瞼が開くと周囲は既に明るかった。
首をひねって壁の時計を仰ぎ見れば、もう朝の八時前だ。俺はむくりと上半身を起こし、その姿勢のまま暫くボーっとする。
勝也はまだ気持ち良さそうに寝息を立てていたが、隣の部屋との境の襖は開け放たれ、布団も既に片付けられていた。優と佳奈子はもう起きているようだ。
昨夜は緊張からすぐには寝付けないと思っていたが、全くそんな事はなかった。布団に入って十分もしない内に意識は無くなっていたように思う。精神的な緊張感よりも肉体の疲労の方が遥かに強かったらしい。
だがその疲れも今は全く感じない。一晩ぐっすり寝て体力は完全に回復したみたいだ。
そしてその回復っぷりは身体の某所にも如実に表れていた。股間に目を向けると、薄手の掛布団が強固な支柱に支えられテントを張っている。朝立ちしていたのだ。
昨日と一昨日は重労働とその重圧から性欲がほぼ完全に無くなっていた。勃起自体全くしなかったくらいだ。性欲というものを覚えて以来、初めての異常事態だったと言える。
それが今日、労働という鎖から解き放たれようやく本来の姿を取り戻すことが出来たのだ。
それは未だに横でいびきをかいてる勝也も同じだ。布団をはだけ仰向けに寝るその股間には俺に負けない大きなテントが張られていた。
(あ、これ見られたなぁ……)
ふと気が付いてしまった。俺達が間抜けに勃起する様が、先に起き出していた優と佳奈子にバッチリ見られている筈だと。
優はまぁ、今まで散々見られているとしても、佳奈子にまでこんな無様を見られたのはかなり恥ずかしい。その呆れ顔を想像してしまい、羞恥で顔が赤くなっていくのが自分でも解る。
というか、そろそろ二人が戻って来る筈だ。再び勃起を晒さない為にもすぐに鎮めないといけない。それは勝也も同じだ。ついでに起こす事にする。
が、間に合わなかった。布団から起き上がり勝也に声を掛けようとした所で、無情にもガチャリとドアが開く音がする。続けて玄関に繋がる襖が開き、二人が部屋に入ってきてしまった。
「あ、陽ちゃんおはよー」
「おはよう陽一。朝ご飯もらってきたわよ」
「あ、あぁ。おはよう」
俺と挨拶を交わした二人の視線が、揃って少し下に下がる。釣られて俺も下を向くと、彼女らが何を見ているのか理解した。俺の勃起である。
寝起きで着崩れた浴衣からブリーフパンツが丸見えだったのだ。その前面の布を直立したチンポがこれでもかと押し上げていた。
「「「……」」」
ついさっきこんな姿を見られないようにどうにかしようと思ったばかりなのに、もうこれだ。
俺はそそくさと浴衣を整え、気持ち前屈みになる。
「か、勝也起こすから」
「……え、ええ。お願い」
「……」
よそよそしい空気の中、未だテントを張るまま寝ている勝也に声を掛ける。
優達には背中を向けているが、二人が勝也の朝立ちに注目する雰囲気が何となく分かった。
「かつやーおきろー飯だぞー」
気持ちよさそうに寝てる所を起こすのも可哀想だが、肩を揺すって起床を促す。
やがて唸りながら起き出した勝也が、まだ半分寝ぼけた様子で布団を片付け始めた。
その姿はさっきの俺と同じだ。ブリーフパンツと勃起が二人の前に晒される。
俺よりも長い勝也の勃起はパンツの布地越しでもやっぱり大きく見える。そんな立派なモノに女子二人の視線も釘付けになっていた。
「……あ!ちょっと勝也!前隠しなさいよ!前!」
「んぁ~?いつものこったろーがぁ」
一拍おいて思い出したように慌てる佳奈子へ、未だ寝ぼけた調子で返している。
こいつも毎朝佳奈子に起こされてるみたいなので、当人にとってはいつもの風景なのかもしれない。
が、今俺達は非日常の中にいるのだ。
「いいから隠しなさい!優菜もいるのよ!」
「………………んあ?」
優の名前を出されてようやく頭も覚めて来たらしい。その姿が視界に入ると、さっきの俺同様いそいそと浴衣を直しだした。
「……わりぃ」
視線を合わさずそう呟く勝也。さしものこいつでも優の前で痴態を晒すのには抵抗があるようだ。
