優のおなかに精液が点々と飛び散っている。その中心地たるヘソは更に酷く、白い水溜まりになってしまっていた。
射精欲という劣情がスッと引いてしまった今、気を失った相手へ勝手にぶっかけた事への罪悪感が入れ替わりで押し寄せてくるのだが、己の精液でマーキングしてやったという達成感と征服感も少なからず存在している。
そんな不思議な心持ちで射精の余韻に浸る俺。豊かな胸に顔を埋めて静かで贅沢な時間を楽しんでると、ぽつりと囁き声が聞こえてきた。
「あったかい」
(……ん?)
「気持ちよかった?」
夢見心地で乳首を吸っていたせいだろう。その問い掛けでようやく優が起きたと気付く。
「あ!ごめん!自分でして、優にかけちゃった……すぐ拭くよ」
「ん、いいよ」
精液をかけられた事に怒る様子はひとまず無さそうだ。ティッシュを何枚か掴んでお腹をいそいそと拭っていく。
そんな俺を薄目でジッと見つめているが、その表情は未だぼんやりと寝ぼけているようにも見えた。
やがて射精の痕跡が拭き取られると、優は上半身を起こそうとする。
が、上体を支えようとする腕がふらついている。俺は咄嗟に背中を支えて抱き起こした。
「身体大丈夫?気を失ってたみたいだけど」
「よいしょ……うん、大丈夫。頭の中が真っ白になって、くぅ~~って感じになっちゃった。あんな凄いの初めて。まだふわふわしてるよ」
「そっか、そんなに気持ち良くなってくれたなら良かったよ」
「ふふ、またしてね」
「うん」
身を寄せ合い、そっと唇を触れ合わせた。舌は入れずそのまま抱きしめあう。
そんな折、トントンと襖を叩く音と共に佳奈子が声を掛けてきた。
『開けていい?』
「ちょっと待って」
急ぎ浴衣を羽織って帯を結び、優の準備も終わったのを確認してから襖を開けた。
「お待たせ」
その瞬間鼻腔に感じる匂いは昨日と同じだ。汗と精液と愛液の混ざった濃密な匂い。
いや、昨日よりもっと濃いかもしれない。行為の時間も回数も今日の方が多いのだ。体臭も性臭も相応の量が充満していたんだろう。
どれも優や俺自身からする匂いとは少し違っていて、その違いが酷くいやらしく感じてしまう。お陰でまたチンポが硬くなりそうだった。
「お疲れさん」
「お疲れ」
「お疲れさま」
「……」
勝也の労いに俺達も応えるが、佳奈子だけはむすっと黙ったままだ。
火照った肌、ほつれた髪の毛、着崩れた浴衣等々セックスの名残が露骨でとてもエロいんだが、反面何も喋らないのが妙に怖い。
またなんかやったのかと勝也を見るが、おれも何だかわからんといった感じでハテナを浮かべているだけだ。
そんな俺達を鋭く見つめながら佳奈子は沈黙を破った。
「さっきさ、あんた達、私達の……その……お汁、舐めてたでしょ?」
「舐めてたねぇ」
私、怒ってますとばかりに頬を膨らませる佳奈子と苦笑する優。
「……あ!」
「起きてたのか!?」
呼んでも反応が無かったし、てっきり寝ているもんだと思っていた。
「起きてるのと寝てるの半々くらいかな?ふわーって浮いてるような感じだったけど、二人の話す声は聞こえてたよ」
「そうね、太ももやあそこ触る感触もあったし」
「「あっちゃ~……」」
頭を抱える俺達を見下ろしながら一瞥すると、胸の前で腕を組み佳奈子は言った。
「申し開きは?」
「……その、優の愛液見てたら、やっぱり、どうしても気になって」
「おれも。佳奈子のを味わってみたくてさ」
「……そう」
「味わってみたくて」のあたりで若干ぴくりと反応しつつも、俺達の弁明を聞き終えた佳奈子は優に目線を送る。
「海でさ、わたし達舐めるのダメって言ったでしょ?でもね、あの後帰ってきてから二人で相談してたんだ。もう一度陽ちゃん達がお願いしてきたらOKしようかって」
「え、そうなの?」
「海であんた達に舐められた時はいきなりだからびっくりしたし、恥ずかしいからつい強く言っちゃったんだけど……確かにお互いさまよね。私達だってあんた達が出したモノに興味あるし……」
と、ちょっとバツが悪そうな佳奈子だったが、それを振り切るように睨みを効かせて言う。
「……だから、人が寝てる所にこそこそするのは止めなさいよね!」
「わたし達が最初に駄目って言っちゃったのもあるけど、これからはさ、やりたい事やしてほしい事はお互いにちゃんと言おうね?」
「「はい。すいませんでした」」
ぐうの音も出ない。寝てると思って勝手にしすぎた。
