※この作品はR-18です。

仲良く楽しくみんなでエッチ!   作:諏訪部始終郎

12 / 74
みんなで反省会

 客室を二分する襖が開け放たれ、それぞれの部屋に立ち込めていた体臭と性臭が混ざり合う。

 

 そんな淫靡な空気の中でも、どこかさっぱりした面持ちで対面した俺達四人。

 初体験を無事終えたという経験が、卑猥な匂いに負けない感動と達成感を与えてくれていた。

 

 勝也発案の反省会をする前に布団の配置を少し変える。部屋中央の襖のレールを挟み、俺達と勝也達とで顔をつき合わせる形で並べ直した。

 そうすると修学旅行の夜みたいで、益々淫靡さよりもワクワク感が増してきた。

 それぞれ布団に座ったり寝転んだりと楽な姿勢を取りつつ、BGM代わりにテレビも垂れ流す。

 

 やがて胡坐をかいた勝也が一同を見渡すと、芝居がかった仕草で話し出すのだ。

 

「え~皆さん、本日はお疲れ様でした!先ほどを持ちましておれらは童貞と処女を卒業した訳ですが……佳奈子さん、ご感想をどーぞ」

 

「私!?……あ……い、痛かった」

 

 何でこっちに振るの!?とばかりに慌てる佳奈子だったが、それでも律儀に答えてくれる。

 

「え?痛いだけか?おまえ結構感じてたよな?」

 

「エッチな声聞こえてたよ」

 

「あれは興奮したよな」

 

「た、確かに痛いだけじゃなかったけど……優菜だって声凄かったじゃない!」

 

 全員から突っ込まれ、ちょっとムキになった佳奈子が標的を優に逸らそうとする。

 が、当人はテレテレになりつつも否定せず、むしろ楽し気にその感想を語るのだ。

 

「えへへ、佳奈ちゃんの声が聞こえてきたらドキドキしちゃって……陽ちゃん上手だったし」

 

 そんな素直かつ明け透けな様子を正面の二人が意外そうな目で見ている。

 

(そうか、上手だったか!)

 

 一方俺は愛撫の手際を褒められたのが嬉しくて仕方ない。それは表情にも反映され、ついニマニマとだらしなく頬が緩んでしまった。

 

「佳奈子の声聞いてたらなんか対抗意識が出ちゃってさ。負けらんねぇ!って」

 

「あ、やっぱそーだったんだ。いい勝負だったよな」

 

「もう!私達で変な勝負しないの!」

 

 と、すかさず突っ込み入れる佳奈子だが、口調は強く聞こえてもそこに怒気は込められてない。俺を含めた他の面々も、そんなやりとりが実に楽しいと言わんばかりの笑顔なのだ。

 セックスをした後なのに、まるで遊びの感想を言い合うような気安さの俺達だった。

 

 だが、実際そうなのかもしれない。

 こうして四人一緒に行為を終えてみて思ったのだが、俺にとってセックスは、『隠されるべき淫靡な行為』と言うよりも、『新しく覚えた気持ちのいい遊び』という側面の方が強い。

 そして今この場の雰囲気を見る限り、みんなも似たような感覚を抱いているようなのだ。世間的には表立って語るのは憚られる行為だと認識した上で、くすぐったい気恥ずかしさはあっても、ひた隠しにしたくなるような後ろめたさは全く感じないのだ。

 

 と言ってももちろんそれはこの四人の友情と愛情の上で成り立つ感覚だ。部外者に吹聴したり晒すつもりは全く無い。小さい頃からずっと一緒だった俺達だからこそ曝け出せるし、成立するものなんだと思う。

 

 

 

「そういえば、お前途中で佳奈子に怒られてたろ。何やらかしたんだ」

 

「それよ!聞いてよこいつ、キスでいきなり舌入れてきたのよ!」

 

 エッチの最中気になった事を聞いてみると、うつ伏せに寝そべっていた佳奈子が上体を起こしてぷんすか怒り出す。その拍子で浴衣の胸元が大きく開いて胸の谷間が丸見えだ。実にエロい。

