※この作品はR-18です。

魔力ゼロだからと追放されて死んだら、オレの中の魔王が目覚めて犯りたい放題しやがる(改題)   作:遊野優矢

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第四章(7)

 部屋の隅に浮かび上がった女は、男ならば誰もが抱きたくなるような体をしていた。

 くびれは細く、胸は大きく、とびきりの美人だ。

 ただし、床につきそうなほど長い金髪はふわふわと揺れ、うっすらと向こう側が透けている。

 

「幽霊か」

「私が見えるの?」

「無論だ」

「うれしい!」

 

 女の幽霊がハイオルムに抱きついてくるが、するりと向こう側に通り抜けてしまう。

 

「やっぱり触れられはしないのね……」

 

 幽霊はしょんぼりしながらベッドに腰掛けた。

 よく見ると、座った姿勢を取っているだけで、ベッドに体重はかかっていない。

 

「この宿に客が入らないのはお前のせいだな?」

「え……そ、それは……そう……かな?」

 

 幽霊はごまかし笑いを浮かべた。

 なんとも明るい幽霊である。

 

「私はラーバ。あなたは?」

「ハイオルムだ」

 

 ハイオルムもつい彼女のペースにのせられてしまう。

 

「良い名前ね。座ったら? せっかくだもの、お話ししましょ?」

 

 ラーバは自分のとなりをぽんぽんと叩いた。

 勢いあまって少し手がベッドにめり込んでいたりする。

 こうまでニコニコの笑顔で誘われては、断る気にもならない。

 ハイオルムはラーバのとなりに腰掛けた。

 ラーバの声はおそらくハイオルムにしか聞こえていない。

 でかい独り言だと思われないよう、部屋に防音の魔術をかけておく。

 

「私を怖がらないのね」

 

 ラーバはぐいっとハイオルムに顔を近づける。

 

「我がこの世に恐れるものなど何一つない」

 

 今にも唇が触れそうな距離でも、ハイオルムは表情一つ変えない。

 

「うふふ。面白い人。今まで私が見えたり取り憑いたりした人達は、みんな怯えていたのに」

「取り憑く……今までもそんなことをしていたのか」

「んー、お客さんが来た時は毎日チャレンジしてるわ!」

 

 さも当然という顔だ。

 

「死んでどれくらいだ?」

「死ぬ前の記憶がないからわからないけど、覚えているのは2年くらいかなあ」

 

 幽霊の出る宿屋……噂が広まるには十分な時間だ。

 客がいないのはラーバのせいだろう。

 

「でも残念。せっかくこんなに良い男がいるのに、触れることができないなんて……」

 

 ラーバがハイオルムの肩に頭を乗せる仕草をする。

 

「一緒にいた美人さんに取り憑こうとしたけど、なぜか弾かれちゃったのよね。こんなこと初めて」

 

 ラーバが不満そうに唇を尖らせる。

 

「しょうがないから、女将さんに取り憑いてこようかな」

「まてまてまて」

「なあに?」

「女将さんというのはあの老婆か?」

「そうだけど?」

「今までもそんなことを?」

「男だけのお客さんの方が多いから」

「なんて恐ろしいことを……」

 

 夜になると老婆が迫ってくる宿屋……そりゃあ客も途絶える。

 

「しわしわの体だけど、男に触れるならそれでいいかなって。じゃあちょっと行ってくるね」

「待てと言っている」

 

 ふわりと立ち上がったラーバの手首をハイオルムが掴んだ。

 

「大丈夫よ。目を閉じててくれれば気持ちよくしてあげ……え? なんで私に触れるの?」

「貴様の形状にそって薄く魔力のコーティングを施した。これで擬似的に触れたような感覚になるだろう」

「す……すごーい!」

 

 ラーバがハイオルムに抱きつく。

 胸の弾力までしっかり再現できているのは、ハイオルムの技のなせるところである。

 

「他人の体を使わずにできるのなんて久しぶり……。お礼にたくさん逝かせてあげるわ」

「幽霊に言われると笑えんな。逝かせてやるのはこちらの方だ」

「ふふ……たのしみ……」

 

 ラーバはぺろりと舌で唇を舐める仕草をした。

 




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