※この作品はR-18です。

サトシの野望   作:イマクニ

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サトシVSレッド


第108話

 

 

 

 入場口を歩く。

 夢にまで見た父さんとの、レッドとのバトルが始まる。

 逸る気持ちを抑えながら、一歩一歩踏みしめながら歩み続ける。

 もうすぐだ。

 もうすぐあのレッドとのバトルが出来るんだ。

 ワクワクする気持ちが湧いては消え、敗北するんじゃないかという気持ちが芽生えては潰える。

 色んな感情がごちゃ混ぜになりながら歩き続ける。

 

 そして遂にスタジアム内へと足を踏み入れた。

 観客席から大歓声が巻き起こる。

 皆がこのバトルに期待しているんだ。

 世界一のトレーナーたるレッドを倒し得る者を。

 カントー四天王でも無理だった。

 ライバルのグリーンでも無理だった。

 他の地方のチャンピオン達でも無理だった。

 他にも多くの腕自慢がレッドに挑んでみるも、全て返り討ちにしたレッドを倒す者を。

 そして、今日そのレッドに相対する者が、レッドの実子である俺だ。

 世界中から感心が寄せられているのがわかる。

 皆の期待には応えられないかもしれない。

 だが、必ずレッドを倒す希望を見せてやる!

 

 先にバトルコートへと辿り着いた俺は、父さんを待っていた。

 

 

 スタジアム内に唐突にピアノの音が鳴り始めた。

 

 え?

 

 ちょっ!?

 

 何してくれてんの!?

 

 俺が弾いたやつやんけ!!

 

 音楽に合わせるように反対側の入場口から父さんが僅かな微笑みと共に出て来た。

 確信犯かよ!

 俺に対する精神攻撃か!?

 落ち着け俺!

 今からレッド戦だと思えば寧ろ高揚して来るだろ!

 そう思うと、落ち着きを取り戻して来た。

 よし、これなら()れる!

 俺の表情から、俺が落ち着きを取り戻した事を察した父さんが、いつもの仏頂面へと戻った。

 意外と悪戯小僧みたいな所も有るんだな。

 スタジアム内に流れるピアノの音が鳴り止むと同時に、父さんがバトルコートに辿り着く。

 

 「何だ、もう落ち着きを取り戻したのか。 中々に楽しめる悪戯だと思ったんだけどな。」

 

 「父さんの意外な一面を知れたよ…。 けど、そんな精神攻撃じゃ俺は動じないぜ!」

 

 「ふっ それでこそ僕の息子だ。 さぁ、最高の勝負をしようか。」

 

 「望む所だ! 父さん、いや、レッド! いざ尋常に、勝負!!」

 

 「来い! サトシ!」

 

 俺達の掛け合いを見終わった審判が口を開く。

 

 「それではこれより、チャンピオンのレッド対マサラタウンのサトシの試合を始めます!」

 

 観客席から耳を劈くような声が上がる。

 周りも俺達も気分は最高潮だ。

 

 「両者構えて、バトルスタート!!」

 

 「「行け、ピカチュウ!」」

 

 予想通り、父さんはピカチュウを繰り出した。

 俺と父さん、ピカチュウとピカチュウの親子対決だ。

 俺のピカチュウと父さんのピカチュウ、どちらが強いか勝負!!

 

 「お前も最初にピカチュウを出すのか。 ふむ、ピカチュウ、任せる。」

 

 指示を放棄した?

 どういう意図だ…?

 

 「1とアイアンテールだ!」

 

 ばちばちアクセルで高速で迫りながらアイアンテールと組み合わせて攻撃を行う。

 父さんのピカチュウは、迎え撃つようにボルテッカーとアイアンテールで相殺して来た。

 お互い弾き飛ばされたが、ダメージはアチラが上だろう。

 そのまま高速戦闘を繰り広げるが、父さんのピカチュウはその上で柔軟な思考をしているのか、ちょくちょく俺のピカチュウにクリーンヒットを与えて来る。

 急加速に急減速、小回りの差。

 指示無しでこの練度か。

 圧倒的なまでの本当の経験値(・・・)の差だろうな。

 まだまだ父さんも、父さんのピカチュウも息子には負けないという気迫を感じる。

 ならば最高火力をぶつける!