 

「いや~……ついな」

 

「お前それはご法度だって教本に書いてあったろ」

 

「あったけどさ、行けるかなって」

 

「おいおい……」

 

 頭を掻きつつ苦笑いする勝也。相変わらずの見切り発車っぷりに少し呆れてしまう。

 だがその勢いが俺達を引っ張ってくれてるのも確かなのだ。

 

「キスで舌とか入れるの?」

 

 優がちょっと驚いて聞いてくる。

 

「ああ、ディープキスって言ってさ、ベロを舐めあったりするらしい」

 

「へぇ~~~……気持ちいいのかな?」

 

「みんなやってるみたいだし、気持ちいいんだろうな……興味ある?」

 

「……ん。ちょっとね」

 

 耳元へ顔を寄せつつ問いかけると、恥ずかしげにはにかみながら小さく頷く。

 俺に調子を合わせたという訳でもなさそうだ。その面持ちに嫌悪は感じられず、確かな興味の兆しが感じられる。

 

「じゃあ、今度な」

 

「うん」

 

 次の機会への確約を求める俺に、今度はさっきより分かり易く頷いてくれた。

 表向きは涼しい顔の俺だが、やったぜ!と心の中でガッツポーズを握る。

 

 そんな俺達の様子を対面の二人がぽかんと見ていた。

 やがて勝也が佳奈子を露骨に凝視する。前にも見たような光景だ。

 

「……ところで、教本って何?」

 

 熱視線で己を見つめる勝也から強引に目を逸らしつつ佳奈子が聞いてくる。

 ぽろっと口を滑らせた事に気付いたが、今更隠すのもなんだと思い正直に話す事にした。

 表情が情けない感じに崩れていく勝也は可哀想だがスルーだ。

 

「あぁ、『初心者の為のセックス入門』って本があるんだよ。俺も勝也もその本買って予習してた訳だ」

 

「おかげで初めての割にゃスムーズに出来たと思うぜ?ちゃんとイかせる事ができたしな!」

 

 「イかせる」の所を強調する勝也。ディープキスの要求を黙殺された仕返しだろう。

 それで自身のあられもない姿を思い出してか、ジト目で睨み返しつつも頬を染める佳奈子。

 

「そんな本あるの……やっぱりやる気満々だったのねあんた達」

 

「陽ちゃん今度わたしにもそれ見せて?」

 

「あ、私も見てみたい」

 

 教本と言えど性的な書物だけに嫌悪を感じるかと思ったが、杞憂だった。

 むしろ二人とも興味津々な様子だ。となればもちろん見せる事に否は無い。

 

「あー……実はな、持ってきてるんだ」

 

「おれもな」

 

 早速旅行用バッグから件の教本を取り出した。そんな俺達に佳奈子が呆れながら言う。

 

「なんで旅行にそんなの持ってきてるのよ……」

 

「そんなのとは何だ。おまえをイカせる力を授けてくれた偉大な書物だ。崇めよ」

 

 座禅を組み教本をかかげ持つ勝也。そこに佳奈子が蹴りで突っ込みを入れる。

 平和ないつもの光景だ。優もニコニコしてそんな二人を眺めている。

 

「まあまあ、実際かなり役に立ってるから。こっちでも暇な時に復習しとこうと思ってさ。……暇な時間全然無かったけどな」

 

 俺はうつ伏せに寝転がると優を手招きした。

 すると早速隣へ寝転がり、楽し気にもぞもぞと身を寄せ、ピタリと寄り添ってくれる。

 そんな優と顔を寄せ合い教本を覗き込む。勝也と佳奈子も対面で俺達と同じ体勢だ。

 

 本をぱらぱらめくって体位が解説されてるページを流し見ていく。

 そうして正常位のページを見つけると、大きく開いて優に見せた。

 

「ほら、俺達が今日やったのはこれだな。正常位って言って初心者向けなんだってさ」

 

「はぁ~~~……」

 