反省の気持ちを少しでも形にしようと二人揃って正座をし、素直に頭を下げる。
やがて神妙な顔と共に頭を上げると、もう一度姿勢を正しつつ丁重に申し入れた。
「じゃあ改めて、優の愛液舐めてもいいかな?」
「うん、いいよ」
「おれもだ。佳奈子、いいか?」
「私もいいけど……凄く恥ずかしいって事は分ってよね!」
「もちよ!へへ、やったぜ」
一転して各々に笑顔が戻り、この空間にも和やかな空気が戻って来る。
(どうなる事かと思ったけど……良かったぁ)
当面エッチは禁止!なんて言われるかもと内心ビクついていた俺だ。お許しが出てホッと一息つくのだが、横で佳奈子ににじり寄りつつ勝也が更に食いついていた。
「あ、じゃあさもう一つ!あのさ、夜起きちまった時にさ、キスしたりおっぱい触ったりしていーか?」
「えぇ!?朝まで我慢できないの?」
「寝顔見てると堪んなくなんだよ!昨日もそれで苦労した!」
俺も今朝方優の寝顔に堪らなくなって思わずキスしてしまったし、その気持ちは分かる。
だけど夜中に起こすのはちょっと可哀想だ。
「朝にキスで起こしてくれるのはいいかな。でも、流石に夜中は勘弁してほしいわね」
「……そっかぁ」
断られた勝也が露骨にしょげる。
だが、そんな恋人を見てため息吐きつつ佳奈子は言うのだ。
「……どーーーーーーーーーーしても我慢できないって言うなら、起こしていいわよ。相手してあげるから」
途端、ぱっと勝也の顔が輝き、かばりと佳奈子に抱きついた。
「サンキュー佳奈子!大好きだぞ!」
「あ、ちょっと!……もう……」
なんだかんだで許してくれる佳奈子は優しい。いや、やっぱり好きな相手には甘くなってしまうのだろうか。
「陽ちゃんも我慢できなくなったらいいからね?」
「うん、ありがと。でもなるべく我慢するから……」
優もやっぱり俺に甘い。
そんな彼女に向けて感謝の笑みをクールに返したつもりの俺だが、当然内心では大いに浮かれていた。
夢見の影響なのか、目覚め直後からムラムラしてしょうがないなんて事が思春期以降度々ある俺だ。今までは自分で処理するしかなかったそのモヤモヤを、これからは優に解消して貰えるのだ。そりゃ嬉しいに決まってる。
なんて浮かれてしまう自分をどうかと思う気持ちもあるが、それはそれなのだ。浮かれついでにお願いを一つ追加する。
「あのさ、もう一つやってみたい事あったんだけど……いい?」
「ん?なにかな?」
「……その、クンニしてみたいんだけど、どうかな?」
「そうそう!おれもそれしたい!」
愛液を舐めるのがオーケーならこっちもいけるかも、と期待を込めて聞いてみた。
「クンニって?」
「そう言えばさっきもしたいって言ってたわね。なんなのそれ?」
「正式名称は……クンニリングス、だったかな?マンコを口で舐めるんだよ」
「「あ……」」
ストレートに言ってみたが、二人とも性行為でそういうプレイがある事自体は知っていたらしい。若干迷うように目が泳ぎだした。
「ちなみにチンポを口で舐めたりしゃぶったりすんのがフェラチオな。これもやってくんねーか?」
そっちはもう少し慣れてから……と思っていたが、この際だ。止めはしないで優と佳奈子の反応を待つ。
「……」
「……」
沈黙の中で互いに顔を見合わせ、同時にちらちらと俺達の股間へと視線を送って来る二人。
羞恥と未知への興味が両天秤に掛けられているらしく、顔を赤らめ複雑な表情を見せている。が、やがて優が恥ずかしげな上目遣いでおずおずと口を開いた。
「わ、わたしは、興味ある……かな」
「ほんと!?どっち!?クンニ?フェラチオ!?」
「両方……かな」
「っし!!」
思わず拳をグッと握り締めた。隣で勝也がすごく羨ましそうにこちらを見ている。
一方佳奈子はまさか!とばかりに親友へ詰め寄っていた。
「優菜!?本気なの!?」
「うん……どっちも陽ちゃんが持ってるエッチな本に載ってたから、ちょっと気になってたし」
「え!?なんで知ってんの!?」
「あ……陽ちゃんの部屋お掃除してたら偶然見つけちゃって、ごめんね?」
可愛く小首を傾げる優。だが俺はそれに見惚れる余裕も無い。
(……いやいや、偶然で見つけられる場所じゃないぞ!?勉強机の大きな引き出しの奥のさらに奥、絶対見つからない場所に入れてたのに!ていうか、それじゃあれか?俺の性癖とか全部、今まで優に筒抜けだったのか!?)