その優はと言うと、部屋に入ってきてから終始俺達の勃起をガン見していた。遠慮がちにちらちら見ている佳奈子とは対照的だ。
「かっちゃんも元気だねぇ」
加えてそんな事を満面の笑顔で言うもんだから、もう勝也もしどろもどろになりながら目を逸らすしかないのだった。
テレビ番組をBGM代わりにみんなで朝食をつつく。さっきまでの微妙な空気も食事をしている内にいつの間にか霧散していた。
画面に流れる天気予報のテロップによると、俺達が帰るまではこの島の天気が崩れる心配はなさそうだ。
予報通りに今日もよく晴れている。まだ朝なのに肌に感じる気温は既に随分と暑かった。
「今日は一日海でいいよな?」
見慣れない地方のテレビ番組に見入るみんなに今日の予定を確認してみる。
勝也とは告白のタイミングについては話し合ったが、海で遊ぶ以外の予定は特に考えていなかったのだ。
「いいよー」
「そうね。お昼ごはんはどうする?」
「海の家があるからそこで食べよーぜ。組合で経営してるみたいでさ、叔父さんが連絡しておくから好きなもの食べていいってさ」
「ほんと!?太っ腹だねー」
「助かるわね」
「後でお礼言っておこう」
至れり尽くせりで叔父さん達には本当に頭が上がらない。
食事の後、みんなで片付けと部屋の掃除をしてから俺と勝也はその場で水着に着替えた。
遊泳できる砂浜は旅館から徒歩二十分くらいで着くので、上に運動着でも着ていけばいい。現地でそれを脱げばもう準備完了だ。
しかし優と佳奈子はそうもいかないらしく、海の家併設の更衣室で着替えるらしい。
「水着、楽しみにしててね」
「すっごいの買ったから!んふふー」
もちろん楽しみだ。優と旅行の準備をしていた時も一貫して秘密にされていたので、期待値はかなり上がっている。
そうして準備が終わり次第海へ泳ぎに行く事を叔父さんに告げ、俺達は砂浜に向かうのだった。
旅館を出て山林に囲まれた道を下り、沿岸の道路を渡ればそこはもう砂浜だ。夏場にこの島に来た時は毎回ここで海水浴を楽しんでいる。
道路沿いの防波堤から階段を降りると、砂から立ち上る熱気を感じた。時刻はまだ十時前だが既に日差しは強く、気温も三十度近い。
すぐ近くに海の家がある。ここの砂浜は海の家を中心に約一キロ程の長さがあるこの島で一番大きな海水浴場だ。
既に海水浴客がそれなりにいるが、人の密度は低い。最近人気の観光地といっても離島だけに、シーズン真っ盛りの夏であっても本土の海岸みたいに人で埋まるという事は無いのだ。
海の家のロッカーに不要な荷物を預けてパラソルや浮き輪を借りてきた。
着替えをする女子二人と別れ、他の海水浴客に近すぎない良さげな場所にパラソルを二本立ててシートを敷いた。そのまま座り込んで優と佳奈子が来るのを待つ。
「楽しみだな」
「……ああ」
心は沸き立っているが、努めて平静を装いじっと海を見つめ続ける。
あえて海の家の方を見ようとはしない。恐らく勝也もそうだろう。
女の身支度に時間がかかるのは重々承知だが、今日はいつに無く待ち時間が長く感じられた。
そうして波音を聞きながら水平線を眺める事十五分、ようやく俺達に向かって砂を踏みしめる足音が聞こえてきた。すぐに優の声も聞こえてくる。
「お~い、お待たせー」
その声に俺と勝也は勢いよく振り向く。
そして息を呑んだ。パッと見やけに肌色の面積が多いと思ったら、彼女達は二人ともビキニタイプの水着を着ていたのだ。
優の水着は白を基調に青い模様が散りばめられていて、上下共にフリルがあしらってある。大胆だが優のほんわかした雰囲気にもマッチして良く似合っていた。
佳奈子に比べるとふっくらして見える優だが、決して太っている訳じゃない。お尻もフトモモもしっかり肉感的でありつつ、引っ込む所はちゃんと引っ込んでいる。実に男好きする魅力的な肉体だ。
それにしても、やっぱりおっぱいの迫力が凄い。かつてこれほどまで胸の谷間が見えた事は無かったんじゃないだろうか。
対する佳奈子は黒地に白のストライプの入った飾り気が少なめな水着だ。それがすらっとしてスタイルのいい佳奈子に良く似合っている。