 感嘆のため息を吐きながら好奇心を漲らせ、男女が交わる図解にじっと見入る優。

 間違いなく性的なものを見てる筈なのに、その横顔からは羞恥や欲情を感じない。まるで御伽噺の本を読む子供のようにキラキラとして見えるのだ。

 

「そういやそっちはどの体位だったんだ?」

 

「おれらも正常位だぜ。ま、最初だしな」

 

 少し安心した。勢い任せでアクロバットな体位を要求したりはしなかったらしい。

 

「なぁ佳奈子、今度これやってみねーか?」

 

 そう言って開いたページは背面座位だった。

 それは裏モノAVで男優が射精した時の体位だ。まず男性が椅子などに腰掛け、その脚の上に重なるように女性も座り、そしてぱっくり大股開いた所へチンポを挿入する。

 そんな様子がマンガ調のイラストで描かれていた。勝也はやっぱりこの体位がお気に入りらしい。

 

「これ?なんだかずり落ちそうで怖いわね……もうちょっと初心者向けので慣れてからにしましょうよ」

 

 俺もその方がいいと思った。

 断られはしたものの、いずれの約束を取り付けられて勝也も満足そうだ。

 

「陽ちゃんはどんなのがいいの?」

 

「俺?そうだなぁ……」

 

 自分だったらアレだろうとページをめくり優に見せる。

 

「これ、後背位。バックとも言うらしいけど」

 

「……なんだか犬みたいだね」

 

 などと見も蓋も無いことを言われてしまうが、これもAVでやっていた体位で俺のお気に入りだ。

 突かれる度に波打つお尻と、垂れ下がりダイナミックに揺れるおっぱいが堪らないのだ。

 

「でもそっちの方がさっきのより楽そう。勝也、こっちにしない?」

 

「やだ。背面座位がいい!」

 

「……はいはい」

 

 駄々っ子ムーブをかます勝也に諦めモードの佳奈子。

 

「俺達も慣れてからでいいからさ。頼むよ」

 

「……いいよ」

 

 上目遣いでにこにこしながら囁く優。セックスを話題にしてるとは思えないその可憐な笑顔に視線が吸い込まれてしまう。

 

(あぁ、やっぱり俺の恋人は可愛いなぁ)

 

 ぼーっとそんな彼女の顔に見惚れながら至福に包まれるのだった。

 

 

 

 その後もぱらぱらページをめくり、様々な体位についてああだこうだと話に花を咲かせる俺達。

 

 だが、教本といってもその内容はしっかりエロいのだ。男女が絡み合う絵を恋人と見てればやっぱりムラムラしてくる。うつ伏せなので周りにはバレていないが、俺のチンポはガチガチに硬くなっていた。

 

 それは勝也も同じだったらしい。途中から目に見えてそわそわしていたが、話が途切れたタイミングで辛抱堪らんとばかりに切り出してきた。

 

「なあ佳奈子……チンポ勃っちゃったんだけどさ……」

 

 そう言って身体の正面をすぐ隣の恋人に向け、浴衣を押し上げる勃起を強調してみせた。

 それは佳奈子だけでなく俺と優の視界にも入る。

 

「えぇ!?……って、今日はもう無理よ!」

 

「や、マンコじゃなくていーからさ、手でしてくんねーか?」

 

「手って……解らないわよやり方なんて……」

 

「だいじょぶだ教えっから!」

 

 言うなり佳奈子の右手を取って自分の股間に触れさせる。

 

「ちょっと!陽一達見てるじゃない!」

 

「じゃあ布団掛けっからさ!」

 

 息があたるくらいの距離で横向きに対峙し、勝也は自分達の首から下を掛け布団で隠した。

 それを見た俺は……。

 

「なあ優」「陽ちゃんもしたい?」

 

 言葉が重なった。同じ事を考えていたんだろう。

 

「……したい」

 

「うん。じゃあするね」

 

 朗らかな笑みの中に仄かな欲情を覗かせながら頷いてくれる。

 優から誘ってくれた。佳奈子もなんだかんだ言いつつ断らない。彼女達もやっぱり興奮していたんだろう。

 

