射精による激しい快楽が落ち着いた後は、その後にぼんやり残る余韻に浸り続ける。
延々とこのまったりした空気に浸っていてもいい気がしたが、腕の中の肉体が身じろぎした事を切欠に一旦身体を離してみた。
すぐに優と視線が交わる。絶頂で涙の浮いた瞳を至近距離で見つめながら、俺は言葉を発していた。
「優、ありがと。気持ちよかった」
「うん……わたしも凄くよかったぁ」
照れ臭さの中、二人で微笑み合う。性欲は霧散して、代わりに愛しさがこみ上げてくる。
「佳奈子もサンキュな。最高だったぜ」
「……うん」
恥ずかしがりな彼女だけに言葉は少ないが、控えめに頷くその表情はとても満足そうだ。
「あ」
その佳奈子がお腹の精液に気付いた。おへその上辺りにべっとりついている。
粘度が高いせいか、重力にも負けずあまり垂れてこない。それは優のお腹の上も同様だった。
「また沢山出したわね。朝から三度目なのに」
そう言いつつ、優と共に指で精液を掬い取る。
「べとべとね……匂いもすごい」
「ほんとだぁ」
二人して指先をすんすん嗅いだと思うと、付着した物をパクリと口中に収めてしまった。
「ん~……」
すぐに眉根を寄せている。やっぱり微妙な味らしい。
率先して舐め取っといて複雑な顔をするのがちょっと面白い。
だがその光景を見て一つ思いつき、勝也に向け右手を掲げて見せた。その指先は愛液でべっとり濡れている。
相手も同じく濡れた右手を掲げニヤリと笑った。俺が何を言いたいのか承知してるようだ。
せーの、は必要ない。薄く白濁した粘液に塗れる指先を二人揃って同時に舐めていた。
「ん、にがすっぱいな」
「そっちもか。同じだな」
テイスティングして意見を交換し合う俺達。
そんな様子を目の当たりにした優と佳奈子は一瞬固まり、理解が追いついた途端慌てだした。
「だ、駄目だよ!お腹壊すよ!」
「ちょっと!汚いからやめなさい!」
「や、お前らもザーメン舐めてんだろ」
「別に汚い事無いよ。お互い様だって」
「それとこれとは別なの!」
予想以上の拒否反応だ。俺と勝也は手を取られ、タオルで指先を拭かれてしまった。
匂いも嗅ごうかと思ったがやらなくてよかったかもしれない。
「あんた達デリカシーが無いわよ!」
「すまんすまん」
「ごめんって」
「もう~……」
割とエッチな事に寛容かと思われた優ですら相当慌てている。その地雷スポットがよく解らない。女の子は複雑だ。
とりあえずは男二人で平謝りして、斜めになったご機嫌を直しにかかるのだった。
しかしだ、愛液を舐めるのがダメとなると、クンニは難しくなるだろう。楽しみにしていた行為の一つが出来ないのは困る。
頭を下げながらさてどうしたものかと考えてると、やれやれとため息吐きつつ佳奈子が言った。
「休憩するつもりだったのにまた疲れちゃったわね……私はここでちょっと横になってるわ。優菜はどうする?」
「そうだね、わたしも休んでおこうかな」
そう言って二人は俺達を伺う。
仕事で疲れ、飯を食って、性欲も解消した。そう来ると次はやっぱり眠くなる。それは勝也も同じようだ。
「おれも休憩するわ。海はそれからでいーや」
「俺も。優、隣いい?」
「うん」
「じゃあおれは佳奈子の隣な」
「どうぞ」
そんな訳で、俺、優、佳奈子、勝也の並びでシートの上に寝転がった。
その後は特にお喋りするでもなく、みんなして無言で青空と水平線を眺め続けるのだ。
まったり休憩するだけのつもりだったが、繰り返す波音と遠くの人々の喧騒を聞く内、いつしか俺の瞼は段々と重くなっていくのだった。
そうしてどのくらい寝ていたのだろうか。
ふと意識が覚醒し瞼を開けると、目の前に優の顔がある。
「おはよ」
「……おはよう、どうしたの?」
「陽ちゃんの寝顔見てた」
「……そっか、今何時?」
毎朝見られているけど、面と向かって言われるとちょっと恥ずかしい。時間を聞く事でそれを誤魔化した。
「二時半くらいよ」
視界の外で佳奈子が答える。どうやら起きていたようだ。そんな彼女も頬杖つきつつ未だ寝息を立てる勝也を眺めている。
「一時間くらい寝てたか……二人ともずっと起きてたの?」
「ん~ん、三十分はうとうとしてたと思う」