これまで手に入れてきたエロ本の数々が脳裏を過り、猛烈に恥ずかしくなってきた。布団を被って引き篭りたい。
「確かに勝也の持ってる本にもそういうの沢山あったけど……でも、口でなんて……」
「え!?ちょ!おまえも見てんのか!?」
「そりゃ見るわよ。自分で部屋の掃除しないからよ?」
俺に憐れみの視線を投げていた勝也も打って変わって慌てふためく。
こいつのその手の隠し場所も相当隠蔽性が高い筈なのだが、当然のようにバレていた。女子二人の探査能力の高さに恐れおののく俺達。
「でさ、佳奈ちゃんはどう?嫌?やりたくない?」
「……嫌って訳じゃ……でも、やっぱり恥ずかしいし……」
「わたしも一緒だからさ。してみよ?ね?」
親友の隣に寄り添うと背中にそっと手をやり、もう片方の手をギュッと握られた佳奈子のそれに重ねた。甘く柔らかい声は耳のすぐ傍で囁かれる。
「…………ん、解ったわよ」
果たして佳奈子もオーケーしてくれた。お陰で曇っていた勝也の目にも光が戻ってくる。
やっぱり優は頼りになる。こうやって佳奈子をエッチな方向に誘導してくれるのは本当に有難い。
が、俺のデリケートなプライバシーを色々探るのだけは勘弁してほしい。
「でも!今日はもう駄目よ?」
「そうだね。明日の……夜かな?」
「おう!」「やった!」
明日の楽しみがまた一つ増えた。エロ本バレで一瞬凹んでしまったが、おかげで新たなエッチに繋がったと思えばそれもまぁ良しだ。
俄然口でしたりされたりするのを想像して早速股間が膨らんでしまうが、さすがにこれ以上は、と自重する。
「じゃあ今日はもういいわよね?明日も朝からお仕事あるし、お風呂に入って早く寝ましょ」
「はーい」「あぁ」「あいよ」
ディープキスは出来たし、二度目のセックスも無事に終えられたし、次につながる諸々の約束も取り付けられた。終わってみれば、今日も大満足のエッチだった。
それからはパパっとセックスの後片付けをして、みんなで浴場に向かうのだった。
「じゃ、また後でね」
と、手を振りながら女湯の赤い暖簾をくぐる女子二人。
その後ろ姿を見送った後、勝也がぽつり言う。
「混浴あったら一緒に入ってみたかったなぁ」
「いいなーそれ。身体洗ったり洗われたりしたい」
俺達もまた青い暖簾を掻き分けながらしみじみと語る。
「してぇよなぁ……ここも部屋によっちゃあ露天の家族風呂とかあるみてぇだけどな」
「へぇ、次来る時はその部屋がいいな」
とは言うものの、個別の露天風呂がある部屋なんて料金も相当に高い筈だ。いつか自分達でお金を稼げるようになるまではお預けだろう。
俺と優、そして勝也と佳奈子。大人になった俺達四人で、改めてこの宿の一番高い部屋に泊まる。
そんな未来を想像しながら浴衣と下着をポイポイと籠に入れ、タオル一つで浴室に足を踏み入れた。
少し遅い時間のお陰か俺達だけの貸切だ。まずは卑猥な匂いと汁の乾いた跡の残る身体にシャワーを浴びる。
そして一番最初に手を伸ばすのはやっぱり下腹部だ。尻周りに次ぎ、股間の息子を労うように洗う俺。
「よしよし、今日もよく頑張ったな」
「これでもうちょい辛抱強けりゃいーんだけどな」
「……まぁなぁ」
お互い我慢のきかない息子を複雑な顔で見下ろす。