 ともかく、同意が取れたのでササッと準備を始める。

 念のため身体の下にバスタオルを敷くと向かい合い、自分達の首から下も布団で隠す。

 動きにくい布団の中でなんとか自分の浴衣を脱いで外に放り投げる。勝也達の布団からも一人分の浴衣が放り出された。

 

 二組とも大事な部分が見えないようにはしているが、襖を閉めようとは誰も言い出さない。

 みんなその辺りの矛盾に気付いてない筈無いんだが、結局行為が始まっても言及される事は無かった。

 

「じゃあ、ここ、握ってくれるかな」

 

 優の手を取りナマの勃起に導く。すぐに柔らかく温かい指先がチンポに触れた。

 

「わっ」

 

 一瞬びくっと手を引くが、しかしそう待たずにおずおずと竿を掴んでくれた。

 

「熱い……それに硬い」

 

 戸惑いと驚きが滲む呟きが耳に届く。

 遠慮がちに掴んだだけで手は全く動いてないが、優が俺のチンポを握ってるという事実だけで既に気持ちがいい。

 

「佳奈子、おれのはどーだ?」

 

「あんたのも……熱くて、硬い……」

 

 声を少し震えさせながら勝也の問いに答えている。普段の気の強さが嘘のようだ。

 

「じゃあ握ったまま上下に擦ってみて。最初はゆっくりでいいから」

 

「うん」

 

 頷いた優が早速手を動かしてくれた。それが一往復した所で自然と声が漏れる。

 

「うっ」「あぁっ」

 

 勝也も同時に吐息を漏らしていた。俺の合図で佳奈子も擦りだしていたようだ。

 だが、俺達の呻き声を聞いた彼女らの手は止まってしまう。すぐに正面の優が心配そうな眼差しを向けてきた。

 

「痛かった?」

 

「いや違う、気持ち良かったんだよ」

 

「おれも。続けてくれ」

 

 ホッとした安堵の溜息が僅かに俺の顔へと吹き掛かる。優はそのまま手の動きを再開してくれた。

 それは佳奈子も同じようで、彼女の上の掛け布団が小さく揺れているのが見える。

 

(これ……いいなぁ)

 

 女の子の手でチンポを扱かれるのはとても気持ちがよかった。まだペースが遅いのですぐに射精出来る程では無いが、自分でするのとはまた違った趣なのだ。

 密着した優から香るいい匂いにも興奮する。自然、更なる刺激が欲しくなり、おねだりしようと思った所で勝也が先に言ってくれた。

 

「手の動き、もうちょい早くできるか?」

 

 俺も、と思い口を開こうとした途端、優が気を利かせて扱くペースを早めてくれた。

 お陰で刺激が一気に強くなる。

 

「あぁっ!」

 

「気持ちいっ!」

 

 思わず声が出る。俺達は息を荒くして股間に走る快感に酔いしれた。

 時折手を休ませながらも、優はじっと俺の顔を見ながらチンポをしゅりしゅりと扱き続けてくれる。そんな彼女の肌に触れたくなって来た。

 

「ゆうっ、おっぱい触っていい?」

 

「佳奈子、おれもおっぱい触りたい!」

 

 汗を滲ませながら必死の顔で懇願する俺達。

 

「……いいよ」

 

「しょうがないわねぇ」

 

 すぐ傍で頷く優の瞳は露骨に潤み、さっきにも増して欲情が燻っている。恐らくそれは佳奈子も同じなんだろう。しょうがないという割に、その言葉に嫌そうな気配は欠片も無い。

 

 かくして狭い布団の中、手探りで胸元の浴衣をずらし、おっぱいだけを露出させる。重力に従い横に流れるそれを早速両手で掴んだ。

 

「あん!」

 

「んぁっ!」

 

 二人は最初から甘い声を上げる。それを聞いて勃起の硬さが更に増した。

 俺は鼻息を荒げながら滑らかで柔らかな乳房を揉み、こりこりした乳首をつまむ。その度に優は切なげな喘ぎ声を吐き出してくれた。

 

