魔力ゼロだからと追放されて死んだら、オレの中の魔王が目覚めて犯りたい放題しやがる(改題) 作:遊野優矢
レックスはパナデリアに目で合図を送り、木の陰から飛び出した。
「ギャギャー!」
それを見たゴブリン達が騒ぎ立てる。
ゴブリンメイジは唱えていた呪文を中断。再び呪文を唱え始める。
おそらく探知系から攻撃系へ切り替えたのだ。
洞窟の前に立っているゴブリンメイジとレックス達の間には300匹のゴブリンがいる。
仲間が邪魔で気軽に魔術は撃てないだろう。
レックスとパナデリアは、1つの嵐のようにゴブリン達を斬り殺していく。
「ギャ! ギャギャ!」
色めき立つゴブリン達が一斉に襲いかかってくる。
ゴブリンが剣を一振りする間に、レックスとパナデリアは5匹以上屠っている。
その間もゴブリンメイジからは視線を外さず、常に視界の端で捉え続ける。
いかに数が多くとも、同時にかかってこられる数などたかが知れている。
普通なら囲まれて終わる状況でも、1度に5匹ずつ程度……二人で10匹ずつなら相手もできる。
たまに矢を撃たれることもあるが、すべて剣で落とすか、避けてどこかへ飛んでいく。ものによっては同士討ちになっている場合すらある。
一瞬のうちに50匹は倒しただろうか。
ゴブリン達はじりじりと二人から距離をとるようになっていった。
二人の周囲にはゴブリンの死体が積み上がり、血の匂いが立ち込めている。
そうしているうちに、ゴブリンメイジの魔術が完成した。
「ギャギャギャギャウ!」
ゴブリンメイジが高く掲げた両手の上に、バスケットボールサイズの火球が生まれる。
人間の言語以外でも魔術は発動する。これはそもそも地方によって異なる人間の言語であっても発動するのだからそうだろう。
呪文は精神統一と世界への語りかけのためだと言われているが、ハイオルムを見ているとその説も怪しいと思える。
ゴブリンメイジが両手を振り下ろす動作をすると、それに合わせて火球がハイオルム達に向かって飛ぶ。
この魔術は何度も見たことがある。炎爆飛翔弾(フレイムボム)だ。
直線で飛行した火球が着弾地点で爆発する。
その威力は術者によって異なるが、これならば直径5メートルは焼き尽くすだろう。
もちろん、人間に直撃すれば消し炭だ。
仲間のゴブリンを巻き込むのをなんとも思っていない。
だがこの魔法、特性を知っていれば対処方法はある。
レックスは地面に落ちていたゴブリンの頭をつかみ、火球に向かって投げつけた。
火球は空中で大爆発を起こし、真下にいたゴブリン10匹以上を巻き込む。
爆発の煙と生肉のやける嫌な匂いが漂う中にレックスは突っ込む。
「ギャギャ!?」
意表をつかれたゴブリンメイジが後ずさるが、レックスの剣が一閃。
その首が胴体からぼとりと落ちる。
使って来たのが対処法を知っている炎爆飛翔弾(フレイムボム)でよかった。
「「「ギャギャギャギャ!」」」
煙が風に消え、ゴブリンメイジが死んでいるのを見ると、ゴブリンたちは混乱し、騒ぎ出した。
ある者は逃げ出し、ある者はレックスとパナデリアに飛びかかってくる。
レックスがゴブリンメイジに突っ込んだ際も、パナデリアはしっかい後ろからついてきてくれている。
今は二人が洞窟を背にしている。
洞窟の中に残っているゴブリンを警戒する必要はあるが、背後に割く意識を減らせるのは大きい。
二人は向かってくるゴブリン達は次々に屠っていく。
100匹以上を斬り殺したところで、ついに全てのゴブリン達が逃げ出した。
本来ならば深追いは禁物。
森の中にも罠があり、誘い込まれている可能性があるからだ。
しかし二人は逃げるゴブリン達を追い、背中から斬りつけていく。
200メートルほどしてやっと二人は止まり、洞窟へと戻る。
これだけやれば、しばらくは戻ってこないだろう。
「見張りを頼む」
「はい」
いつゴブリン達が戻ってきても良いよう、念の為パナデリアを洞窟の入口に立たせ、レックスは奥へと進む。
洞窟はなんどか分かれ道があり、最奥は入口から100メートルほどもあった。
途中、矢が飛んでくる罠や、残っていたコブリンが数匹いたが、危なげなく処理していく。
ゴブリンには家族のような概念があるらしく、洞窟の中には小さな部屋がたくさんあった。
そこには金品も保管されていた。
全てを持っていくことはできないが、持ち運びやすくて効果な宝石だけでも、しばらく金には困らないだろう。
だが、解決しなければならない問題はとある部屋にあった。
人間の女たちが繋がれた部屋である。
予想していたが、あまり見たいものではなかった。
これまでも騎士団で何度もゴブリン討伐はしてきた。
殆どのゴブリンの巣に、子どもを産ませたり、快楽用の玩具として人間の女がこうして繋がれていたのだ。
女達は服を身につけておらず、手首に鉄製の枷をはめられ、そこから伸びた鎖は洞窟の壁に打ち付けられている。
総勢8名。うち2名は妊娠しているようだ。
みな一様に死んだような目をしている。
「ひっ……」
レックスが部屋に入ると、2人が小さく息を飲んで壁の方へと後ずさる。
残りの6人はぼうっとこちらを見るだけだ。
レックスはいったん彼女たちを置いて、洞窟の入口へと戻った。
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