チンポでイカせる云々以前に、膣の具合が良過ぎてすぐに射精してしまうのだ。慣れてないからしょうがないにしてもやっぱりちょっと情けない。
だがこればかりは回数を重ねるしかないんだろう。頑張るしかない。
幸い優も佳奈子もエッチ自体には前向きなのだ。恋人同士協力して、大人の階段を一歩ずつ昇って行こうと思うのだった。
「「ふぃ~~~~……」」
一通り身体を洗い終えると肩までお湯に浸かった俺達。貸し切り状態の露天風呂の淵に頭を乗せ、南国の星空を見上げながら裸体をお湯に浮かべていた。
伊多海はそこそこ大きな島だが、夜の光は本土より断然少ない。おかげで夜空の星の数はとても多くて綺麗なのだ。
いつか露天風呂付きの部屋に泊まれたら、こうやって優と一緒に浮かびながら星空を眺めてみたいものだ。
なんて考えながら隣を見ると勝也も夜空に見入っていた。
いつもはニッカリ、もしくはニヤニヤしてる事が多い顔も、今は無表情に星を眺め物思いに耽っている。
こいつには確認したい事が一つあった。しかし内容が内容なので、親友の間柄と言えどドン引きされてしまうかもしれない。
そう思う反面、勝也なら理解してくれるという予感もあるのだ。いつもの笑い顔ならもう少し躊躇しただろうが、不思議と今のこいつには全てを打ち明けたいと思える雰囲気があった。
「なあ勝也、ちょっとアレなこと言ってみていい?」
「なんだよアレって。言ってみろよ」
「…………俺さ、優とエッチしてる所見られるの、好きかもしんない」
「……あー……」
勝也は特に驚くでもなく、肯定とも否定ともつかない相槌を打ちながら尚も夜空を眺め続けている。俺は構わず言葉を続けた。
「もちろん知らない奴に見られるのは嫌だけどさ、優が善がってる所をお前と佳奈子に見られてるとさ、ちょっと……いやかなり、ムラムラ来る」
「……そーか」
「……どうかな?」
こいつなら、という期待を込めて言葉と共に視線をやる。
一拍置いて、勝也は言った。
「おれもだ」
浮かせていた腰を水底に落ち着け、身体ごとこっちに向き直って続ける。
「おれも、佳奈子のエロいとこ、おまえらに見られると興奮する」
やっぱりだ。途端に安堵と喜びが胸の内から沸き上がってくる。
ざぶざぶと波を立てながら勝也との距離を詰め、歓喜の笑みを浮かべて問う。
「だよな!何でこんなにムラムラするんだろ?」
「わかんね。露出癖なんかなおれら」
「ん~どうだろ?俺達みたいに恋人のエロいとこまで見せて興奮するってのは露出癖ともまた違う気がするけど」
「そっか……ま、どっちにしろ変態だわな」
「変態だな。でも、それですっごい楽しいし興奮するしいいと思うんだよな。さっきもセックスが終わって襖開けた時さ、佳奈子の愛液の匂いが凄くエロくて興奮したんだけどさ、優の匂いもそっちに嗅がれてると思うと、もっと興奮した」
「あ、それおれも思った。やっぱこっちの匂いもすげぇんだなぁ……佳奈子の匂い嗅がれてると思うだけでチンポ勃ったし。もち優菜の匂いもすっげぇエロかったぜ?」
そう言われて怒るどころか嬉しくなってしまう俺。そして、それは目の前の相手も同じなのだ。
普通ならドン引きされる筈の性癖も共有できるという奇跡。やっぱり勝也は無二の親友だ。
(言ってみてよかったぁ……よし、こいつなら!)