「あ!あ!はあっ!あっ!」

 

「あん!あ!あ!あっ!」

 

 佳奈子も激しくおっぱいを攻められているんだろう。我慢なんて出来ないとばかりに高い声で喘いでいる。

 そんな姿を見せつつもチンポを扱く手の動きが止まりはしない。むしろ夢中になってるのは双方の布団の揺れを見れば一目瞭然だ。

 

 正直な所、直接の刺激はマンコや自分の手のほうが強い。

 だが目の前に広がるこの光景が、チンポの感度を普段の何倍にも高めていた。

 

 汗を浮かべ、顔を真っ赤にして刺激に耐える表情と、未だ聞き慣れない喘ぎ声。

 小さい頃からずっと一緒だった優と佳奈子のそんな痴態を同時に見て、勝也にも見られてるという異常な状況、その全てに物凄い興奮を覚えてしまう。

 佳奈子は勝也の恋人なのに。優は俺の恋人なのに。見たいし、見せたかった。

 

「もうすぐ出そーだ!強く握ってくれ!」

 

 勝也もそろそろ限界が近いらしい。その声に反応して、俺のチンポを握る優の手にも更に力が入る。お陰で射精までもういくらも持ちそうに無い。

 

「出る!」

 

 まずは俺が先に精を吐き出す。チンポが激しく脈動し始め、それに合わせて快感も脈打つ。

 当然優もその変化に気付いてる筈だが、手を止めず扱き続けてくれている。お陰で精液を出し続ける間も、ずっと強い快感を受ける事が出来た。

 

「出すぞ!」

 

 やはり勝也も合わせてきた。佳奈子もまた射精を宣言されても手を動かし続け、掛け布団を揺らし続けている。

 

「あ……う……うぅ」

 

「うぁ……すげ」

 

 快感で頭がチカチカする中、チンポを震わせ射精しながら情けない呻き声を漏らしてしまう。

 他人の手で精液を搾り出されるのは、膣内での射精とはまた違う良さがあった。

 

 優と佳奈子はそんな俺達のイキ顔を交互に見つめている。間抜けな顔を晒してる筈だが、それでも二人の表情は満足気に蕩けているのだった。

 

 

 

 そうして射精が始まってからどのくらい経っただろうか。精液の噴出する感覚が長くなるにつれ、竿を扱く優の手も緩やかになってきた。

 やがて鈴口から吹き出る物も無くなると竿を握る手の拘束が緩み、そのままゆっくり離れていく。

 

「終わったの?」

 

 佳奈子が聞いてきた。放心している勝也が気だるそうに「ああ」と答える。

 

「気持ちよかったかな?」

 

 期待の込められた優の問いかけには同時に答えた。

 

「「最高だった」」

 

 それはお世辞なんて欠片も含まない心底からの言葉だ。

 その辺しっかり二人にも伝わったようで、二つの火照った奇麗な顔になんとも満足そうな笑みが浮かぶのだった。

 

 

 

 脱力し横たわる俺と勝也をそのままに、女子二人が浴衣を直してから身体を起こす。

 その際、掛け布団がはがされて俺達のチンポが露出してしまった。

 こんな関係になる前なら慌てて隠していただろうが、今の俺は微動だにしない。射精後の気怠さも手伝って「佳奈子が嫌がらないなら別にいいかな」と深く考えるのもめんどくさくなっていた。

 

 実際彼女は何も言い出さない。やや柔らかくなりかけた二本の勃起をちらちら見つつ、ティッシュを用意し勝也が飛び散らせた精液の後始末をしている。

 同じく勃起を交互にチラ見する優の介護を受けながら、そんな二人をボーっと眺める俺だった。

 

「浴衣にかかっちゃったけど布団は無事ね。バスタオル敷いといてよかったわ」

 

「だね。汗もかいちゃったしもう一回お風呂入ろっか」

 