 

 「4!」

 

 「来たか。」

 

 ピカチュウのピカピカサンダーが父さんのピカチュウを襲う。

 だが、俺は見た。

 父さんがZクリスタルを使用する瞬間を。

 

 「ピカチュート。」

 

 ピカピカサンダーを飲み込み、更に帯電したピカチュウの必殺のピカチュートが俺のピカチュウを襲う。

 何度もバトルコートをバウンドし、倒れ伏した頃には俺のピカチュウは戦闘不能になっていた。

 

 「サトシのピカチュウ、戦闘不能! レッドの…」

 

 「審判、僕のピカチュウも戦闘不能扱いで良い。」

 

 父さんがそんな事を言うので、父さんのピカチュウに視線を向けると確かにもう立っているのもやっとの状態のようだ。

 

 「良いんですね? 両者、戦闘不能! 両者、次のポケモンを出して下さい。」

 

 「ありがとう、ピカチュウ。 まだお互い父親の壁は高いな〜… 頑張ろうぜ! 次だ、行け、カビゴン!」

 

 「よくやった、ピカチュウ。 強かっただろう? 楽しめたなら何よりだ。 行け、カビゴン!」

 

 またも同じポケモン同士。

 カビゴン対カビゴン、重量級の戦いだ。

 そしてそんなカビゴン達が行うは…

 

 「「アームハンマー!」」

 

 壮絶な殴り合いだ。

 だが、父さんのカビゴンの方が、俺のカビゴンより2回り程大きいので、どうしても一発一発の火力負けをする。

 人間でも体の大きさの違い、重量の違いでマトモに試合が成り立たなくなるんだ。

 俺のカビゴンもかなりやり辛いだろう。

 小さいなら小さいなりにやりようも有るんだがな…。

 俺のカビゴンが父さんのカビゴンより俊敏に動ける事を理解出来れば良いんだ。

 自身より遅い相手とやり合う事が少なかったのが仇となっているのか?

 でも此処でオメオメと敗退するお前じゃねぇだろ?

 

 「下からかち上げろ!」

 

 指示を聞いたカビゴンが相手の懐へ飛び込み、強烈なアッパーをお見舞いした。

 顎からかち上げられ、父さんのカビゴンは天を向く。

 ボディがガラ空きだぜ?

 

 「ギガインパクト!」

 

 渾身のぶちかましが父さんのカビゴンに急襲した。

 これで勝負は決まった!

 そう思っていたが…

 

 「落ちろ。」

 

 父さんの無慈悲な声が聞こえたと同時に、攻撃したカビゴンの上から圧殺するような巨体がのしかかる。

 そして、押し潰した上から父さんのカビゴンのはかいこうせんが俺のカビゴンを飲み込んだ。

 

 超至近距離からのはかいこうせんにより、発射してすぐに大爆発が起こる。

 猛烈な土煙が上がり、カビゴン達の様子が見えないが…

 

 土煙が晴れると深い傷を負って戦闘不能になった俺のカビゴンと、父さんのカビゴンも戦闘不能の状態で現れた。

 

 「っ! 両者、戦闘不能!」

 

 勝てると思ったんだけどな…。

 そう思っていると、父さんが口を開いた。

 

 「サトシ、油断も慢心もするなと教えた筈なんだがな。 忘れたようだな。 詰めが甘いぞ。」

 

 「…っ! 見通しが甘かった事は謝る。 だけど、油断も慢心もしていないよ。」

 

 「ふむ、ならば後は戦闘経験の不足か。 僕を超えてポケモンマスターになるんだろう? 今のままでは超える事が出来る訳無いだろう。 サトシ。 お前の殻を破れ。 お前の持つ全てを僕にぶつけろ!」

 

 「うん、わかった。 全てを父さんにぶつける。 今まで以上に全力で!」

 

 「両者、早く次のポケモンを!」

 

 俺達の問答を見かねた審判が声を上げる。

 その声に即座に反応し、ボールを投げる。

 

 「「ラプラス!」」

 

 相手のラプラスをアナライズで見る。

 必要そうな情報だけ処理して記憶する。

 だが、相手のレベルを見て、俺は戦慄した。

 

 レベル125。

 

 父さんも壁を超えている!?