この流れに任せ、俺は更に一歩踏み込む事にした。
「明日さ、お願いしてみないか?一緒に見せ合いながらセックスしようって」
「……言って……みるか。でも佳奈子がなぁ……」
真面目な上に恥ずかしがりだ。アブノーマルな行為には難色を示すだろう。
勝也もそう思ってか、腕を組んで唸っている。
だが、希望はあるのだ。
「実はさ、優も乗り気っぽいんだよ」
「マジか!?」
「うん。だから佳奈子を説得してくれるかもしれない」
「そっか……そっかぁ」
期待に胸を膨らませる俺達。もちろん湯船の中でチンポも既に膨らんでいる。
「じゃあ、上手くいったら優菜のおっぱいとマンコ見まくるぜ?」
にやりと笑いながらそう言う勝也。もちろん俺も笑い返して言ってやった。
「いいよ?俺だって佳奈子のおっぱいとマンコがっつり見せてもらうからな?」
「おう!バッチ来い!」
そして俺達は水上に右手を差し出し、がっちり握手する。
そんな最中に勝也は何か思いついたらしい。
「あ、じゃあさ、明日は朝に抜いてもらうのやめとこーぜ」
なんて、らしくない発言が飛んでくる。夜中におっぱい触りたいとか言ってた口からだ。
当然俺は問い返した。
「え?なんで?」
「旅館に帰ってきてからが本番だろ?無駄打ちはできねぇ」
「あー……なるほど」
確かにそうだ。フェラチオもしてもらう予定だし、一緒にセックスするとなったら興奮度合いは今日の比じゃ無いだろう。間違いなく射精回数は増えるはずだ。
もしかすると一日の最大射精回数の七回を超えるかもしれない。だが自分の限界が解らない以上、本命の見せ合いセックスで射精しまくる為にも夜までは射精を控えるべきなのだ。
「まぁ、海で日焼け止め塗る時にまたムラムラするだろーけど、それは良しとする」
「あれは我慢出来ないよな」
もちろん日焼け止めを自分で塗るという選択肢は無い。
「朝はキスくらいに収めとこーぜ」
「そうだな」
ヤレるものならいつでもヤリたい盛りのついた猿同然の俺達だが、精液は限りある資源なのだ。
ここぞという時に勃ちもしないなんて事態を避ける為にも、ペースを考えて射精しようと決意するのだった。
そうして明日に向けての作戦会議を終えた俺達は期待と共に風呂から上がった。
もちろん勃起を鎮めてからだ。今は他に誰もいないが、脱衣所で鉢合わせするかもしれない。こんな所でそんなもの見られたら色々と勘違いされるし、場合によっては危ない状況にもなるだろう。
努めてエロい事を考えないよう心を空にして着替え終え、そそくさと浴場を後にすると少し遠い道のりを速足で歩く。
やがて到着した客室へ安堵と共に足を踏み入れた途端、思わず立ち止まってしまった。
「うっわ、エロい匂いするなぁ」
「相当だなこれ」
鼻孔に流れ込んでくるのは四人分の性臭だ。
昨日はそれほど気にならなかったが、今日はなかなか凄い。冷房を効かせる為に窓を閉め切っていたからか、匂いが取りきれなかったらしい。優達が帰ってきたら気にするだろう。窓を開けて部屋の換気をしておいた。
ふぅ、と背中から布団に倒れる。そのまま仰向けになっていると、近くからいい匂いが漂ってきた。
場所は優が挿入時やイった後に寝転がっていたあたりだ。身体を転がし、そこにうつ伏せになってみる。
「優の匂いがする……」
こっちを見た勝也が同じように佳奈子が寝ていたであろう場所にうつ伏せになった。
「あ~佳奈子の匂いだ」
二人して布団に顔を埋め、スーハーと深呼吸する。
「俺、匂いフェチになったかもしれない」
「おれも。女って何でこんなにいい匂いすんだろーな?」
心を落ち着かせる甘い匂いと、性欲を刺激するエロい匂いのブレンドだ。
癖になるそれを存分に堪能する為、そのまま二人してうつ伏せで深呼吸を繰り返すのだった。
「ただいまー」
ガチャリとドアを開ける音に続いて優の声が聞こえてきた。
瞬間、俺達はごろごろと猛スピードで転がり、自分の布団の上に戻る。
「お、おかえりー」
どもりながらそう返す。普段であれば挙動不審な俺達につっこみが入っただろうが、女子二人は別の事が気になっているようだ。
「ねぇ、エッチな匂いがしない?」
「んー……ちょっとするね」
「あれ?換気はしてるんだけどな」
窓はまだ網戸にして開けたままだ。
「まぁザーメンだの愛液だの吸ったティッシュとかゴミ箱に入ってるしな。朝んなったらさっさと捨てとこーぜ」
「そうだね。叔父さん達や綾子さんが来るかもしれないし」
「洒落にならないわね……気をつけましょ」
そんな物見られたら気まずいなんてもんじゃない。いくら自由にしていいと言われても、セックスしてましたとは流石に言えない。
「じゃあ明日も仕事だし、さっさと寝るか」
「うん。陽ちゃん、今日も腕枕してもらっていい?」
「いいよ、おいで」
「勝也、私も」
「おう」
風呂上りの匂いと暖かさを感じながら瞼を閉じる。暗闇の中で寄り添う優の身体はどこもかしこも柔らかいが、今だけは性欲よりも安心感を与えてくれた。
幸せな心地に包まれ、いつしか意識は落ちていった。