「そうね。起きた後は二人の寝顔を拝見させてもらったわ。可愛かったわよ?」
にやりと口の端を上げ、からかうように言ってくる。
「そっか……まぁ俺も二人の感じてる可愛い顔見せてもらったからな。いくらでも見ていいぞ?」
俺もまたにやにや笑いを返しながら反撃してやった。
「もう」
「バカ」
優は俺のほっぺたをちょいと引っ張り、佳奈子はぷいと顔を逸らしてしまう。
「ごめんごめん」
どちらも照れ隠しの反応が可愛い。だけどそれを指摘するとまた怒られそうだ。
なので苦笑するだけに留めながら謝ってると、それが煩かったのか勝也が唸りながら目を覚ました。
「ん~……あ~?なんだ、みんな起きてんのか」
「おはようさん」
「どうする?もう泳ぐの?」
「……そーだな、海に来たら……泳がなきゃな!」
真上を向いてちょっと考えると、えいやとばかりに跳ね起きた。
そんな勝也に続いてみんなで起き上がる。まずは準備運動だ。優と佳奈子は相変わらずあちこちをぷるぷる揺らしながら、俺と勝也もそんな二人を眺めて海パンを膨らませながら身体を解していく。
それも終わると早速四人揃って海に入るのだが、今日の勝也はテトラポットまで行こうとは言い出さなかった。なので全員遠泳はせず、波打ち際で固まって一緒に遊ぶ。
勝也の気持ちはなんとなく理解できた。
俺自身海で泳ぐ事よりも、なるべく優の近くにいる事を優先したかった。出来る事なら常時ぴったりくっ付いていたいくらいなのだ。
それは別にエロい事をしたいからという訳でもない。
いや、もちろんエロい事もしたいが、今はただ好きな子の傍にいたい。純粋にその想いの方が強いのだ。
そんな気持ちは優と佳奈子も同じようで、昨日よりも俺達との距離が近い。肌が触れ合う事が多いし、水の中で抱き合う事にも積極的だった。
女の子の身体は柔らかく、少し触れるだけでも気持ちがいいが、それで俺と勝也が即座にムラムラするかというとそうでもなかったりする。
好きな相手と触れ合って得られる喜びは、性欲が満たされる喜びとはまた別なんだと俺は実感するのだった。
そうしてイチャイチャしている内に日も大分傾いてきた。海水浴客もぽつりぽつりと帰り始めている。
少し前からパラソルの下で休憩していた俺達四人は、遠くのそんな人々をぼーっと眺めていた。
なんとも心地良いまったりとした空気の中、佳奈子がぽつりと言う。
「……そろそろ、帰りましょっか」
遠くを見つめたままの彼女に、俺達もまた遠くを見ながら相槌を打つ。
地面に根を張りそうな身体によいせと気合を入れ立ち上がると、各自撤収準備を始めた。レンタル品を海の家に返し、シャワーで軽く潮を洗い流してから着替えをする。
俺と勝也はそれもすぐに終わるが、優と佳奈子はやっぱりちょっと時間がかかる。
なので彼女らを待つ間、昨日と同じくコンクリの防波堤に座りながら男二人で何となしに語り合うのだ。
「そういやさ、告白してからまだ一日しか経ってねーんだよな」
「そーなんだよなぁ……なんかもう一週間くらい経った気分だ」
それだけ濃密な時間を過ごしているという事なんだろう。
新鮮な体験が続いてる内は日々の時間がゆっくり流れるように感じると何かで聞いた事がある。
歳を取ると一年なんてあっという間、とも言っていたが、その感覚はまだ俺には解らない。
「……もう童貞じゃねーんだよな?おれ達」
遠くを見ながら、俺だけじゃなく自身に確認するよう呟く勝也。
一日経って改めて考えると、何だか不思議な気分だった。幼馴染の優とセックスしたという事実が未だにふわふわしていて、半分非現実の中にいるような感覚なのだ。浜辺で抜いてもらわなかったらその感覚はもっと強かったかもしれない。
「うん、童貞は卒業だ…………卒業したけど、俺達大人になれたのかな?」
「どーなんだろーなぁ……」
子供ではないと思う。でも、大人でもないのかもしれない。
大人というものは、恋人ができてセックスしただけでなれるものでは無いんだろう。多分。
なんとなくその後は二人とも黙ってしまった。
優と佳奈子の姿が見えるまで、暗くなりつつある海を眺め続けていた。
「「ふぃ~~~……」」
お湯に浸かるとついついおっさんくさい声が漏れてしまう。