 

 「ふむ、サトシは特殊な目も宿しているようだな。 壁越えをしているのが、お前だけとは限らないという事だ。 わかったな? 全力で来なければ潰されるのは自分の方だと。」

 

 「クックックッ アーッハッハッハッ! 良いねぇ! 父さん! それでこそ世界最強だ!!」

 

 

 

 

 

 突然嗤い始めたサトシを見て、シルバーは怪訝に感じた。

 

 「あの子供が親父が言っていた英雄か? ヤケになったようにしか思わないが…」

 

 シルバーは思いのままにそう言うが

 

 「若様、彼はそんな玉じゃありませんよ。 偉大な父に並び立とうと、そして越えようとするような人です。」

 

 「そうですよ。 ほら、そろそろ彼が動き始めます。 しっかり見ていて下さい。」

 

 ムサシとコジロウがシルバーに対しそう口にすると、サトシが動きをみせる。

 シルバーはサトシ達の一挙手一投足を見逃すまいと、真剣に見始めた。

 

 

 

 

 

 「かみなり!」

 

 「ほろびのうた!」

 

 父さんがかみなりを指示するのに合わせ、ほろびのうたを歌わせる。

 かみなりで大ダメージを負うが、これで互いに交換しなければ倒れる事になるだろう。

 更に畳み掛ける。

 

 「かみなり!」

 

 「なみのりからのフリーズドライ!」

 

 再度かみなりを指示されるが、お構い無しに大波を発生させる。

 そして、直ぐ様大波へとフリーズドライを放ち、相手のラプラスへと物凄いスピードで滑り降りる。

 その速さで滑り降りるラプラスにかみなりが当たる筈が無い。

 

 「面白い! じわれ!」

 

 「飛んでボディプレス!」

 

 父さんのラプラスがじわれを行い、大波の氷が破壊される。

 破壊される前に俺のラプラスは飛び跳ね、宙を舞う。

 そしてそのまま父さんのラプラスへと飛び掛かる。

 

 「つのドリルで迎え撃て!」

 

 もう少しでボディプレスが決まると思いきや、必殺のつのドリルで応戦する気のようだ。

 ならば…!

 

 「ツノに一極集中、フリーズドライ!」

 

 「何っ!?」

 

 ラプラスの回転するツノが、フリーズドライで氷漬けになり固定化された。

 そこにラプラスの渾身のボディプレスが父さんのラプラスを押し潰した。

 そしてそのままラプラスの後ろ首に噛み付き拘束する。

 

 「こらかみ(・・・・)!」

 

 何の組み合わせだ!?

 そう思考している間に、2匹のラプラスにかみなりが落ちる。

 俺のラプラスが戦闘不能になるが、父さんのラプラスはまだ起きていた。

 負けたのか…

 そう思っていたが、父さんのラプラスも倒れ伏した。

 ほろびのうたの時間制限が来たようだな。

 

 「両者、戦闘不能!」

 

 「あれ、こらえる+かみなりか?」

 

 「流石にわかるか。 そうだ。 今のはかなり良いバトルだったぞ。 久しぶりに楽しくなって来た。」

 

 父さんが口角を上げ、心底楽しそうな表情を浮かべる。

 そんな父さんに、俺自身も楽しくなって来た。

 

 「俺もそうだぜ! 父さんとのバトル、本当に楽しいよ! やっぱり父さんとのバトルならこうじゃなくっちゃ!!」

 

 「ふっ じゃあ次から僕もギアをまた上げる。 着いて来れるか?」

 

 「上等!! 何処までも追い縋ってやる! いや、モタモタしてると追い越すぜ?」

 

 「その意気だ! 来い!!」

 

 

 

 




途中ですが、次回決着します。
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