一見華奢に見える佳奈子だが出るところはしっかり出ていて、おっぱいも俺達の学年では平均以上にある。優程ではないが胸の谷間もしっかり出来ていた。
今でもモデルみたいな体型なのに、大人になったらどうなってしまうのだろう。そんな可能性を感じさせる魅力的な肢体なのだ。
(すごいなぁ……)
普段のスクール水着とは全く違う印象の二人に、俺と勝也はぽかんと口を開けて魅入ってしまう。
露骨な視線を浴びて恥ずかしそうにしながらも、二人は身体を隠そうとしない。その肢体に釘付けな俺達を見てはにかんでいる。
「感想聞きたいんですけどー?」
「えへへ、どうかな?」
期待の籠った声を掛けられ、ようやく正気に戻る俺達。
「いや、すげぇわ……」
「うん……すごい」
それでも衝撃で上手い言葉が咄嗟に出ない。
そんな俺達が面白いのか、佳奈子がちょっとニヤニヤしながら聞いてくる。
「ちょっとー、すごい以外の感想無いの?」
「いや、驚いたよホント。ビキニは買わないんじゃなかったの?」
「ちょっと冒険してみました。えへへ」
「ま、せっかくだしね。嬉しいでしょ?」
「嬉しいなんてもんじゃねぇよ!最高だぜお前ら!来てよかったな~」
「ほんとだよ!二人とも綺麗だよ!」
本当に最高だ。俺も勝也もどんどんテンションが上がっていく。そんな様子に優と佳奈子も満足そうだ。
「それでね、これ、使おうと思うの」
二人が手提げからそれぞれボトルを取り出した。日焼け止めクリームと書いてある。
「向こうに帰った時に揃って日焼けしてたら色々勘繰られるでしょ?まだ五月なんだし。みんなで使いましょ」
言われて気付く。確かにその通りだ。
本土の日差しは強くなりつつあるが、まだまだ日焼けする程じゃない。そんな中俺達四人だけこんがり焼けていたら余りにも目立ちすぎる。佳奈子の言う通り、色々面倒な事になるだろう。
俺と勝也じゃそこまで気が回らなかった。二人には感謝だ。
「でね、自分だと背中塗りにくいから、塗ってくれない?」
「わたしも。いいかな?」
佳奈子は勝也を、優は俺を見ながらそう言うのだ。
一瞬で頭が空白になった。俺は声を絞り出しながら言う。
「……いいの?」
それには答えず、二人はさっさとシートの上にうつ伏せになった。ボトルを横に置いて言う。
「ほら勝也、早くー」
「お願い陽ちゃん」
俺と勝也は顔を見合わせてから視線を戻し、心臓をバクバクさせつつそれぞれ意中の相手の横に膝立ちになる。
「ノズルを押して手の上に少し出して、それを両手で伸ばしてから塗るんだって」
言われた通りにする俺達。白いクリームが透明になるまでよく伸ばし、てらてら光る両手を掲げて見せた。
目の前の奇麗な背中を見ながら言う。
「……じゃあ、いくよ」
「触るからな?」
こんなお触りイベントがあるなんて全く予想していなかった。優の肌に触れられる期待と緊張で心臓が更に強く脈を打つ。
震える両手をゆっくりと華奢な背中にのばし、壊れ物に触れるような慎重さで、シミ一つない肌に掌を合わせた。
「ひゃっ!」「あっ!」
俺と勝也がほぼ同じタイミングで肌に触れると、優と佳奈子からも同時に声が上がった。
おかげでびっくりして反射的に背中から手を離してしまう。
「ごめん大丈夫。続けて」
「ちょっと驚いちゃった」
大丈夫だったらしい。もう一度慎重に手を伸ばし、肩甲骨の上あたりに触れた。今度は声を出すことなく黙って受け入れてくれるが、背中は少し震えている。
(そーっと、そーっと……)
拒絶されないのを確認して、両手でもって慎重に、小さい円を描くよう動かしてみる。
手の通った跡が薄く延ばされたクリームで濡れ、テカテカと光る。
「んっ……んんっ」
「ふぅ……んっ」
二人とも大きな声は出さないが、俺達の指が動く度にぴくぴく震え、何かを我慢するような悩まし気な吐息を吐き出している。
くすぐったいだけかも知れないが、その様子は何だか変にいやらしくて、正直、堪らない。
それにしても、優の肌はとても柔らかくて、驚くほど滑らかだ。
その素肌に触れたのは小さい頃手を繋いだり頭を撫でたりした以外では初めてじゃないだろうか?