だが心地良いのだから仕方が無い。湯船は広々としてるし、眺めはいいし、流石は北山旅館自慢の露天風呂なのだ。
「今日はどうする?」
勝也に段取りを確認する。もちろんセックスのだ。
「もうここまで来たら普通に誘っても断らねーだろ。気負わず自然体でいこーぜ」
「そうだな……佳奈子はもっと嫌がるかと思ったけどさ、なんだかんだOKしてくれるよな」
「ベロ入れるの超嫌がるけどな。あれどーにかなんねーかなぁ」
「お前はがっつき過ぎだって……そうだなぁ、じゃあ俺と優がディープキスしてる所見せてみるか。優がやってれば佳奈子もそんなに嫌がらないんじゃないか?」
「マジか!頼むぜ!……佳奈子も優菜くらい素直だったらなぁ」
「贅沢だなお前。恥ずかしがってるのも可愛いだろ」
もっとも贅沢なのは俺も同じだろう。優は本当に俺にはもったいないくらいの女の子だ。
もったいないと思いつつも、他人に譲るつもりなんて欠片も無いんだが。
そうして満足いくまで湯船に浸かると、今日も念入りにチンポを洗ってから浴場を後にした。
さて、次は食事とセックスの準備だ。
軽く部屋を掃除すると手分けして布団を敷き、調理場から夕食を持ってくる。ティッシュにタオル、コンドームの準備もオッケーだ。
「夕飯食い終わったらキスする流れにするからさ、くれぐれもがっつくなよ?」
「まかせとけ!」
グッとサムズアップする勝也。ホントに大丈夫か少し心配だ。
だがもうなるようにしかならないだろう。打ち合わせも済ませた後はテレビを流し見て優達を待つのだった。
「は~いいお湯だった」
それから十分ほど経った頃、二人とも風呂から戻ってきた。
部屋に入って早々、昨日同様しっかり布団が敷かれてるのを見て苦笑している。
「準備万端ね」
「まあな!」
昨日と違って心の余裕はある俺達だ。つっこみも無難に流し、食事を始めた。今日もいちゃいちゃと食べさせ合いを楽しむ。
そんな中、佳奈子が思い出したように言い放つのだ。
「あそうだ、食事が終わったら宿題するからね?」
「「……え?」」
「え?じゃないでしょ。時間がある内にやらないと帰ってから苦労するんだから」
「プリントの問題集だけだし、みんなで終わらせちゃお?」
そうだった、すっかり忘れていた。旅行の準備をしてる時、優に宿題の問題集を持たされていたのを思い出した。夏や冬の休みと比べると大した量じゃないが、家に帰ってから一人でやるのは確かに面倒だ。
「あ~……」
「そういやそんなんあったなぁ……」
食事の後はすぐにエッチする気満々だった俺達はしおしおになった。チンポもしおしおだ。
打って変わって意気消沈しつつ夕食を済ませると食器を返して歯を磨き、各自座卓の上に宿題の問題集を持ち出した。
「全部自分でやれとは言わないから、教科ごとに分担しましょ」
佳奈子は真面目だがこういう時に融通が利かない訳じゃない。それぞれ得意な教科を分担してさっさと終わらせる事にした。
ちなみに俺達全員学校の勉強は出来る方で、優と佳奈子は上の中、俺は上の下、勝也は中の上といった所だ。
私立の中高一貫校なのでよっぽどの事が無い限りそのまま高等部へ進めるが、俺達には勉強を疎かにしないという共通認識があった。
というのも、俺達は男女でつるんでいるので唯でさえよく目立つ。
そこに加えて勉強が出来ないとなると、ちゃらちゃら遊んでいるから……などと悪評が立ってしまう筈だ。そうなると学校生活にも何かと支障をきたすだろうし、下手すると男女で一緒にいる事も難しくなるかもしれない。
そんな事態を避けるため、普段からやれる事はやっているのだった。
「さっさと終わらせるか……」
「そうだな……」
問題集を前にしゅんと萎む俺達を見かねたのか、二人は少し照れつつもぴたりと身を寄せ囁きかけてきた。
「陽ちゃんかっちゃん、わたし達だって、早く終わらせたいんだよ?」
「……解るでしょ?」
優も佳奈子もその気があるという露骨なアピールだ。そんな事されればやる気が出るに決まってる。
「っ!……おう!」
「ちゃっちゃとやるか!」
宿題なんて秒で終わらせるぞと男二人で意気込む俺達。
我ながら単純だと思ったが、嬉しいものは嬉しいのだ。少し前とは正反対のテンションで鼻息荒くシャーペンを動かし始めるのだった。