 彼女らは風呂に行くらしい。

 射精の余韻が抜けつつある俺達も、それを聞いてむくりと起き上がる。

 

「おれらも行くか」

 

「そうだな」

 

 脱ぎ捨てた浴衣を身に纏い、二人の後を追うのだった。

 

 

 

「「はぁ~~~……」」

 

 サッと身体を洗ってすぐさま湯船に浸かる。体全体が熱いお湯に包まれた途端、体の奥から絞り出されたような長いため息が重なった。

 

 今までは仕事でくたくただったり、初体験への緊張で余裕が無かったりとお湯を楽しむどころじゃ無かったが、ここにきてようやく温泉旅行をしている気分になってきた。

 だがそれでも思考の大半を占めるのはスケベ心だ。

 

「捨てられたな、童貞」

 

「ああ、上手くいってよかった」

 

 勝也が右手をお湯から浮かべて差し出す。俺はそれをがっしりと握り返した。

 

(お互い良くやったよ、ほんとに)

 

 何だかんだで勝也の言う通りに事が運んだのだ。その感謝を右手に込める。

 

「セックス……気持ち良かったな」

 

「だな。そりゃみんなセックスするわけだ……オナニーが馬鹿らしくな……らねーな。あれはあれで別腹だ」

 

「まぁそれぞれ違った良さがあるよな」

 

 セックス出来る身分になったから、もうオナニーなんてやる必要ない。

 などとは間違っても言えない。

 膣への挿入や手で扱いてもらうのは確かに物凄く気持ちいいが、自分の好きな加減とペースでチンポを扱く気持ち良さは捨て難いのだ。

 

「っていうか、女の子の肌に直に触るのっていいよな。こぅ、おっぱいが柔らかくてすべすべでさ……乳首もこりこりしてて、ずっと触ってても飽きないなあれは」

 

「佳奈子のおっぱいもよかったぞ。プルプルしてて触るとすっげぇ滑らかでよ、乳首弄るといぃ声出してくれんだこれが。それにマンコもAV女優みてーな感じじゃなくてよかったわ。全然グロくなかった」

 

「佳奈子もそうなんだ……優のマンコも奇麗だったぞ。やっぱりあの女優が特別なのかな」

 

「そーかもな」

 

 産まれて初めて堪能したそれぞれの女体について情報のすり合わせを行う俺達。

 自分の恋人の身体を自慢しつつ、相手の恋人の身体を想像してドキドキする。そんなやり取りがとても楽しいのだ。

 

「しっかしマンコは気持ちよかったな~……コンニャクに入れた事あったけど全然違うわ」

 

「ちょ、お前それは……食い物粗末にするなよ……」

 

 初めて聞いた勝也の愚行に流石の俺も引いてしまう。

 

「や、ちゃんと洗って冷蔵庫に戻しといたから大丈夫だ」

 

「大丈夫じゃないだろ!」

 

(やばいな、北山家の食卓……)

 

 勝也の勃起が擦り付けられたコンニャクを食したであろう家族に同情してしまう。

 これ以上食材が汚染されないよう佳奈子にはこれからも頑張ってもらわなければならない。

 

「クンニもやっていいか聞いてみたんだけどな~……佳奈子に拒否られた」

 

「まぁそりゃ最初はな。口でするのもさせるのも慣れてからのがいいだろ」

 

「そうかもな……はぁ~やりたい事がいっぱいだな!」

 

 そんなこんなで初めてのセックスを振り返りながらの猥談は弾んだ。

 した事、された事、したい事、されたい事、諸々を心行くまで話していたら随分と長湯になってしまった。

 当然のようにチンポは勃起して湯船の中で存在を主張している。湯船から上がる際、念仏を唱えてもなかなか静まらないそれに苦心しながら、俺達は前屈みで部屋へと戻るのだった。

 

 

 

 これまでに無くリラックスした入浴のおかげで大分戻るのが遅くなったが、そんな俺達に五分ほど遅れて優達も部屋に戻ってきた。

 二人とも湯上りで全身ホコホコだ。その色っぽさを真正面から堪能できる間柄になれたのが嬉しくも誇らしい。

 