ビロードの生地よりも何十倍、何百倍も触り心地のいい肌に、初めて聞くエッチな吐息。
そんなモノを体感すれば、当然股間に熱が籠ってくる。俺はどんどん前屈みになりつつあった。
幸い膨らみつつある股間はうつ伏せの二人の視界には入らない。なので俺の下半身事情は努めて意識しないようにして、徐々にクリームを塗る範囲を広げていく。
そうしていると気付く事がある。俺の手が背骨の上を通る度に優の吐息が大きくなり、身体の震えも強くなるのだ。
「……大丈夫?この辺、あんまり触らない方がいいかな?」
少し心配になったので軽く背骨に触れながら聞いてみる。
「んんっ!……ちょっと、他よりもくすぐったい、かな……」
やっぱり敏感な場所らしい。はっきり嫌とは言われなかったが、念のために以降は避ける事にする。
隣で勝也に触られる佳奈子も似たような傾向があった。ただし変化のある部位は優と違い、主に肩甲骨から上の辺りみたいだ。その辺は個人差があるんだろう。
俺達の会話で察したらしく、勝也も敏感な場所は避けるようになった。
「陽ちゃん、ブラ紐の下もお願い」
「勝也、私も」
今までは何となく触れ辛くて避けてきた、ブラとその間近の一帯。このままではずっと避けられると思ったのか、二人からのそんな思い切ったリクエストが入った。
数瞬迷い、覚悟を決める。両肩から軽く塗りこむようにクリームを伸ばし、少しずつ手を下ろしていく。ブラ紐の下に手を潜らせ、塗り残しが無いように手を這わせた。
ふとその時、魔が差してしまう。水着に沿ってほんの少し、横乳といわれる部分に触れてしまったのだ。
「んっ!」
優が大きめの吐息を漏らした事でハッと我に返る。やっちまったかと体が硬直するが、しかし彼女は何も言わない。
ならばそのまま触り続けようかと一瞬迷ったが、理性を総動員して横乳から手を遠ざけていく。
代わりに両手を腰に沿ってスライドし、腰とお尻の境目までクリームを塗りこんだ。手が動くままにお尻の方まで触りたい欲望も、ぐっと我慢した。
「もういいよ。ありがと」
「私もいいよ」
優と佳奈子が同時に身体を起こす。クリームを塗る間はあえて見ないようにしていた二人の顔は真っ赤だった。
俺と勝也の体の変化も顕著で、股間は既にビンビンだ。
学校の海パンはぴっちりしてるから勃起するとその形が浮き彫りになる。横着しないでゆったりしたトランクスタイプを買ってくるんだったと今更ながらに後悔した。
俺達は少しでも勃起が目立たないよう股を閉じて前傾気味になるが、当然二人にはバレているだろう。
「今度は私達が塗ってあげるわ。うつ伏せになって」
「どーぞ」
二人に場所を譲られた。再度勝也と目を合わせた後、言われる通り二人の跡に重なり寝そべる。
優の体温の名残がシートに残ってるような気がしてドキドキしてしまう。裸体を間接的に重ねているように錯覚してしまい、それだけで勃起が硬さを増してしまうのだった。