魔力ゼロだからと追放されて死んだら、オレの中の魔王が目覚めて犯りたい放題しやがる(改題) 作:遊野優矢
ゴブリンを巣から追い出した翌朝、レックス達は捕まっていた女達を近くの街か村まで送ることにした。
「あの……ハイオルム様は……?」
女達がきょろきょろとハイオルムの姿を探している。
女達が急に落ち着いたことや、その言動を見たパナデリアが一瞬ムッとした顔をする。
しかし、悲しげな顔で小さく首を振るだけで何も言わなかった。
「彼は先に発った」
レックスはそれだけ告げる。
「そうですか……」
大きく肩を落とす女達。
この調子なら、道中に暴れたり逃げたりすることはないだろう。
レックスは洞窟の奥から人が引けるサイズの荷車を持ってきていた。
そこには金銀財宝の入った麻袋が8つ積まれている。
「これは君たちの分だ」
袋の中を女達に見せる。
「え?」
「これを私達に?」
女達は目を輝かせる。
「でも……なぜ……」
通常、捕まっていただけの者に分前をくれてやることはない。
何か裏があるのではという戸惑いだろう。
「自分たちの分は十分に取ってある。これから新しい生活をするのにも金がいるだろう?」
家族のもとに戻る者もいるだろうし、そうでない者もいるだろう。
いずれにせよ金はいる。
「あ、ありがとうございます!」
女達はそろって頭を下げた。
森を出て街道に復帰するのに半日はかかった。
ずっとつながれていた女達と荷車があるからだ。
ここからなら、次の街へ行くよりスカーレットリバータウンに戻る方が早い。
「急ぐ旅でもない。いったん戻ってもいいか?」
「もちろんです」
パナデリアの了承も得られたところで、一行はスカーレットリバータウンに向かって歩き出した。
馬車で来た道のりを徒歩で戻るのだから時間がかかる。
野宿も覚悟したところで、運良く馬車4台からなる商隊が通りかかった。
スカーレットリバータウン方面に向かっている。
「止まってくれ!」
レックスは馬車の前に飛び出した。
「あぶねえな! ああん……?」
先頭の御者がレックスを怒鳴りつけたが、連なって歩く女達を見て、怪訝な顔をする。
「ゴブリンに攫われていたんだ。このコ達を街まで送ってくれないか?」
レックスは御者にゴブリンの巣から奪った宝石を握らせる。
「お、おぉ……旦那様!」
御者が目を輝かせ、2台目の馬車に走って行く。
この商隊、隣にあるリーモの街で仕入れた商品をスカーレットリバータウンとその向こうの街まで売りに行くところだと言う。
レックスは商隊のリーダーにも宝石を握らせ、女達のことを頼む。
リーダーはでっぷりと太った40代の男で、背は低く、顔には油を浮かべている。
身なりはそれなりなので、儲かってはいるのだろう。
「無事に送り届けてくれれば、彼女達からも礼金を支払います」
「この女達がか?」
商隊のリーダーは訝しげな顔を女達に向ける。
レックスは彼から見えないところで、女の一人に金貨を握らせる。
女はそれをリーダーに見せる。
「ほう! 金貨じゃないか!」
リーダーの目の色が変わった。
「ゴブリンの巣で得た金貨を少し彼女たちに持たせてあります」
金貨どころではない財宝も渡してあるが、それは言わない。
彼らに搾取されるからだ。
金貨を握らせたのも、麻袋を彼らの前で開けないためだ。
「金貨を渡してやるとは、お優しい旦那ですなあ」
言外に「バカなのか?」というニュアンスが含まれている。
こういう男だからこそ、女達がもっと持っているとは思わないだろう。
「そういうことならちゃんとお送りしますよ。まいどあり!」
「よろしく頼む。エレナかカイユンにオレの名前を出せば、後は面倒をみてくれるはずだ」
これで女達が露頭に迷うことはないだろう。
レックスは女達に麻袋の中を他人に見せないこと、エレナとカイユンには礼金を出すことを告げ、彼女達と別れた。
「あの……ありがとうございます! この御恩は決して忘れません」
女達がそろって頭を下げた。
お辞儀のしかたはしっかり教育を受けた者から、慌てて周りに合わせる者までバラバラだ。
この女達は色々な意味で苦労をするだろうが、なんとか生き延びて欲しいと願うレックスである。
「元気で」
レックスはそれだけ言うと、女達に背を向けた。
少々遠回りはしたものの、パナデリアと並んで再び国境の街リーモを目指して歩き始める。
ぜひ★での高評価をお願いします!
今後の励みになります!
こんなシチュがみたいなどの感想もいただけると嬉しいです!