない様子だ。

 彼女はそわそわしながら、首を横に傾けては戻すということを繰り返している。

 

「どうしたんだ?」

 

「眠くなってしまいました」

 

 少しわざとらしくあくびをして見せる。

 

「疲れもたまるよな。眠っていていいぞ」

「いえ、そういうわけではなく……」

 

 なぜか困り顔のパナデリア。

 

「体調でも悪いのか?」

「す、すみません! ご心配をおかけするつもりでは……」

 

 パナデリアにしては珍しく、要領を得ない。

 

「あの……やっぱり眠ってもいいですか?」

 

 それだけのことを言うのに、ここまで躊躇させてしまったのは自分の責任ではなかろうかとレックスは心配になった。

 

「もちろんだ。馬車から落ちるなよ」

「はい……」

 

 パナデリアは少し緊張した面持ちで首をレックスの方にゆっくりと傾けた。

 その小さな頭がレックスの肩に乗る。

 思わずレックスは声をかけそうになったが、力いっぱいぎゅっとつむったパナデリアの目を見てやめた。

 その代わりに、そっと頭を撫でてやる。

 一瞬びくりとしたパナデリアだったが、嬉しそうに口をもにょもにょ動かしていた。

 どんなに馬車が揺れようとも、パナデリアはその姿勢を崩さなかった。

 素晴らしい体幹である。

 普通に座っているよりも疲れるのではないかと思ってしまうほどだ。

 

 

 

 そのまま馬車に揺られること半日。

 

 馬車は森にさしかかったところだ。

 商隊の馬車は3台。レックス達の乗る馬車は一番後ろの3台目である。

 

「ゴブリンだー!」

 

 その先頭から声が上がった。

 商隊はすでに30匹を超えるゴブリンに囲まれている。

 馬がいななき、馬車が止まる。

 

「私達が接近に気付かなかった!?」

 

 パナデリアが荷台に置いていた剣に手をかける。

 

「魔術で姿と気配を隠していたか! ゴブリンメイジがいるぞ!」

 

 レックスは商隊に注意喚起のため、大声を張り上げた。

 二人は馬車から降りて、武器を構える。

 護衛をする代わりに安く馬車に乗せてもらったのだ。

 ここが働きどころである。

 ただ、馬車3台を護り切るのはなかなかにしんどい。

 ゴブリンを倒すこと自体はできても、2人でカバーできる範囲は限られるからだ。

 本来ならもう少し人数を雇ってもよさそうなものだが、ケチったのだろう。

 

「全員伏せろ! 前をあける! 合図したら馬車を出せ! オレ達は置いていけ!」

 

 レックスは馬車の行く手を遮っていたゴブリンに向かって駆け出した。

 

「ギャギャ!?」

 

 一瞬でトップスピードになったレックスに驚くゴブリン達。

 森の脇から矢が飛んでくるが、慌てて放ったところで当たりはしない。

 飛んできた5本のうち一本を手でつかみ、投げ返す。

 その矢はゴブリンの眉間に突き刺さった。

 道を塞いでいるのは、ショートソードを持った5匹のみ。

 殆ど反撃させることなく、レックスはその5匹を切り捨てた。

 

「行け!」

 

 レックスの合図で、馬にムチが入れられる。

 

「頼んだぞ!」「次の街で待ってるからな!」

 

 商人達の馬車を追うように、ゴブリンの矢が放たれる。

 レックスとパナデリアがそのことごとくを剣で打ち払った。

 

「これはラッキーですね」

 

 レックスのとなりで剣を構えたパナデリアが微笑む。

 

「そうだな」

 

 つられてレックスも口角を上げた。

 これだけのゴブリンがいるということは、彼らが金品を溜め込んだ巣があるということだ。

 路銀に不安のある二人にとって、棚ぼたなイベントである。

 この国の法律では、人間の盗賊が奪った金品は持ち主や国への返還義務がある。

 一方、人間以外が溜め込んでいたものは、たとえそれが盗品だったとしても討伐者が獲得して良いことになっている。

 交渉はできず、人間どうしのみせしめにもならないモンスターは、民間で好きにしていいよ、とういことらしい。

 ゴブリンは人間の子どもより少し賢いくらいの知能があり、群れの中で人間から奪った金品を介した経済も存在するほどだ。

 人間をよく襲うので、この国では害獣指定されている。

 その中でも賢い個体が魔術と出会った場合に、ゴブリンメイジと呼ばれる厄介なモンスターができあがるのだ。

 

 見渡した限り、それらしい個体は見当たらない。

 森の中に隠れているか、すでに逃げた後か……。

 

「ゴブリンメイジに気をつけつつ、1匹は軽いけがをさせて逃がすぞ。巣まで案内させる」

「了解!」

 

 二人は背中合わせになり、剣を構えた。

 




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