「今日はもう寝るのよね?」

 

 またするんじゃないでしょうね、みたいな顔で聞いてくる佳奈子に苦笑しながら勝也が答える。

 

「そう心配すんな。さすがに疲れたからもう寝るって。布団はこのままでいいよな?」

 

「いいんじゃないか」

 

「うん」

 

「ま、いいでしょ」

 

 せっかく恋人になったんだし、すぐ傍で寝てみたい。その想いは全員同じようだ。

 

「じゃあちょっと早いけど、もう電気消すか」

 

 眠ると決めたら眠たくなってきた。一日たっぷり遊んだ上にセックスまでしたのだ。今日もぐっすり眠れそうだ。

 

「それじゃおやすみ」

 

「おやすみ~」

 

「おやすみなさい」

 

「おやすみさーん」

 

 カチカチと電灯が切り替わり、部屋が暗くなった。やがてみんながもぞもぞと布団に入る布ずれの音が聞こえてくる。

 昨日までは襖で男女隔てられていたが、今日は全員一緒だ。小さい頃を思い出すなぁ、なんて感慨に浸っていると、耳の側から甘い囁き声が響いてきた。

 

「ねえ陽ちゃん、ちょっとお願いがあるんだけど」

 

「ん?なに?」

 

「……腕枕、してほしい」

 

 そんな可愛いおねだりをされ、ときめいてしまった。

 実際、俺も腕枕にはちょっと憧れていた。いつか優にできたらな……なんて思っていた事が今正に実現しようとしている事に感動を覚える。

 

 というか、恋人になってからは優の方が積極的だ。男としてもっとリードしなきゃいけないと自戒しつつ、掛け布団を捲って腕を差し出す。

 

「いいよ。ほら、こっち」

 

「ありがと。おじゃましまーす」

 

 するとモゾモゾ移動する気配に続いて暖かく柔らかい感触が浴衣越しの肌に触れた。続けて俺の腕にぽふりと心地良い重さを感じる。

 

「えへへ、何年ぶりかな?陽ちゃんと一緒の布団で寝るの」

 

「小学校の、低学年以来かな?懐かしいな……」

 

 あの頃は兄妹のようだった俺達も、今はこうして恋人になれた。

 性欲なんてまるで無く只々無邪気だったかつての二人を想いながら、暗闇の中、微笑み合う。

 

 シャンプーのいい匂いが優の髪の毛から漂ってくる。触れ合う身体も柔らかく温かい。

 これほど間近で『女の子』を感じれば、普段なら即座にムラムラしてくるんだろう。だが今は性欲よりも愛しさの方が強かった。

 

「佳奈子、こっち来いよ」

 

「え……いいわよ私は……」

 

 俺達に釣られて勝也も誘うが、佳奈子は遠慮気味だ。

 

「いーからほら」

 

「あ……もう」

 

 それでも強引に抱き寄せているであろう勝也、渋々従う佳奈子。

 

 嫌がってるように聞こえるが、実際はそうでもない。本当は興味があるんだが、佳奈子はあれで結構な恥ずかしがりなのでつい遠慮してしまう。いざと言う時の度胸は優の方があったりするのだ。

 勝也もその辺よく分っていて、今みたいに強引に誘う事が多い。

 

「優、キスしよう。おやすみのキス」

 

「うん!」

 

 かっこつけすぎかなと思ったが、俺もちょっと攻めてみる。幸い、優は嬉しそうな声色で受け入れてくれた。

 歯がぶつからないようそっと近付き、触れ合うだけのキスをする。

 

「佳奈子」

 

「……ん」

 

 向こうもキスをしてるみたいだ。今度は佳奈子も素直にそれを受け入れている。

 と思った矢先、「バチン!」と、頭を叩かれる音が響いた。

 

「……ぷっ!」

 

「くふふ……」

 

 分かってるようで、分ってない時もままある勝也なのだ。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。