※この作品はR-18です。

魔力ゼロだからと追放されて死んだら、オレの中の魔王が目覚めて犯りたい放題しやがる(改題)   作:遊野優矢

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第一章(4)

 女魔術師の炎で、レックスの体は焼けていく。

 全身が灰になるのを見届けた女魔術師は、いまだ燃え盛る炎に背を向ける。

 

「こっちは依頼外だけど、目撃者は消さなきゃね」

 

 追加料金でも請求してやろうかと考えながら、パナデリアに杖を向けたその時、背後に強大な魔力が出現した。

 慌てて振り返るも、そこには燃え盛る炎の柱があるだけ。

 いや……炎の中に人影が見える。

 

 女魔術師の放った「火葬円陣(クリメイションサークル)」は文字通り、火葬用の魔術である。

 高い火力を持つ代わりに、限られた効果範囲と遅い弾速を特徴としている。

 動く相手に当たるものではないが、一度その炎に飲み込まれれば、骨まで焼き尽くされる。

 

 何より彼女は、レックスの体が灰になったのを見ているのだ。

 

「ふははははははははははははは!」

 

 炎の中から男の笑い声が響く。

 動揺しつつも大きく飛び退いて呪文を唱え始めたのは、彼女の実戦経験のなせる技だ。

 

 炎がかき消え、中から裸の男が現れた。

 体格こそレックスと同じ。

 

 しかし、銀だった短髪は黒の長髪に、碧眼は黄金に。

 丸みのあった耳は、エルフのように鋭角に。

 固く引き結ばれた口元は、鋭い牙が覗く不遜な笑みに。

 そして何より、大量の魔力が溢れ出している。

 

「空刃槍(ホロウランス)!」

 

 女魔術師は男に迷わず魔術を放った。

 

 岩すら貫く真空の槍だ。

 むろん、人の体などひとたまりもない。

 不可視のそれを男は手をかざしただけで霧散させた。

 

「無詠唱で防御魔術を!? 無詠唱なんて理論だけの夢だったはず!」

「防御魔術など使っておらん」

 

 男は小馬鹿にしたような笑みを浮かべ、気絶したパナデリアにちらりと送った視線を、すぐに女へ戻した。

 

「ただ魔力をこめて手を動かしたにすぎんよ。このようにな」

 

 男が手のひらを水平に少し振る。

 それだけで黒い布ごと女の頬が裂け、髪が一房落ちた。

 

「な、何かのトリックよ! ナイフでも投げたんでしょ!」

 

 そう言う女自身、わかっていた。

 これほど強大な魔力を垂れ流す相手が、ちゃちなトリックなぞ使うわけがないと。

 

「大岩を動かすのに、人は道具か魔術を使うだろう? しかし、トロルならば素手で持ち上げる。我にとってこの程度の魔術は、トロルにとっての大岩と変わらぬということだ」

 

 男はこともなげに言う。

 それがどれほど常軌を逸したことなのか、魔術を学んだ女にとってはよくわかる。

 決して起こり得ないことが、眼の前で現実に起きたということも。

 

「あなたいったい――」

 

 女が問いかけようとしたその時、ずずず……と背後で雪崩のような音がした。

 振り返ると、100本を超える木々が、倒れていくところだった。

 男のあれだけの動作で、一流の魔術師が放つような威力が発動したのだ。

 木々が倒れる地響きと、動物達の鳴き声を聞きながら、女はただ体を震わせることしかできなかった。

 

「人間とは愚かなものだ。わざわざこのハイオルムの封印を解いたのだからな」

「ハイオルム……夜の……魔王……?」

 

 

 ――100年前。

 世界を荒らしまわり、勇者と相打ちになったという魔王ハイオルム。

 転生魔術を発動するも、勇者が最後の力を振り絞ってそれを防いだと伝承にはある。

 

 

 転生を完全に防ぎきれていなかったとしたら?

 魔王の魂は転生し、勇者の妨害の影響で、人間の魂に封印されていたとしたら?

 その魔王がもし、眼の前にいる男だったら……!

 

 女の体は恐怖に……いや、快楽に震えていた。

 

 ハイオルムの魔力に当てられ、体の奥がうずいてしかたない。

 この男の正体などもはや関係がなかった。

 眼の前にいる男への欲情が止まらない。

 女は股の間からだらだらと愛液を垂れ流しながら、震える手で杖を構えた。

 

「ほう……抗うか……」

 

 ハイオルムがにやりと笑みを浮かべる。

 

「仲間を全員殺された上に仕事に失敗したなんて、商売あがったりなのよ!」

 

 強がる女だったが、全身の力は抜け、立っているのもやっとだ。

 

「目覚めて最初の食事には悪くない生きの良さだ」

 

 ゆったりと一歩のはずが、一瞬にしてハイオルムは女の眼前に立っていた。

 

「え!?」

 

 ハイオルムは驚く女の覆面を剥ぎ取り、少し厚めの唇に吸い付いた。

 

「あ……ん……」

 

 たったそれだけで、女の体から完全に力が抜け、くたりとハイオルムの胸にもたれかかる。

 

「貴様は殺さず、下僕にしてやろう」

 

 ハイオルムの牙が、ゆっくりと女の首筋に立てられた。

 

 




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